国際課税レポート
【第12回】
「先行き不透明なデジタル国際課税
(利益A・デジタルサービス税)の動向」
税理士 岡 直樹
(公財)東京財団政策研究所主任研究員
1月公表「米国大統領令」のインパクト
先月の国際課税レポートでは、本年1月20日に大統領に返り咲いたトランプ氏が、就任して直ちに公表した国際課税についての前例のない大統領令を取り上げた。そこではOECDのグローバルタックスディールからの離脱と、財務長官に対し、外国による差別的・域外適用的な税制をリストアップし、かかる課税から米国の利益を守るための「保護的な措置」の選択肢とともに、大統領に報告することを命じている点について述べた。
これにより、残念ながら2021年10月のOECD/G20・BEPS包摂的枠組みによる「2つの柱」実施への試みは、停滞ないし将来不安に見舞われることとなった。
当面のヤマ場はスコット・ベッセント財務長官がトランプ大統領に報告する差別的・域外適用的な税制リストであり、特に、そこに日本の措置の名前があるかどうかだ。報告期限は60日後の3月22日だが、実際には4月2日になるという情報もある。この点については米国からの追加の情報発表を待つ必要がある。
それでは、第1の柱「利益A」多国間条約によって一定の解決がなされるはずだったデジタル企業の利益に対する課税(施設がなくても事業展開できる問題があった)と、欧州等で導入国が拡大し米国の隣国であるカナダも導入したデジタルサービス税(DST)の廃止は、今後どうなるのだろうか。
今回はこの点について、あらためて状況を整理してみたい。
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