法人・個人の所得課税における
実質負担率の比較検証
【第2回】
「実質負担率の比較と有利不利の境界線」
(株)よつばコンサルティング
税理士 石渡 晃子
税理士 青木 岳人
はじめに
第1回では、法人の所得に対する課税制度と個人の所得に対する課税制度を整理した。そのうえで、どちらの形態をとるのが有利なのか、これは実質負担率を計算しなければ、比較できないことも述べた。
税理士業務を行うなかでしばしば遭遇するのが、法人の所得に対する税と個人の所得に対する税、いずれが有利なのか、という問題である。
いわゆる「法人成り」を行うにあたって有利となるラインはどこか、という問題もそのひとつである。これは個々人の家族体系や事業規模形態にも左右されるため、一概にラインを示すことは難しいが、「所得1,000万円」を超えるか超えないかがひとつの目安とされることが多い。
では、その1,000万円という数字は、何を根拠に導き出した金額であろうか。
そこで本連載の第2回では、実際に課税所得が①500万円の場合、②1,000万円の場合、③2,500万円の場合、④5,000万円の場合、⑤1億円の場合、について実質負担率を計算し、比較と検討を行うこととする。
1 実質負担率の計算
前回は「課税所得が1,000万円」の場合について、簡単に実質負担率の計算を行った。今回は、もう少し細かい設定で計算してみよう。
前提として、①個人の所得はすべて事業所得(物品販売業)かつ青色申告を行うものとし、②法人の規模は資本金2,000万円、従業員数は50人とし、③個人と法人、いずれの場合も東京都23区内に納税地を置き、④事業税については1年目と仮定して翌年の費用効果は考慮外とする。また、⑤個人の所得に対する税額の計算においては、課税所得から青色申告特別控除65万円のみを控除し、各種所得控除については考慮外とする。
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