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《速報解説》 改正「会計参与の行動指針」及び「Q&A」が公表~中小企業会計指針及び会社法の改正に対応~

《速報解説》 改正「会計参与の行動指針」及び「Q&A」が公表 ~中小企業会計指針及び会社法の改正に対応~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年2月29日、日本公認会計士協会、日本税理士会連合会は「会計参与の行動指針」の改正を行った。また、中小事務所等施策調査会研究報告第1号「「会計参与の行動指針」に関するQ&A」の改正も行われている。 これらは、「中小企業の会計に関する指針」、「会社法」の改正に対応したものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 主に次の改正が行われている。 (了)
#159(掲載号)
#阿部 光成
2016/03/03
お知らせ 会計 会計情報の速報解説 監査 税務・会計 財務諸表監査 速報解説一覧

《速報解説》 「四半期レビューに関する実務指針」等が改正~修正国際基準へ対応~

《速報解説》 「四半期レビューに関する実務指針」等が改正 ~修正国際基準へ対応~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 日本公認会計士協会は、次の実務指針等の改正を公表した。 ①及び②の改正は、基本的に企業会計基準委員会が公表した「修正国際基準(国際会計基準と企業会計基準委員会による修正会計基準によって構成される会計基準)」に対応する改正である。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 (了)
#159(掲載号)
#阿部 光成
2016/03/03
お知らせ その他お知らせ

プロフェッションジャーナル No.159が公開されました!~今週のお薦め記事~

2016年3月3日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.159を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。
#Profession Journal 編集部
2016/03/03
国際課税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

monthly TAX views -No.38-「IBM、ヤフー、BEPSと租税回避」

monthly TAX views -No.38- 「IBM、ヤフー、BEPSと租税回避」   中央大学法科大学院教授 東京財団上席研究員 森信 茂樹   本年2月18日、最高裁判所はIBM事件について、国の上告を不受理にする決定を行った。 周知のようにこの事件は、日本IBMの親会社(日本法人、中間会社)が、米国IBMから資金提供を受け、米国IBMの持つ日本IBM株を購入し、それを子会社の日本IBMが買い取り、自社株買いを活用して生じた譲渡損失を自社の利益と相殺することにより税負担の軽減を図った取引である。 この取引が、同族会社の行為計算の否認規定(法人税法132条)に規定されている、「法人税の負担を不当に減少させる結果となると認められる」かどうかが争われたが、一審(東京地裁平成26年5月9日判決)も二審(東京高裁平成27年3月25日判決)も納税者勝訴となり、最高裁も不受理ということで決着がついた。 この事件と並行して争われているのがヤフー事件である。 この事件は、組織再編を行うことによって子会社の損失を取り込んだ取引が、組織再編に係る行為計算の否認規定(法人税法132条の2)に該当するかどうかという事案である。一審(東京地裁平成26年3月18日判決)も二審(東京高裁平成26年11月5日判決)も、IBM事件とは逆に、国税当局が勝訴、2月29日最高裁は納税者側の上告を棄却した。 ◆  ◆  ◆ ヤフー事件とIBM事件では事実関係が異なるので単純な比較はできないが、2つの事件を判断する法律の条文は、「法人税の負担を不当に減少させる」と、どちらも同じ文言である。 しかし両事件の判決では、「不当に」の解釈について異なる基準が提示されている。 ヤフー事件では、「取引が経済的取引として不合理・不自然である場合」と、「法律の趣旨・目的に反することが明らかである場合(いわゆる法の濫用)」の2つを基準とした。 これに対してIBM事件では、前者の基準だけで、いわゆる法の濫用基準は採用しなかったのである。 このように、法律上の文言が同じにもかかわらず異なった解釈がなされたことは、わが国経済界に、取引の不確実性を高め、大きな税務リスクを生じさせている。 ◆  ◆  ◆ この問題を根本的に解決するには、立法的解決しかない。 具体的には、経済取引が委縮しないように不確実性を軽減するという立場から、問題となる濫用(abuse)的な取引について、網羅的な例示を示しつつ、合理性のある取引の明確なガイダンスをつくり、それを民間人からなるアドバイザリーパネルで判断するという、英国型の解決(英国が2013年に導入した租税回避一般的否認規定、General anti-Abuse Law)がヒントを与えてくれる。 国際的に見ると租税回避の問題は、税制当局者間だけでなく、最高首脳レベルで大きな問題となっている。2012年の英国スターバックス問題に端を発し、アマゾンやグーグルなど米国IT企業の国際的租税回避の防止をターゲットとしてOECD租税委員会にBEPS(税源侵食と利益移転、Base Erosion and Profit Shifting)プロジェクトが立ち上がり、昨年9月に最終報告書がまとまった。 背景には、単に「税収確保」という話だけでなく、「米国多国籍企業との競争条件の均等化」という必要性があげられる。 ◆  ◆  ◆ 一方、わが国政府や学会の租税回避問題への対応は極めて遅れている。 わが国には、租税回避の定義すらコンセンサスのない状況である。 「私法上の選択可能性を利用し、私的経済取引プロパーの見地からは合理的理由がないのに、通常用いられない法形式を選択することによって、結果的には意図した経済的目的ないし経済的成果を実現しながら、通常用いられる法形式に対応する課税要件の充足を免れ、もって税負担を減少させあるいは排除すること」(金子宏教授『租税法(第20版)』)を前提として、租税法上の明文の規定がない限り租税回避の否認はできない、これがわが国の判例・通説である。 しかし、グーグルやアップルのスキーム、さらにはIBMやヤフーの租税回避事例はすべて課税要件を充足した租税回避であり、「課税要件の充足を免れ」てはいない。つまり、わが国の定義はBEPSの議論と異なるものとなっている。 このような状況の中で、わが国に、租税回避の要件を明確にした一般的租税回避否認規定の導入に向けた検討を急ぐことにより、課税の透明性・予見可能性を向上させ、経済取引の安定化を図ることが可能になる。 (了)
#159(掲載号)
#森信 茂樹
2016/03/03
法人税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の繰越しの不適用(法人税法57条の2)の取扱い~「繰越欠損金の使用制限」が形式的に適用される事例の検討~ 【第1回】「欠損等法人の繰越欠損金の使用制限の取扱い」

特定株主等によって支配された欠損等法人の 欠損金の繰越しの不適用(法人税法57条の2)の取扱い ~「繰越欠損金の使用制限」が形式的に適用される事例の検討~ 【第1回】 「欠損等法人の繰越欠損金の使用制限の取扱い」   公認会計士・税理士 税理士法人トラスト パートナー 足立 好幸   1 はじめに 繰越欠損金が使用できなくなる税制として、組織再編税制や連結納税制度以外に「特定株主等によって支配された欠損等法人の欠損金の繰越しの不適用」(法法57の2)という規定があるのをご存じだろうか。 この規定は「休眠会社規制」と呼ばれており、繰越欠損金を持つ休眠会社を買ってきて、そこで新しい事業を開始して節税しようという行為を規制するために設けられている。 そう聞くと、「ウチの会社や顧問先では休眠会社を買収して節税なんてしない」ということで、「そんな規定を知る必要はない」と考える方も多いと思うが、この規定は、繰越欠損金を活用しようという意図がない場合でも形式的に規制がかかってしまうことがあり、「うっかり規制されてしまった」「いつの間にか規制されていた」といったケースが多く、落とし穴のような規定となっている。 そこで、今回、「欠損等法人の繰越欠損金の使用制限の取扱い」(注1)について、その規定の概要と「繰越欠損金を活用しようという意図がない場合でも形式的に規制がかかってしまう事例」を紹介していきたいと思う。 なお、本連載では、単体納税制度を採用している場合の「欠損等法人の繰越欠損金の使用制限の取扱い」について解説したい。 また、本連載の意見に関する部分は、筆者の個人的な見解であることをあらかじめお断りする。 (注1) 筆者は、この取扱いを「休眠会社規制」と表現することが、休眠会社の買収という限定された場面でしか適用されないという思い込みに繋がっていると考えているため、本連載ではその表現を使わないことにする。   2 欠損等法人の繰越欠損金の使用制限の取扱い 欠損等法人の繰越欠損金の使用制限の規定(法法57の2)とは、「内国法人で他の者との間に当該他の者による50%超の支配関係(特定支配関係)を有することとなったもののうち、特定支配関係を有することとなった日(支配日)の属する事業年度(特定支配事業年度)において特定支配事業年度前の各事業年度において生じた繰越欠損金又は評価損資産を有するもの(欠損等法人)が、支配日(特定支配日)以後5年を経過した日の前日までに次に掲げる事由(特定事由)に該当することとなった場合に、その該当することとなった日(該当日)の属する事業年度(適用事業年度)以後の各事業年度において、適用事業年度前の各事業年度において生じた繰越欠損金について、繰越控除ができない」という規定である(法法57の2、法令113の2)。 そして、欠損等法人の繰越欠損金の使用制限の規定(法法57の2)が適用されることになる特定事由とは、次に掲げる事由となる(法法57の2①)(注2)。 なお、この特定事由の詳細については下記5(【第3回】以降)において事例を使って解説することとする。 (注2) 法人税法第57条の2第1項第6号では、特定事由として、「前各号に掲げる事由に類するものとして政令で定める事由」が定められているが、法人税法施行令では、政令で定める事由が規定されていない。 したがって、欠損等法人の繰越欠損金の使用制限の取扱いのポイントは次のとおりとなる。 以下、これら①~④のポイントについて解説する。 ① 欠損等法人とは この規定は、欠損等法人に適用されるが、欠損等法人とは、買収者に50%超の株式等を所有された内国法人で、買収時点で繰越欠損金又は含み損資産を所有している法人をいう。 具体的には、欠損等法人とは、内国法人で他の者(注3)との間に当該他の者による特定支配関係(注4)を有することとなったもののうち、特定支配関係を有することとなった日(支配日)の属する事業年度(特定支配事業年度)において特定支配事業年度前の各事業年度において生じた繰越欠損金又は評価損資産(注5)を有するものをいう(法法57の2①)。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます (注3) 他の者には、内国法人、外国法人、個人のすべてが該当する。 (注4) 特定支配関係とは、他の者が内国法人の発行済株式等(自己株式を除く)の総数の50%を超える数の株式等を直接又は間接に保有する関係(他の者と内国法人と間の当該他の者による支配関係)をいう(法法57の2①、法令113の2①。下記《例1》)。この場合、他の者(法人に限る)と内国法人との間に同一の者による支配関係がある場合における当該支配関係は、特定支配関係に該当しない(法令113の2①②)。 したがって、「P社の100%子会社であるA社」と「A社の100%子会社(P社の100%孫会社)であるB社」との間のA社とB社との間のA社による支配関係は特定支配関係に該当せずに(A社はB社の欠損等法人の判定において他の者に該当しない)、P社とB社の間のP社による支配関係が特定支配関係に該当することになる(P社はB社の欠損等法人の判定において他の者に該当する。下記≪例2≫)。 つまり、欠損等法人の支配関係の連鎖の頂点に立つ個人又は法人が欠損等法人を買収した日が、その欠損等法人に係る特定支配関係を有することとなった日に該当することになる。 また、次に掲げる事由によって生じた支配関係は、特定支配関係に該当しない(法令113の2⑤)。 ● 適格合併、適格分割、適格現物出資、適格株式交換、適格株式移転 ただし、他の者による特定支配関係がある内国法人と当該他の者による特定支配関係がある他の内国法人(関連者)について、適格合併等によって、当該内国法人と当該関連者との間に当該関連者による支配関係が生じる場合、その支配関係は、当該関連者による特定支配関係に該当する。 例えば、P社(他の者)の100%子会社であるA社とB社について、B社がP社を吸収合併(逆さ合併)することによって、B社とA社との間にB社による支配関係が生じた場合は、新たに、A社について、B社を他の者にしたB社による特定支配関係が生じることとなる。 ● 内国法人の債務処理計画(更生手続開始の決定等に関して策定された債務処理に関する計画)に基づいて行われる当該内国法人の株式の発行又は譲渡 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます (注5) 評価損資産とは、内国法人が支配日において有する資産のうち、支配日における価額が支配日における帳簿価額に満たない次に掲げる資産をいう(法法57の2①、法令113の2⑥)。ただし、その満たない金額が内国法人の資本金等の額の2分の1に相当する金額と1,000万円とのいずれか少ない金額(基準額)に満たないものは、評価損資産から除かれる(法令113の2⑥)。 ● 固定資産 ● 土地(土地の上に存する権利を含み、固定資産に該当するものを除く) ● 有価証券(売買目的有価証券(法法61の3①一)及び償還有価証券(法令119の14)を除く) ● 金銭債権 ● 繰延資産 ● 譲渡損益調整資産に係る譲渡損失額に相当する調整勘定に係る資産(法令122の14⑬) ● 資産調整勘定(法法62の8①) ② 特定事由が生じる一定の期間とは この規定は、繰越欠損金や含み損資産を所有する会社が新しい親会社(オーナー)に買収されてから5年以内に新事業を開始する場合に適用される。 具体的には、欠損等法人の繰越欠損金の使用制限は、特定支配関係を有することとなった日(特定支配日)以後5年を経過した日の前日までに特定事由に該当する場合に適用される(法法57の2①)。 また、次に掲げる事実が生じた場合は、これらの事実が生じた日までに特定事由に該当する場合に適用される(法法57の2①、法令113の2⑧⑨⑩)。 ③ 繰越欠損金の使用制限が生じる事業年度とは この規定では、特定事由に該当することとなった日(該当日)の属する事業年度(適用事業年度)以後の事業年度から繰越欠損金が使えなくなる(法法57の2①)。この場合、特定事由が第4号事由(適格合併に係る部分に限る)に該当する場合は、適格合併の日の前日を該当日とする(法法57の2①)。 ④ 使用制限の生じる繰越欠損金とは この規定では、適用事業年度前の事業年度において生じた繰越欠損金が使えない(法法57の2①)。つまり、組織再編税制では、支配関係を有することとなった日の属する事業年度前の事業年度において生じた繰越欠損金が使用できないが、この規定では、特定事由に該当することとなった日の属する事業年度前の事業年度において生じた繰越欠損金が使用できない。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFが開きます (了)
#159(掲載号)
#足立 好幸
2016/03/03
税務 税務・会計 解説 解説一覧 財産評価

裁判例・裁決例からみた非上場株式の評価 【第2回】「募集株式の発行等①」

裁判例・裁決例からみた 非上場株式の評価 【第2回】 「募集株式の発行等①」   公認会計士 佐藤 信祐   【第2回】以降は、募集株式の発行等の裁判例について紹介することとする。募集株式の発行等が有利発行になるものとして争いになる裁判例としては、差止め請求についての裁判例(会社法210条)と損害賠償についての裁判例(会社法212条、423条、429条)に大きく分けられる。 【第2回】に当たる本稿では、やや古い裁判例であるが、大阪地裁昭和47年4月19日判決について解説を行うこととする。   1 大阪地裁昭和47年4月19日判決・判時691号74頁 (1) 事実の概要 本事件は、大阪中小企業投資育成会社に投資を依頼し、1株当たり650円の発行価額で株式を発行したところ、少なくても1株当たり1,280円の発行価額で発行すべきであり、本件新株発行は有利発行に該当するものとして新株発行の差止めを求める仮処分が申請された事件である。 本事件では、商法の事件でも、未だに財産評価基本通達に基づいた評価を採用していた時代の事件であるため、評価方法の選定という意味では参考にならないが、少数株主にとっての株式価値で評価をされた裁判例であり、その点についてのみ限定すると、現在でも参考にすることができる事件である。 (2) 裁判所の判断 (3) 評釈 このように、裁判所は、配当還元方式が妥当であるとしたうえで、類似会社比準方式は「取引相場のない株式を取引相場のある株式と同視する点でむりがあり」とし、収益還元方式は「利益の相当部分は内部留保にまわされる」ことから「非支配株主によって所有される株式の評価には不適当」であるとし、純資産方式は「営業活動を継続する会社にとっては持分は観念的な形態にとどまるものであるからその適用は小規模な会社か解散直前の会社に限らる(原文ママ)べきであると」して採用しなかった。 しかし、「特に類似業種の会社と比較して利益の内部留保を多くし、配当を少くしている会社に配当還元方式を適用するのは株価の他の構成要素である利益、純資産等を全く無視することとなるから妥当でないとする見解があるが、以上の検討結果からみれば本件では被申請会社が内部留保を多くしていることの方が合理的であると考えられるので本件で配当還元方式を適用することは不当ではないと解する。」としており、理論上はともかくとして、実務上はこのような理由で低い配当利回りに基づく配当還元法が採用されかねないという点は理解しておく必要があろう。 そして、期待利回りを11~13%が妥当とし、配当率を15%から18%が妥当であるとした結果、評価額を577円から818円が妥当であるとして有利発行に該当しないものとした。財産評価基本通達は実際配当還元法により評価がなされているが、本事件では配当利回りを予想することにより算定されており、やや特徴的である。 なお、配当性向を20%、22%、30%とする鑑定が行われた結果に対して、「右の新株発行によって被申請会社は増資の外に株式取得による経営支配の恐れなく株式上場基準に達するまでの再投資、再々投資が期待でき、かつ企業の社会的信用が増大し、取引先、金融機関等からの企業評価が高くなるという実益があるのであるから、本件の場合には絶対的に公正といえる価額があったとすれば、それより25ないし30パーセント下廻って(原文ママ)も『著しく不公正』とはいえないと考える」としたうえで、育成料や長期保有による危険を加味したうえで、30%の引下げを行っている。 このようにやや乱暴なロジックであるため、本来であれば、単純に配当率を15%から18%とした評価のみを採用しておけばよかったように思えるが、昭和47年という古い裁判例であることから、十分な理論の積み重ねが無かったためであると推定される。 さらに、本事件では、内部留保による配当の成長を加味するゴードン・モデル方式が採用されていない。近年では、少数株主にとっての株式価値をゴードン・モデル方式による配当還元法とする解説が多く、いずれこの連載でも触れていきたいと思う。 このように、細かな評価方法にはいろいろと問題のある判決ではあるが、少数株主となる引受人に対して少数株主にとっての株式価値で第三者割当を行った事件として参考になるものと考えられる。また、投資育成会社は事業承継対策で活用されることの多い会社であり、実務上も参考になる判決である。 本連載でも触れていくが、有利発行の事件では、引受人が支配株主になるのか、少数株主になるのかで評価方法を変えている事件が多い。その一方で、最近、公表されたアートネイチャー事件では異なる視点からの判断がなされており、有利発行に対する裁判例の傾向を見るうえでも参考になる。ただし、実務上は、このような第三者割当を行う場合には、いずれにしても、有利発行の手続きを行うことが望ましいことは言うまでもない。 次回では、大阪地裁昭和48年11月29日判決について解説を行う予定である。 (了)
#159(掲載号)
#佐藤 信祐
2016/03/03
税務 税務・会計 解説 解説一覧

マイナンバーの会社実務Q&A 【第5回】「マイナンバーの保管」

マイナンバーの会社実務 Q&A 【第5回】 「マイナンバーの保管」   税理士・社会保険労務士 上前 剛   〈Q〉 会社が従業員から取得した個人番号を保管する際の対応について教えてください。   〈A〉 1 保管する書類・データ (1) 行政手続書類 従業員の個人番号を記載する行政手続書類は、以下の通りである。 ①と④は、会社で保管する。保管期間は、提出期限の属する年の翌年1月10日の翌日から7年間である。 ②と③は、給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表に添付して2部税務署へ提出し、1部を控えとして会社で保管する。保管期間は、最長7年間が限度である。 ⑤と⑥は、ハローワークへ提出後に返戻される書類(雇用保険被保険者証、雇用保険被保険者資格取得等確認通知書、雇用保険被保険者資格喪失確認通知書)に個人番号は記載されない。雇用保険被保険者証は従業員へ交付し、その他の書類は会社で保管する。個人番号が記載されない書類のため、保管期間については省略する。 (2) 本人確認書類 従業員の個人番号を取得する際の本人確認書類として以下の書類を受け取った場合、これらの書類を会社で保管する義務はないが、本人確認の記録を残すために保管することができる。 個人番号カードのコピー 通知カードのコピー 個人番号が記載された住民票のコピー (3) 特定個人情報ファイル 特定個人情報ファイルとは、従業員の個人番号等が記載された個人情報ファイルをいう。具体的には、従業員の氏名、住所等に個人番号が紐づけされた書類、または、データをいう。   2 保管場所 (1) 行政手続書類 ファイルに綴じて鍵付きキャビネット(又は金庫)に保管する。 (2) 本人確認書類 ファイルに綴じて鍵付きキャビネット(又は金庫)に保管する。 (3) 特定個人情報ファイル 書類は、ファイルに綴じて鍵付きキャビネット(又は金庫)に保管する。 データは、給料計算ソフト、マイナンバー管理用のソフト、クラウド、サーバーのいずれかに保管する。おすすめは、給料計算ソフトである。 給与所得の源泉徴収票(税務署提出用)と退職所得の源泉徴収票(税務署提出用)は給料計算ソフトで作成するのが一般的なことから給料計算ソフトにはマイナンバーの管理機能が標準装備されているので、追加の費用負担が生じない。これに対し、マイナンバー管理用のソフトは購入しなければならないし、クラウドやサーバーは保守費用がかかる。 また、給料計算ソフトは、従業員の氏名、住所、扶養親族といった個人情報が既に入力されているので個人番号と紐づけしやすく、特定個人情報ファイルを作成しやすい。 (了)
#159(掲載号)
#上前 剛
2016/03/03
消費税・地方消費税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

~税務争訟における判断の分水嶺~課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から 【第8回】「電化手数料が「資産の譲渡等の対価」に当たるかについて、書面ではなく実体に即して判断された事例」

~税務争訟における判断の分水嶺~ 課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から 【第8回】 「電化手数料が「資産の譲渡等の対価」に当たるかについて、 書面ではなく実体に即して判断された事例」   税理士 佐藤 善恵     (※) ( )内の青色文字は、略称設定であり、以下その略称を使用する。 〔概要等〕 不動産賃貸業を行う納税者(甲)は、オール電化設備を各戸に備えた居住用賃貸マンション(本件マンション)の建設を発注し、電力会社から電化手数料名目で金員(電化手数料)を受領した。 甲は、電化手数料が課税売上に当たるとして、それを受領した課税期間の課税売上を100%として、マンション取得に関する建築請負代金等に係る消費税額の全額を仕入税額控除の対象として還付申告書を提出した。 問題となっている課税期間は、平成18年1月1日から同月31日までの課税期間(本件課税期間)である。また、主な事実関係を時系列にみると次のとおりである。 (※) 金額端数は切り捨て等している。   〔甲社の主張〕 (1) 本件電化手数料には報奨金的要素はあるが、役務提供を支払条件にしているのだから、対価性を否定して無償の給付と認定しなければならない根拠はなく、資産の譲渡等の対価に当たる。 (2) すなわち、甲社と電力会社が交わした本件覚書には、甲社がコンサルティング等の業務を行うことが本件電化手数料支払の対価であると明記されている。また、甲社は、現に、本件覚書に定められた業務を実行している。 (3) 他方、電力会社は、甲社の役務提供の対価であることを認識して本件電化手数料を支払い、課税取引として税務会計処理をしていることからすれば、甲社において本件電化手数料を非課税として扱うことは、消費税の転嫁の連鎖を切断することにもなる。 したがって、本件電化手数料は、資産の譲渡等の対価に当たる。   〔本件覚書に関する事実(一部)〕 電力会社と甲社との間で交わされた本件覚書には、要旨以下の記載がある。   〔大阪地裁の判断(要旨)〕 大阪地裁は、本件の判断に当たり、「本件覚書役務の提供が『資産の譲渡等』であり、本件電化手数料がその対価(反対給付)として支払われたものであるかどうか」について検討した。 具体的には、電化手数料の算定方法が、役務の履行回数や、履行期間に応じているのではなく、単に、給湯器の種類や契約電力による区分で定まる基本単価に、採用した戸数を乗じて算出している(※)ことに着目した。そして、本件電化手数料が、オール電化の採用それ自体に対する謝礼又は報奨金としての性質を有することは疑いのないところであると結論づけた。 (※) 例えば、同じようにオール電化を採用した場合でも、契約電力ベースが「2kW以上4kW未満」である場合には電化手数料は1万円とされているのに対し、「4kW以上8kW未満」である場合には7万円とされていること等、将来得られる電力需要に応じた額とされている。 そして、甲社の主張(本件電化手数料に報奨金的要素があるとしても、覚書記載の役務提供との対価関係を否定できない旨)に関しては、本件覚書の文言は、本件電化手数料の性質に関して重要な判断資料となるが、その文言が実体を反映していないような場合には、その文言を離れて、実体に即して本件電化手数料の性質を判断していく必要があると述べて、次のとおり、その主張を排斥した。   〔判断の分水嶺〕 本件の判断の分水嶺は、本件電化手数料の性質が、本件覚書の文言ではなく、その実際の性質に沿って判断されたことにある。本件電化手数料が、単純に「単価×戸数」で算出されているという事実から素直に考えると、本件電化手数料が報奨金の性質を有するという結論になるから課税取引には当たらない。 裁判所は、甲社の主張に応えるために本件覚書に記載された業務①と業務②に係る業務が実際にあったかについても検討しているが、甲社の主張事実は認められていない。   〔本判決が示唆するもの〕 一般的に、覚書のような書面があれば、それに記載された内容の事実が認められる方向になるわけだが、本件のように、明らかに書面の文言が実体と一致していない場合には、書面の内容どおりの事実があると認められる可能性は低くなる。 当然といえば当然だが、実務にあたっては、書面があれば何でも大丈夫という認識は持たないほうがよい。 なお、課税庁の「重要判決情報」によれば、調査担当者向けに、「備考」として次のようなポイントが記載されている。 (了)
#159(掲載号)
#佐藤 善恵
2016/03/03
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税務判例を読むための税法の学び方【77】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む(その5:「事業に従事したことその他の事由」の解釈①~問題の所在)

税務判例を読むための税法の学び方【77】 〔第9章〕代表的な税務判例を読む (その5:「事業に従事したことその他の事由」の解釈① ~問題の所在)   立正大学法学部准教授 税理士 長島 弘   1 問題の所在 前回、前々回に分けて検討した所得税法56条であるが、同条は「生計を一にする」の意義のみならず「事業に従事したことその他の事由」についても議論がある。 そこで今回より、その点について争われた、前々回冒頭で紹介した「夫弁護士・妻弁護士事件(略して「妻弁護士事件」とも呼ばれている)」(最高裁平成16年11月2日判決)及び「夫弁護士・妻税理士事件(略して「妻税理士事件」とも呼ばれている)」(最高裁平成17年7月5日判決)について検討する。 これらの事案では、お互いに独立した事業を営む夫婦間の弁護士報酬や税理士報酬が必要経費として認められるか否かが争われている。 すなわち、この条文の解釈として、お互いに独立した事業については規定の範囲外という見解があるからである。 まずは条文を確認しよう。 まずこの条文の第1文だけ見ていく。この第1文は、「〜場合には」という条件を示した部分と、その条件に該当した場合に、居住者が生計を一にする親族等に支払った対価に相当する金額を必要経費に算入しないという部分、さらに、その親族のその対価に係る必要経費を居住者の必要経費に算入するという部分から構成されている。 問題はこの条件を示した部分の読み方である。 この部分の主語は、「居住者と生計を一にする配偶者その他の親族」である(この「生計を一にする」の範囲については以前検討している)。そしてそれが「対価の支払を受ける場合」に、この条件に該当することになるが、問題はその「対価」である。そしてこの「対価」は、その前の部分から、「その居住者の営む・・・所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から」支払いを受けた対価ということになる。 そしてこの下線部分を詳細に見れば、当該事業から対価を受ける理由として挙げられているのは「①その居住者の営む・・・所得を生ずべき事業に従事したこと」「②その他の事由」である。 ここで問題となるのは、まずは①について、「従事」の意味である。すなわち、「従事」であるから、独立した事業主相互の取引はここには含まれないと解すべきかという点である。 次に「②その他の事由」の範囲である。つまり、①の他の事由としてあらゆるものがここに含まれるのか、それともこれを限定的に読むべきかである。 というのも、本連載【第9回】及び【第15回】に記したように、「A、Bその他C」と「A、Bその他のC」は、明確に使い分けられている。 すなわち、「その他の」は、通常、前に置かれた名詞又は名詞句が、後に続く一層意味内容の広い言葉の一部をなすものとして、その中に包含される場合に用いられる「包括的例示」に用いられる。 これに対し、「その他」は、この言葉の前後の語句が独立しており、それぞれが、一応、別個の概念として並列的に並べる場合に使われる「並列的例示」に用いられる。 したがって、「事由」の例示が「①その居住者の営む・・・所得を生ずべき事業に従事したこと」であり、そうである以上、この事由にはあらゆることが含まれるのではなく、例示として挙げられた「①その居住者の営む・・・所得を生ずべき事業に従事したこと」と類似のものが含まれるということになる。もしそうなら「その居住者の営む・・・所得を生ずべき事業に従事したこと」の意味が何か問われてくる。 では次回から具体的に判決を見ていくこととする。 (続く)
#159(掲載号)
#長島 弘
2016/03/03
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