貸倒損失における税務上の取扱い 【第20回】「判例分析⑥」
筆者:佐藤 信祐
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貸倒損失における税務上の取扱い
【第20回】
「判例分析⑥」
公認会計士 佐藤 信祐
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第19回目においては貸倒損失についての法人税法上の根拠を解説した。
第20回目以降においては、日本興業銀行事件に係る第1審判決において、被告及び原告のいずれとも論拠として主張している法人税基本通達9-6-1(3)(4)、9-6-2、9-4-1に当てはめを行う形でそれぞれ検討を行うこととする。
本稿においては、まずは、法人税基本通達9-6-1(3)について検討を行うこととする。
② 法人税基本通達9-6-1(3)の検討
法人税基本通達9-6-1(3)においては、法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定で次に掲げるものにより切り捨てられることとなった部分の金額について、その事実の発生した日の属する事業年度において貸倒れとして損金の額に算入することが明らかにされている。
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連載目次
「貸倒損失における税務上の取扱い」(全53回)
1 平成10年度税制改正
2 平成12年度通達改正
3 平成13年度税制改正
4 平成14年度税制改正
5 平成21年度税制改正
6 平成22年度税制改正
7 平成23年度税制改正
8 総括
1 法人税法
2 所得税法
(1) 貸倒損失に係る規定
(2) 譲渡所得の特例
3 消費税法
4 相続税法
5 総括
1 法人税基本通達の位置付け
2 貸倒損失
3 子会社支援損失
1 グループ法人税制の概要
2 子会社支援税制との関連
3 寄附修正事由と住民税均等割、事業税資本割に与える影響
1 法人税基本通達9-4-1
2 法人税基本通達9-4-2
3 法人税法22条の規定内容
4 清水惣事件
(1) 第1審・大津地裁昭和47年12月13日判決
① 判決の概要
② 被告側の主張
③ 原告側の主張
④ 裁判所の判断
⑤ 総括
(2) 控訴審・大阪高裁昭和53年3月30日判決
① 判決の概要
② 控訴人側の主張
③ 被控訴人側の主張
④ 裁判所の判断
⑤ 総括
(3) 清水惣事件についての評釈
5 低利貸付けに対する寄附金否認
(1) 第1審・鹿児島地裁平成13年10月1日判決
① 判決の概要
② 争点1(本件各貸付けが、法37条7項の「経済的な利益の供与」に当たり、適正利率により算定された利息額と受取利息との差額は、同条項の「寄付金」に該当するか)
(ⅰ) 被告側(鹿児島税務署長)の主張
(ⅱ) 原告側(納税者)の主張
③ 争点2(本件貸付けには、基本通達9-4-2の「相当の理由」があるか)
(ⅰ) 被告側(鹿児島税務署長)の主張
(ⅱ) 原告側(納税者)の主張
④ 裁判所の判断
(ⅰ) 争点1について
(ⅱ) 争点2について
⑤ 総括
(2) 控訴審・福岡高裁宮崎支部平成14年10月29日判決
(3) 最高裁平成15年4月25日判決
(4) 本事件についての評釈
6 平和事件
(1) 第1審・東京地裁平成9年4月25日判決
① 判決の概要
② 被告側(桐生税務署長)の主張
③ 原告側(納税者)の主張
④ 裁判所の判断
⑤ 総括
(2) 控訴審・東京高裁平成11年5月31日判決
(3) 最高裁平成16年7月20日判決
(4) 本事件についての評釈
7 子会社支援のための無償取引における法人税法上の取扱い
(1) 借方側の処理
① 法人税法第22条第2項の考え方
② 法人税法第22条第4項の考え方
(2) 貸方側の処理
① 条文上の根拠
② 法人税基本通達9-4-1、9-4-2の位置付け
1 日本興業銀行事件
(1) 第1審・東京地裁平成13年3月2日判決
① 判決の概要
② 当事者の主張
③ 裁判所の判断
(ⅰ) 争点の整理
(ⅱ) 本件債権を全額回収不能と評価することの可否(争点1)
(ⅲ) 本件債権放棄と損金算入の当否(争点2)
(ⅳ) 総括
(2) 控訴審・東京高裁平成14年3月14日判決
(3) 最高裁・平成16年12月24日判決
(4) 評釈
① 法人税法22条の考え方について
(ⅰ) 法人税法22条3項
(ⅱ) 法人税法22条4項
② 法人税基本通達9-6-1(3)の検討
③ 法人税基本通達9-6-1(4)の検討
(ⅰ) 大阪地裁昭和33年7月31日判決
(ⅱ) 回収不能部分についてのみの債権放棄
(ⅲ) 日本興業銀行事件における法人税基本通達9-6-1(4)の検討
④ 法人税基本通達9-4-1の検討
⑤ 法人税基本通達9-6-2の検討
(ⅰ) 法人税基本通達9-6-2の規定内容
(ⅱ) 社会通念
(ⅲ) 日本興業銀行事件における法人税基本通達9-6-2の検討
2 相互タクシー事件
(1) 第1審・福井地裁平成13年1月17日判決
① 判決の概要
② 争点1(法人税法第37条に規定する寄附金についての判断)
(ⅰ) 被告側(大野税務署長)の主張
(ⅱ) 原告側(納税者)の主張
③ 争点2(法人税法第132条に規定する同族会社等の行為計算の否認についての判断)
(ⅰ) 被告側(大野税務署長)の主張
(ⅱ) 原告側(納税者)の主張
④ 裁判所の判断
⑤ 総括
(2) 控訴審・名古屋高裁金沢支部平成14年5月15日判決
(3) 最高裁平成14年10月15日判決
(4) 本事件についての評釈
① 概要
② 法人税基本通達9-4-2の適用
③ 債務免除益の認定可能性について
④ 総括
3 相続税における判例
(1) 第1審・浦和地裁昭和56年2月25日判決
① 判決の概要
② 原告側(納税者)の主張
③ 被告側(浦和税務署長)の主張
④ 裁判所の判断
⑤ 控訴審、上告審
⑥ 総括
1 貸倒準備金制度の導入と貸倒引当金制度への移行
2 昭和29年個別通達の導入
3 昭和39年度法人税基本通達の改正
4 昭和42年度法人税基本通達の改正
5 公正処理基準の導入
6 昭和55年改正前法人税法における部分貸倒れの議論
7 昭和55年度法人税基本通達改正における子会社支援損失の取扱い
8 昭和55年度法人税基本通達改正における貸倒損失の取扱い
9 認定による債権償却特別勘定の設定に関する運用上の留意点について
10 平成10年度法人税基本通達の改正
11 平成12年度法人税基本通達の改正
12 不良債権処理についての文書回答事例
13 デット・エクイティ・スワップ(DES)
14 まとめ
1 総論
2 法的に債権が消滅する場合
(1) 貸倒損失の確定とその具体例
(2) 法人税基本通達9-6-1と9-4-1、9-4-2との境界線
(3) 部分償却
3 実質的に回収不能である場合
(1) 基本的な取扱い
(2) 部分貸倒れの議論
① 貸倒損失についての会計処理
② 金子説とそれに対する反論
1 更生計画認可の決定又は再生計画認可の決定
(1) 原則的な取扱い
(2) 停止条件又は解除条件付債権放棄
(3) 非更正債権の取扱い
(4) 更正手続中又は再生手続中の債権放棄
(5) ゴルフ経営会社の取扱い
【第48回】 法人税基本通達9-6-1(2)(3)の具体的内容
2 特別清算に係る協定の認可の決定
(1) 基本的な取扱い
(2) 第2会社方式における特別清算の活用
3 法令の規定による整理手続によらない関係者の協議決定
4 書面による債権放棄
(1) 概要
(2) 債務超過状態の相当期間の継続
(3) 消滅時効が完成した債権
(4) 金銭債権の弁済を受けることができないと認められる場合
(5) 連帯保証人が存在する場合
(6) 損害賠償金に対する未収債権
5 実質的に回収不能である場合
(1) 概要
(2) 担保物が未処分である場合
(3) 連帯保証人が存在する場合
(4) 法人債務者が事業を閉鎖していた場合
(5) 個人債務者が行方不明である場合
(6) 求償権に対する貸倒損失
6 一定期間取引停止後弁済がない場合等の貸倒れ
(1) 基本的な取扱い
(2) 災害における取引先に対する売掛金等の免除
7 子会社整理損失
(1) 概要
(2) 子会社の解散における適用
(3) 子会社の売却における適用
8 子会社支援損失
9 計上されていない未収利息の債権放棄
10 債権譲渡と迂回債権放棄
11 結び
筆者紹介
佐藤 信祐
(さとう・しんすけ)
公認会計士・税理士、法学博士
公認会計士・税理士 佐藤信祐事務所 所長平成11年 朝日監査法人(現有限責任あずさ監査法人)入所
平成13年 公認会計士登録、勝島敏明税理士事務所(現 デロイトトーマツ税理士法人)入所
平成17年 税理士登録、公認会計士・税理士佐藤信祐事務所開業
平成29年 慶應義塾大学大学院法学研究科後期博士課程修了(法学博士)【主な著書】
・『ケース別に分かる企業再生の税務』(共著、中央経済社)
・『企業買収・グループ内再編の税務─ストラクチャー選択の有利不利判定─』(共著、中央経済社)
・『組織再編税制 申告書・届出書作成と記載例』(共著、清文社)
・『制度別逐条解説 企業組織再編の税務』(共著、清文社)
・『組織再編における株主課税の実務Q&A』(共著、中央経済社)
・『組織再編における包括的租税回避防止規定の実務』(中央経済社)
・『債務超過会社における組織再編の会計・税務』(共著、中央経済社)
・『グループ法人税制における無対価取引の税務Q&A』(共著、中央経済社)
・『組織再編・グループ内取引における消費税の実務Q&A』(共著、中央経済社)
・『実務詳解 組織再編・資本等取引の税務Q&A』(共著、中央経済社)
・『これだけ!組織再編&事業承継税制』(共著、中央経済社)
・『無対価組織再編・資本等取引の税務』(中央経済社)
・『グループ法人税制・連結納税制度における組織再編成の税務詳解』(共著、清文社)
・『消費税 個別対応方式の実務 プラス 100Q&A』(共著、清文社)
・『組織再編による 事業承継対策』(共著、清文社)
・『組織再編の会計と税務の相違点と別表四・五(一)の申告調整』(共著、清文社)
・『中小企業のための組織再編・資本等取引の会計と税務』(共著、清文社)
・『条文と制度趣旨から理解する 合併・分割税制』(清文社)
・『事業承継M&Aの実務』(共著、清文社)
・『新版 サクサクわかる! 超入門 中小企業再編の税務』(清文社)
・『サクサクわかる! 超入門 合併の税務』(清文社)
・『サクサクわかる!M&Aの税務』(清文社)
・『サクサクわかる!株主対策の税務』(清文社)
・『ドリル式 組織再編成の確定申告書 別表四・五(一)徹底攻略』(清文社)
・『不動産M&Aの税務』(日本法令)
・『みなし配当の税務』(日本法令)その他M&A、グループ内再編、事業再生及び事業承継に関する書籍多数。
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