企業の不正を明らかにする
『デジタルフォレンジックス』
【第1回】
「あらゆる不正調査に使われるようになった
「デジタルフォレンジックス」とは何なのか?」
プライスウォーターハウスクーパース株式会社
シニアマネージャー
池田 雄一
1 デジタルフォレンジックスの定義
『デジタルフォレンジックス』という分野が発生したのは米国および英国を中心とする欧米諸国で、1980年代まで遡る。コンピュータの飛躍的な増加とともに、それを使った犯罪行為も増加したことにより、法整備からコンピュータ犯罪の専門部隊の組織が欧米諸国で開始されたのが1980年代後半から1990年代前半のことである。
日本でフォレンジックスという言葉が聞かれるようになったのは、ライブドア事件で東京地検特捜部が捜査の一環として消去されたメールデータの復元を行った2006年頃からかもしれない。その後、2011年に発覚した大相撲八百長問題、まさに現在報道されている野球賭博問題などにおいて、携帯電話の調査にフォレンジック技術が使用されたことなどで注目を浴びている。
「フォレンジックス」という言葉は、科学的手法を用いて犯罪に関係する情報(証拠)を得ることを意味しており、犯罪捜査を含む司法の現場を起源としている。日本語でいうところの「鑑識」と考えれば分かりやすいかもしれない。
現在、フォレンジックスは50程度の分野に分かれており、これをまとめて「フォレンジックサイエンス」(法科学)と呼ぶ。法科学は、法生理学、法社会学、犯罪捜査学、デジタルフォレンジックスなどの大きな分野に分かれており(図1を参照)、米国の「CSIシリーズ」や日本の「科捜研シリーズ」などに代表されるように、フォレンジックサイエンスに特化した国内外のテレビドラマやニュースなどでもしばしば取り上げられることから、法医学、司法解剖、DNA鑑定、指紋分析などのフォレンジックサイエンスに関係する言葉を知っている読者も少なからずいるであろう。
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