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「無期転換ルール」の確認とその対応 【第2回】「企業が必ず行うべき事項」

「無期転換ルール」の 確認とその対応 【第2回】 「企業が必ず行うべき事項」   特定社会保険労務士 TOMAコンサルタンツグループ(株) 取締役副理事長 TOMA社会保険労務士法人 代表社員 麻生 武信   1 自社の実態を確認する 企業が「無期転換ルール」に対応する上で、初めにすべきことは、自社における有期契約労働者の雇用実態を把握することです。 現在、有期契約労働者は何人いるのか、更新基準、更新回数はどのようになっているのか、社内規定をはじめとする労働条件、運用状況はどのようにされているのかなどを確認します。   2 企業の方針を明確にする 次に企業の対応方針を決めるわけですが、今後の業況や事業方針、人員計画、現在の人手不足の状況や採用の状況などを勘案しながら、以下の3つの選択肢を検討する必要があります。 無期転換問題をめぐる企業の対応の動向としては、東京都産業労働局の公表している「中小企業労働条件等実態調査(平成27年度 契約社員に関する実態調査)」によれば、5年を超える前に、全員を雇い止めすることを検討している企業は1割に満たず、過半数の企業が、何らかの形で無期転換をすることを想定していることがわかります。 (※) 東京都産業労働局ホームページ「中小企業労働条件等実態調査(平成27年度 契約社員に関する実態調査)」 有期労働契約社員を、5年経過する前に契約を終了する②③のケースでは、「雇止め」が合法的に行えるかについて、十分注意することが必要です。 「有期労働契約が反復して更新されたことにより、雇止めをすることが解雇と社会通念上同視できると認められる場合」や、「労働者が有期労働契約の契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて、合理的な理由が認められる場合」については、雇止めが認められず、従前の有期労働契約と同一の労働条件で更新(締結)される場合がありますので、社会保険労務士などの専門家と十分対応を検討する必要があります。   3 無期転換後の雇用形態を決める 次に、無期転換後、どのような社員として位置づけるかを検討することが必要です。 有期労働契約社員が無期転換した場合、「正社員」との異同を明確にしておかないと、トラブルが発生するおそれがありますので、あらかじめ労使の間で、担当する業務や処遇などの労働条件を十分に確認することが重要になります。 無期転換後の処遇については、次の3つのパターンが考えられます。 先の「中小企業労働条件等実態調査」によれば、過半数以上が①の方向で検討していることがわかります。 (※) 東京都産業労働局ホームページ「中小企業労働条件等実態調査(平成27年度 契約社員に関する実態調査)」   4 「無期転換ルール」を整備する 最後に、企業の対応方針にあわせて、就業規則、雇用契約書等において「無期転換ルール」を整備することが必要です。 ① 有期労働契約が5年経過した社員全員を無期転換していく場合 無期転換後の労働条件として、「有期労働契約と同一労働条件とする」、「職種や勤務地を限定するなど新たな無期労働契約区分とする」、「既存の正社員とする」ケースがありますが、それぞれについて、就業規則を整備することが必要です。 特に、定年に関する規定は重要で、無期転換社員の中には、無期転換された時点で、60歳の定年をすでに超えているというケースも考えられますので、このようなケースも想定して、「60歳を超えて無期転換した無期転換社員については、65歳を定年とする」などというように、無期転換社員の定年を、無期転換社員に適用される就業規則に明記しておく必要があります。 ② 有期労働契約が5年を超える前に全員雇い止めをしていく場合 この場合、「雇用契約書の整備」がポイントとなります。有期労働契約社員との雇用契約書を締結する際に、「通算で5年を超えて雇用契約を更新しないこと」を明記することが必要です。ただし、すでに現契約において、次回、平成30年4月からの契約更新の可能性があることが明記されていて、まさに5年間が経過する社員がいる場合は注意が必要となります。 ③ 一定の基準を設け企業が社員ごとに①又は②を選択する場合 上記①②の対応に加えて、無期転換するかしないかを判断する基準を整備することが必要です。一般的には、有期労働契約者に対する評価制度を導入し、「勤務態度」、「勤務成績」、「勤怠」など合理的な基準を設けて、労働者に事前に示しておくことが重要です。   5 おわりに 「無期転換ルール」を定めた改正労働契約法が施行されて5年間が経過していますが、未だかなり多くの企業が、具体的な対応ができていないのが実態です。平成30年4月に近づくにつれて、労使トラブルに発展するケースも増えてくることが予想されます。 あまり時間がない中ですが、有期労働契約社員のいる企業は、本稿をきっかけに、必ず対応を検討していただきたいと思います。 (連載了)

#No. 248(掲載号)
#麻生 武信
2017/12/14

税理士のための〈リスクを回避する〉顧問契約・委託契約Q&A 【第4回】「顧問料値上げを円滑に行うための顧問契約条項案」

税理士のための 〈リスクを回避する〉 顧問契約・委託契約Q&A 【第4回】 「顧問料値上げを円滑に行うための顧問契約条項案」   弁護士・税理士 米倉 裕樹 弁護士・ 関西大学法科大学院教授 元氏 成保 弁護士・税理士 橋森 正樹   Q この度、新規顧客と顧問契約を締結する運びとなったが、決算報酬、税務調査立会等以外の通常の顧問料に関し、当方の業務量に応じた合理的な定めにしてほしいとの要望がなされている。 このような場合、どのような条項が考えられるか。 また、既存の顧客との間で比較的低額での顧問料を設定している場合、顧問料の値上げを行うための何か良い方法はないか。 A 〇最初の顧問契約の重要性 最初に顧問契約を締結してしまうと、その後、顧問料の値上げを要求することはなかなか勇気のいることであり、最終的には値上げ交渉もできないまま、業務量にペイしない料金で頻繁に税務上の相談等を追加料金なしで請けざるを得ない状況に陥ることになる。 そのため、税理士にとって、提供したサービスに応じた顧問料を確保するため、顧客にとっても費用に見合ったサービスを受けているという納得感を得てもらうため、そして、そもそも値上げ交渉等をしないで済むような契約体系を盛り込めることができる最大の機会として、最初に締結する顧問契約の条項内容が非常に重みを持ったものとなる。 そこで以下、双方にとって納得のいくような、税理士の業務量に応じた条項案サンプルをいくつか紹介する。   〇一定期間内での総業務時間に応じて自動的に顧問料が増額される規定 まずは、一定期間内での総業務時間に応じて自動的に顧問料が増額される規定を当初から盛り込んでおくことが考えられる。 例えば、以下のような条項である。 上記条項は、顧問業務1時間当たりのタイムチャージが1万円、1ヶ月当たりの顧問業務見込み時間が5時間であることを想定して、月額5万円の顧問料を設定している。 そこで、6ヶ月間における1ヶ月当たりの平均顧問業務時間を算出し、それが5時間を超えている場合には、その超えた1時間当たりのタイムチャージを1万円(端数が出れば千円単位)として基本料金となる5万円に加算し、続く次期6ヶ月間における1ヶ月当たりの顧問料金としている。 以上はあくまでも例示であるため、例えば1時間当たりのタイムチャージや、1ヶ月当たりの顧問業務見込み時間については、顧問業務の内容・範囲・難易度、顧客の特性等に鑑みてケースバイケースにて決めていくことになろう。また、対象期間を6ヶ月ではなく1年程度とすることも考えられる。 ただし、顧問契約締結に当たり、顧客サービスとして1時間当たりのタイムチャージ金額を低めに設定したり、1ヶ月当たりの顧問業務見込み時間を多めに設定してしまうことで、結局、増額条項が適用されず、ペイできない状態が継続してしまうため、サービス価値に見合ったタイムチャージ金額を毅然と提案し、顧問業務見込み時間についても的確に見積もることが重要となる。   〇一定の基準時間を超えた分を増額分として基準顧問料とともに請求する規定 次に考えられるのは、毎月の顧問業務時間に応じて、一定の基準時間を超えた分につき、別途、毎月、増額分を基準顧問料とともに請求する規定である。 例えば、以下のような条項である。 上記条項では、超過時間にタイムチャージを乗じて算出された金額に対し、さらに0.8を乗じているが、これは顧問契約を締結していることによる特典としての意味を有する。そのため、場合によっては、同係数を変えることも、またはこのような係数を設けない規定とすることもできる。 問題となるのは、末尾での「なお、1ヶ月当たりの総業務時間が5時間未満であった場合には翌月に残時間を繰り越すものとし、以後、同様とする。」との文言である。 この文言は、顧客にとっては費用に見合ったサービスを受けることができるというメリットを有するが、当初、見込んでいた1ヶ月当たりの顧問業務時間を多めに設定していたような場合には、繰り越しタイムが延々と累積することとなる。その結果、ペイできない状態が続くばかりか、契約更新時等において「こんなに繰り越しタイムが残っているのだから、基準顧問料の金額を下げてほしい」などと顧客から言われてしまいかねない。 そのため、仮に、このような繰り越し文言を規定する場合には、当初の1ヶ月当たりの基準時間(上記では5時間)はあくまでも契約締結前での予測に過ぎず、サービスにて見込みよりも若干多めに設定していること等を十分に説明した上で、半年又は1年間等、一定期間が経過した際には、たとえ繰り越しタイムが残っていたとしてもすべてリセットされ、基準時間については、協議の上、変更することができるとの規定も併せて盛り込んでおくことが望ましい。   〇既存の顧客との間で顧問料の値上げを行うための方法 最後に、既存の顧客との間で比較的低額での顧問料を設定している場合、顧問料の値上げを行うための方法についてであるが、過去、一定期間の当該顧客との顧問業務に要したタイムを集計しておき、その業務量が比較的多い場合や、時期によってばらつきがあるような場合には、顧問契約更新時において、上記各条項案の追記等を提案し、新しい料金体系にて契約更新することは、これまで提供してきた業務内容に一定の満足度を有している顧客にとっては、ある程度、納得感があるものとして受け入れられるのではないかと考える。 (了)

#No. 248(掲載号)
#米倉 裕樹、元氏 成保、橋森 正樹
2017/12/14

《速報解説》 マイナス金利下の割引率の取扱いを定めた実務対応報告第34号の適用時期に関する公開草案が公表~金利水準に大きな変化が生じる状況にない間は適用を継続~

《速報解説》 マイナス金利下の割引率の取扱いを定めた実務対応報告第34号の適用時期に関する公開草案が公表 ~金利水準に大きな変化が生じる状況にない間は適用を継続~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成29年12月7日、企業会計基準委員会は、「実務対応報告第34号の適用時期に関する当面の取扱い(案)」(実務対応報告公開草案第54号)を公表し、意見募集を行っている。 これは、実務対応報告第34号「債券の利回りがマイナスとなる場合の退職給付債務等の計算における割引率に関する当面の取扱い」で示されていた適用時期(平成29年3月31日に終了する事業年度から平成30年3月30日に終了する事業年度まで)を改正するためのものである。 意見募集期間は平成30年2月7日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 実務対応報告第34号3項を次のように改正することを提案している。 《現行規定》 《改正案》 なお、公開草案については、渡部仁委員が反対する意見を述べている。   Ⅲ 適用時期等 本実務対応報告は、公表日以後適用する。 (了)

#No. 247(掲載号)
#阿部 光成
2017/12/08

《速報解説》 ASBJ、「仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」を定めた実務対応報告の公開草案を公表~活発な市場の有無による期末の評価方法等について規定~

《速報解説》 ASBJ、「仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い」を定めた 実務対応報告の公開草案を公表 ~活発な市場の有無による期末の評価方法等について規定~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成29年12月6日、企業会計基準委員会は、「資金決済法における仮想通貨の会計処理等に関する当面の取扱い(案)」(実務対応報告公開草案第53号)を公表し、意見募集を行っている。 これは、平成28年に公布された「情報通信技術の進展等の環境変化に対応するための銀行法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第62号)により、「資金決済に関する法律」(平成21年法律第59号。以下「資金決済法」という)が改正され、仮想通貨が定義された上で、仮想通貨交換業者に対して登録制が導入されたことに対応し、必要最小限の項目について、仮想通貨の会計処理及び開示を規定するものである。 意見募集期間は平成30年2月6日までである。 また、後述するように、国税庁から、「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」が公表されている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 公開草案の主な内容 1 範囲 公開草案は、資金決済法に規定するすべての仮想通貨を対象としている(公開草案3項)。 資金決済法では、前払式支払手段発行者が発行するいわゆる「プリペイドカード」や、ポイント・サービス(財・サービスの販売金額の一定割合に応じてポイントを発行するサービスや、来場や利用ごとに一定額のポイントを発行するサービス等)における「ポイント」は、資金決済法上の仮想通貨には該当しないとされている。 また、いわゆる仮想通貨が資金決済法上の仮想通貨に該当するか否かは、個別事例ごとに取引の実態に即して実質的に判断されると記載されている(公開草案24項)。 2 定義 例えば、次の用語が定義されている(公開草案4項(1)(2)(3))。 3 期末における仮想通貨の評価に関する会計処理 仮想通貨交換業者及び仮想通貨利用者は、次のように会計処理する(公開草案5項~7項)。 仮想通貨の売却損益の認識時点に関して、仮想通貨交換業者及び仮想通貨利用者は、仮想通貨の売却損益を当該仮想通貨の売買の合意が成立した時点において認識すると規定されている(公開草案13項)。 4 活発な市場の判断規準 公開草案5項における「活発な市場が存在する場合」とは、仮想通貨交換業者又は仮想通貨利用者の保有する仮想通貨について、継続的に価格情報が提供される程度に仮想通貨取引所又は仮想通貨販売所において十分な数量及び頻度で取引が行われている場合をいう(公開草案8項)。 活発な市場が存在する仮想通貨の市場価格や、仮想通貨の取引に係る活発な市場の判断の変更時の取扱いについても、規定されている(公開草案9項~12項)。 5 仮想通貨交換業者が預託者から預かった仮想通貨の会計処理 仮想通貨交換業者が預託者から預かった仮想通貨については、次のように会計処理する(公開草案14項~15項)。 6 開示 表示及び注記について、次のように規定している(公開草案16項~17項)。   Ⅲ 適用時期等 平成30年4月1日以後開始する事業年度の期首から適用する。 ただし、本実務対応報告の公表日以後終了する事業年度及び四半期会計期間から適用することができる。   Ⅳ 国税庁Q&A 仮想通貨に関する税務上の取扱いについては、国税庁から次のものが公表されている。 上記①では、Q&A形式により、具体的な数値例などを用いて次のことが記載されているので、ぜひ、お読みいただきたい。 (了)

#No. 247(掲載号)
#阿部 光成
2017/12/07

《速報解説》 仮想通貨に関する所得の計算方法等について国税庁が情報(FAQ)を公表~仮想通貨の売却や交換、証拠金取引から分裂、マイニング等までの取扱いを示す~

 《速報解説》 仮想通貨に関する所得の計算方法等について 国税庁が情報(FAQ)を公表 ~仮想通貨の売却や交換、証拠金取引から分裂、マイニング等までの取扱いを示す~   税理士 仲宗根 宗聡   国税庁個人課税課は、平成29年12月1日付で、「仮想通貨に関する所得の計算方法等について(情報)」を公表した。以下ではこの情報で明らかとなった取扱いについて解説する。 【総 論】 ビットコイン、イーサリアム、リップルなどの仮想通貨は、インターネットを通じて物品やサービスの対価の決済手段と使用でき、円やドル、ユーロなどの法定通貨とも交換することができる。 これら仮想通貨は、法的根拠に違いはあるものの、円やドル、ユーロなどの法定通貨と同じ役割であり、「広義の通貨」と解釈できる。 そのため、仮想通貨を売却又は使用することにより生じる利益については、ドルやユーロなどの外国通貨を売却又は使用することにより生じる利益(為替損益)と同じであり、事業所得等の各種所得の基因となる行為に付随して生じる場合を除き、原則として、雑所得に区分され、所得税の確定申告(注)が必要となる。 (注) 年末調整済みの給与所得を有する方で、仮想通貨の売却又は使用による所得が20万円以下の方については、その他に所得がない場合、確定申告を不要とすることができる。この取扱いは、仮想通貨の所得に限ったものではなく、給与所得者の確定申告不要の特例として、従来からある取扱いである。  また、この取扱いは、確定申告を不要とできるもので、医療費控除や住宅ローン控除の適用のために確定申告を行う場合は、この20万円以下の所得を申告しなくてもよいという取扱いではない。確定申告をする場合は、この20万円以下の所得も含めて申告する必要がある。   【各 論】 1 仮想通貨の売却 仮想通貨には、相場(レート)があり、仮想通貨の購入時のレートと売却時のレートの差額が損益となる。 2 仮想通貨での商品購入(仮想通貨の使用) 使用した仮想通貨の取得価額と使用時の商品価額(決済金額)の差額が損益となる。 3 仮想通貨と仮想通貨の交換 交換した仮想通貨の取得価額と交換(使用)時の他の仮想通貨の時価(購入価額)の差額が損益となる。 4 仮想通貨の取得価額 同一の仮想通貨を2回以上にわたって取得した場合、その仮想通貨の取得価額の算定方法は、取得の都度、平均単価を算定する移動平均法を用いる。 ただし、継続適用を要件として総平均法を用いることもできる。 なお、移動平均法より計算した所得金額と総平均法で計算した所得金額は、異なることがあり、その結果に応じて、毎年、算定方法を選択できるものではない。 〔移動平均法〕 取得の都度、下記算式により平均単価を算定する。 〔総平均法〕 下記の算式により平均単価を算定する。 5 仮想通貨の分裂(分岐) 仮想通貨の「分裂」とは、仮想通貨の取引記録(台帳=ブロックチェーン)が2つに分かれることをいう。分裂により新たに作成された新台帳に記録されている仮想通貨は、新たに誕生(取得)した仮想通貨になる。 本年8月には、「ビットコイン」から分裂して、「ビットコインキャッシュ」が誕生した。 この新たに誕生した仮想通貨には、分裂時点では取引相場が存在しないため、価値0円の仮想通貨を取得したことになり、経済的価値があるものを取得していないため、分裂時点では所得は生じない。この新たな仮想通貨に取引相場が生じて、その後、仮想通貨を売却又は使用した時点で所得が生じることになる。 例えば、分裂により取得した仮想通貨が、その後、1通貨あたり100,000円の取引相場となった時点で売却した場合は、0円で取得した仮想通貨を100,000円で売却したことになるため、100,000円の所得が生じる。 6 仮想通貨に関する所得の所得区分 仮想通貨を使用することにより生じる損益は、原則として、雑所得になるが(タックスアンサーNo.1524)、事業所得等の各種所得の基因となる付随して生じる場合は、その事業所得等の各種所得に区分される。 例えば、事業所得の基因となる商品仕入の代金決済に仮想通貨を使用したことにより利益が生じた場合は、事業所得に区分される。 また、仮想通貨の取引により生じる収入によって生計を立てていることが客観的に明らかであるなど、仮想通貨取引が事業として行われていると認められる場合(注)も、その所得区分は事業所得となる。 (注) 事業についての明確な判断基準はなく、営利性、継続性、人的・物的設備の有無、精神的・肉体的労力の程度、自己の危険と計算における企画遂行性の有無など、様々な要素を総合的に勘案して、社会通念上事業として認められるものかを判断する。 7 損失の取扱い 仮想通貨の取引による損失は、雑所得の損失となる。 雑所得の損失は、他の所得との損益通算は認められていない。 損益通算が認められている損失は、不動産所得、事業所得、譲渡所得、山林所得の計算上生じた損失のみとなる(株式や土地・建物の譲渡損失など、適用除外となる損失もある)。 なお、仮想通貨の取引による損失を、他の雑所得(年金の所得など)と通算することはできる。 8 仮想通貨の証拠金取引 仮想通貨の証拠金取引については、「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」の適用対象ではないため、総合課税により申告することになる。 総合課税のため、「先物取引に係る雑所得等の課税の特例」による所得税15%・住民税5%の特例税率の適用はなく、給与所得や事業所得などの総合課税の対象となる所得と合算され、超過累進税率が適用される。 9 仮想通貨のマイニング等 仮想通貨の発行や取引はピアツーピア(P2P)いうネットワークシステム上で行われている。 「マイニング」とは、システム上で行われている仮想通貨の暗号システム、取引履歴の記録システムに参加することをいう。仮想通貨の新規発行は、このマイニングを通じて行われる。 マイニングの報酬として仮想通貨が与えられることがあり、マイニングより取得した仮想通貨は事業所得又は雑所得の収入金額(取得時点での時価)となり、マイニングに要した費用を差し引いて所得金額を計算する。 (了)

#No. 247(掲載号)
#仲宗根 宗聡
2017/12/07

《速報解説》 適用2年目を対象とした「監査役の視点によるコーポレートガバナンス・コードの分析」が公表される~「コンプライ」の比率が増加傾向に、初年度から変化が見られた開示事例の紹介も~

《速報解説》 適用2年目を対象とした「監査役の視点によるコーポレート ガバナンス・コードの分析」が公表される ~「コンプライ」の比率が増加傾向に、初年度から変化が見られた開示事例の紹介も~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成29年12月1日、日本監査役協会のケース・スタディ委員会は、「監査役の視点によるコーポレートガバナンス・コードの分析-適用2年目における開示事例等の分析-」(以下「報告書」という)を公表した。 平成28年11月の「『コーポレートガバナンス・コード(第4章)』の開示傾向と監査役としての視点-適用初年度における開示分析-」に続くものであり、報告書では、開示傾向の変化、「コーポレートガバナンス・コード」の第4章以外の「監査役」が明記されている原則についても、開示事例の抽出と開示内容の傾向を調査している。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 第4章における初年度からの開示の変化の傾向 「コーポレートガバナンス・コード」の適用1年目からの変化を見ると、各原則により多寡はあるものの、概ね全体として、「コンプライ」する比率が増加している傾向が見られるとのことである。 適用1年目に「エクスプレイン」として開示した事例のその後の開示の傾向について調査すると、1年後の開示もほぼ同様の内容で「エクスプレイン」として開示したケースが全体の約5割、「コンプライ」したとして開示を取りやめたケースが全体の約4割との傾向である。 監査役等としても開示内容について検証を行うに際しては、例えば、「検討中である」との開示がなされていても、その後特段の対応がなされていないなど、開示されている内容に沿った運用がなされていないのであれば、経営陣に対して指摘し再考を促すなどの対応をすることも必要であると考えられるとしている。 報告書では、初年度から変化が見られた開示事例が記載されているので、各社において参考になると考えられる。 例えば次の開示事例が紹介されている。 2 第4章以外で監査役が明記されている原則の開示内容の傾向 今回調査した原則・補充原則は以下のとおりである。 報告書では、第4章以外で監査役が明記されている各原則の開示内容の傾向と開示事例が記載されているので、各社において参考になると考えられる。 3 監査役として関心の高い原則の開示事例等の分析 次の原則について分析している。 例えば、取締役会の実効性評価の必要性への認識は相当程度浸透していることがうかがわれるものの、開示事例を見ると実効性評価のプロセスや内容が必ずしも明確でないことに加え、評価の結果としての課題に対する改善策の実施とフォローアップについて十分な記載がなされていない事例が多く見られたとのことである。 監査役としては、これらの開示が適切になされているかと同時に、評価結果において抽出された課題に対する改善策実施のフォローアップについても注視していく責務があると述べられている。 (了)

#No. 247(掲載号)
#阿部 光成
2017/12/07

プロフェッションジャーナル No.247が公開されました!~今週のお薦め記事~

2017年12月7日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.247を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2017/12/07

monthly TAX views -No.59-「平成30年度税制改正の隠れた見どころ」

monthly TAX views -No.59- 「平成30年度税制改正の隠れた見どころ」   中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員 森信 茂樹   平成30年度税制改正の議論が佳境にさしかかっている。所得税では、「働き方改革への対応」と「所得再分配機能の強化」の2つをメインテーマとして、給与所得者の経費控除である給与所得控除の上限の引下げと合わせて基礎控除の引上げが、ほぼ税収中立(若干のネット増税?)で決まりそうだ。この見直しで増税になる給与収入は800万円程度になる。 *  *  * わが国の給与所得者の概算経費控除である給与所得控除は、諸外国に類を見ない寛大なものとなっている。それは、事業所得のバランス(所得把握率の差の調整)という観点や、累次の所得税減税で控除を引き上げてきたことが理由で、冷静に見てみれば、経費の概算控除というには(個人事業主と比べて)あまりにも水膨れしていた。 そこで2015年からは控除限度額(1,500万円以上の給与収入に対して245万円の上限)が導入され、その後2度にわたって限度額を引き下げる(2017年以降は1,000万円の給与収入で220万円の上限)などの縮減策が行われてきたが、未だ高い水準にあるというのが政府税制調査会の認識である。 しかし連年の見直しで、これ以上の見直しは少し時間を置いて、という機運も出ていた。ところが、安倍政権の目玉である「働き方改革」で、クラウドソーシングなどによる「雇用的自営業者」やサラリーマンの副業・兼業を「推奨」したこともあり、その数の増加が予想され、彼らの税負担の見直し(減税)も安倍政権の大きな課題となった。 このような事情から、高所得者の給与所得控除引下げとセットで基礎控除の引上げを行えば、「働き方改革」「高水準の概算経費控除の見直し」「所得再分配機能の強化」という3つの目的が同時達成できるのである。 *  *  * 筆者が最も注目するのは、基礎控除は、引上げと同時に、配偶者特別控除のように「逓減・消失させていく」ことが決まりそうだという点である。 税制調査会は、ここ数年、所得税の再分配機能を強化するために、「所得控除から税額控除への変更」を議論してきた。次の図表は、税制調査会の議論によく出てくる資料である。 【図表】 (出典)政府税制調査会資料 この図表の言いたいことは、所得控除から税額控除への移行は、英米独仏など他の先進国でも行われてきたこと、そしてその具体的方法として、ドイツ・フランスはゼロ税率方式を取り、米国やイギリスは所得控除の逓減・消失方式で対応している(右端の図)ということである。 わが国では、所得控除が税制に定着して久しいことや、税収中立で所得控除と税額控除にすると、給与収入500万円程度から増税になることなどを踏まえて、まずは英米の方式で行う、ということなのであろう。その場合、配偶者特別控除のような階段状の方式になるので、どこから逓減が始まりどこで消失するのかという点が議論となるが、どうやら2,400万円の給与収入から逓減が始まり2,500万円で消失する案が有力となっている。 *  *  * このような所得税の控除の見直しの背景には、消費税率の引き上げで、低所得者の負担が相対的に増えるという逆進性をにらんでの思惑もあると考えられる。いずれにしても、所得再分配機能の強化ということは、現下のわが国の状況の下では必要な改革であろう。 これまで所得再分配の議論にはほとんど興味のなかった安倍官邸が、最終的にどこまで許容するのであろうか、興味深い。 (了)

#No. 247(掲載号)
#森信 茂樹
2017/12/07

組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第16回】

組織再編税制の歴史的変遷と制度趣旨 【第16回】   公認会計士 佐藤 信祐   (《第2章》 平成13年度税制改正) ② 適格組織再編成の場合の特例 (ⅰ) 適格合併及び適格分割型分割 平成13年度税制改正直後の法人税法62条の2第1項では、以下のように規定されている。 上記のように、資産及び負債を帳簿価額で引き継いだものとして計算し、当該資産及び負債の帳簿価額から計算される純資産価額により、株主への交付を行ったものとみなして計算するものとされている。ただし、次回(【第17回】)で解説するように、被合併法人の利益積立金額を合併法人に引き継ぐこととされているため、法人税法2条17号ハに規定する純資産価額とは、「被合併法人の当該適格合併の日の前日の属する事業年度終了の時の当該移転資産の帳簿価額から当該移転負債の帳簿価額及び当該適格合併に係る次号ニに掲げる金額を減算した金額」を意味する(なお、次号ニに掲げる金額とは、適格合併により引き継ぐ利益積立金額のことをいう)。 そのため、適格合併を行う場合において、移転資産の帳簿価額が300であり、移転負債の帳簿価額が100であり、資本金等の額が50であるときに、以下の仕訳を行うということである。 【資産及び負債の移転】 【合併法人株式の交付】 適格分割型分割を行った場合も同様の処理を行うが、一部の事業のみを移転することもあるため、分割承継法人株式の交付において、減少する資本金等の額、利益積立金額の計算を行う必要があるという点が異なる(この点については、次回、解説する予定である)。 そして、合併法人及び分割承継法人では、法人税法62条の2第2項で委任された同法施行令123条の3において、「法第62条の2第1項(適格合併及び適格分割型分割による資産等の帳簿価額による引継ぎ)に規定するときにおいては、同項の合併法人又は分割承継法人は、同項に規定する資産及び負債の同項に規定する帳簿価額による引継ぎを受けたものとする。」と規定されている。 ここで留意が必要なのは、「引継ぎ」という用語の示す意味である。 この点につき、『平成13年版改正税法のすべて』150頁(大蔵財務協会、平成13年)では、 と解説されている。 本連載のどこかで解説を行う予定であるが、減価償却や引当金の計算をどのように行うのかという点は、「引継ぎ」と「取得」の違いを理解しながら条文解釈を行っていく必要がある。 例えば、現行法人税法施行令48条の3では、適格分割等により減価償却資産の移転を受けた場合には、分割法人等が当該減価償却資産の取得をした日において当該移転を受けた分割承継法人等により取得をされたものとみなすことが明らかにされている。これに対し、適格合併ではそのような規定は存在しない。これは、「引継ぎ」と規定されていることから、当然に、被合併法人が減価償却資産の取得をした日において合併法人が減価償却資産を取得したものとみなすからである。 (ⅱ) 適格分社型分割及び適格現物出資 法人税法62条の3第1項、同条の4第1項では、適格分社型分割及び適格現物出資を行った場合において、帳簿価額による譲渡を行ったものとして、課税所得の計算を行うことが規定されている。いずれの条文も、「引継ぎ」とは規定されておらず、「譲渡」と規定されている。そのことから、計算上の数額は、当然には、分割承継法人又は被現物出資法人には引き継がれない。 さらに、適格合併又は適格分割型分割と異なり、交付を受けた分割承継法人株式又は被現物出資法人株式を、分割法人又は現物出資法人が保有し続けるという違いがある。そのため、「純資産価額に相当する金額により取得し、直ちに当該株式を当該内国法人の株主等に交付したものとする」という規定は設けられていない。そして、法人税法施行令119条1項7号において、適格分社型分割又は適格現物出資により交付を受けた分割承継法人株式又は現物出資法人株式の取得価額についての規定が設けられている。 なお、平成13年当時では、適格事後設立についての規定(法法62の5)も設けられていたが、平成22年度税制改正により廃止されている。 *   *   * 次回からは、『平成13年版改正税法のすべて』156頁以降に記載されている資本積立金額、利益積立金額の計算について解説を行う予定である。 (了)

#No. 247(掲載号)
#佐藤 信祐
2017/12/07

中小企業特別措置の適用停止に係る「平均所得金額」の算定方法 【第2回】「「平均所得金額」の算定方法」

中小企業特別措置の適用停止に係る 「平均所得金額」の算定方法 【第2回】 「「平均所得金額」の算定方法」   弁護士・公認不正検査士 下尾 裕   本稿では【第1回】の内容を前提に、「平均所得金額」の具体的な算定方法について解説する。   1 平均所得金額の算定方法 (1) 原則的計算方法 【第1回】で述べたとおり、平成31年4月1日以後に開始する事業年度分の法人税に関し、「平均所得金額」が年15億円を超える中小企業者については、所定の特別措置の適用が停止されることになった。 平均所得金額の原則的算定方法は以下の計算式のとおりである(措法42の4⑧六の二)。ここでの「所得」とは、課税所得の金額、すなわち、欠損金の繰越控除制度等の適用後の金額であり、欠損金額が生じた基準年度においては、所得の金額は零円となる。 【算定のイメージ】 (※) 財務省「平成29年度税制改正の解説」P535より筆者一部変更 かかる所得金額は、基本的には提出した確定申告書記載の所得金額によることになるが、仮に平均所得金額の判定時点で基準年度について提出した確定申告書が存在しない場合には、後日提出する確定申告書に記載するであろう所得の金額を用いることになる。また、確定申告による所得が事後に修正申告又は更正決定により変更された場合には、当然に変更後の金額をもって平均所得金額を算定することになる。 なお、上記計算においては、国税通則法第118条に基づく課税標準(所得金額)の端数計算は行わないので注意が必要である。 また、冒頭に述べたとおり、この改正は平成31年4月1日以後開始事業年度より適用されることから、3月決算法人の場合、適用初年度における平均所得金額は、平成29年3月期(H28.4.1~29.3.31)、平成30年3月期(H29.4.1~30.3.31)及び平成31年3月期(H30.4.1~31.3.31)における所得金額を元に算定されることとなる。このため、平成30年3月期末の時点で、適用停止を受けるか否か、ある程度予測が可能とも考えられる。 (2) 特例的計算方法(調整計算) 基準年度において、以下に定める事由が存在する場合の平均所得金額については、以下に述べる計算方法によりそれぞれ算定する。 (※1) 特定合併等 「特定合併等」とは、合併、分割、現物出資、事業の譲受け又は特別の法律に基づく承継(以下「合併等」という)で以下のいずれかに該当するものをいう(措令27の4⑮一)。 なお、会社分割がある場合の分割法人や現物出資がある場合の現物出資法人については、所定の所得減算調整等は行わない建付けになっていることに注意が必要である。 (※2) 各基準年度の合計月数が36月を超える場合には、当該金額をその合計月数で除し、これに36を乗じた金額、すなわち36月分に相当する金額に再計算する。 (※3) 合併等調整額 「合併等調整額」とは、各対象特定合併等に係る各被合併法人毎に算出される次の(1)(2)に掲げる金額の合計額(合計額の中に加算調整額の計算の基礎とされた金額がある場合には、当該金額を除く)をいう(措令27の4⑭三ロ)。 【イメージ図】 修正基準期間の月数 ≦ 修正基準期間内に終了した被合併法人等の各事業年度の月数の合計数の場合 修正基準期間の月数 > 修正基準期間内に終了した被合併法人等の各事業年度の月数の合計数の場合 (※) 財務省「平成29年度税制改正の解説」P544より 【イメージ図】 (※) 財務省「平成29年度税制改正の解説」P545より (※4) 加算対象連結所得金額 加算対象所得金額とは、簡潔に整理すれば、次の〔1〕の金額に〔2〕の金額を加算した金額をいう(措令27の4⑭四ロ)。 【イメージ図】 (※) 財務省「平成29年度税制改正の解説」P548より   2 連結納税制度における「平均所得金額」 連結納税制度においても、原則として、以下の計算式により計算された金額が15億円を超える連結親法人及びその連結子法人は、措法に基づく特別措置の適用除外事業者とされている(措法68の9⑧五の二、措令39の39⑫~⑯)。 ここでの連結所得については、各連結法人の個別所得金額で判定するのではなく、連結グループ全体を1つの法人に見立て、1の項で述べたところに準じて、連結欠損金の繰越控除後の連結所得の金額を基準に計算するものとされている。 また、調整事由の該当性についても、同様の見立てにより、連結納税の承認は新設合併と、連結グループへの加入は吸収合併と、また、連結納税の承認の取消し等(連結納税制度の終了・離脱)は単独新設分割とそれぞれ同様のものと観念して制度設計がなされている。   3 最後に 以上のとおり、平均所得金額による措法に基づく特別措置の適用停止は、平成31年4月1日以後に開始する事業年度から適用されるが、当該平均所得金額の算定にあたっては、上述のとおり、原則として、平成28年4月1日以後に開始した事業年度の各課税所得の金額が考慮されるから、今後は自社の課税所得の金額を注視していく対応が求められよう。 (連載了)

#No. 247(掲載号)
#下尾 裕
2017/12/07
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