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谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第24回】「国税通則法68条(69条)」-附帯税(3) 重加算税の「隠蔽・仮装要件」-

重加算税(税通68条)は、過少申告加算税(同65条)、無申告加算税(同66条)及び不納付加算税(同67条)の各賦課要件に該当する場合(自発的修正申告、自発的期限後申告又は自発的納付の場合を除く。前回4(1)参照)において、納税者が「その額の計算の基礎となる税額の属する税目の国税」(同69条)の課税標準等又は税額等(同19条1項柱書参照)の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部を「隠蔽し、又は仮装し、その隠蔽し、又は仮装したところに基づき」(以下「隠蔽・仮装要件」という)納税申告書を提出し、法定申告期限までに納税申告書を提出せず、又は法定納期限までに租税を納付しなかったときは、これらの加算税に「代え」より大きな賦課割合で課される金銭的負担であり、それぞれの場合に応じて過少申告重加算税ないし重過少申告加算税、無申告重加算税ないし重無申告加算税、不納付重加算税ないし重不納付加算税と呼ばれる。

#No. 560(掲載号)
# 谷口 勢津夫
2024/03/14

〈事例から理解する〉税法上の不確定概念の具体的な判断基準 【第15回】「申告納税制度が納税者救済のハードルを上げている法令解釈」

更正の請求を期間制限することなく無制限に認めることとした場合には、税務行政の円滑な運営を著しく阻害し、申告納税制度の根幹を揺るがす結果となるから、本件更正の請求を認めることはできない。

#No. 559(掲載号)
# 大橋 誠一
2024/03/07

谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第23回】「国税通則法65条(~67条)」-附帯税(2) 過少申告加算税とその加重及び減免-

加算税は、附帯税(税通2条4号)のうち制裁目的で課される金銭的負担であり、行政罰の一種である(前回1参照)。加算税の対象は、申告納税方式(税通16条1項1号)による国税については納税申告義務に対する違反、源泉徴収等による国税(同2条2号)については源泉徴収及び特別徴収に係る義務(徴収納付義務)に対する違反である。加算税は、それらの行政上の義務について適正な履行を間接的にあるいは心理的に強制し、もって適正な履行を担保しようとする措置(行政上の義務履行担保措置)である。

#No. 555(掲載号)
# 谷口 勢津夫
2024/02/08

谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第22回】「国税通則法60条(~63条)・64条」-附帯税(1) 延滞税と利子税-

附帯税とは、「国税のうち延滞税、利子税、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税及び重加算税」(税通2条4号)をいい、これらの租税は国税通則法第6章(60条~69条)に規定されている。

#No. 551(掲載号)
# 谷口 勢津夫
2024/01/11

〈事例から理解する〉税法上の不確定概念の具体的な判断基準 【第13回】「国税通則法第63条の延滞税の取消しの主張は認容されるか」

① 被相続人の相続人は配偶者、子であるA(請求人)及びBの3名であるが、法定申告期限までに遺産分割協議が整わず、関与税理士から入手した相続税申告書は第1表のみであった。
② 請求人は第1表と納税用の現金を持って原処分庁の総合受付を訪れ、申告書を提出したい旨を伝えたところ、担当職員に「これでは受け付けられない」旨を告げられ、「他の相続人の申告書と照合してほしい」と尋ねたが、「これだけでは無理で、受付はするが受理はできない」とも告げられた。
③ 1度その場を辞去し、「受付はできるのならしてもらおう」と再度訪れると、別の担当職員に簡単に受け付けされたため、「後で照合ができて受理した旨の連絡が税務署からあるのだろう。受理したという連絡をもらってから納付しても延滞税はかからないだろう」と考えた。
④ 原処分庁は、法定納期限を経過した後も相続税が完納されていないとして、相続税と延滞税の督促処分を行った。

#No. 551(掲載号)
# 大橋 誠一
2024/01/11

谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第21回】「国税通則法56条(~59条)」-国税の還付の意義と手続-

国税通則法第5章(56条以下)は、同法第3章の「国税の納付及び徴収」に関する規定に従って納付又は徴収された国税について、その還付の手続及びこれに関連する事項(充当、還付加算金及び国税の予納額の還付の特例)を定めている。還付という語は、一般に、下記のような意味で用いられるが(新村出編『広辞苑〔第7版〕』(岩波書店・2018年)676頁)、ここでは、下記の②の意味に準じて、国税の納税義務(税通15条1項括弧書参照)の履行として国庫に納付された金員を税務署長等が当該納税者に返すことを意味するものと解される。

#No. 548(掲載号)
# 谷口 勢津夫
2023/12/14

〈もうすぐ適用開始〉令和6年1月から適用される加算税の加重措置 【第2回】「高額・連続の無申告に対する加重措置」

例年、前年12月に取りまとめられる税制改正大綱に先立ち、政府与党の税制調査会において議論及び意見集約が行われるところ、その議論の経緯を瞥見することで、是正又は新たに手当てすべき税制の青写真や問題意識を窺うことができる。
令和5年度税制改正の検討過程においては、令和4年11月8日に開催された政府税制調査会の納税環境整備に関する専門家会合において、下記のような問題提起がなされていた。

#No. 546(掲載号)
# 大橋 誠一
2023/11/30

〈もうすぐ適用開始〉令和6年1月から適用される加算税の加重措置 【第1回】「これまでのインセンティブ措置の傾向と帳簿不提出に係る加重措置」

加算税は、申告納税制度の定着と発展を図るため、申告義務が適切に履行されない場合に課されるものであり、一種の行政制裁的な性格を有するものとされている。
昨今の加算税に係る税制改正の特徴として、インセンティブとしての効果がより表れるように、誠実に申告義務を履行しようとしている者については軽減を、相対的に悪質と認めるものについては加重をそれぞれ志向するという傾向にある。
本稿では、令和6年1月から適用されることが法定されている令和4年度及び令和5年度の税制改正における加算税の加重措置を中心に、最近の加算税に係る税制改正の概要と特徴を確認することにしたい。

#No. 545(掲載号)
# 大橋 誠一
2023/11/22

谷口教授と学ぶ「国税通則法の構造と手続」 【第20回】「国税通則法46条(~55条)」-納税の猶予の意義と性格-

国税を納付する義務(納税義務)は、その納付すべき税額が確定された場合(税通15条1項、16条参照)、その履行すなわち当該税額の納付及び徴収(同第3章)によって、消滅する。このことは、私法上の債務がその履行によって消滅するのと基本的に同じである。ただし、履行内容・条件の変更については私法と税法とで対応が異なる。すなわち、私法上の債務については、履行内容・条件の変更は、契約自由の原則の下、当事者の合意(これを新たな契約の締結と解するか又は和解(民法695条)と解するかは意思表示の解釈の問題である)によって、原則として自由に行うことができるのに対して、納税義務については、履行内容・条件の変更は、合法性の原則の下、税法上の明文の規定に基づいてのみ許容される(金子宏『租税法〔第24版〕』(弘文堂・2021年)87頁、拙著『税法基本講義〔第7版〕』(弘文堂・2021年)【38】参照)。

#No. 543(掲載号)
# 谷口 勢津夫
2023/11/09

〈事例から理解する〉税法上の不確定概念の具体的な判断基準 【第11回】「国税通則法第68条における重加算税の「隠ぺい、仮装」と相続税法第19条の2第5項における「隠蔽仮装行為」の異同点」

① 被相続人は平成24年3月に死亡し、相続人は配偶者、子A及び子Bの3人(請求人ら)である。
② A及びBは平成24年4月にP証券を訪れ名義書換手続を行った。
③ Bは、国税庁ホームページの相続税の計算方法等が説明されているページを印刷して、これを基に相続税の額を試算し、所轄税務署を訪れて申告書用紙を入手したが、請求人らは法定申告期限までに相続税の申告書を提出しなかった。
④ Aは、被相続人の自宅の臨場調査時の調査担当職員からの「証券会社との取引はなかったか」との問いに対して、「知らない」旨回答した。
⑤ 調査担当職員は、Aに香典帳の提示を求め、香典者名及び香典額記載のメモの提示を受けたが、一見して下半分が切り取られていたため、「下半分はどこにあるのか」と質問した。Aは黙して回答しなかったため、宅内の現況調査を行ったところ、「P証券5,000」と記載された香典メモの下半分を発見した。
⑥ Aは、香典メモから下半分を破りとった上で調査担当職員に提示したことを認めた。
⑦ 請求人らは、調査を受けて、相続税法第19条の2(配偶者軽減特例)第1項の規定を適用した期限後申告をしたところ、原処分庁は、相続財産を隠ぺいして相続税の申告書を提出しなかったとして、配偶者については配偶者軽減特例を否認する旨の更正処分等を行うとともに、A及びBには重加算税の賦課決定処分をした。

#No. 542(掲載号)
# 大橋 誠一
2023/11/02

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