コーポレート・ガバナンス・システムに関する
実務指針(CGSガイドライン)の解説
【第4回】
「ダイバーシティ2.0行動ガイドラインについて」
PwCあらた有限責任監査法人 シニアアソシエイト 河合 巧
本シリーズでは、2017年3月31日に経済産業省から公表された「コーポレート・ガバナンス・システムに関する実務指針(CGSガイドライン)」を取り上げている。CGSガイドラインは、2015年6月から適用が開始された「コーポレートガバナンス・コード」(以下、CGコード)の内容を補完し、企業価値向上のための具体的な行動を示す目的で取りまとめられたものである。
今回は、CGSガイドラインから、CGSガイドラインの別添「ダイバーシティ2.0行動ガイドライン」を取り上げ、その概要を解説する。なお、文中の意見にわたる部分は筆者の私見であることを予めお断りする。
〔ダイバーシティ2.0行動ガイドラインの背景〕
これまで、安倍政権は発足時から働き方改革を重点施策に位置付け、この文脈でダイバーシティ推進の取組が関係省庁によって進められてきた。その中で、経済産業省は企業経営の視点からのダイバーシティに注目し、企業の競争力強化のため、性別、国籍、障がい等の属性を含め、個人が能力を発揮して企業価値創造に参画する「ダイバーシティ経営」を推進してきた。
徐々に企業の認知も進み、ダイバーシティ経営に取り組む企業こそ増えたが、実態は企業価値と直結しない段階にとどまるケースが少なくない。
そのような中、経済産業省は、平成28年に「競争戦略としてのダイバーシティ経営(ダイバーシティ 2.0)の在り方に関する検討会」(座長:北川哲雄 青山学院大学大学院 教授)を立ち上げ、あるべきダイバーシティ経営の考え方、ボトルネック、必要なアクションについて、企業、投資家、有識者等による議論を行い、その成果物として、報告書とともに、ダイバーシティ2.0行動ガイドライン(以下、本ガイドライン)を世に発信した。
本ガイドラインは、日本政府の強い問題意識の提示に始まり、ダイバーシティの効果、企業に求められる考え方やアクション、また、取組事例を整理した、ダイバーシティ経営の「指南書」といえる内容となっている。
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