今回は、鬼ヶ島(第一鬼ヶ島)のほかに、もう1つ別の鬼ヶ島(第二鬼ヶ島)があったという設定にしました。桃太郎たちは、当初の鬼退治に向かう途中で第二鬼ヶ島を発見し、急きょ計画を変更したようです。
イヌ・サル・キジは、桃太郎と鬼退治同行サービスの契約を結んでいます。その遂行途中で内容に変更が生じた場合、イヌ・サル・キジの収益認識処理に何か影響が出るでしょうか。
以下、収益認識会計基準に照らして考えていきましょう。

「きびだんごをいつあげるか」ということで、桃太郎のイヌの条件が折り合わないようですね。
桃太郎としては、鬼退治完了後にきびだんごをあげたいようです。これに対してイヌは、今すぐきびだんごが欲しいようです。
これでは契約が成立しません。さあ、困りました。

桃太郎がイヌとサルを連れて、鬼ヶ島に向けて歩いていると、キジがやってきました。
「桃太郎さん、お腰につけたきびだんごを、1つ私にくださいな。」
「いいとも。ぼくの家来になってお供をするなら、きびだんごをあげよう。
「ところで、どこまでお供するのですか。危ないところなら行きたくありません。」

実際の『桃太郎』には、ボス猿がいるという話はありませんが、ここではサルがボス猿の指示を受けて桃太郎のところにやってきたことにしてみました。
そこでは、サルが収益認識するにあたって検討すべきことがあります。
それは「収益の額をいくらにするか?」ということです。

契約時において、潜在的に負債に存在していた「鬼退治同行義務」は、キジが履行義務を果たしたことにより消滅します。同時に、潜在的に資産として存在していた「きびだんご受取権」は、履行義務の充足に伴って、きびだんごを確実に入手できる状態になり、貸借対照表上で営業未収金として顕在化します(便宜上、きびだんご1つを100円として貨幣額に換算しています)。

サービスというのは提供と同時に消費されるものですが、すでに見たように、鬼ヶ島同行サービスは最後まで提供されなければ、桃太郎に便益をもたらしません。桃太郎としても、最後までずっとついてくることを期待して、イヌ・サル・キジにきびだんごをあげています。したがって、宝物を無事に家まで送り届けたところで初めて、イヌは売上を計上します。

ここまで、収益認識基準等及び税務について解説した。収益認識基準等は各社で関係する論点が異なり、自社ではどこまで検討すればよいかということがわかりにくいと考えられる。そして、最初からここの論点は自社では関係ないとある論点については、全く検討しなくてよいと考えている読者もいるのではないだろうか。

桃太郎が、イヌ・サル・キジのサービスを一定期間にわたり享受していくのであれば、イヌ・サル・キジたちは、一定期間にわたり売上を計上していくことになります。これが、前回の最後に説明した履行義務充足の2パターンのうち、[パターン①]の方です。
ここで、「一定期間にわたり享受する」というのは、3つの要件のいずれかに当てはまる場合を指しています。以下、イヌを例として、順に見ていきましょう。

収益認識基準等へ対応した法人税法の改正は前回解説したとおりだが、消費税法は収益認識基準等に対応した改正が行われていない。
消費税の税額計算の基礎となる課税標準は、「課税資産の譲渡等の対価の額」である。例えば、1つの契約に履行義務Aと履行義務Bがある場合、取引価格1,000を独立販売価格に応じて履行義務A900、履行義務B100と配分したとする。そして、履行義務Aは当期に収益を認識したが、履行義務Bは翌期に収益を認識するため、当期は契約負債として計上している。

イヌ・サル・キジの最終目標は、桃太郎からきびだんごをひとつずつもらうことでした。それが取引の最初の段階で達成できてしまうのが『桃太郎』のお話です。
まず、販売取引の一般的なプロセスを確認しておきましょう。

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