〈あらためて確認しておきたい〉
『所得拡大促進税制』の誤りやすいポイント
【第1回】
「給与等の範囲」
~休業手当等の取扱い~
公認会計士・税理士 鯨岡 健太郎
1 はじめに
所得拡大促進税制(雇用者給与等支給額が増加した場合の法人税額の特別控除)は、平成26年度税制改正による適用要件の緩和を踏まえ、平成27年3月期決算申告においてより多くの企業に利用されることが期待されている。
そのような中、昨年11月21日には、プロフェッションネットワーク社主催のセミナー『【平成27年3月決算・申告対応】一日で徹底理解 所得拡大促進税制-適用判断と申告実務-』を開催し、多くの受講者にお越しいただいた。本税制に対する関心の高さを実感した次第である。
このセミナー時間中、多くの受講生から、今まさに実務で直面している疑問点に関する質問をお寄せいただき、またセミナー資料の作成を通じて筆者自身、改めて気づかされる点も多かった。
そこで本連載では、全3回にわたり、本税制の適用に当たって誤りやすいと思われるポイントを紹介することとしたい。
2 本連載で取り上げる論点
- 給与等の範囲(休業手当等の取扱い)
- 継続雇用者(「2期にわたり給与の支給を受ける者」の意義)
- 継続雇用者(雇用保険一般被保険者に該当するが加入していない場合)
- 継続雇用者(期の途中で役員となった者、役員を退任後引き続き嘱託社員として在籍することとなった者、継続雇用制度の適用を受けることとなった者、海外勤務となった者の取扱い)
- 経過措置(平均給与等支給額の概念について)
- 経過措置(平成26年3月期において法人税額が生じなかったため所得拡大促進税制を適用できなかった場合の取扱い)
- 経過措置(経過年度において連結納税に加入(離脱)した法人の取扱い)
- 質 問 -
(休業手当等の取扱い)
以下のそれぞれのケースで支給される「手当」は、所得拡大促進税制の適用対象となるか教えてください。
〈ケース1〉
業務上のケガにより休職している社員に対して支給される「休業手当」
〈ケース2〉
業績悪化に伴い自宅待機をさせた社員に対して支給される「休業手当」
〈ケース3〉
就業規則に定められている「産休・育休制度」を利用して休職している社員に対して支給される「休業手当」
〈ケース4〉
やむを得ない事情で従業員を解雇せざるを得ないこととなり、労働基準法の規定に従い支払われる「解雇予告手当」
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