〔業種別Q&A〕
労使間トラブル事例と会社対応
【第12回】
「従業員の中途採用・退職時の留意点」
〈情報通信業・IT〔Q1〕〉
弁護士法人 ロア・ユナイテッド法律事務所
パートナー弁護士 木原 康雄
〈情報通信業・ITの特徴と特有の労務問題〉
情報通信業・IT企業は、専門的知識・技能を有するITエンジニアに、クライアントの要求・要望に基づいてシステムの設計等の業務を遂行させることになる。また、フリーランスで活動している社外のITエンジニアに業務委託する場面も少なくないだろう。それらの場合、以下のような問題が生じ得る。
(1) 中途採用時・退職時の問題
各企業がAIの活用に向け取り組んでいることもあり、ITエンジニアは人手不足の状況である。このような売り手市場の状況では、ITエンジニアは専門的知識・技能を活かして、より有利な待遇を目指して転職することも多い。雇用の流動化が高まることで懸念されるのは、退職者による営業秘密等の競合企業への流出や、中途採用者の能力不足である。
(2) 長時間労働・残業代問題
様々なクライアントの要求・要望に速やかに応じなければならないITエンジニアは、長時間労働になりやすい。そこで問題となるのは、ITエンジニアの健康維持はもちろんだが、残業代(人件費)の増加である。
(3) メンタルヘルス不調者への対応問題
ITエンジニアが長時間労働となり、あるいはクライアントの厳しい要求に曝され続けることは、メンタルヘルス不調の原因となる。病状の悪化を防止し、重大な結果を招かないようにするため、少しでも早く不調に気づき、適時・適切な対応をとる必要がある。
(4) 偽装請負の問題
クライアントの要求に応じつつシステム設計等を行うITエンジニアは、客先常駐の場合も多い。この場合に懸念されるのは、クライアントがITエンジニアに直接指揮命令してしまい「偽装請負」と評価されることである。
(5) フリーランスへ委託する際の問題①―ハラスメント防止義務
令和6年11月1日から施行されているフリーランス法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)上、発注事業者にハラスメント防止対策に係る体制整備義務が課せられている。情報成果物の作成等を目的とするITエンジニアとの間の業務委託契約も同法の適用対象となるため、同法に則った体制整備を行う必要がある。
(6) フリーランスへ委託する際の問題②―労災保険給付・安全配慮義務
業務委託契約関係にあるITエンジニアは「労働者」ではないので、業務に伴って傷病を罹患しても労災保険給付の対象とはならず、また、発注事業者は安全配慮義務を負わないのが原則である。もっとも、例外的に給付の対象となり、あるいは安全配慮義務が生じる場合があるので、それを整理・理解しておく必要がある。
【Q】
SEは中途採用と転職者が多く、流動性が高いのですが、採用時・退職時に問題となる点を教えてください。この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員登録およびログインが必要です。
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