公開日: 2016/03/03 (掲載号:No.159)
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~税務争訟における判断の分水嶺~課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から 【第8回】「電化手数料が「資産の譲渡等の対価」に当たるかについて、書面ではなく実体に即して判断された事例」

筆者: 佐藤 善恵

~税務争訟における判断の分水嶺~

課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から

【第8回】

「電化手数料が「資産の譲渡等の対価」に当たるかについて、

書面ではなく実体に即して判断された事例」

 

税理士 佐藤 善恵

 

本連載の趣旨

課税庁の審理室や訟務官室が作成した「判決情報」や「判決速報」は、課税庁が、現場の調査担当者に向けて事例を紹介するための内部文書です。これらで取り上げられる事例には、あまり知られていない判決等も含まれていますが、どれもが税務調査の現場にフィードバックが必要と考えられているという点において重要な事例といえます。

本連載は、課税庁が調査担当者に向けて発信している判決等の要旨をご紹介するとともに、その判断の分水嶺がどこにあったかを検討し、さらに、実務上の留意点や裁判所の考え方を示唆しようとするものです。

なお、「判決情報」等は、TAINSデータベース(※)から取り出すことができますので、毎回、末尾にTAINSコードを記載いたします。
(※) 一般社団法人日税連税法データベースが運営する税務関連情報データベース

 

平成21年11月12日大阪地方裁判所[棄却](確定)

〔2016/10/20追記〕本稿公開時、上記[棄却]が[認容]となっていました。お詫びの上、訂正させていただきます。

(※) ( )内の青色文字は、略称設定であり、以下その略称を使用する。

〔概要等〕

不動産賃貸業を行う納税者()は、オール電化設備を各戸に備えた居住用賃貸マンション(本件マンション)の建設を発注し、電力会社から電化手数料名目で金員(電化手数料)を受領した。

甲は、電化手数料が課税売上に当たるとして、それを受領した課税期間の課税売上を100%として、マンション取得に関する建築請負代金等に係る消費税額の全額を仕入税額控除の対象として還付申告書を提出した。

問題となっている課税期間は、平成18年1月1日から同月31日までの課税期間(本件課税期間)である。また、主な事実関係を時系列にみると次のとおりである。

平成17年2月4日

建設会社との間で本件マンションの建築に関する請負契約締結

平成17年3月頃

甲社と電力会社の間で本件覚書を作成

平成18年1月1日~

消費税課税事業者・課税期間特例(課税期間1ヶ月)

同月13日

甲社は電力会社に電化手数料請求書を提出

同月26日

本件マンションの引渡しを受けた
請負代金合計4億円(うち消費税等2,000万円)(※)

同年2月20日

電化手数料(消費税等の金額を除くと182万円)を受領した

(※) 金額端数は切り捨て等している。

H18.1.1 H18.1.31  H18.1.13 電化手数料請求 H18.1.26 本件マンション引渡し H18.2.20 電化手数料受領 「本件課税期間」 他に課税対象となる「資産の譲渡等」はない。

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~税務争訟における判断の分水嶺~

課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から

【第8回】

「電化手数料が「資産の譲渡等の対価」に当たるかについて、

書面ではなく実体に即して判断された事例」

 

税理士 佐藤 善恵

 

本連載の趣旨

課税庁の審理室や訟務官室が作成した「判決情報」や「判決速報」は、課税庁が、現場の調査担当者に向けて事例を紹介するための内部文書です。これらで取り上げられる事例には、あまり知られていない判決等も含まれていますが、どれもが税務調査の現場にフィードバックが必要と考えられているという点において重要な事例といえます。

本連載は、課税庁が調査担当者に向けて発信している判決等の要旨をご紹介するとともに、その判断の分水嶺がどこにあったかを検討し、さらに、実務上の留意点や裁判所の考え方を示唆しようとするものです。

なお、「判決情報」等は、TAINSデータベース(※)から取り出すことができますので、毎回、末尾にTAINSコードを記載いたします。
(※) 一般社団法人日税連税法データベースが運営する税務関連情報データベース

 

平成21年11月12日大阪地方裁判所[棄却](確定)

〔2016/10/20追記〕本稿公開時、上記[棄却]が[認容]となっていました。お詫びの上、訂正させていただきます。

(※) ( )内の青色文字は、略称設定であり、以下その略称を使用する。

〔概要等〕

不動産賃貸業を行う納税者()は、オール電化設備を各戸に備えた居住用賃貸マンション(本件マンション)の建設を発注し、電力会社から電化手数料名目で金員(電化手数料)を受領した。

甲は、電化手数料が課税売上に当たるとして、それを受領した課税期間の課税売上を100%として、マンション取得に関する建築請負代金等に係る消費税額の全額を仕入税額控除の対象として還付申告書を提出した。

問題となっている課税期間は、平成18年1月1日から同月31日までの課税期間(本件課税期間)である。また、主な事実関係を時系列にみると次のとおりである。

平成17年2月4日

建設会社との間で本件マンションの建築に関する請負契約締結

平成17年3月頃

甲社と電力会社の間で本件覚書を作成

平成18年1月1日~

消費税課税事業者・課税期間特例(課税期間1ヶ月)

同月13日

甲社は電力会社に電化手数料請求書を提出

同月26日

本件マンションの引渡しを受けた
請負代金合計4億円(うち消費税等2,000万円)(※)

同年2月20日

電化手数料(消費税等の金額を除くと182万円)を受領した

(※) 金額端数は切り捨て等している。

H18.1.1 H18.1.31  H18.1.13 電化手数料請求 H18.1.26 本件マンション引渡し H18.2.20 電化手数料受領 「本件課税期間」 他に課税対象となる「資産の譲渡等」はない。

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連載目次

~税務争訟における判断の分水嶺~
課税庁(審理室・訟務官室)の判決情報等掲載事例から

筆者紹介

佐藤 善恵

(さとう・よしえ)

税理士
京都大学MBA、京都大学大学院法学研究科博士後期課程単位取得満期退学、税法学会会員

同志社大学大学院総合政策科学研究科非常勤講師等・近畿税理士会 調査研究部専門委員を経て、2010~2014年大阪国税不服審判所 国税審判官、2016年5月~大阪市行政不服審査会委員(会長代理・税務第1部会部会長)、2019年4月~神戸学院大学法学部教授

HP http://www.yoshie-sato.com/

【主な著書等】
『仮想通貨をめぐる法律・税務・会計』(共著)ぎょうせい
Q&A 実務に役立つ法人税の裁決事例選』清文社
『税制改正のポイント(小冊子)』(共著)清文社
Q&A 税務調査・税務判断に役立つ 裁判・審査請求読本』清文社
『判例裁決から見る加算税の実務(第2版)』税務研究会出版局
社長のギモンに答える法人税相談室』清文社
『税理士のための相続をめぐる民法と税法の理解』(共著)ぎょうせい
『税務訴訟と要件事実論』(共著)清文社

 

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