〔検証〕
適時開示からみた企業実態
【事例9】
株式会社王将フードサービス
「『第三者委員会調査報告書提言に対する当社取り組みについて』の
報告終了に関するお知らせ」
(2016.8.12)
事業創造大学院大学 准教授
鈴木 広樹
1 今回の適時開示
今回取り上げる適時開示は、株式会社王将フードサービス(以下「王将フードサービス」という)が平成28年8月12日に開示した「『第三者委員会調査報告書提言に対する当社取り組みについて』の報告終了に関するお知らせ」である。開示名だけでは、内容を推測するのは難しいかもしれない。今回の開示は、下表に示した一連の開示の最後に当たるものである。
- 【平成27年12月28日】
「当社におけるコーポレート・ガバナンスの評価・検証のための第三者委員会の設置について」
- 【平成28年1月5日】
「第三者委員会の委員選任に関するお知らせ」
- 【平成28年3月29日】
「第三者委員会からの調査報告書受領に関するお知らせ」
- 【平成28年3月29日】
「第三者委員会の調査報告書を受けて」
- 【平成28年3月30日】
「電子交換電話設備の保守委託契約の解除について」
- 【平成28年4月8日】
「第三者委員会調査報告書提言に対する取り組みについて」
- 【平成28年4月25日】
「「第三者委員会調査報告書提言に対する取り組みについて」の一部経過報告」
- 【平成28年5月6日】
「「第三者委員会調査報告書提言に対する取り組みについて」の一部経過報告【その2】」
- 【平成28年5月30日】
「「第三者委員会調査報告書提言に対する取り組みについて」の一部経過報告【その3】」
- 【平成28年7月27日】
「当社の賃借終了物件の敷金の返還について」
- 【平成28年7月27日】
「公益財団法人加藤朝雄国際奨学財団の移転について」
- 【平成28年8月12日】
「「第三者委員会調査報告書提言に対する取り組みについて」の報告終了について」
同社は、まず平成27年12月28日に、第三者委員会の設置を決定したとする「当社におけるコーポレート・ガバナンスの評価・検証のための第三者委員会の設置について」を開示した。なお、前日27日の取締役会で第三者委員会の設置を決定したとされているため、この開示は遅延開示である。
そして、平成28年3月29日、第三者委員会から調査報告書を受領し(「第三者委員会からの調査報告書受領に関するお知らせ」)、そこで示された改善提言に対する取り組みを決定し、平成28年4月8日、「第三者委員会調査報告書提言に対する取り組みについて」において、その内容を開示している。なお、改善提言に対する取り組みは、4月1日と5日の取締役会において決定したとされているため、この開示も遅延開示である。
その後、改善提言に対する取り組みの経過について開示していたのだが、今回の開示がその最後に当たるものというわけである。
2 第三者委員会の目的
平成27年12月28日開示の「当社におけるコーポレート・ガバナンスの評価・検証のための第三者委員会の設置について」では、第三者委員会の目的について次のように記載されている。第三者委員会は、粉飾決算の原因解明を目的として設置される場合がほとんどだが、この第三者委員会は、王将フードサービスと反社会的勢力の関係の有無の確認を目的として設置されたのである。
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