公開日: 2013/09/12 (掲載号:No.35)
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貸倒損失における税務上の取扱い 【第1回】「近年における税制改正の概要」

筆者: 佐藤 信祐

貸倒損失における税務上の取扱い

【第1回】

「近年における税制改正の概要」

 

公認会計士 佐藤 信祐

 

平成23年度税制改正により、貸倒引当金制度は、銀行、保険会社その他これらに類する法人及び中小法人等に限定され、それ以外の法人は4年間の激変緩和措置を設けて廃止されることになった。

そのため、これらの業種に該当しない大法人においては、不良債権を貸倒損失として実現させる重要性が高まってきたと考えられる。

本稿では、近年における貸倒損失、貸倒引当金に係る税制改正の概要について解説を行う。

 

1 平成10年度税制改正

法人税法の抜本改正が行われたと言われているのが、平成10年度税制改正である。

平成10年度税制改正により、引当金制度が大幅に見直され、貸倒引当金の制度についても、

債権償却特別勘定を貸倒引当金制度に含めることとし、貸倒引当金の繰入限度額は、期末貸金を個別に評価する貸金(その一部につき回収が不能となった債権に限る。)と一括して評価するその他の貸金とに区分し、個別に評価する貸金については現行の債権償却特別勘定の繰入基準に相当する基準で回収不能見込額を計算し、一括して評価する貸金については過去3年間の貸倒実績率を乗じて貸倒見込額を計算し、両者を合計した金額による。(『平成10年度税制改正の要綱』より)

とされた。

このように、貸倒引当金の繰入限度額の計算が、個別評価金銭債権と一括評価金銭債権とに区分して計算する方式に改められた。

さらに、中小法人等を除き、一括評価金銭債権に対する貸倒引当金については、法定繰入率が廃止され、実績繰入率により貸倒引当金の計算を行うことになった。

 

2 平成12年度通達改正

平成12年6月28日に、法人税基本通達が改正され、法人税基本通達11-2-1の2(平成14年度の法人税基本通達の改正により、法人税基本通達11-2-2に変更)として、貸倒損失として計上したものについて、その後の自己監査や税務調査により否認された場合であっても、個別評価金銭債権に対する貸倒引当金の要件を満たしているのであれば、「個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書」を提出することにより、貸倒引当金の計上を認めることが明らかにされた。

しかしながら、平成23年度税制改正により、そもそも貸倒引当金制度は、銀行、保険会社その他これらに類する法人及び中小法人等に限定されてしまったため、それ以外の法人においては、意味のある制度ではなくなってしまった。

 

3 平成13年度税制改正

平成13年度税制改正により、組織再編税制が導入され、貸倒引当金の制度についても、期中損金経理の制度や、貸倒実績率の引継ぎ等が定められた。

また、平成13年度税制改正により、

個別評価金銭債権に係る貸倒引当金と一括評価金銭債権に係る貸倒引当金とを区分し、個別評価金銭債権に係る貸倒引当金については、その個別評価金銭債権に係る債務者ごとの繰入限度額に基づき損金算入額を計算する。(『平成13年度税制改正の要綱』より)

こととされた。

さらに、平成13年度税制改正前は、貸倒引当金の繰入限度額は、個別評価金銭債権に係る繰入限度額と一括評価金銭債権に係る繰入限度額の合計額とされていたため、個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入額に繰入限度超過額がある一方で、一括評価金銭債権に貸倒引当金の繰入額が繰入限度額に達していないような場合には、その通算が可能であったが、平成13年度税制改正により、個別評価金銭債権に係る繰入限度額と一括評価金銭債権に係る繰入限度額とをそれぞれ別に計算することとされたため、このような通算は認められなくなり、平成15年2月28日に改正された法人税基本通達11-2-1の2において、そのことが明らかにされている。

 

4 平成14年度税制改正

平成14年度税制改正により、連結納税制度が導入され、連結納税制度下においては、連結完全支配関係のある他の法人に対する金銭債権については、貸倒引当金を設定することが認められなくなった。

 

5 平成21年度税制改正

平成21年度税制改正により、企業再生税制が見直され、法的整理、私的整理における資産の評価損益を計上する対象資産として金銭債権が含められることになった。

それ以前においては、金銭債権に係る評価損益の計上は認められていなかったため、貸倒損失又は貸倒引当金の要件を満たさない限り、含み損部分について、損金の額に算入することは認められていなかった。

そのため、金銭債権に係る評価損益の計上が認められるようになったことについては、法的整理、私的整理という極めて限定された場面のみであるが、金銭債権における法人税法上の取扱いを大きく変更するものといえる。

なお、資産の評価損と貸倒損失は理論上も本質的な差異があることから、租税法の分析においても、両者は異なる検討をすべきであることはいうまでもない。この議論については、貸倒損失について、部分貸倒れを容認すべきか否かという議論にも繋がってくる点であるため、本連載において、いずれその点についても触れる予定である。

 

6 平成22年度税制改正

平成22年度税制改正により、グループ法人税制が導入された。その結果、資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上の法人又は相互会社等の100%子法人については、中小法人等の特例が適用されないことになった。

さらに、平成23年度税制改正により、中小法人等の特例の適用除外の範囲が、100%グループ内の複数の大法人に発行済株式の全部を保有されている法人にも拡充された。

 

7 平成23年度税制改正

平成23年度税制改正により、貸倒引当金制度は、銀行、保険会社その他これらに類する法人及び中小法人等に限定され、それ以外の法人は4年間の激変緩和措置を設けて廃止されることになった。

 

8 総括

このように、平成10年度税制改正から平成23年度税制改正までの流れについては、貸倒引当金の制度を大幅に見直すものであったといえる。

しかしながら、最終的に、銀行、保険会社その他これらに類する法人及び中小法人等を除いては、貸倒引当金が廃止されることになったということは、それ以外の法人については、不良債権を貸倒損失として実現させる重要性が高まってきていると考えることもできる。

一般論ではあるが、上記の業種を除く大法人においては、主要取引先、子会社、関連会社を除き、多額の不良債権が生じる可能性は少なく、子会社、関連会社に対する金銭債権についても、平成23年度税制改正前においても、貸倒引当金の計上が容認されにくかったということを考えると、平成23年度税制改正により大きな影響を受けるのは、外部取引先に対する金銭債権が不良債権化したケースであると考えられる。

また、アベノミクスの影響により、少しずつ景気が回復しているという考え方もあるが、日本経済、世界経済の動向は不透明であり、今後、産業構造の変化により、外部取引先や子会社、関連会社に対する不良債権が増えてくる可能性は否めない。

本連載においては、そのような状況を鑑み、貸倒損失についての税務上の取扱いについて理論的に分析した上で、実務上、どのように対応すべきなのかという点を模索していく予定である。

(了)

「貸倒損失における税務上の取扱い」は、毎月第2週・4週に掲載します。

貸倒損失における税務上の取扱い

【第1回】

「近年における税制改正の概要」

 

公認会計士 佐藤 信祐

 

平成23年度税制改正により、貸倒引当金制度は、銀行、保険会社その他これらに類する法人及び中小法人等に限定され、それ以外の法人は4年間の激変緩和措置を設けて廃止されることになった。

そのため、これらの業種に該当しない大法人においては、不良債権を貸倒損失として実現させる重要性が高まってきたと考えられる。

本稿では、近年における貸倒損失、貸倒引当金に係る税制改正の概要について解説を行う。

 

1 平成10年度税制改正

法人税法の抜本改正が行われたと言われているのが、平成10年度税制改正である。

平成10年度税制改正により、引当金制度が大幅に見直され、貸倒引当金の制度についても、

債権償却特別勘定を貸倒引当金制度に含めることとし、貸倒引当金の繰入限度額は、期末貸金を個別に評価する貸金(その一部につき回収が不能となった債権に限る。)と一括して評価するその他の貸金とに区分し、個別に評価する貸金については現行の債権償却特別勘定の繰入基準に相当する基準で回収不能見込額を計算し、一括して評価する貸金については過去3年間の貸倒実績率を乗じて貸倒見込額を計算し、両者を合計した金額による。(『平成10年度税制改正の要綱』より)

とされた。

このように、貸倒引当金の繰入限度額の計算が、個別評価金銭債権と一括評価金銭債権とに区分して計算する方式に改められた。

さらに、中小法人等を除き、一括評価金銭債権に対する貸倒引当金については、法定繰入率が廃止され、実績繰入率により貸倒引当金の計算を行うことになった。

 

2 平成12年度通達改正

平成12年6月28日に、法人税基本通達が改正され、法人税基本通達11-2-1の2(平成14年度の法人税基本通達の改正により、法人税基本通達11-2-2に変更)として、貸倒損失として計上したものについて、その後の自己監査や税務調査により否認された場合であっても、個別評価金銭債権に対する貸倒引当金の要件を満たしているのであれば、「個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の損金算入に関する明細書」を提出することにより、貸倒引当金の計上を認めることが明らかにされた。

しかしながら、平成23年度税制改正により、そもそも貸倒引当金制度は、銀行、保険会社その他これらに類する法人及び中小法人等に限定されてしまったため、それ以外の法人においては、意味のある制度ではなくなってしまった。

 

3 平成13年度税制改正

平成13年度税制改正により、組織再編税制が導入され、貸倒引当金の制度についても、期中損金経理の制度や、貸倒実績率の引継ぎ等が定められた。

また、平成13年度税制改正により、

個別評価金銭債権に係る貸倒引当金と一括評価金銭債権に係る貸倒引当金とを区分し、個別評価金銭債権に係る貸倒引当金については、その個別評価金銭債権に係る債務者ごとの繰入限度額に基づき損金算入額を計算する。(『平成13年度税制改正の要綱』より)

こととされた。

さらに、平成13年度税制改正前は、貸倒引当金の繰入限度額は、個別評価金銭債権に係る繰入限度額と一括評価金銭債権に係る繰入限度額の合計額とされていたため、個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の繰入額に繰入限度超過額がある一方で、一括評価金銭債権に貸倒引当金の繰入額が繰入限度額に達していないような場合には、その通算が可能であったが、平成13年度税制改正により、個別評価金銭債権に係る繰入限度額と一括評価金銭債権に係る繰入限度額とをそれぞれ別に計算することとされたため、このような通算は認められなくなり、平成15年2月28日に改正された法人税基本通達11-2-1の2において、そのことが明らかにされている。

 

4 平成14年度税制改正

平成14年度税制改正により、連結納税制度が導入され、連結納税制度下においては、連結完全支配関係のある他の法人に対する金銭債権については、貸倒引当金を設定することが認められなくなった。

 

5 平成21年度税制改正

平成21年度税制改正により、企業再生税制が見直され、法的整理、私的整理における資産の評価損益を計上する対象資産として金銭債権が含められることになった。

それ以前においては、金銭債権に係る評価損益の計上は認められていなかったため、貸倒損失又は貸倒引当金の要件を満たさない限り、含み損部分について、損金の額に算入することは認められていなかった。

そのため、金銭債権に係る評価損益の計上が認められるようになったことについては、法的整理、私的整理という極めて限定された場面のみであるが、金銭債権における法人税法上の取扱いを大きく変更するものといえる。

なお、資産の評価損と貸倒損失は理論上も本質的な差異があることから、租税法の分析においても、両者は異なる検討をすべきであることはいうまでもない。この議論については、貸倒損失について、部分貸倒れを容認すべきか否かという議論にも繋がってくる点であるため、本連載において、いずれその点についても触れる予定である。

 

6 平成22年度税制改正

平成22年度税制改正により、グループ法人税制が導入された。その結果、資本金の額若しくは出資金の額が5億円以上の法人又は相互会社等の100%子法人については、中小法人等の特例が適用されないことになった。

さらに、平成23年度税制改正により、中小法人等の特例の適用除外の範囲が、100%グループ内の複数の大法人に発行済株式の全部を保有されている法人にも拡充された。

 

7 平成23年度税制改正

平成23年度税制改正により、貸倒引当金制度は、銀行、保険会社その他これらに類する法人及び中小法人等に限定され、それ以外の法人は4年間の激変緩和措置を設けて廃止されることになった。

 

8 総括

このように、平成10年度税制改正から平成23年度税制改正までの流れについては、貸倒引当金の制度を大幅に見直すものであったといえる。

しかしながら、最終的に、銀行、保険会社その他これらに類する法人及び中小法人等を除いては、貸倒引当金が廃止されることになったということは、それ以外の法人については、不良債権を貸倒損失として実現させる重要性が高まってきていると考えることもできる。

一般論ではあるが、上記の業種を除く大法人においては、主要取引先、子会社、関連会社を除き、多額の不良債権が生じる可能性は少なく、子会社、関連会社に対する金銭債権についても、平成23年度税制改正前においても、貸倒引当金の計上が容認されにくかったということを考えると、平成23年度税制改正により大きな影響を受けるのは、外部取引先に対する金銭債権が不良債権化したケースであると考えられる。

また、アベノミクスの影響により、少しずつ景気が回復しているという考え方もあるが、日本経済、世界経済の動向は不透明であり、今後、産業構造の変化により、外部取引先や子会社、関連会社に対する不良債権が増えてくる可能性は否めない。

本連載においては、そのような状況を鑑み、貸倒損失についての税務上の取扱いについて理論的に分析した上で、実務上、どのように対応すべきなのかという点を模索していく予定である。

(了)

 

「貸倒損失における税務上の取扱い」は、毎月第2週・4週に掲載します。

連載目次

「貸倒損失における税務上の取扱い」(全53回)

【第1回】 近年における税制改正の概要 ★無料公開中★

1 平成10年度税制改正

2 平成12年度通達改正

3 平成13年度税制改正

4 平成14年度税制改正

5 平成21年度税制改正

6 平成22年度税制改正

7 平成23年度税制改正

8 総括

【第2回】 各税法における貸倒損失の取扱い

1 法人税法

2 所得税法

(1) 貸倒損失に係る規定

(2) 譲渡所得の特例

3 消費税法

4 相続税法

5 総括

【第3回】 法人税法と法人税基本通達の体系

1 法人税基本通達の位置付け

2 貸倒損失

3 子会社支援損失

【第4回】 グループ法人税制と子会社支援税制との関連

1 グループ法人税制の概要

2 子会社支援税制との関連

3 寄附修正事由と住民税均等割、事業税資本割に与える影響

【第5回】 子会社支援のための無償取引①

1 法人税基本通達9-4-1

2 法人税基本通達9-4-2

3 法人税法22条の規定内容

【第6回】 子会社支援のための無償取引②

4 清水惣事件

(1) 第1審・大津地裁昭和47年12月13日判決

① 判決の概要

② 被告側の主張

③ 原告側の主張

④ 裁判所の判断

⑤ 総括

【第7回】 子会社支援のための無償取引③

(2) 控訴審・大阪高裁昭和53年3月30日判決

① 判決の概要

② 控訴人側の主張

③ 被控訴人側の主張

④ 裁判所の判断

⑤ 総括

【第8回】 子会社支援のための無償取引④

(3) 清水惣事件についての評釈

【第9回】 子会社支援のための無償取引⑤

5 低利貸付けに対する寄附金否認

(1) 第1審・鹿児島地裁平成13年10月1日判決

① 判決の概要

② 争点1(本件各貸付けが、法37条7項の「経済的な利益の供与」に当たり、適正利率により算定された利息額と受取利息との差額は、同条項の「寄付金」に該当するか)

(ⅰ) 被告側(鹿児島税務署長)の主張

(ⅱ) 原告側(納税者)の主張

③ 争点2(本件貸付けには、基本通達9-4-2の「相当の理由」があるか)

(ⅰ) 被告側(鹿児島税務署長)の主張

(ⅱ) 原告側(納税者)の主張

④ 裁判所の判断

(ⅰ) 争点1について

(ⅱ) 争点2について

⑤ 総括

【第10回】 子会社支援のための無償取引⑥

(2) 控訴審・福岡高裁宮崎支部平成14年10月29日判決

(3) 最高裁平成15年4月25日判決

(4) 本事件についての評釈

【第11回】 子会社支援のための無償取引⑦

6 平和事件

(1) 第1審・東京地裁平成9年4月25日判決

① 判決の概要

② 被告側(桐生税務署長)の主張

③ 原告側(納税者)の主張

④ 裁判所の判断

⑤ 総括

【第12回】 子会社支援のための無償取引⑧

(2) 控訴審・東京高裁平成11年5月31日判決

(3) 最高裁平成16年7月20日判決

(4) 本事件についての評釈

【第13回】 子会社支援のための無償取引⑨

7  子会社支援のための無償取引における法人税法上の取扱い

(1) 借方側の処理

① 法人税法第22条第2項の考え方

② 法人税法第22条第4項の考え方

【第14回】 子会社支援のための無償取引⑩

(2) 貸方側の処理

① 条文上の根拠

② 法人税基本通達9-4-1、9-4-2の位置付け

【第15回】 判例分析①

1 日本興業銀行事件

(1) 第1審・東京地裁平成13年3月2日判決

① 判決の概要

② 当事者の主張

【第16回】 判例分析②

③ 裁判所の判断

(ⅰ) 争点の整理

(ⅱ) 本件債権を全額回収不能と評価することの可否(争点1)

(ⅲ) 本件債権放棄と損金算入の当否(争点2)

(ⅳ) 総括

【第17回】 判例分析③

(2) 控訴審・東京高裁平成14年3月14日判決

【第18回】 判例分析④

(3) 最高裁・平成16年12月24日判決

【第19回】 判例分析⑤

(4) 評釈

① 法人税法22条の考え方について

(ⅰ) 法人税法22条3項

(ⅱ) 法人税法22条4項

【第20回】 判例分析⑥

② 法人税基本通達9-6-1(3)の検討

【第21回】 判例分析⑦

③ 法人税基本通達9-6-1(4)の検討

(ⅰ) 大阪地裁昭和33年7月31日判決

【第22回】 判例分析⑧

(ⅱ) 回収不能部分についてのみの債権放棄

【第23回】 判例分析⑨

(ⅲ) 日本興業銀行事件における法人税基本通達9-6-1(4)の検討

【第24回】 判例分析⑩

④ 法人税基本通達9-4-1の検討

【第25回】 判例分析⑪

⑤ 法人税基本通達9-6-2の検討

(ⅰ) 法人税基本通達9-6-2の規定内容

【第26回】 判例分析⑫

(ⅱ) 社会通念

(ⅲ) 日本興業銀行事件における法人税基本通達9-6-2の検討

【第27回】 判例分析⑬

2 相互タクシー事件

(1) 第1審・福井地裁平成13年1月17日判決

① 判決の概要

② 争点1(法人税法第37条に規定する寄附金についての判断)

(ⅰ) 被告側(大野税務署長)の主張

(ⅱ) 原告側(納税者)の主張

③ 争点2(法人税法第132条に規定する同族会社等の行為計算の否認についての判断)

(ⅰ) 被告側(大野税務署長)の主張

(ⅱ) 原告側(納税者)の主張

【第28回】 判例分析⑭

④ 裁判所の判断

⑤ 総括

【第29回】 判例分析⑮

(2) 控訴審・名古屋高裁金沢支部平成14年5月15日判決

(3) 最高裁平成14年10月15日判決

(4) 本事件についての評釈

① 概要

② 法人税基本通達9-4-2の適用

【第30回】 判例分析⑯

③ 債務免除益の認定可能性について

④ 総括

【第31回】 判例分析⑰

3 相続税における判例

(1) 第1審・浦和地裁昭和56年2月25日判決

① 判決の概要

② 原告側(納税者)の主張

③ 被告側(浦和税務署長)の主張

④ 裁判所の判断

⑤ 控訴審、上告審

⑥ 総括

【第32回】 法人税基本通達改正の歴史①

1 貸倒準備金制度の導入と貸倒引当金制度への移行

【第33回】 法人税基本通達改正の歴史②

2 昭和29年個別通達の導入

【第34回】 法人税基本通達改正の歴史③

3 昭和39年度法人税基本通達の改正

【第35回】 法人税基本通達改正の歴史④

4 昭和42年度法人税基本通達の改正

【第36回】 法人税基本通達改正の歴史⑤

5 公正処理基準の導入

【第37回】 法人税基本通達改正の歴史⑥

6 昭和55年改正前法人税法における部分貸倒れの議論

【第38回】 法人税基本通達改正の歴史⑦

7 昭和55年度法人税基本通達改正における子会社支援損失の取扱い

【第39回】 法人税基本通達改正の歴史⑧

8 昭和55年度法人税基本通達改正における貸倒損失の取扱い

【第40回】 法人税基本通達改正の歴史⑨

9 認定による債権償却特別勘定の設定に関する運用上の留意点について

【第41回】 法人税基本通達改正の歴史⑩

10 平成10年度法人税基本通達の改正

【第42回】 法人税基本通達改正の歴史⑪

11 平成12年度法人税基本通達の改正

12 不良債権処理についての文書回答事例

【第43回】 法人税基本通達改正の歴史⑫

13 デット・エクイティ・スワップ(DES)

14 まとめ

【第44回】 貸倒損失の法律論①

1 総論

2 法的に債権が消滅する場合

(1) 貸倒損失の確定とその具体例

【第45回】 貸倒損失の法律論②

(2) 法人税基本通達9-6-1と9-4-1、9-4-2との境界線

(3) 部分償却

【第46回】 貸倒損失の法律論③

3 実質的に回収不能である場合

(1) 基本的な取扱い

(2) 部分貸倒れの議論

① 貸倒損失についての会計処理

② 金子説とそれに対する反論

【第47回】 法人税基本通達9-6-1(1)の具体的内容

1 更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定

(1) 原則的な取扱い

(2) 停止条件又は解除条件付債権放棄

(3) 非更正債権の取扱い

(4) 更正手続中又は再生手続中の債権放棄

(5) ゴルフ経営会社の取扱い

【第48回】 法人税基本通達9-6-1(2)(3)の具体的内容

2 特別清算に係る協定の認可の決定

(1) 基本的な取扱い

(2) 第2会社方式における特別清算の活用

3 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定

【第49回】 法人税基本通達9-6-1(4)の具体的内容

4 書面による債権放棄

(1) 概要

(2) 債務超過状態の相当期間の継続

(3) 消滅時効が完成した債権

(4) 金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合

(5) 連帯保証人が存在する場合

(6) 損害賠償金に対する未収債権

【第50回】 法人税基本通達9-6-2の具体的内容

5 実質的に回収不能である場合

(1) 概要

(2) 担保物が未処分である場合

(3) 連帯保証人が存在する場合

(4) 法人債務者が事業を閉鎖していた場合

(5) 個人債務者が行方不明である場合

(6) 求償権に対する貸倒損失

【第51回】 法人税基本通達9-6-3の具体的内容

6 一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ

(1) 基本的な取扱い

(2) 災害における取引先に対する売掛金等の免除

【第52回】 法人税基本通達9-4-1の具体的内容

7 子会社整理損失

(1) 概要

(2) 子会社の解散における適用

(3) 子会社の売却における適用

【第53回】 その他の論点

8 子会社支援損失

9 計上されていない未収利息の債権放棄

10 債権譲渡と迂回債権放棄

11 結び

筆者紹介

佐藤 信祐

(さとう・しんすけ)

公認会計士・税理士、法学博士
公認会計士・税理士 佐藤信祐事務所 所長

平成11年 朝日監査法人(現有限責任あずさ監査法人)入所
平成13年 公認会計士登録、勝島敏明税理士事務所(現 デロイトトーマツ税理士法人)入所
平成17年 税理士登録、公認会計士・税理士佐藤信祐事務所開業
平成29年 慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了(法学博士)

【主な著書】
・『ケース別に分かる企業再生の税務』(共著、中央経済社)
・『企業買収・グループ内再編の税務─ストラクチャー選択の有利不利判定─』(共著、中央経済社)
・『組織再編税制 申告書・届出書作成と記載例』(共著、清文社)
・『制度別逐条解説 企業組織再編の税務』(共著、清文社)
・『組織再編における株主課税の実務Q&A』(共著、中央経済社)
・『組織再編における包括的租税回避防止規定の実務』(中央経済社)
・『債務超過会社における組織再編の会計・税務』(共著、中央経済社)
・『グループ法人税制における無対価取引の税務Q&A』(共著、中央経済社)
・『組織再編・グループ内取引における消費税の実務Q&A』(共著、中央経済社)
・『実務詳解 組織再編・資本等取引の税務Q&A』(共著、中央経済社)
・『これだけ!組織再編&事業承継税制』(共著、中央経済社)
・『無対価組織再編・資本等取引の税務』(中央経済社)
・『グループ法人税制・連結納税制度における組織再編成の税務詳解』(共著、清文社)
・『消費税 個別対応方式の実務 プラス 100Q&A』(共著、清文社)
・『組織再編による 事業承継対策』(共著、清文社)
・『組織再編の会計と税務の相違点と別表四・五(一)の申告調整』(共著、清文社)
・『中小企業のための組織再編・資本等取引の会計と税務』(共著、清文社)
・『条文と制度趣旨から理解する 合併・分割税制』(清文社)
・『事業承継M&Aの実務』(共著、清文社)
・『組織再編税制大全』(清文社)
・『新版 サクサクわかる! 超入門 中小企業再編の税務』(清文社)
・『サクサクわかる! 超入門 合併の税務』(清文社)
・『サクサクわかる!M&Aの税務』(清文社)
・『サクサクわかる!株主対策の税務』(清文社)
・『ドリル式 組織再編成の確定申告書 別表四・五(一)徹底攻略』(清文社)
・『不動産M&Aの税務』(日本法令)
・『みなし配当の税務』(日本法令)

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