《税務必敗法》
【第10回】
「税務手続の情報提供を忘れた」
公認会計士・税理士 森 智幸
【事例】
X会計事務所の顧問先である3月決算の株式会社A社(資本金1,000万円)は消費税の納税義務者である。X会計事務所は、A社の申告を電子申告で行っている。一方、A社はダイレクト納付の申込みはしておらず、これまで納付は金融機関の窓口で行っている。
前々事業年度および前事業年度は、法人税等は地方税の均等割のみの納付で、消費税等は還付であった。そのため、A社の経理担当者は、この2年間、消費税の納付経験がなかった。
当事業年度は、法人税等は引き続き地方税の均等割のみの納付であったが、消費税は納付となった。X会計事務所は、5月第3週目にA社の法人税等および消費税等の確定申告書を電子申告により提出し、併せて納付一覧を送付して、5月末日までに納付するよう伝えた。
その後、5月第4週目に入り、A社の経理担当者から次のような電話があった。
「地方税の均等割は納付書が届いたので納付したが、まだ消費税の納付書が届いていない。どのような方法で納付すればよいのか。」
これに対して、X会計事務所の担当者は「2024年5月送付分からe-Taxで申告している法人には納付書は送付されなくなったため、税務署で納付書を入手して納付してほしい。」と回答した。
すると、A社の経理担当者からは「そのような重要な変更は、もっと早く説明してほしかった。」と不満を述べられた。
1 はじめに
本連載は、税務を行う上で「これをやったら失敗する」という必敗法を紹介するものである。今回は「税務手続の情報提供を忘れた」である。
ここ数年、国税庁からは行政コストの抑制や税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の観点から、税務手続の見直しが行われている。
例えば、一部納税者に対する納付書の事前送付の取りやめと、申告書等の控えへの収受日付印の押なつの廃止が挙げられる。
近年は、キャッシュレス納付や電子申告が普及しているものの、依然として納付書による納付や紙面による申告書等の提出を行っている納税者も多い。
そのため、このような納税者に対しては、税務手続の見直しに関する情報を提供する必要がある。また、納税者は1年経過すると忘れてしまう可能性があるので、この情報提供は毎年行うことがよいであろう。
さらに、納付書の事前送付の取りやめは、地方自治体にも拡大しているので、今後も注意が必要である。
そこで、今回は、会計事務所が税務手続の情報提供を毎年行う必要性について説明する。
なお、本稿は私見であることにご留意いただきたい。
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