公開日: 2013/12/26
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《速報解説》 「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」について

筆者: 甲田 義典

 《速報解説》

「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」について

 

ミレニア綜合会計事務所
代表税理士 甲田 義典

 

国税庁は、平成25年12月13日に、「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」について(情報)(以下「情報」という)を公表した。

現行の税法では、扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち、通常必要と認められるものは贈与税の非課税財産とされている(相法21の3①二)。

一方、相続税法基本通達では、同通達21の3-3及び3-4で「生活費」と「教育費」(以下「生活費等」)の意義を示したうえで、その非課税対象となる財産は、生活費等として必要な都度直接これらの用に充てるために贈与によって取得した財産をいい、生活費等の名義で取得した財産を預貯金した場合や、株式の買入代金若しくは家屋の買入代金に充当したような場合のものは対象外として取り扱うことが示されている(相基通21の3-5)。

また、生活費等で通常必要と認められるものの範囲は、被扶養者の需要と扶養者の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産であることが示されている(相基通21の3-6)。

以上が生活費等の非課税財産に関する現行の税法と通達の主な概要であるが、その具体的な内容については不明確であった。

そのような中で、今年1月以降の平成25年度税制改正をめぐる、自民党、公明党及び民主党の3党間で協議が重ねられた過程において、贈与税については、高齢者が保有する資産の若年世代への早期移転を促し、消費の拡大を通じた経済の活性化を図る観点、格差の固定化の防止等の観点から、結婚、出産又は教育に要する費用等の非課税財産の範囲の明確化を含め検討することが、平成25年度税制改正法附則108条に規定されたところであった。

このような背景の下、本件情報が公表されている。

情報では、以下の5つの費用負担ごとに解説がされている。

1 生活費又は教育費の全般に関するQ&A

2 結婚費用に関するQ&A

3 出産費用に関するQ&A

4 教育費に関するQ&A

5 その他の生活費に関するQ&A

なお、情報の内容に関しては、あくまで非課税財産となる範囲について解説されているが、具体的にいくらまでが非課税となるかは明確とされていない。

これは、生活費等の贈与を行う各家庭の生活水準が異なるため、一律に非課税枠を決めることが難しいという事情があると思われるが、実務上は、特に高額な贈与に関しては、その贈与に至った経緯など個別の事情を十分検討し、税務当局とのトラブルに発展しないように留意する必要がある。

〔凡例〕
相法・・・相続税法
相基通・・・相続税法基本通達
(例)相法21の3①二・・・相続税法第21条の3第1項第2号

(了)

 《速報解説》

「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」について

 

ミレニア綜合会計事務所
代表税理士 甲田 義典

 

国税庁は、平成25年12月13日に、「扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A」について(情報)(以下「情報」という)を公表した。

現行の税法では、扶養義務者相互間において生活費又は教育費に充てるためにした贈与により取得した財産のうち、通常必要と認められるものは贈与税の非課税財産とされている(相法21の3①二)。

一方、相続税法基本通達では、同通達21の3-3及び3-4で「生活費」と「教育費」(以下「生活費等」)の意義を示したうえで、その非課税対象となる財産は、生活費等として必要な都度直接これらの用に充てるために贈与によって取得した財産をいい、生活費等の名義で取得した財産を預貯金した場合や、株式の買入代金若しくは家屋の買入代金に充当したような場合のものは対象外として取り扱うことが示されている(相基通21の3-5)。

また、生活費等で通常必要と認められるものの範囲は、被扶養者の需要と扶養者の資力その他一切の事情を勘案して社会通念上適当と認められる範囲の財産であることが示されている(相基通21の3-6)。

以上が生活費等の非課税財産に関する現行の税法と通達の主な概要であるが、その具体的な内容については不明確であった。

そのような中で、今年1月以降の平成25年度税制改正をめぐる、自民党、公明党及び民主党の3党間で協議が重ねられた過程において、贈与税については、高齢者が保有する資産の若年世代への早期移転を促し、消費の拡大を通じた経済の活性化を図る観点、格差の固定化の防止等の観点から、結婚、出産又は教育に要する費用等の非課税財産の範囲の明確化を含め検討することが、平成25年度税制改正法附則108条に規定されたところであった。

このような背景の下、本件情報が公表されている。

情報では、以下の5つの費用負担ごとに解説がされている。

1 生活費又は教育費の全般に関するQ&A

2 結婚費用に関するQ&A

3 出産費用に関するQ&A

4 教育費に関するQ&A

5 その他の生活費に関するQ&A

なお、情報の内容に関しては、あくまで非課税財産となる範囲について解説されているが、具体的にいくらまでが非課税となるかは明確とされていない。

これは、生活費等の贈与を行う各家庭の生活水準が異なるため、一律に非課税枠を決めることが難しいという事情があると思われるが、実務上は、特に高額な贈与に関しては、その贈与に至った経緯など個別の事情を十分検討し、税務当局とのトラブルに発展しないように留意する必要がある。

〔凡例〕
相法・・・相続税法
相基通・・・相続税法基本通達
(例)相法21の3①二・・・相続税法第21条の3第1項第2号

(了)

筆者紹介

甲田 義典

(こうだ・よしのり)

税理士

1999年、税理士試験合格後、翌年2000年に税理士登録。
1997年~2004年 公認会計士事務所入所後、財務・経営コンサルティング会社にて、相続税対策、自社株対策、事業承継対策に係る税務アドバイスの他、事業再生支援業務に従事。
2004年~2010年 監査法人トーマツ(現 有限責任監査法人トーマツ)及び税理士法人トーマツにて、事業再生及びM&Aに関する税務アドバイスを提供。

現在は、相続税対策、事業承継対策を中心としたコンサルティング業務に携わっている。

【主な著書】
・『短期・中期・長期の10年スパンで考える事業承継・相続の税金対策』(清文社)
・『〈3訂版〉金融機関と専門家による相続・事業承継支援入門』(近代セールス社)

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