公開日: 2013/07/25 (掲載号:No.29)
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民法改正(中間試案)―ここが気になる!― 【第6回】「約款」

筆者: 中西 和幸

民法改正(中間試案)

─ここが気になる!─

【第6回】

「約款」

 

弁護士 中西 和幸

 

1 約款の意義と現行法

民法改正においては、約款の項を新たに設け、「多数の相手方との契約の締結を予定してあらかじめ準備される契約条項の総体であって、それらの契約の内容を画一的に定めることを目的として使用するものをいうものとする。」と定義している。

すなわち、本来、契約は当事者間での合意であり個々に内容が定まることが原則であるところ、多数の相手方と画一的に内容を定めた契約を締結し、個々の同意がなくともその内容について一律の変更等ができるという例外を認めた契約方法が「約款」である。

「約款」については、現行民法上は全く規定がない。しかし、公共交通機関における標準鉄道利用運送約款(鉄道事業法)、道路運送事業における約款(道路運送法)、電気通信事業者が作成する約款(電気通信事業法)、損害保険や生命保険における約款(保険業法)など、法令に根拠を持つものがある(法的拘束力が完全に生じるかどうかは別問題である)。

これを、民法上正面から認めるという提案が中間試案からなされているのである。

 

2 約款の効力と組入要件

(1) 約款に拘束力が生じる根拠
契約による合意が拘束力を生じるためには、当事者間の合意が必要である。

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─ここが気になる!─

【第6回】

「約款」

 

弁護士 中西 和幸

 

1 約款の意義と現行法

民法改正においては、約款の項を新たに設け、「多数の相手方との契約の締結を予定してあらかじめ準備される契約条項の総体であって、それらの契約の内容を画一的に定めることを目的として使用するものをいうものとする。」と定義している。

すなわち、本来、契約は当事者間での合意であり個々に内容が定まることが原則であるところ、多数の相手方と画一的に内容を定めた契約を締結し、個々の同意がなくともその内容について一律の変更等ができるという例外を認めた契約方法が「約款」である。

「約款」については、現行民法上は全く規定がない。しかし、公共交通機関における標準鉄道利用運送約款(鉄道事業法)、道路運送事業における約款(道路運送法)、電気通信事業者が作成する約款(電気通信事業法)、損害保険や生命保険における約款(保険業法)など、法令に根拠を持つものがある(法的拘束力が完全に生じるかどうかは別問題である)。

これを、民法上正面から認めるという提案が中間試案からなされているのである。

 

2 約款の効力と組入要件

(1) 約款に拘束力が生じる根拠
契約による合意が拘束力を生じるためには、当事者間の合意が必要である。

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連載目次

筆者紹介

中西 和幸

(なかにし・かずゆき)

弁護士
田辺総合法律事務所

・昭和61年3月 岡崎高等学校卒業
・平成4年3月 東京大学法学部卒業
・平成4年4月 住友海上火災保険株式会社に就職(平成5年3月まで)
・平成7年4月 弁護士登録(第一東京弁護士会会員となる)、田辺総合法律事務所入所
・平成19年4月 第一東京弁護士会総合法律研究所会社法研究部会部会長就任(平成23年4月まで)
・平成22年4月 CFE(Certified Fraud Examiner:公認不正検査士)資格取得
・平成24年4月 国分寺市オンブズパーソンに就任
・平成24年6月 オーデリック株式会社の社外(独立)監査役に就任

【著書等】
・『会社法関係法務省令逐条実務詳解 ─会社法施行規則・会社計算規則・電子公告規則』編集代表(清文社)
・『信託と倒産』共著(商事法務)
・『企業不祥事と対応【事例検証】』編共著(清文社)
・『〔新訂〕貸出管理回収手続双書 回収』共著(金融財政事情研究会)
・「振替株式に設定された質権と質権設定者の振替株式に対する差押え」共著『金融法務事情』No.1912
・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社)
・『【Q&A】大規模災害に備える企業法務の課題と実務対応』編集代表(清文社)
・『実践!営業秘密管理 企業秘密の漏えいを防止せよ!』編集代表(中央経済社)
・「平成24年株主総会の実務対応(6)株主総会までの準備と議事運営」『旬刊 商事法務』 No.1963
・『最新 役員報酬をめぐる法務・会計・税務』編集代表(清文社)
・「「社外取締役を置くことが相当でない理由」の説明内容と運用のあり方」共著『旬刊 商事法務』 No.1980 

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