民法改正(中間試案)
─ここが気になる!─
【第6回】
「約款」
弁護士 中西 和幸
1 約款の意義と現行法
民法改正においては、約款の項を新たに設け、「多数の相手方との契約の締結を予定してあらかじめ準備される契約条項の総体であって、それらの契約の内容を画一的に定めることを目的として使用するものをいうものとする。」と定義している。
すなわち、本来、契約は当事者間での合意であり個々に内容が定まることが原則であるところ、多数の相手方と画一的に内容を定めた契約を締結し、個々の同意がなくともその内容について一律の変更等ができるという例外を認めた契約方法が「約款」である。
「約款」については、現行民法上は全く規定がない。しかし、公共交通機関における標準鉄道利用運送約款(鉄道事業法)、道路運送事業における約款(道路運送法)、電気通信事業者が作成する約款(電気通信事業法)、損害保険や生命保険における約款(保険業法)など、法令に根拠を持つものがある(法的拘束力が完全に生じるかどうかは別問題である)。
これを、民法上正面から認めるという提案が中間試案からなされているのである。
2 約款の効力と組入要件
(1) 約款に拘束力が生じる根拠
契約による合意が拘束力を生じるためには、当事者間の合意が必要である。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。