会社を成長させる「会計力」
【第2回】
「東京五輪とIFRS財団アジア・オセアニアオフィス」
―IFRS財団アジア・オセアニアオフィスの東京開設と期待―
島崎 憲明
《2020年夏季五輪の東京招致》
2013年9月8日は、日本にとって歴史的に記念する日となった。
早朝の起きがけにテレビのスイッチを入れた瞬間、ロゲIOC会長が五輪マーク入りの封筒を開け、「TOKYO 2020」と書いたカードを掲げながら「トーキョー」と読み上げる姿が目に飛び込んできた。
全くの偶然だが、歴史的瞬間に立ち会うことができた。
東京開催の決定は、前回の失敗を踏まえ政財界を挙げたオールジャパンでの招致活動が実を結んだものである。
五輪開催の経済的効果や国民のマインドが前向きになるという期待もあり、安倍首相はライバルのマドリッドやイスタンブールに競り勝って東京開催が決まった後、「15年続いたデフレ、縮み志向の経済を五輪開催決定を起爆剤として払拭していきたい」と語っている。
この五輪招致は「今後7年は続く成長戦略」、「アベノミクス第四の矢」と期待する報道もみられる。久々の明るい話題として喜びたい。
今月は「リスク・リターンとバランスシート・マネジメント」を予定していたが、これに代えて「IFRS財団アジア・オセアニアオフィスの東京開設と期待」について話を進めたい。
《IFRS財団アジア・オセアニアオフィス設置の必要性》
IFRS財団は2001年に設立され、ロンドンを拠点にグローバルな活動を行ってきた。
EUが2005年からIFRSを採用したこともあって、欧州中心の運営が長く続いている。アジア・オセアニアと北米にサテライトオフィスを設ける話はリーマンショック以前から検討されていたが、財団の財政上の問題もあって決定が棚上げになっていた。
ちょうど私が財団のトラスティに就任した2009年当時は、アジア各国ではIFRSとのコンバージェンスやアドプションが急速に進展しつつあり、我々の地域の、我々のためのオフィスが必要であるとの声が高まっていた。
サテライトオフィスの設置には日本の他に中国、香港、シンガポールが非公式に名乗りを上げ、招致合戦の火蓋がきられたのもこの頃で、中国、シンガポールは、まさに国を挙げての活動を展開しているとの話も聞こえていた。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。