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相続税・贈与税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

相続税の実務問答 【第99回】「更正の請求における小規模宅地等の選択の同意」

相続税の実務問答 【第99回】 「更正の請求における小規模宅地等の選択の同意」   税理士 梶野 研二   [答] お父様の遺産について、今年の8月10日に遺産分割協議が成立し、あなたが取得したN市のアパートの敷地について、小規模宅地等の特例を適用することとなったとのことです。この特例を適用するためには更正の請求を行うこととなりますが、この更正の請求は、遺産分割協議が成立した8月10日から4ヶ月以内、つまり12月10日までに行わなければなりません。あなたが小規模宅地等の特例を適用するためには、小規模宅地等の特例を適用することができるK市のアパートの敷地を取得したお兄様の同意を証する書類を更正の請求書に添付する必要があります。 そこで、あなたが取得したN市のアパートの敷地について小規模宅地等の特例を適用することについてお兄様に同意書を作成してもらう、又はその旨の合意書をあなたとお兄様の間で作成するなどして、これらの書類を更正の請求書に添付すればよいでしょう。 ● ● ● ● ● 説 明 ● ● ● ● ● 1 小規模宅地等の特例 (1) 租税特別措置法第69条の4第1項に規定する「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」(以下「小規模宅地等の特例」といいます)は、個人が相続や遺贈によって取得した財産で、その相続開始の直前において被相続人又は被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用又は居住の用に供されていた宅地等(土地又は土地の上に存する権利をいいます)のうち一定の要件を満たすものがある場合、その宅地等のうち一定の面積(以下「限度面積」といいます)までの部分で、相続人等(相続人及び受遺者をいいます)が選択したものについては相続税の課税価格に算入すべき価額の計算上、一定の割合を減額することができる特例制度です。 (2) 小規模宅地等の特例の対象となり得る宅地等を取得した相続人等が2人以上いる場合には、この小規模宅地等の特例の適用を受けようとする宅地等の選択についてその全員が同意している必要があります。この選択は、次に掲げる書類の全てを相続税の申告書に添付することにより行います(措令40の2⑤)。 相続税実務においては、相続人等の全員が共同で相続税の申告をすることを前提に、相続税の申告書の様式のうち「第11・11の2表の付表1 小規模宅地等についての課税価格の計算明細書」(2においてこの様式を「第11・11の2表の付表1」といいます)に所定の記載をすることにより上記の書類の添付要件を満たすものとされます(【第98回】「各相続人が単独で相続税の申告書を提出する場合の小規模宅地等の選択の同意」参照)。   2 申告期限分割されていない宅地等についての特例の適用 (1) 小規模宅地等の特例は、原則として相続税の申告書の提出期限までに相続人又は包括受遺者によって分割されている土地等について適用することができ、分割されていない宅地等については適用することができません(措法69の4④本文)。ただし、その分割されていない宅地等が、相続税の申告書の提出期限から3年以内(注)に分割された場合には、その分割された宅地等については、同特例を適用することができることとされています(措法69の4④ただし書き)。 (注) 相続税の申告書の提出期限から3年以内に宅地等が分割されなかったことについて、相続又は遺贈に関し訴えの提起がされたことその他の租税特別措置法施行令で定める一定のやむを得ない事情があることから、納税地の所轄税務署長の承認を受け、当該宅地等の分割ができることとなった日の翌日から4ヶ月以内に分割された場合には、その分割された宅地等について上記1の小規模宅地等の特例を適用することができることとされています(措法69の4④かっこ書き)。 (2) 遺産分割協議が成立したことなどにより取得が確定した相続財産の価額を基に相続税を計算し、又は遺産分割協議等により取得した宅地等について小規模宅地等の特例を適用することにより当初申告の相続税額が減少することとなる場合には、相続税の更正の請求をすることができます(相法32①一、措法69の4⑤)。小規模宅地等の特例を適用するための更正の請求書には、上記1の(2)に掲げた書類を添付しなければなりません。  この添付書類のうち、上記1の(2)の③については、更正の請求書に相続税の申告書の様式のうち「第11・11の2表の付表1」の所定欄に記載をしただけでは十分ではありません。すなわち、更正の請求は、相続税の申告のように相続人等が共同して行うことのできるものではなく、相続税の課税価格又は税額が減少することとなる相続人等がそれぞれ単独で行うものであることから「第11・11の2表の付表1」に小規模宅地等の特例の適用対象となり得る宅地等を取得した全ての相続人等の氏名を記載しただけでは、当該全ての相続人等が同意をしたことを証する書類とはならないからです。そこで、別途、小規模宅地等の特例の適用対象となり得る宅地等を取得した全ての相続人等による小規模宅地等の特例の選択についての同意を示す書類を作成し(注)、これを更正の請求書に添付する必要があります。 (注) 申告書への押印は不要となりましたが、「第11・11の2表の付表1」の様式を利用して、これに相続人等全員の氏名を記載の上、その全員が同意していることを明らかにするために押印してもらうことも考えられます。   3 ご質問の場合 お父様の遺産について、今年の8月10日に遺産分割協議が成立し、あなたが取得したN市のアパートの敷地は小規模宅地等の特例を適用することができる貸付事業用宅地等に該当し、この敷地に小規模宅地等の特例を適用することについてお兄様も同意されているとのことです。 遺産分割ができなかったことから法定相続分の割合で遺産を取得したものとして相続税の計算をしていた場合において、その後遺産分割が行われ、その結果、相続税の課税価格が法定相続分を基に計算したときよりも減少することとなったこと、あるいは小規模宅地等の特例を適用することにより当初の申告よりも相続税額が減少することとなったときには、更正の請求をすることができますが、この更正の請求は、遺産分割協議が成立した日から4ヶ月以内に行わなければなりません。あなたとお兄様の間の遺産分割協議が成立したのは今年の8月10日とのことですので、4ヶ月以内の日である今年の12月10日までに更正の請求を行う必要があります。 あなたが更正の請求によって小規模宅地等の特例を適用するためには、小規模宅地等の特例を適用することができるK市のアパートの敷地を取得したお兄様の同意を証する書類の添付が必要になります。そこで、あなたが取得したN市のアパートの敷地について小規模宅地等の特例を適用することについてお兄様に同意書を作成してもらう、又はその旨の合意書をあなたとお兄様の間で作成するなどして、これらの書類を更正の請求書に添付すればよいでしょう。 (了)
#586(掲載号)
#梶野 研二
2024/09/19
税務 税務・会計 解説 解説一覧

暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第51回】

暗号資産(トークン)・NFTをめぐる税務 【第51回】   東洋大学法学部准教授 泉 絢也   21 ビットコインETFと分離課税(その5):本信託のスキーム図と主な関係者 (1) スキーム図 〈本信託のスキーム図〉 ※画像をクリックすると別ページで拡大表示されます。 (2) 主な関係者 ア スポンサー(Sponsor) イ 受託者(Trustee) ウ 管理者(Administrator) エ 名義書換代理人(Transfer Agent) オ ビットコインカストディアン(Bitcoin Custodian) カ キャッシュカストディアン(Cash Custodian) キ 指定参加者(Authorized Participant) ク 持分所有者(Shareholder) ケ その他の関係者 上記のほか、次のような参加者が存在する。   (了)
#586(掲載号)
#泉 絢也
2024/09/19
国際課税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

〈一角塾〉図解で読み解く国際租税判例 【第54回】「シンガポール居住者該当性訴訟(地判令1.5.30、高判令1.11.27)(その1)」~旧所得税法2条1項5号、5条1項、2項、同法施行令14条1項2号~

〈一角塾〉 図解で読み解く国際租税判例 【第54回】 「シンガポール居住者該当性訴訟 (地判令1.5.30、高判令1.11.27)(その1)」 ~旧所得税法2条1項5号、5条1項、2項、同法施行令14条1項2号~   税理士 大野 道千     1 判例 (1) 当事者等 (2) 事実の概要 X(原告・被控訴人)は、所得税法(平成25年法律第5号による改正前のもの)2条1項5号の「非居住者」に該当するとの認識の下、平成21年分から平成24年分までの所得について日本では申告を行わず、シンガポールの居住者として同国で所得税の申告を行っていたところ、所轄税務署長から同項3号の「居住者」に該当するとして、期限後申告を勧奨されたため、期限後申告を行ったうえで平成23年及び平成24年分の所得税につき更正の請求をしたが認められず、本件各年分の所得税の無申告加算税に係る各賦課決定処分を受けたため、その取消しを求めた。 Xは経営する会社の海外展開を目指し、インドネシア、米国、シンガポール、中国に現地法人を設立し、これらの現地法人及び日本の内国法人2社の代表を務めていた。Xは、日本、米国及びシンガポールに居所を有し、平成21年から平成24年までの滞在日数合計は、日本が409日、米国が363日、シンガポールが300日であった。平成24年末時点のXの資産状況は、日本国内に約1億9,800万円、米国に約440万円、シンガポールに約1,780万円であった。原告Xと生計を一にする妻や二女は、日本居宅において居住を続けていた。 原審である東京地裁令和元年5月30日(金判1574号16頁)は、住所概念の解釈について、武富士事件最高裁判決(※1)を参照し、「『住所』とは、生活の本拠、すなわち、その者の生活に最も関係の深い一般的生活、全生活の中心を指すものであり、一定の場所がある者の住所であるか否かは、客観的に生活の本拠たる実態を具備しているか否かにより決すべきものと解するのが相当」であり、「客観的に生活の本拠たる実体を具備しているか否かは、滞在日数、住居、職業、生計を一にする配偶者その他の親族の居所、資産の所在等を総合的に考慮して判断するのが相当である」としてこれらの要素を検討した結果、Xの請求を認容した。これを不服として課税庁が控訴したのが当事案である。 (※1) 最高裁平成20年(行ヒ)第139号同23年2月18日第二小法廷判決・裁判集民事236号71頁参照。 (参考)各居住国における滞在日数 (3) 争点 Xの所得税法2条1項3号における居住者該当性(「国内住所」の有無)。 (4) 判旨 控訴棄却(確定)。 東京高裁は、Xの生活の本拠(住所)が日本にあったとはいえず、所得税法2条1項3号に定める「居住者」に該当するとは認められないとして控訴を棄却した。控訴審では一審判決(全部認容)を全部引用して控訴を棄却したため、以下、地裁・高裁の両判旨を引用する。 〈地裁判旨〉 ① 滞在日数及び住居 ② 職業 ③ 生計を一にする配偶者その他の親族の居所 ④ 資産の所在 ⑤ その他の事情 ⑥ まとめ 〈高裁判旨〉 ((その2)へ続く)
#586(掲載号)
#大野 道千
2024/09/19
会計 税務・会計 解説 解説一覧

〈経理部が知っておきたい〉炭素と会計の基礎知識 【第6回】「Scope3の算定のしくみ」

〈経理部が知っておきたい〉 炭素と会計の基礎知識 【第6回】 「Scope3の算定のしくみ」   公認会計士 石王丸 香菜子   〔PNパッケージ社の登場人物〕 *  *  * 温室効果ガスのサプライチェーン排出量は、排出源などに基づき、「Scope1」「Scope2」「Scope3」の3つに区分けされます。 Scope1は、燃料の使用や製品の製造などを通じて、自社が直接排出する温室効果ガスを指します(【第4回】参照)。Scope2は、他社から供給された電気・熱・蒸気を使うことで、自社が間接的に排出する温室効果ガスです(【第5回】参照)。 一方、Scope1・Scope2以外の間接排出は、Scope3に該当します。 *  *  * *  *  * Scope3はScope1やScope2とは異なり、企業活動の上流と下流におけるさまざまな間接排出を対象とします。このScope3を高い精度で算定しようとすると、情報を集めるための手間やコストが非常にかさむことが想定されます。 そのため、「Scope3を含むサプライチェーン排出量をなぜ算定するのか」というスタートラインを明確にしたうえで、費用対効果も考えて算定に取り組む必要があります。 *  *  * *  *  * 一方、サプライチェーン排出量の中で削減すべき箇所を特定して具体的に削減に取り組むことや、SBT(※1)認定を受けるためにデータを提出することなどを目的とするなら、より高い精度で排出量を算定する必要があります。 (※1) SBT(Science Based Targets)は、パリ協定が求める水準と整合した、企業が設定する温室効果ガス排出削減目標をいい、複数機関が共同でSBTイニシアチブを運営している。SBTに参加する企業は、SBTが定める基準を満たすように温室効果ガス排出量の削減目標を設定し、これが認められればSBT認定を受けることができる。SBTに参加する企業は年々増加しており、2024年3月1日時点で900社超の日本企業がSBT認定を受けている。 環境省「SBT(Science Based Targets)について」 高い精度でScope3排出量を算定するには、サプライチェーン上の関係先から排出量に関するデータを提供してもらう方法が考えられます。 *  *  * *  *  * そこで多くの場合、Scope3も、Scope1やScope2と同様に、次の基本式によって推計する方法が利用されます。 Scope3においては、この基本式に用いる「活動量」や「排出係数(排出原単位)」についてさまざまな選択肢があり、算定される排出量の精度も異なります。 *  *  * *  *  * 排出係数(排出原単位)には、産業連関表ベースのものと積み上げベースのものがあり、どのような排出原単位を用いるかは企業の判断に任されます。詳細は割愛しますが、産業連関表ベースの排出原単位は、入手が容易である一方で、精度としてはやや劣ります(※2)。一方、積み上げベースの排出原単位は、高精度であるものの、その入手に労力やコストがかかります(※3)。 (※2) 産業連関表ベースの排出原単位は、全ての財・サービスを網羅している(金額ベースの原単位と物量ベースの原単位がある)。ただし、あくまでも平均値であるため精度は高くない。環境省の公表する「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量等の算定のための排出原単位データベース」を利用できる。 (※3) 積み上げベースの排出原単位は、ライフサイクルの各段階で投入した資源・エネルギー(インプット)と排出物(アウトプット)を詳細に収集・集計しているため、高精度である。積み上げベースの排出原単位のデータベースとして、IDEA(Inventory Database for Environmental Analysis)などが利用できる。なお、IDEAは基本的には有償である。 【「金額ベースの活動量」と「産業連関表ベースの排出原単位」を用いて算定するケース】 (※4) 排出原単位は、環境省「サプライチェーンを通じた組織の温室効果ガス排出量等の算定のための排出原単位データベース」における産業連関表ベースの排出原単位を利用。 *  *  * *  *  * 企業によっては、外部に開示する温室効果ガス排出量等について第三者検証を受けていることもあります。その場合でも、特にScope3の算定過程には、性質上、各企業の判断や仮定が非常に多く含まれています。開示されているScope3のデータを見るときは、その点を認識しておく必要があるでしょう。 Scope3は、次の15のカテゴリに分けて算定する方法が採られます。 〈上流〉 〈下流〉 このように多くのカテゴリに分けるのは、間接排出を整理して網羅的に把握し、どのような箇所で温室効果ガスが排出されるのかを明らかにするためと解されます。 *  *  * ・・・翌日・・・ *  *  * *  *  * *  *  * (※5) 企業Aはトヨタ自動車株式会社、企業Bは味の素株式会社、企業Cは日本電信電話株式会社。いずれも各社開示データ(2022年分)より筆者集計。 *  *  * *  *  * 温室効果ガス排出量に関する情報には、企業が扱う製品・サービスの特徴や企業のビジネスモデルの一面が投影されます。特にScope3の情報には、サプライチェーン全体の特色の一部が表れており、財務情報とは異なる切り口で企業活動を知ることができます。 Scope3の算定に関しては、今回は割愛した細かい論点も多いものの、まずは大局的な視点を持つことが大切です。 *  *  * Q Scope3はどのように算定するの? A Scope3は、サプライチェーン排出量のうち、Scope1・Scope2以外の間接排出を指します。Scope1やScope2と同様に「活動量 × 排出係数(排出原単位)」の式で算出されることが多いものの、性質上、その精度にはバラつきが生じます。Scope3はさらに15のカテゴリに分けて算定されます。 (了)
#586(掲載号)
#石王丸 香菜子
2024/09/19
労働基準関係 労務 労務・法務・経営

給与計算の質問箱 【第57回】「会社が解散した場合の給与計算と手続き」

給与計算の質問箱 【第57回】 「会社が解散した場合の給与計算と手続き」   税理士・特定社会保険労務士 上前 剛   Q 当社は8月31日で解散しました。解散に伴い、代表取締役Aが清算人に就任しました。また、残務処理のため、従業員Bが会社に残ることになりました。AとB以外は全員8月31日で退職しています。9月以降、AとBに引き続き報酬・給料を支給しますが、問題ないでしょうか。 また、残務処理終了後の給与計算に関する手続きについて教えてください。 A AとBに報酬・給料を支給することは、問題ない。会社は、9月以降の給与計算において、Aの報酬からは健康保険料、厚生年金保険料、源泉所得税、住民税を天引きし、Bの給料からは健康保険料、厚生年金保険料、雇用保険料、源泉所得税、住民税を天引きする。 また、残務処理が終わり次第、会社は以下の手続きを行う。 * * 解 説 * * 1 労災保険 会社は、事業の廃止の日の翌日から50日以内に労働保険確定保険料申告書を所轄の労働基準監督署に提出する。労働保険料が還付になる場合には、労働保険料還付請求書も併せて提出する。添付書類はない。   2 雇用保険 会社は、事業所を廃止した日の翌日から10日以内に雇用保険適用事業所廃止届を所轄のハローワークに提出する。Bの雇用保険被保険者資格喪失届、雇用保険被保険者離職証明書も併せて提出する必要がある。添付書類として解散の登記簿謄本などを用意する。   3 社会保険(健康保険・厚生年金保険) 会社は、事業の廃止があった日から5日以内に健康保険・厚生年金保険適用事業所全喪届を年金事務所に提出する。A、Bの健康保険・厚生年金保険被保険者資格喪失届、健康保険証も併せて提出する必要がある。添付書類として解散の登記簿謄本などを用意する。   4 住民税 会社は、解散等があった日の属する月の翌月10日までに給与支払報告・特別徴収にかかる給与所得者異動届出書をA、Bの居住する市区町村役場に提出する。 (了)
#586(掲載号)
#上前 剛
2024/09/19
労務・法務・経営 法務

税理士が知っておきたい不動産鑑定評価の常識 【第57回】「不動産の鑑定評価に潜む「人間的要素」」

税理士が知っておきたい 不動産鑑定評価の常識 【第57回】 「不動産の鑑定評価に潜む「人間的要素」」   不動産鑑定士 黒沢 泰   1 はじめに 今回は、前回までの連載の内容とは趣きを変え、不動産の鑑定評価という行為には、自然的要素だけでなく人間的要素も大いに含まれているということを、不動産鑑定評価基準の起草者の言を引用しつつ改めて振り返ってみます。 これにより、筆者は、課税の公平性という観点から画一的な評価基準を設けている相続税の財産評価や固定資産税の評価と、不動産の経済価値の追究に当たり様々な判断要素の介入を避けて通ることのできない鑑定評価との本質的な相違を読み取ることができるものと考えています。   2 不動産の本質~自然的要素と人間的要素の組み合わせ 不動産の鑑定評価の拠り所となっている「不動産鑑定評価基準」が当初制定されたのは 昭和39年3月25日付(政府の)宅地制度審議会第四次答申に基づくものであり、当時、同審議会鑑定評価基準小委員会委員長の役職にあった故櫛田光男氏(一般財団法人日本不動産研究所理事長)の著書(※1)のなかには、今回のテーマを検討するに当たり重要な示唆を受ける次の記述が見られます。 (※1) 櫛田光男「不動産の鑑定評価に関する基本的考察」住宅新報社、昭和41年、23~24頁。 なお、「不動産の鑑定評価に関する基本的考察」(以下、「基本的考察」といいます)は不動産鑑定評価基準総論第1章の内容をなすものであり、現在も当時のままに近い形で引き継がれています。 このような不動産における人間的要素の指摘とその重視ということが「基本的考察」の、したがって不動産鑑定評価基準の特色であり、鑑定評価の過程のなかに登場する様々な数値(※2)や金額(※3)を人間的要素の強いものと捉えることによって、その本質がより鮮明となります。 (※2) 例えば、取引事例比較法における地域要因や個別的要因の格差率、収益還元法における還元利回り等です。 (※3) 例えば、原価法における再調達原価及び減価修正額、取引事例比較法で採用する実際の取引価格等です。 このように、人間的要素の強いものを鑑定評価の過程のなかに織り込むということになれば、(さらに不動産鑑定評価基準がこのような発想を原点としていることを踏まえれば)、冒頭に述べたとおり、不動産の経済価値の追究に当たり様々な判断要素が介入することはむしろ避け難いといっても過言ではないと思われます。   3 「動かない」ものを「動く」ものとして捉えるのが鑑定評価の特徴 (1) 不動産を「動かない」ものとして捉えた場合 不動産が「動かない」ものとされている理由として、いうまでもなく地理的な位置が固定されていること、固定されているが故に他の商品のようにすべての条件を等しくする不動産は2つと存在しないこと(=個別性)等があげられます。 さらに、土地は使用しても摩耗せず永久的な使用に耐えるものであること(地震等の場合は例外)、不増性(土地は再生産ができません)、個別性(非同質性、非代替性)、非移動性(条件の良い土地を所有していても、これを別の場所に移動させて活用することはできません)など、不動産(特に土地)には他の商品に見られない大きな特徴があります。 (2) 不動産を「動く」ものとして捉えた場合 不動産は、上記の特徴を有する反面、人為的には「動く」という特徴が見られます。そして、このことが不動産という財の価格形成を複雑なものにしている大きな要因です。 ここで、不動産が「動く」というのは、人間が土地や建物と何らかのかかわり(所有や利用面において)をもつことにより生じてくる1つの側面です。不動産が「動く」からこそ、そこに価格が生じるともいえます。 不動産が「動く」理由は、不動産鑑定評価基準にいう次のような人文的特性に基づくものです。 以上をはじめ、不動産は自然のままでは動きませんが、人間がこれに働きかけたとき、その利用方法はかなり変化し得るということになります。そして、このような動的な視点からものを見ることが鑑定評価の原点であり、それは不動産鑑定評価基準の起草者の教えにたどり着くものと筆者は考えています。   4 まとめ 不動産の鑑定評価と聞けば、いかにも専門的で、かつ味気のない数値や金額ばかり登場すると受け止められている方も多いと思われます。しかし、そもそも鑑定評価の対象とするものはきわめて人間的要素の強い不動産であり、物理的には「動かない」といっても人間の活動によりいくらでも「動く」ものに変化します。 土地建物の売買や賃貸借という行為は、まさに人間がその所有権や利用権を他人に移動させる(=動かす)ことであり、鑑定評価の過程のなかにも売買や賃貸借における市場参加者の行動原理は諸判断の1つとして反映されてきます。 鑑定評価の過程では、不動産鑑定士が市場人になり替わり、不動産の経済的な価値に対し合理的な視点から質的・量的な判断を加えることが必要となりますが、そのなかにも人間的要素を感じさせるものがあります。 (了)
#586(掲載号)
#黒沢 泰
2024/09/19
労務・法務・経営 法務

《税理士のための》登記情報分析術 【第16回】「登記事項等に関する改正」~旧氏の併記~

《税理士のための》 登記情報分析術 【第16回】 「登記事項等に関する改正」 ~旧氏の併記~   司法書士法人F&Partners 司法書士 北詰 健太郎   本連載【第12回】でも解説をしたが、いわゆる所有者不明土地問題や空き家問題に対応するために行われた民法等の一部改正により、不動産登記法等も改正され、令和6年4月1日から新しい登記事項が加わるなどの改正が行われた。今回は改正内容のうち、「旧氏(旧姓)の併記」について解説を行う。   1 会社・法人登記においては従前から旧氏の併記が可能 会社・法人登記においては、平成27年からすでに婚姻前の氏を併記することが可能となっていた。これはビジネスを続けていくうえで、婚姻前の氏を使用し続けたいという需要に応えたものであった。 令和4年9月1日からは併記可能な旧氏の範囲が拡大され、婚姻前の旧氏に限らず、養子縁組前の旧氏や離婚後において婚姻中の旧氏を併記することも可能となった。 【旧氏が登記された会社の登記記録例】 ※カッコ内が旧氏。 旧氏の併記を希望する場合は、所定の申出書に必要事項を記入し、戸籍証明書等を添付して管轄の法務局に申出を行う。 顧客自身はこの制度を知らないことが多いため、税理士としてもビジネス上で旧氏を使用している顧客がいる場合には、制度を紹介してもよいだろう。   2 不動産登記においても旧氏の併記が可能に 不動産登記ではこれまで旧氏の併記は認められてこなかったが、令和6年4月1日からは認められることとなった。 併記できるのは、直近の旧氏に限らないとされている。例えば、離婚や養子縁組が続いたことにより「山田太郎」→「佐藤太郎」→「鈴木太郎」(現在)と氏が変更になった人であれば、「山田太郎」、「佐藤太郎」いずれか1つを併記できる。 なお、旧氏が併記できるのは所有権の登記名義人に限られ、抵当権者等は旧氏を併記することはできない。 旧氏の併記を希望する場合は、所定の申出書に必要事項を記入し、戸籍証明書等を添付して管轄の法務局に申出を行う。 【既に所有している不動産について旧氏の申出を行った登記記録例】 ※カッコ内が旧氏。 不動産オーナーなど、代々土地を引き継いできた人にとっては、登記記録にも旧氏を残したいという需要があるかもしれない。税理士としてもこうした制度変更は把握しておくとよいだろう。 (了)
#586(掲載号)
#北詰 健太郎
2024/09/19
読み物 連載

《顧問先にも教えたくなる!》資産づくりの基礎知識 【第16回】「注目される“ファイナンシャルウェルビーイング”」

《顧問先にも教えたくなる!》 資産づくりの基礎知識 【第16回】 「注目される“ファイナンシャルウェルビーイング”」   株式会社アセット・アドバンテージ 代表取締役 一般社団法人公的保険アドバイザー協会 理事 日本FP協会認定ファイナンシャルプランナー(CFP®) 山中 伸枝   〇ウェルビーイングとは 最近、「ウェルビーイング」という言葉を耳にすることが増えてきたという方もいらっしゃるのではないでしょうか。筆者も、つい先日大手新聞社主催のイベントで、ウェルビーイングをテーマにしたトークショーに出演してきました。 「Well-being」とは、「well(良い)」と「being(状態)」という2つの言葉から成り立っています。WHO(世界保健機関)では、「個人や社会の良い状態。健康と同じように日常生活の一要素であり、社会的、経済的、環境的な状況によって決定される」と紹介しています。   〇SDGsからSWGsへ 「良い状態」とは、なかなか抽象的で掴みにくい概念ではありますが、ウェルビーイングはSDGsの次の目標として世界が目指す姿とされています。 というのも、SDGsの「誰1人取り残さない社会のための17の目標」の期限は2030年までとなっているため、その次は「SWGs(Sustainable Well-being Goals)」(みんなで持続可能なウェルビーイングの状態を目指すこと)を新たな国際的な目標にしようと、現在様々な国際機関などで提唱されているのです。 かつて、人々の幸せは経済の豊かさであると考えられ、もっぱらGNP(国民総生産)などという経済の大きさを測る指標で幸せも測ろうとしていました。しかし、モノやサービスがどれだけ充実し、経済が発展しても、心の豊かさ、充足感がないと人は幸せではないのだという価値観が世界で広がり、今「ウェルビーイング」が注目されていると言われています。   〇ウェルビーイングの5つの領域 アメリカの調査会社であるギャラップ社では、以下の5つの領域でウェルビーイングを計測しています。これは、国連の「世界幸福度報告」に活用されているものです。 いかがでしょうか。もちろん同時に様々な研究も行われており、上記だけがウェルビーイングを計測する指標ではないものの、心の豊かさに必要な要素としての重要性を表す項目としてはうなずけるのではないでしょうか。   〇ウェルビーイングと企業の取組み 実は、このウェルビーイングへの取組みは、企業でも徐々に広がりを見せています。その動きの1つが冒頭で言及したイベントであり、その趣旨は「企業の健全経営に向けて、従業員の資産形成に向き合うことが重要である」というものでした。イベントのライブ映像は、多くの経営者が視聴したとされています。 イベントで具体的に取り上げられたのは、前述の5つの項目のうち、⑤のファイナンシャルウェルビーイングについてです。昨今、多くの企業が採用・定着に悩んでいると言われています。今春は、賃上げニュースが多数飛び込んできましたが、それができるのも実は一握りの企業で、すべての企業が賃上げを実現できたわけではありません。また、退職金の準備も、企業規模に比例するように、中小企業では手つかずというところも多いです。 一方、従業員側からすると、止まらないインフレに将来への不安が増し、少しでも給与面で待遇の良い企業に転職したい、少しでも多く将来に向けた貯蓄ができる企業に勤めたい、といったニーズが高まっていると言われています。 採用・定着のための具体的な取組みについては、次回でご紹介したいと思いますが、みなさんにはぜひ、企業が従業員の資産形成を積極的に応援することで、従業員のエンゲージメントが高まるという認識が広がっているということをお伝えできればと思います。 特に、経済成長の時代を知らない若手社員は、将来を悲観しすぐに転職をする傾向があるとも言われています。この機会に、企業としてのウェルビーイングへの取組みを考えてみてはいかがでしょうか。 (了)
#586(掲載号)
#山中 伸枝
2024/09/19
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《速報解説》 各省庁の令和7年度税制改正要望は既存制度の延長・拡充が中心~生命保険料控除は前年度与党大綱通りの拡充を共同要望~

《速報解説》 各省庁の令和7年度税制改正要望は既存制度の延長・拡充が中心 ~生命保険料控除は前年度与党大綱通りの拡充を共同要望~   Profession Journal編集部   8月末から9月頭にかけて各府省庁から令和7年度税制改正要望が公表された。 令和6年度税制改正における戦略分野国内生産促進税制やイノベーションボックス税制など、ここ数年は経済産業省からの要望を中心に新たな税制の創設も見られたが、令和7年度税制改正要望は例年に比べ新税制創設の要望は少なく、中小企業経営強化税制や中小企業投資促進税制、中小企業者等の法人税率の特例といった既存制度の延長・拡充の要望が中心となっている。 以下では、令和7年度税制改正要望の一部を紹介する。   〇100億企業創出に向けた設備投資減税等の拡充・延長 まず、経済産業省は中小企業の成長を後押しし、中堅企業への成長ポテンシャルが高い売上高が100億円を超える中小企業(100億企業)の創出を推進するため、中小企業等経営強化法の認定を受けた計画に基づく設備投資につき即時償却等の適用を認める措置である中小企業経営強化税制の適用期限の2年延長(令和8年度末まで)及び上乗せ措置の創設を要望しているほか、地域未来投資促進税制の適用期限の2年延長(令和8年度末まで)及び拡充措置として、地方公共団体が戦略的に重点支援を行う産業分野を「重点促進分野(仮称)」とし、同分野における設備投資への優遇措置の創設を要望として挙げている。 また、令和6年度税制改正で特例承継計画の提出期限が延長(令和8年3月末まで)された法人版・個人版事業承継税制については、役員就任要件等の見直し及び円滑な事業承継のための必要な措置の検討を求めている。 加えて、中小企業投資促進税制、中小企業者等の法人税率の特例、中小企業防災・減災投資促進税制については、それぞれ適用期限の2年延長(令和8年度末まで)を要望するとともに、9月13日にASBJから公表された「リースに関する会計基準」等の改正に対応する企業の負担を抑えるための所要の措置を求めている。   〇令和6年度与党大綱記載の生命保険料控除の拡充 次に金融庁からの要望として、生命保険料控除制度の拡充が掲げられている。これは、令和6年度税制改正の与党大綱において「子育て世帯に対する生命保険料控除の拡充」として示された下記の内容を改めて求めるもの。 そのほか、自由民主党総裁選でも争点となっている金融所得課税の一体化やこども家庭庁と共同で結婚・子育て資金一括贈与に係る贈与税の非課税措置の拡充及び2年延長(令和9年度末まで)等も要望している。   〇企業版ふるさと納税の延長 また内閣府は、地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)について、現行の税の軽減効果(寄附額の最大約9割)を維持したうえで、税額控除の特例措置の適用期限を5年延長(令和11年度まで)することを求めているほか、令和8年4月施行予定の公益信託制度について、譲渡所得非課税の「承認特例」の対象として追加すること等の所要の整備を行うことを要望している。   〇住宅ローン控除の拡充・区分所有法改正に伴う税制上の措置 国土交通省からの要望として、住宅ローン減税等に係る所要の措置が挙げられており、これは令和6年度税制改正の与党大綱で示され、令和6年度税制改正において令和6年限りの措置として先行的に対応していた「子育て世帯等に対する住宅ローン控除の拡充」及び「子育て世帯等に対する住宅リフォーム税制の拡充」を、令和7年度税制改正においても同様の措置を行う方向で検討することを要望するもの。 また、改正が見込まれる区分所有法において区分所有関係の解消・再生のための新たな仕組みが創設されることを見据え、マンション建替円滑化法において、これら新たな仕組みに対応した事業手続(組合設立等)の創設が検討されていること等を背景に、事業の施行者(組合)に係る税制上の特例措置を創設・拡充することを要望している。 そのほか、令和6年度税制改正において外国人旅行者向け免税制度について、不正利用の実態を踏まえて抜本的に見直す方針となったことを背景に、空港等での混雑防止の確保を前提として、外国人旅行者の利便性向上や免税店の事務負担軽減を通じた訪日外国人旅行消費額の拡大に向け、下記の3点を要望している(観光庁との共同要望)。 (了)
#Profession Journal 編集部
2024/09/17
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《速報解説》 証券取引等監視委員会から令和5事務年度の開示検査事例集が公表される~大量保有報告制度違反や特定関与行為に対して勧告を行った初の事案を掲載~

 《速報解説》 証券取引等監視委員会から令和5事務年度の開示検査事例集が公表される ~大量保有報告制度違反や特定関与行為に対して勧告を行った初の事案を掲載~   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   証券取引等監視委員会(以下「監視委」と略称する)事務局は、去る9月11日、「開示検査事例集(令和5事務年度)」(以下「事例集」と略称する)を公表した。 令和5事務年度版の「開示検査事例集」では、新たに、令和5年7月から本年6月までの間に開示検査を終了し、開示規制違反について課徴金納付命令勧告を行った9事例(1つの事例で2社と1個人に勧告が発出されているので、勧告の件数としては11)のうち、7事例について概要が紹介されている。令和4事務年度から始まった、課徴金納付命令勧告を受けた上場会社の実名公表は継続されているが、過去の検査事例(事例8から事例49)については、これまでどおり、課徴金納付命令勧告を受けた上場会社の実名の表記はない。 なお、令和5事務年度事例集で便利になった点としては、目次をクリックすると該当ページに遷移できる機能が追加されており、関心のある事例やコラムなどが読みやすくなっている。 本稿では、公表された事例集のうち、最近の開示検査の動向を知るうえで参考になると思われる、ⅠからⅢまでを中心にその内容をご紹介したい。なお、「Ⅱ 開示検査の実績とその内容」については、昨年までのタイトルから「最近の」という言葉がなくなり、内容がこれまでより大幅に拡充されている。たとえば、令和5事務年度の特徴と過去5年度分の特徴が比較して分析されており、また、イメージ図やグラフなども挿入され、分かりやすさを追求した記述となっていると評価できる。   Ⅰ 最近の開示検査の取組みについて 事例集「Ⅰ 最近の開示検査の取組み」の冒頭に掲げられた文章は、平成30年9月公表の事例集から昨年公表の事例集まで同じ文章となっていたが、今年、修正されている。 参考として、令和4事務年度事例集までの表現は次のとおりである。 監視委は、最近の開示規制違反の態様が多様化していることを強調しているようである。そのうえで、監視委の取組みついて、以下の3項目を挙げている(赤字記載部分は、昨年から表現が改められた箇所を意味している)。 (※) 昨年までは「情報力の強化」と説明されていた。   Ⅱ 最近の開示検査の実績とその内容 令和5事務年度(令和5年7月~令和6年6月)に、監視委が行った開示検査は21件で、前年実績(18件)を上回っている。そのうち、検査が終了した10事案(前事務年度実績は9事案)のうち、9事案(勧告件数は11件)につき課徴金納付命令勧告を行っている。 監視委は、令和5事務年度の特徴的な勧告事案として、次の4事例を挙げている。 監視委は、事例1における大量保有報告制度違反について、「共同保有関係にあった者を含む複数の者に対し、課徴金納付命令勧告を行った初めての事案」であると説明し、さらに、事例2についても、「特定関与行為を課徴金納付命令勧告の対象とした初めての事案」としている。 監視委は、令和5事務年度に課徴金納付命令勧告を行った事案において認められた、開示規制違反に至った背景・原因について、次のように列挙している。   Ⅲ 最新の課徴金納付命令勧告事例 事例集に記載された「令和5事務年度における課徴金勧告事案の一覧」(事例集13頁)9件については、下表のとおりである。なお、上述したとおり、9事例のうち、「Ⅲ 最新の課徴金納付命令勧告事例」で紹介されているのは7事例であり、株式会社EduLab及びTHE WHY HOW DO COMPANY株式会社の事例については記載がなく、また記載がない理由についても言及されていない。 ※画像をクリックすると、別ページで拡大表示されます。 (了) ↓お勧め連載記事↓
#米澤 勝
2024/09/13

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