公開日: 2013/08/22 (掲載号:No.32)
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新たな高速バスの法規制と労働問題 【第3回】「バス運転手の健康管理をめぐる問題と今後の法改正の動向」

筆者: 山田 信孝

新たな高速バスの法規制と労働問題

【第3回】
(最終回)

「バス運転手の健康管理をめぐる問題と

今後の法改正の動向」

 

特定社会保険労務士・運輸安全コンサルタント
山田 信孝

 

Ⅰ 前進した過労運転防止対策

前回、改正に至る経緯を解説した「新高速乗合バス」及び「貸切バス」の交替運転者の配置基準は、「勤務時間等基準告示」を基本としつつも、疲労を蓄積させないためには、長時間働いて長時間休むよりも、こまめに休憩をとった方が効果的であるとの生理学的な考えに基づき、連続運転時間は4時間ではなく、昼夜とも小刻みに原則2時間までとしたことや、夜間400km超えのワンマン運行では、原則2時間毎に休憩20分と「勤務時間等基準告示」よりも長い休憩時間を定めた。

また、夜間における連続乗務回数を制限したほか、ワンマン運行の運転者には、1運行の実車距離が夜間は400km(昼間は500km)を超える場合には、実車距離100kmから夜間は400km(昼間は500km)までの間にある休憩地点において、運転者に運行管理者に対し、電話で乗務中の体調報告をすることを、新たに義務付けた。

この結果、運転者の体調の変化に応じて、運転者自らの申出又は運行管理者の指示により、休憩時間の追加や運転者の交替などの措置を講じることが可能となった。

前回述べたとおり、今回の交替運転者の配置基準は運転者の過労運転防止対策として、とても有効であり、従前より大きく前進したといえる。

 

Ⅱ 運転者の健康管理の重要性

次に、運転者の過労運転防止に当たり、運転者の健康状態とも関連性があることから、運転者の健康管理について、検討することとする。

平成25年7月上旬、高速道を走行中にバス運転者が、意識を消失した出来事が、連続して2件(宮城、三重)発生するなど、近年、運転者の健康状態に起因する事故が続発していることから、バス事業者には運転者に対する健康管理の一層の取組みが求められる。

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【第3回】
(最終回)

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今後の法改正の動向」

 

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山田 信孝

 

Ⅰ 前進した過労運転防止対策

前回、改正に至る経緯を解説した「新高速乗合バス」及び「貸切バス」の交替運転者の配置基準は、「勤務時間等基準告示」を基本としつつも、疲労を蓄積させないためには、長時間働いて長時間休むよりも、こまめに休憩をとった方が効果的であるとの生理学的な考えに基づき、連続運転時間は4時間ではなく、昼夜とも小刻みに原則2時間までとしたことや、夜間400km超えのワンマン運行では、原則2時間毎に休憩20分と「勤務時間等基準告示」よりも長い休憩時間を定めた。

また、夜間における連続乗務回数を制限したほか、ワンマン運行の運転者には、1運行の実車距離が夜間は400km(昼間は500km)を超える場合には、実車距離100kmから夜間は400km(昼間は500km)までの間にある休憩地点において、運転者に運行管理者に対し、電話で乗務中の体調報告をすることを、新たに義務付けた。

この結果、運転者の体調の変化に応じて、運転者自らの申出又は運行管理者の指示により、休憩時間の追加や運転者の交替などの措置を講じることが可能となった。

前回述べたとおり、今回の交替運転者の配置基準は運転者の過労運転防止対策として、とても有効であり、従前より大きく前進したといえる。

 

Ⅱ 運転者の健康管理の重要性

次に、運転者の過労運転防止に当たり、運転者の健康状態とも関連性があることから、運転者の健康管理について、検討することとする。

平成25年7月上旬、高速道を走行中にバス運転者が、意識を消失した出来事が、連続して2件(宮城、三重)発生するなど、近年、運転者の健康状態に起因する事故が続発していることから、バス事業者には運転者に対する健康管理の一層の取組みが求められる。

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連載目次

筆者紹介

山田 信孝

(やまだ・のぶたか)

特定社会保険労務士、行政書士、運輸安全コンサルタント
東京ウイング社労士事務所(http://sr-yamada.jp)代表

国土交通省38年間の行政経験を活かして、行政と運送事業者との懸け橋となるべく、運送業に特化し、かつ、フルサポートに徹する「運輸安全コンサルタント」として、営業活動を展開している。

業務内容としては、運輸局の行政処分に対する改善報告や運輸局・労基署の監査対策をはじめ、労働トラブルから未然に会社を守る就業規則の作成、社会保険の新規適用及び各種助成金の申請のほか、官公署への許認可申請の手続、会社設立手続及びGマーク(貨物自動車運送事業安全性評価)の申請などを手掛けている。

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