〔検証〕
適時開示からみた企業実態
【事例8】
ソフトバンクグループ株式会社
「代表取締役の異動(退任)に関するお知らせ」
(2016.6.21)
事業創造大学院大学 准教授
鈴木 広樹
1 今回の適時開示
今回取り上げる適時開示は、ソフトバンクグループ株式会社(以下「ソフトバンク」という)が平成28年6月21日に開示した「代表取締役の異動(退任)に関するお知らせ」である。本連載では、これまでも代表取締役や代表執行役の異動に関する開示を取り上げてきた。この開示も、一見したところ、何の変哲も無い極めて平凡なもののようである。
しかし、よく見ると、これまで取り上げた開示とは異なるところがある。代表取締役は取締役会で選定されるため、代表取締役の異動に関する開示は、取締役会がそれを決議した時点で行われる。そのため、その開示の主文は、通常、本連載の【事例2】で取り上げたセーラー万年筆株式会社の「代表取締役および役員の異動に関するお知らせ」の主文「当社は、平成27年12月12日開催の取締役会において、下記のとおり代表取締役および役員の異動について決議いたしましたので、お知らせいたします。」のようになる。
それに対して、このソフトバンクの開示の主文は、「当社の代表取締役副社長であるニケシュ・アローラが、明日午前10時より開催される第36回定時株主総会終結のときをもって任期満了に伴い代表取締役及び取締役を退任することとなりましたので、下記のとおりお知らせいたします。」というものである。
2 そもそも取締役に再任されないことに
ニケシュ・アローラ氏(以下「アローラ氏」)の取締役としての任期は、もともと平成28年の定時株主総会の終結のときまでとされており、平成28年の定時株主総会の終結のときをもって、いったん取締役ではなくなり、代表取締役でもなくなる。したがって、このソフトバンクの開示の主文は、文字どおり読むと、当たり前のことを言っているに過ぎず、これだけでは開示の目的がわからない。
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