民法(相続関係)等改正「追加試案」のポイント 【第4回】「追加試案で新たに示された改正内容(その3)」
中間試案でも示されていたところだが、遺留分権利者による権利行使により、当然に物権的効果が発生する(目的物が特定物の場合、遺留分侵害する範囲についての権利が、当然に遺留分権利者に移転する(最判昭51.8.30))とする現行の遺留分減殺請求の制度を改め、遺留分権利者は、遺留分侵害額に相当する金銭の支払いを求めることができるとするものである。
税理士のための〈リスクを回避する〉顧問契約・委託契約Q&A 【第1回】「顧問契約の範囲と助言義務」
顧問先であるA社は、第1期(平成16年4月1日~同17年3月31日)、第2期とも消費税免税事業者であったが、第3期において、売上げに係る消費税額よりも仕入れに係る消費税額の方が多く、かつ第1期における課税売上高が1,000万円未満であったため、第2期末までに消費税課税事業者選択届出書を提出するように助言を受けていれば、約3,700万円の還付を受けることができるはずであったのに、私(税理士B)がそのような助言を怠ったとして、同額の損害賠償を請求すると言われている。
民法(相続関係)等改正「追加試案」のポイント 【第3回】「追加試案で新たに示された改正内容(その2)」
現行法上も、残余遺産について審判事件が引き続き継続する前提で、遺産の一部を分割する審判は可能である(家事事件手続法73条2項。「家庭裁判所は、家事審判事件の一部が裁判をするのに熟したときは、その一部について審判をすることができる。」)。
上記追加試案は、残余遺産については審判が継続せず、事件が終了する(すなわち全部審判)場合で、当事者が現時点で残余遺産の分割を希望していないようなときを想定している。
家族信託による新しい相続・資産承継対策 【第21回】「家族信託の活用事例〈不動産編②〉(2人以上の受益者を設定する受益者連続型として、自らの死後に収益物件の賃料を妻に渡し、妻の死後は収益物件自体を子に渡す事例)」
私(50歳)には今年80歳になる両親と、東京で働く弟がいます。
父は、所有する土地の一部を賃貸マンションにして、家賃収入と年金で暮らしています。私は、父が高齢で賃貸マンションの管理に手が回らなくなっていることを感じるとともに、将来の相続について不安を感じていました。
一方で、父は相続全般について方針を決めたがらないという問題がありました。
このため、対象を賃貸マンションに限定して、以下2点の方針を確認しました。
民法(相続関係)等改正「追加試案」のポイント 【第2回】「追加試案で新たに示された改正内容(その1)」
現行法上、配偶者に対する配慮がなされている制度として、配偶者に対する居住用財産の贈与についての贈与税の特例が挙げられる。居住用不動産の贈与は、残される配偶者の老後の生活保障を考慮して行われることが多く、民法上も同様の配慮を行う必要性がある。
婚姻期間20年以上の夫婦に限定したのは、このような夫婦間の贈与は、通常、贈与を受ける配偶者の生活保障を意図しており、相続時に、(生前)贈与を受けた配偶者の相続分を減少させる意図がないことが通常と考えられるからである。
税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題〔Q&A編〕 【第17回】「実務の現場における判断能力の判定方法(その3)」
この第3ステップまで進んできているということは、①第1ステップ(予備面談を行う)において、意思確認対象者との間で「一応の会話のやり取りが成立する」というケースか、②第2ステップ(医師の手を借りた確認を行う)において、医師により「一般的見地から最低限の判断能力は兼ね備わっている」と判定されるケースであるということである。
これからの会社に必要な『登記管理』の基礎実務 【第7回】「みなし解散により被る不利益」-解散とみなされないために-
事業活動の実態がないにもかかわらず登記記録が存在している会社(以下、「休眠会社」という)を対象として、登記所側が解散したものとみなす登記を入れることによって、事業活動の実態のある会社とそうではない会社が登記記録上整理されるという目的がある。
もっとも事業活動を行っているか否かを個別具体的に判断するのは困難である。そこで、最後の登記手続から12年間を経過しているかをもって事業活動の実態の有無が形式的に判断される。
民法(相続関係)等改正「追加試案」のポイント 【第1回】「中間試案パブリックコメント後の検討概要」
8月1日付けで「中間試案後に追加された民法(相続関係)等の改正に関する試案(追加試案)」が、パブリックコメントに付された。
本稿では、昨年実施された中間試案に対するパブリックコメント後の法制審議会における検討状況を概説し、次回は追加試案で新たに示された改正内容について紹介したい。
家族信託による新しい相続・資産承継対策 【第20回】「家族信託の活用事例〈不動産編①〉(将来認知症になり自宅を売却できない場合に備えて、施設入居時に子へ信託する事例)」
私の母は、父に先立たれたあと、ずっと札幌で一人暮らしをしていました。数年前、母名義の実家はそのままにして、高齢者施設に入居して元気に過ごしていますが、年齢だけに認知症が心配です。
実家の方は、私が東京から年に2度ほど様子を見に来ていますが、結構な経済的負担になっています。
母の施設費用も少し足りなくなってきたので、いずれは実家を売却して施設費用にあてたいのですが・・・
税理士が知っておきたい[認知症]と相続問題〔Q&A編〕 【第16回】「実務の現場における判断能力の判定方法(その2)」
前回解説したとおり、第1ステップ(予備面談を行う)を実施した結果、最も判断に迷うのが、(ハ)簡単な質問は理解し、何とか答えられるが、少し込み入った質問となると適切な回答ができない場合である。
このような場合、①聞き手の理解のペースに合わせて、ゆっくり、丁寧に話をしていけば、こちらが言うことをおおよそ理解できるという場合も多い。そこで、このようにゆっくり丁寧に話をしていくことで本人とのコミュニケーションが成立し、話の内容もほぼ理解できるという感触が得られた場合には、次の第3ステップへ進んでよいだろう。
