メンタルヘルス不調と労災
【第5回】
(最終回)
「メンタル不調者を生まない環境づくり」
社会保険労務士 井下 英誉
はじめに
前回は、「複数の出来事又は出来事と恒常的な長時間労働を総合評価すると「強」になる場合」について、対象となり得る出来事と労務管理上のリスクについて触れた。
最終回である今回は、精神障害の労災を発生させないため、メンタル不調者を生まない環境づくりについて解説する。
1 産業医(指定医)の必要性
企業内においては、前回紹介した心理的負荷「中」程度の出来事(人事権や指揮命令権に伴う行為や対人関係に関する問題)が定期的に、または毎日のように発生していると考えられる。
もちろん、労災の認定要件に明示されているように、これらの出来事がいくら発生しても、労働者のストレス度合いが高いだけで精神障害を発病していなければ、労災申請に結びつくことはない。
しかし、現在の認定基準は、過去の判断指針等を被災者側に有利に、かつ、柔軟に改定されているため、労働基準監督署と主治医の認定事実が一致して、評価表の「強」に当たることが明らかな場合は、主治医の意見のみで認定の判断を行うことができるようになっている(過去の判断指針等では、精神科医の専門部会が全件協議することになっていた)。
これは、仮に主治医の意見に問題がある場合でも、そのまま主治医の意見が通ってしまう可能性があることを意味している。
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