民法改正(中間試案)
─ここが気になる!─
【第10回】
「民法総則」
弁護士 中西 和幸
連載の最後に、民法総則について解説する。
今回の民法改正が「債権法改正」といわれることがあるとおり、債権法が中心であり、民法総則については大きな改正は少ない。その改正の主なものは、「錯誤」と「時効」である。
1 錯誤
(1) 表示上の錯誤
① 要件の整理
まず、旧民法で錯誤の典型例とされている表示上の錯誤について規定されている。例えば、「Aを買う」と意思表示をするつもりが「Bを買う」と表示してしまったように、対象を誤って表示した場合が考えられる。
こうした場合の錯誤の要件について、中間試案では、民法95条においては「要素の錯誤」という、その錯誤がなかったならば表意者は意思表示をしなかったであろうと考えられ(主観的因果性)、かつ、通常人であってもその意思表示をしないであろうと認められる(客観的重要性)もののみが意思表示の効力に影響を与えるものと判例上の解釈が定着しているところ、この判例の論理を明文化して定義しているものである。
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