国際課税レポート
【第15回】
「2025年トランプ税制改革」
~加速する「アメリカ回帰」~
税理士 岡 直樹
(公財)東京財団政策研究所主任研究員
減税・歳出削減パッケージ法案
2025年5月22日、米国下院は、第2次トランプ政権の優先課題の実現に向けた減税・歳出削減パッケージ法案を、賛成215、反対214のわずか1票の差で当初予定より早く可決した。
この法案は「One Big Beautiful Bill Act(大きく美しい1つの法案)」と呼ばれ、米議会予算局(CBO)によれば、今後10年間で歳出を1.25兆ドル削減する一方、歳入は3.67兆ドル減少すると見込まれている。その結果、差し引きで財政赤字は2.4兆ドル拡大し、米国の債務残高はGDP比で123.8%に達する見通しである。なお、CBOは2025年末時点の債務残高を29兆ドル、GDP比101.7%と推計している。
法案は、7月4日の独立記念日までの成立を目指して上院で審議中である。最大の焦点は、法案による財政赤字の拡大に対する懸念だ。一方でCBOは、関税収入によって少なくとも2.8兆ドルの赤字削減が見込まれるとも試算している。トランプ政権及び議会共和党指導部は、関税収入によって予算パッケージによる財政赤字の拡大は相殺されると主張しており、赤字拡大の批判を回避しようと努めているようだ。
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