他の者を介して
金銭の支出をした場合の
使途秘匿金課税
日本税制研究所研究員
朝長 明日香
企業の違法又は不当な支出を抑制するという目的の下、平成6年度税制改正において使途秘匿金課税制度が創設されたことは、周知のとおりである。
本稿では、法人が他の者を介して金銭の支出をした場合の使途秘匿金課税制度の適用関係について解説することとする。
金銭の支出が他の者を介して行われた場合には、その支出をした法人の帳簿書類には他の者の氏名等が記載されており、他方、他の者の帳簿書類にはその金銭を受け取った者の氏名等が記載されていないことが考えられる。
このようなケースにおいては、その金銭の支出が使途秘匿金の支出に該当するとされるのか否か、また、使途秘匿金の支出に該当するとされる場合には、いずれの者に対して追加課税がなされるのかといった疑問が生ずることとなる。
1 使途秘匿金課税制度の概要
法人が使途秘匿金の支出をした場合には、その法人の各事業年度の所得に対する法人税の額は、その使途秘匿金の額に40%を乗じた金額を加算した金額とされている(措法62①)。
この「使途秘匿金の支出」とは、法人がした金銭の支出(贈与、供与その他これらに類する目的のためにする金銭以外の資産の引渡しを含む)のうち、相当の理由がなく、相手方の氏名等をその法人の帳簿書類に記載していないものをいい、取引の対価としてされたことが明らかなものは除かれる(措法62②)。
相手方の氏名等を帳簿書類に記載しているのか否かの判定は、その事業年度終了の日に行うこととされており(措令38①)、その事業年度に係る確定申告の期限までに帳簿書類に記載されている場合には、その事業年度終了の日に記載があったものとみなされる(措令38②)。
使途秘匿金課税制度は、「使途秘匿金の支出」を課税標準として追加的に法人税を課すという税額の計算に関する仕組みであり、同制度の適用関係を考えるに当たっては、所得の金額の計算の場面と使途秘匿金課税制度による税額の計算の場面とを混同しないように注意しなければならない。
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