《速報解説》
東京国税局、国庫補助金等の返還を要しないことが確定した年分後に固定資産等を取得等した場合の課税上の取扱いについて文書回答
税理士 菅野 真美
令和8年2月18日に東京国税局が文書回答した「国庫補助金等の返還を要しないことが確定した年分後に固定資産等を取得等した場合の課税上の取扱いについて」が、令和8年3月6日に国税庁のHPで公開された。今回はこの事前照会事例について解説し、申告上の留意点について確認する。
1 国庫補助金等の益金不算入の制度
居住者が固定資産の取得等に充てるために国等の補助金等の交付を受け、その国庫補助金等をもって交付の目的に適合した固定資産の取得等をした場合には、国庫補助金等のうち、その固定資産の取得等した部分の金額に相当する金額を総収入金額に算入しない。国庫補助金等に課税されると納税が生じ固定資産の取得資金不足となると、その交付目的の実現が難しくなるからと考える。
国庫補助金等の総収入金額不算入となるのは、次のいずれかの要件を満たす場合である。
① 居住者が固定資産の取得等に充てるための補助金等の交付を受けた場合で、その年の12月31日までに交付の目的に適合した固定資産の取得等をしたとき(所法42①)
(注) この補助金は交付を受けた年の12月31日までに返還を要しないことが確定していることが条件となる。
② 居住者が固定資産の取得等に充てるための補助金等の交付を受けたが、その年の12月31日までに返還を要しないことが確定していないとき(所法43①)
2 事前照会事例
今回の事前照会事例は、次のようなものである。
個人事業者が、幼稚園から幼稚園型認定こども園に移行するために補助金の交付を受け、園舎を建て替える工事を実施した。工事は令和6年度から令和7年度にかけて行い、工事完了は令和8年2月である。補助金は、工事の進行状況に応じて2回交付される。簡単に時系列で取引をまとめると次のようになる。

令和7年5月の補助金は、令和7年12月31日までに返還しないことが確定しているが、令和7年12月31日までに固定資産を取得していない。そのため、上記1の①及び②に該当しないことになるから令和7年5月に取得した国庫補助金を収入金額として認識しなければならないか。しかし、課税された場合は、税の分だけ固定資産の取得資金が不足することになるという問題点が生ずる。
3 当局の見解
交付を受けた年の12月31日までに固定資産を取得することができない場合であっても、国庫補助金等の交付時点で固定資産の取得が認められる限り、国庫補助金等の交付時点では課税関係を生じさせないことが制度趣旨に合致する。
したがって、補助金の額については、令和7年分の総収入金額に算入しない。この事前照会に関して、東京国税局は、照会に係る事実関係を前提とする限り、貴見のとおりで差し支えありませんと回答した。
4 申告上の留意点
令和7年分の確定申告書で総収入金額に算入しないためには、「国庫補助金等の総収入金額不算入明細書」に、固定資産の取得予定年月日や取得に要する金額の見込額等を記載して申告書に添付する必要がある。
令和8年分の所得金額の計算上も、必要事項を記載した「国庫補助金等の総収入金額不算入明細書」を確定申告書に添付して、令和7年、8年に受け取った補助金を総収入金額に算入しないことができる。ただし、固定資産の取得に要した金額から補助金の合計額を控除した金額に基づいて減価償却を計算しなければならない(所法42①、49①、所令90②一)。
(了)






















