公開日: 2025/06/12 (掲載号:No.622)
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国際課税レポート 【第15回】「2025年トランプ税制改革」~加速する「アメリカ回帰」~

筆者: 岡 直樹

国際課税レポート

【第15回】

「2025年トランプ税制改革」

~加速する「アメリカ回帰」~

 

税理士 岡 直樹
(公財)東京財団政策研究所主任研究員

 

減税・歳出削減パッケージ法案

2025年5月22日、米国下院は、第2次トランプ政権の優先課題の実現に向けた減税・歳出削減パッケージ法案を、賛成215、反対214のわずか1票の差で当初予定より早く可決した。

この法案は「One Big Beautiful Bill Act(大きく美しい1つの法案)」と呼ばれ、米議会予算局(CBO)によれば、今後10年間で歳出を1.25兆ドル削減する一方、歳入は3.67兆ドル減少すると見込まれている。その結果、差し引きで財政赤字は2.4兆ドル拡大し、米国の債務残高はGDP比で123.8%に達する見通しである。なお、CBOは2025年末時点の債務残高を29兆ドル、GDP比101.7%と推計している

法案は、7月4日の独立記念日までの成立を目指して上院で審議中である。最大の焦点は、法案による財政赤字の拡大に対する懸念だ。一方でCBOは、関税収入によって少なくとも2.8兆ドルの赤字削減が見込まれるとも試算している。トランプ政権及び議会共和党指導部は、関税収入によって予算パッケージによる財政赤字の拡大は相殺されると主張しており、赤字拡大の批判を回避しようと努めているようだ。

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「2025年トランプ税制改革」

~加速する「アメリカ回帰」~

 

税理士 岡 直樹
(公財)東京財団政策研究所主任研究員

 

減税・歳出削減パッケージ法案

2025年5月22日、米国下院は、第2次トランプ政権の優先課題の実現に向けた減税・歳出削減パッケージ法案を、賛成215、反対214のわずか1票の差で当初予定より早く可決した。

この法案は「One Big Beautiful Bill Act(大きく美しい1つの法案)」と呼ばれ、米議会予算局(CBO)によれば、今後10年間で歳出を1.25兆ドル削減する一方、歳入は3.67兆ドル減少すると見込まれている。その結果、差し引きで財政赤字は2.4兆ドル拡大し、米国の債務残高はGDP比で123.8%に達する見通しである。なお、CBOは2025年末時点の債務残高を29兆ドル、GDP比101.7%と推計している

法案は、7月4日の独立記念日までの成立を目指して上院で審議中である。最大の焦点は、法案による財政赤字の拡大に対する懸念だ。一方でCBOは、関税収入によって少なくとも2.8兆ドルの赤字削減が見込まれるとも試算している。トランプ政権及び議会共和党指導部は、関税収入によって予算パッケージによる財政赤字の拡大は相殺されると主張しており、赤字拡大の批判を回避しようと努めているようだ。

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連載目次

筆者紹介

岡 直樹

(おか・なおき)

税理士
東京財団政策研究所 主任研究員
国税庁国際課税分析官、税務大学校教授、主任国税訟務官(国際)。大法人、外国企業課税の経験を持つ。財務省主税局、OECD租税委員会事務局等に勤務。IFA(国際租税協会)、租税法学会、国際取引法学会会員。

【著作等】

・「タックスヘイブンとの闘いと国際租税法-新課税権とグローバルミニマム税-」財務総合政策研究所フィナンシャル・レビュー143号(2020)

・「英国のアーロンソン報告書とGAAR」財務総合政策研究所フィナンシャル・レビュー126号(2016)

・「日本の所得税負担の実態―高額所得者を中心に」財務総合政策研究所フィナンシャル・レビュー118号(2014)

・「高額所得申告者・大規模法人の行動と税務行政への示唆」(税大論叢60号)(2009)

・「移転価格税制における情報義務と独立企業間価格の証明方法に関する考察」(税大論叢59号)(2008) 第18回租税資料館賞受賞

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