なぜ工事契約会計で不正が起こるのか?
~東芝事件から学ぶ原因と防止策~
【第2回】
「東芝「第三者委員会調査報告書」で示された不正内容」
公認会計士・税理士 中谷 敏久
Ⅰ 不正が行われやすいポイント
前回説明したとおり、工事契約に関しては、工事の進行途上においても、その進捗部分について成果の確実性が認められる場合には工事進行基準を適用する。そして、(1)工事収益総額、(2)工事原価総額、(3)決算日における工事進捗度の各要素が信頼性をもって見積もることができる場合に「成果の確実性」が認められるのであるが、この3要素のうち、(2)工事原価総額については、信頼性をもって見積もることが難しい。
なぜなら、工事原価総額は、工事契約に着手した後も様々な状況により変動することが多いため、信頼性をもって見積もるためには、当該工事契約に関する実行予算や工事原価等に関する管理体制の整備が求められるからである。したがって、成果の確実性は主に(2)工事原価総額の信頼性に左右されることになる。
このことから、工事進行基準における不正は、表面上は工事原価総額を適正に見積もっているとしながらも、実際は故意又は過失によって工事原価総額を過少に見積もることによって行われる。
東芝が公表した第三者委員会調査報告書(以下「報告書」)では、工事原価総額を過少に見積もることによって、
(1) 売上の過大計上
(2) 工事損失引当金の過少計上又は未計上
が発生すると述べられており、19の不正事例を指摘している。
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