ドアが開き、今夜一人目の客。
「いらっしゃい」顔を見て一声掛ける。スーツ姿のたぶん30代後半、新顔だ。
「ここ、いいですか」カウンターの壁側の端席を選んだ。音楽にあまりこだわらない人は大体ここになる。豆を入れた小皿を出し、荷物を置いたり上着を掛けたりを終えて席に落ち着いたころを見計らって注文を訊く。
「なんにしましょうか」
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