《税理士のための》登記情報分析術 【第4回】「権利部「甲区」の見方」
不動産に関する登記記録の権利部は、「甲区」と「乙区」から構成され、「甲区」には主に所有権に関する事項が登記される。「甲区」を見れば、不動産の所有者が誰か分かるようになっている。多くの登記記録は、誰が所有者であるか明確であるが、なかには所有者の特定が難しいものもある。本稿では、「甲区」の見方の基本的ルールや、分析のポイントについて解説を行う。
税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第45回】「鑑定評価書には表立って登場しない「不動産の価格に関する諸原則」」
不動産鑑定評価基準(以下、単に「基準」と呼ぶ場合はこの基準を指します)には、「不動産の価格に関する諸原則」という独立した1つの章が設けられています(総論第4章)。
「不動産の価格に関する諸原則」は、基準の根底にあって鑑定評価の理論的基礎をなすものであり、不動産鑑定士が単なる経験的感覚のみによって鑑定評価額を導き出すことのないよう合理的な指針を定めたものです。この原則自体、鑑定評価書には表立って登場しませんが、決して机上の空論ではなく、現実に発生する不動産の価格現象を分析する上で重要な拠り所となっています。
今回は、「不動産の価格に関する諸原則」とはどのようなものであるかにつき、全体的なイメージを捉えた上で、特に鑑定実務に直接かかわりの深いいくつかの原則を掲げて鑑定評価書を読む際の手助けとしたいと思います。
電子書類の法律実務Q&A 【第11回】「所在不明の従業員を電子メールで解雇できるか」
当社の従業員が、重大な不正行為を行っていたことが判明しました。当該従業員は、この不正行為が判明した後、1ヶ月にわたり無断欠勤しており、連絡を取ることができない状態です。自宅として会社に申請された場所に行ってみたのですが、人が住んでいる様子はありません。
当社としては、重大な不正行為及び無断欠勤を理由に懲戒解雇をしようと考えています。所在不明者に対して、電子メールでの解雇は認められるのでしょうか。解雇を検討するに際して、留意すべきことを教えてください。
空き家をめぐる法律問題 【事例53】「空き室の区分所有者等を対象とした協力金を規約に定める際の留意点」
私の居住するマンションでは相続等を理由に空き室が増えてきています。一方で、管理組合の役員は、事実上、居住する区分所有者が担当せざるを得ないため負担となっています。管理組合では、居住していないことやその他の理由で役員就任を辞退する区分所有者に対して、役員への協力金の支払いを設定する規約変更をしたいと考えています。規約変更にあたってどのようなことに留意すればよいですか。
《税理士のための》登記情報分析術 【第3回】「分筆、合筆登記の基本と活用」
土地は、登記制度において「筆」(ひつ、ふで)という単位でカウントされる。一見すると、1つの土地に見えても、登記としては複数の筆に分かれているということがある。
税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第44回】「鑑定評価と相続税評価及び固定資産税評価」~それぞれの関係~
昨今、相続税との関係でも不動産の時価がしばしば問題とされますが、ご承知のように一概に時価といっても様々な捉え方があります。税理士の方々にとっては、実務との関係では相続税評価額(相続税の路線価)が比較的馴染みがあるものと思われますが、ケースによっては不動産鑑定士の作成した鑑定評価書に目を通す機会もあることでしょう。また、固定資産税評価額(固定資産税の路線価)も時価の目安を推し測る1つの資料として活用されています。さらに、国土交通省から毎年1回(3月下旬頃)発表される公示価格は、鑑定評価において価格を決定する際にバランスを図ったり、相続税評価額や固定資産税評価額の決定の基となる基礎資料として活用されたりしています。
そこで、今回は、公示価格との関係も踏まえた上で、鑑定評価と相続税評価及び固定資産税評価の特徴について述べていきます。
電子書類の法律実務Q&A 【第10回】「勤務中の私的メールを理由に解雇できるか」
当社従業員が、就業時間中に多数の私的メールをしていたことが判明しました。送受信されたメールの量も多いので、当社としては、この従業員を解雇することを検討しています。解雇を検討するに際して、留意すべきことを教えてください。
空き家をめぐる法律問題 【事例52】「区分所有建物における共同利益違反行為とその解消策」
区分所有建物であるマンションの1室は空き家となっており、ベランダや居室内にごみがあふれ苦情が出ています。また、敷地内の駐車場には、使用細則に反して当該空き家の区分所有者のものと思われる車検切れの自動車が放置されています。
管理組合から空き家の区分所有者に対して改善を申し入れましたが、応じてもらえません。そこで、管理組合では、法的手続を講じるとともに、使用細則に駐車場の不正使用を理由に違約金を発生させる条項を定めることも検討しています。この場合、どのような点に留意して対応すればよいでしょうか。
《税理士のための》登記情報分析術 【第2回】「表示登記について」
「表示登記」とは、登記記録のうち土地や建物の所在地や種類、大きさなどを表す「表題部」に関する登記である。表示登記が必要になるのは主に以下のようなケースである。
税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第43回】「「借地権はあっても借地権の価格はない」ケース」
本連載の【第3回】では、借地権の価格を評価するに当たっては、相続税の路線価図に記載された当該地域の借地権割合を更地価格に乗じて求める方法が必ずといってよいほど活用されていること、しかし、不動産鑑定士が適用している手法はこれだけに限らないことを述べました。その詳細は【第3回】を参照していただくこととし、今回は、借地権の評価の本質にかかる内容で、筆者が最近、税理士の方から受けた質問を格好の素材とし、借地権の価格を評価するに当たっては、すべてのケースで「更地価格 × 借地権割合 = 借地権価格」という算式を安易に適用してはならないことを述べておきます。