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《速報解説》 国税不服審判所「公表裁決事例(平成26年4月~6月)」~注目事例の紹介~

 《速報解説》 国税不服審判所「公表裁決事例(平成26年4月~6月)」 ~注目事例の紹介~   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   国税不服審判所は、平成26年12月18日、「平成26年4月から6月分までの裁決事例の追加等」を公表した。 今回追加されたのは表のとおり、全16件の裁決となっている。相続税法関係で5件(うち3件は財産評価)、国税通則法の区分された3件のうち2件も相続税をめぐる不服審査となっており、相続税に関するものが多く公表されているのが今回の特徴である。 今回公表された裁決では、国税不服審判所によって課税処分等が全部又は一部取り消された事例が8件、すべて棄却された事例が7件、却下された事例が1件であった。税法・税目として所得税法関係が5件、相続税法関係が6件、国税通則法3件、法人税法及び消費税法が1件であった。 【公表裁決事例平成26年4月~6月の一覧】 ※本稿で取り上げた裁決 本稿では、公表された16件の裁決事例のうち、注目される事例を紹介したい。 なお、毎回のことであるが、論点を簡素化するため、複数の争点がある裁決については、その一部を割愛し、複数の請求人が存する事例についても、請求人が単独であるかのように表記させていただいていることを、あらかじめお断りしておきたい。   1 更正の請求(基礎となった事実関係に関する判決等)・・・① (1) 本件和解の概要 請求人、R社及び相続人との間で、第14回弁論準備手続期日に、要旨次のとおりの和解が成立し、弁論準備手続調書に記載された。 (2) 審判所の判断 審判所は、以下のような事実認定に基づき、 と判断した。   2 重加算税(隠ぺい、仮装の認定)・・・② (1) 事例の概要 請求人は、平成24年2月、K税務署長に対して、郵送されたお尋ね書の用紙を使用し、「被相続人から相続により取得した遺産の課税価格(6,000万円)が遺産に係る基礎控除額(7,000万円)以下のため、申告は不要と思っています」という内容の回答を送付し、本件相続に係る相続税の法定申告期限までに、相続税の申告書を提出しなかった。 その後、請求人は、K税務署の調査担当職員の調査に基づき、平成24年11月5日、相続税の期限後申告書に遺産分割協議書を添付して、K税務署長に提出した。 K税務署長は、期限後申告書の提出により納付すべき税額に対して、平成24年11月9日付で、重加算税の賦課決定処分をしたところ、請求人は、賦課決定処分を不服として、異議申立を経て、審査請求を行ったものである。 (2) 審判所の判断――争点①「無期限内申告書の提出がなかったことについて、正当な理由があると認められる場合に該当するか否か」 争点の1つめは、異議申立によって、重加算税の賦課決定処分の一部が取り消され、無申告加算税が賦課決定された点についての「正当な理由」の存否であった。 請求人は、法定申告期限内にもう一人の相続人が死亡したことに伴い、当初の法定相続分よりも多くの遺産を相続することになったのみならず、死亡した相続人に係る遺産分割協議の結果、法定相続分を超える遺産を相続することになったという特殊な事情に鑑み、審判所は、以下のように判断して、無申告加算税の一部は取り消されるべきであるとした。 (3) 審判所の判断――争点②「請求人が法定申告期限までに申告書を提出しなかったことについて、重加算税の賦課要件を満たすか否か」 原処分庁は、請求人が、遺産が基礎控除額を超えることを知りながら、お尋ね書に一部の財産のみを記載し、申告は不要と思っているとして提出したことは、「隠ぺい、仮装と評価すべき行為」又は「相続財産を申告しないとの意図を外部からもうかがい得る特段の行動」と認められることから、重加算税の賦課決定処分を行った。 これに対して、審判所は、「お尋ね回答書の提出は、認識ある無申告と同等の行為と評価することができる」としたうえで、「請求人が、無申告行為とは別に、『本件被相続人名義財産について申告をしない意図を外部からもうかがい得る特段の行動』をしたなどと評価することはできないとして、「重加算税の賦課要件を満たすものとすることは相当でない」と判断して、これをすべて取り消したものである。   3 譲渡所得の計算における譲渡費用の該当性について・・・⑦ (1) 事例の概要 請求人は、コンサルタント料は土地の取得費又は譲渡費用に該当するとして、次のとおり主張している。 請求人は、合意に基づいて、32,000,000円のコンサルタント料を支払ったが、原処分庁はこれを、譲渡費用には該当しないものとして更正処分を行ったため、その取消しを求めて、審査請求を行ったもである。 (2) 審判所の判断 こうした請求人の主張に対して、審判所は、以下のとおり、判断して、主張を斥けた。 まず、取得費等については、以下のように定義している。 そのうえで、コンサルタント料については、「土地の取得の説得に係る対価又は謝礼は、本件土地の客観的価格を構成すべき取得代金にも、本件土地を取得するための付随費用にも当たらない」ことから、取得費に該当しない、と結論づけた。 一方、譲渡費用についても、以下のように定義している。 そして、請求人が主張する建物の改良行為については、「いずれも本件各建物を通常使用した場合に必要となる一般の修繕又は維持管理であり、本件各建物の価値を高めるもの」とは認められないことから、「不動産所得に係る必要経費」であり、客観的にみて「土地の譲渡を実現するために必要な費用に該当するということはできない」として、原処分庁による更正処分を認め、請求人の申立てを棄却した。 (了)
#100(掲載号)
#米澤 勝
2014/12/26
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《速報解説》 国税庁、美術品等についての減価償却資産の判定について改正通達を発出~経過措置により過去に取得した20万円以上100万円未満の美術品等の償却が可能に

《速報解説》 国税庁、美術品等についての減価償却資産の判定について改正通達を発出 ~経過措置により過去に取得した20万円以上100万円未満の美術品等の償却が可能に   Profession Journal編集部   既報のとおり、国税庁は、法人税基本通達7-1-1(書画、骨とう等)に定める減価しない美術品等の範囲について、取得価額20万円以上から100万円以上へと引き上げる見直し案をパブリックコメントに付したが、12月25日これを受けて改正通達を発出した。 ●減価償却しない美術品は「取得価額100円以上」で統一 改正された法人税基本通達は、「7-1-1(美術品等についての減価償却資産の判定)」とされ、改正の内容は、下記のとおりパブリックコメント時とほとんど同様となっている。   ●パブコメにより経過措置を見直し しかし、パブコメの内容から大きく修正された箇所が、経過措置となる「経過的取扱い・・・改正通達の適用時期」だ。 ここでは、既に取得している美術品等のうち、これまで減価償却ができなかった取得価額20万円以上100万円未満のものについて、1月1日以降開始する事業年度に償却が可能としていたわけだが、その償却の対応が明らかとなっている。   ●過去取得の取得価額20万円以上~100万円未満の美術品等の償却 対象となる過去取得の取得価額20万円以上~100万円未満の美術品等については、これまで償却が不可であったことから、1月以降もそのまま償却を行わないという選択【選択1】がある。 一方、1月以降に開始する事業年度で償却を行う場合には、原則として、保有する美術品等の取得時期が、償却方法の改正が行われた平成19年4月1日前の取得か、19年4月1日以後の取得かにより、大きく2つの区分に分けられる。 19年4月1日前に取得の場合は、旧定率・旧定額法によって償却を開始することになる【選択2-1】。 また、19年4月1日以後に取得の場合は、新定率法・新定額法によるわけだが、定率法の適用に際しては平成19年4月1日~24年3月31日の取得であれば250%定率法【選択2-2-1】が、24年4月1日~26年12月31日であれば200%定率法【選択2-2-2】がそれぞれ適用となる。 以上が原則的な扱いだが、注目されるのが、特例的な取扱いとして、過去取得の美術品等であっても1月1日以降に取得したとする「みなし取得」の規定をおいている点だ。 つまり、たとえ19年以前の取得であったとしても、取得時期を27年1月1日以後とみなすことで、現行の償却方法を認めるというものだ【選択3】。 この措置によって、中小企業者等については取得価額30万円未満の減価償却資産の即時償却を認める措置法67条の5(中小企業者等の少額減価償却資産の取得価額の損金算入の特例)の適用が可能となる。 〈取得価額が20万円以上~100万円未満の美術品等〉 平成27年1月1日以後開始する事業年度で・・・   ●法人の状況に応じて有利判断を 以上のように、これまで償却できなかった取得価額20万円以上~100万円未満の美術品等について償却する場合には、みなし取得も認められるため、法人の状況に応じた償却の判断が求められる。 その留意点は、次のとおり。 この改正については同じ内容を定める所得税基本通達2-14や連結納税基本通達6-1-1も同様に見直されている。 (了)
#100(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2014/12/26
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2015年初の公開について~No.101は1月8日(木)公開

  - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。
#Profession Journal 編集部
2014/12/25
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《速報解説》 ASBJより「自己株式等会計基準」「退職給付会計基準」「在外子会社の取扱いに関する実務対応報告」等の改正(公開草案)が公表~各改正の適用時期に留意~

《速報解説》 ASBJより「自己株式等会計基準」「退職給付会計基準」「在外子会社の取扱いに関する実務対応報告」等の改正(公開草案)が公表 ~各改正の適用時期に留意~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成26年12月24日、企業会計基準委員会は次の公開草案を公表した。 意見募集期間は、平成27年2月24日までである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 自己株式及び準備金の額の減少等に関する会計基準(案)等 1 主な改正内容 平成26年3月26日付の「財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令」(平成26年内閣府令第19号)の単体開示の簡素化により、財務諸表等規則107条2項では、財務諸表提出会社が連結財務諸表を作成している場合には、自己株式に関する注記を要しないと規定されている。 当該規定に対応して、以下のように改正する。 なお、アンダーラインは筆者が記載したものである。 2 適用時期等 改正された会計基準等は、公表日以後適用する。   Ⅲ 退職給付に関する会計基準の適用指針(案) 1 主な改正内容 平成24年1月31日付で厚生労働省から発出された、厚生労働省通知「厚生年金基金の財政運営について等の一部改正及び特例的扱いについて」などにおいて、厚生年金基金及び確定給付企業年金に関する財務諸表の表示方法について変更が行われている。 当該変更に対応して、複数事業主制度の会計処理及び開示に関する「確定拠出制度に準じた場合の開示」について改正する(「退職給付に関する会計基準の適用指針(案)」65項)。 2 適用時期等 改正された適用指針は、公表日以後適用する。 当該改正の適用にあたっては、表示方法の変更として取り扱い、「会計上の変更及び誤謬の訂正に関する会計基準」(企業会計基準第24号)14項の定めに従って、表示する過去の期間における適用指針(案)65項の注記についても新たな表示方法を適用する。   Ⅳ 連結財務諸表作成における在外子会社の会計処理に関する当面の取扱い(案) 1 主な改正内容 平成26年1月に改正された米国におけるのれんに関する会計基準への対応及び平成25年9月に改正された「連結財務諸表に関する会計基準」(企業会計基準第22号)への対応として、次の改正を行う。 2 適用時期等 改正された実務対応報告は、平成27年4月1日以後開始する連結会計年度の期首から適用する。 適用に際しての詳細な規定が設けられているので、注意が必要である。 (了)
#100(掲載号)
#阿部 光成
2014/12/25
お知らせ その他お知らせ

Profession Journal No.100が公開されました!~今週のお薦め記事~

2014年12月25日(木)AM10:30、 Profession Journal(プロフェッションジャーナル)  No.100 が公開されました。   - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。
#Profession Journal 編集部
2014/12/25
法人税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

山本守之の法人税“一刀両断” 【第6回】「寄附金課税を考える」

山本守之の 法人税 “一刀両断” 【第6回】 「寄附金課税を考える」   税理士 山本 守之   1 寄附金はなぜ損金不算入か 寄附金の損金不算入規定が創設されたのは昭和17年2月(太平洋戦争〈昭和16年12月8日〉勃発の直後)でしたから、この規定の趣旨は、寄附金を損金の額に算入すると、企業が負担する税の減少を生じ、寄附金の一部を国が負担したと同じような結果になって課税の公平上好ましくないというものでした。 ただ、現行の法人税法においても損金不算入の規制を行っているのは、財政収入の確保や課税の公平の見地からだけでなく、費用収益対応の所得計算原理が大きく影響していると考えるべきでしょう。 すなわち、寄附金は反対給付がなく、個々の寄附金支出について、これが法人の事業に直接関連があるものであるか否か明確ではなく、かつ、直接関連のあるものとないものを区別することは実務上極めて困難ですから、一種の形式基準によって事業に関連あるものを擬制的に定め(損金算入限度額)、これを超える金額を損金不算入としているのです。 この点について、昭和38年12月6日の大阪地裁では、 としています。   2 税制調査会委員の誤り 税制調査会の討議のなかで、次のように誤った指摘があります。 ①は税制調査会が個人と法人との間の所得計算における「必要経費」と「損金」の違いを理解していないために生じたものでしょう。 個人の「必要経費」は、収入を得るために直接要した費用としているため、それが収入を得るために必要な費用か否かで必要経費性を判断すればよいので、事業関連のない寄附金は必要経費ではないのです。そこで、損金算入限度額のような特別の規定を税法に置く必要はないのですが、法人の場合は一般に公正妥当と認められる会計処理の基準からみて費用であれば原則として損金ですから、一般寄附金のように損金算入について規制を設ける必要があるものについては別段の定めを置いているのです。 ②については、例えば、アメリカの内国歳入法典162条(a)項では、 としています。 したがって、会計とセパレートとなっているアメリカの課税所得計算では、費用が「通常かつ必要でない」と認められれば、もともと損金の額に算入されないので、一般寄附金もその内容に応じて「通常かつ必要なものか否か」で振り分けられるため、一般寄附金の損金算入限度額を設ける必要がないのです。 このような意味からすれば、税調委員の指摘は的はずれといえます。 もともと、寄附金損金不算入という規定では海外にはないものです。例えば、日本では、親会社が子会社を援助すると直ちに寄附金の支出があったものとする税務執行が行われていますが、アメリカでは、親会社が子会社を援助するのは当然と考えており、強いて言えば一種の投資を行ったと考えるのです。 この点については、かつて筆者がアメリカの財務省(Department of Treasury)を訪問した際に財務副長官代理(制度問題担当)=〈当時〉のEric SOLOMON氏に「日本の税務では、親会社が子会社を援助すると寄附金として損金の額に算入されません。」と説明したところ、「それはおかしい。親会社が子会社を援助するのは当然だ。アメリカでは特別の場合は出資となるが、寄附金として損金不算入とすることはしない。」と抗議されました。日本の規定は戦費調達のために設けられたものですから、不合理なのは仕方ありません。   3 寄附金の課税 法人税法第37条第8項では、法人が資産の譲渡又は経済的利益の供与をした場合に、その譲渡又は供与の対価の額がその資産の譲渡時の時価又はその経済的利益の供与時の時価の額に比べて低いときは、その対価の額と時価との差額のうち実質的に贈与又は無償の給与をしたと認められる金額は、寄附金の額に含めることを明らかにしています。 これは、有償契約であっても、売買価額等を低くすることによって実質的に贈与する場合は、売買と贈与の混合した取引ですから、寄附金に含めようとするのです。 ところで、子会社(A社)が他に販売した鋼材を親会社(X社)が時価によって買戻しを行い、これを転売したところ鋼材の相場が下落したため損失が生じたという取引について争われた事件があります。   この事件で原処分庁(国税局)は、 として更正したのです。 これに対して、裁判所では、 として課税処分を取り消しました。 上記の判決文のうち、「自己の損失において専ら他の者に利益を供するという行為だけが寄附金になる」としたのは、寄附金の課税要件を示したものとして評価されます。 寄附金に該当すべき要件(課税要件)を整理してみると、次のようになります。   4 寄附金とならない場合の事例 自動車メーカーでは部品供給について「カンバン方式」(ジャスト・イン・タイム生産)を採用しているところが多いようです。これは後工程から前工程に部品運搬を指示するカンバンを回し、前工程はカンバンをみながら引き取られた分だけ部品を補充するというもので、過大な部品在庫は不要になります。 自動車メーカーが部品在庫を持たないとなると、部品メーカー等が災害で被害を受け、生産を停止すると、その納入を受けている自動車メーカーの生産がストップします。 自動車を構成する部品は3万点になりますが、部品在庫を減らすための「カンバン方式」は日本の自動車メーカーのコスト競争力の原点ともなっているのです。 このため、災害時には「如何に止めないか」より、「如何に再開するか」に力点が置かれるのです。 自動車メーカーと部品メーカーが一種の運命共同体となっているとき、自動車メーカーの部品メーカーに対する支援を単に贈与とみて寄附金課税をしてよいか否かが問題となります。 事例のように部品会社1社(A社)の災害による操業停止が次々と自動車メーカーに連鎖するのは、既に述べたカンバン方式(在庫を極力持たない)とともに、集中購買戦略によるコストの引下げという背景があるのです。 いずれにしても、部品在庫を持たない自動車メーカーは、部品メーカーの災害による生産の停止により部品の供給がストップし、自らの自動車生産の停止に追い込まれたのです。 このため、A社に災害復旧のために応援人員を配置したのです。 これは、部品メーカーの救済を通して、自動車メーカーが自ら被るであろう損失を回避するための費用支出です。寄附金になるはずはありません。 寄附金について、訴訟の場において判決文から捉えると次のようになります。 寄附金は、単に贈与又は経済的利益の供与という現象面からだけ捉えるのではなく、行為の背景を有機的に捉えて判断すべきです。 (了)
#100(掲載号)
#山本 守之
2014/12/25
消費税・地方消費税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

5%・8%税率が混在する消費税申告書の作成手順 【第3回】「全額控除方式による具体例」

5%・8%税率が混在する消費税申告書の作成手順 【第3回】 「全額控除方式による具体例」   アースタックス税理士法人 税理士 島添  浩 (監修) 税理士 小嶋 敏夫(執筆)   今回は全額控除方式を採用している事業者の確定申告書及び付表の記載方法を具体例に従って解説する。 設 例 A株式会社の当課税期間(平成26年1月1日~平成26年12月31日)の課税売上高等の状況は以下のとおりである。   【付表2-(2)の作成方法】 《記載見本》 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。   【付表1の作成方法】 《記載見本》 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 《確定申告書の記載見本》 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。 *  *  * 次回は、個別対応方式の場合の確定申告書及びその付表の作成方法を確認する。 (了)
#100(掲載号)
#小嶋 敏夫
2014/12/25
消費税・地方消費税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例21(消費税)】 「非課税売上対応課税仕入が多額にあったため、一括比例配分方式が有利であったにもかかわらず、非課税仕入との思い込みから不利な個別対応方式で申告してしまった事例」

「税理士損害賠償請求」 頻出事例に見る 原因・予防策のポイント 【事例21(消費税)】   税理士 齋藤 和助   《事例の概要》 平成X4年9月期の消費税につき、分譲住宅に係る非課税売上げがあり、これに対応する仕入はすべて非課税仕入との思い込みから、個別対応方式を選択して申告を行ったが、土地の仕入以外の建物の建設費用や土地の造成費用などは非課税売上対応課税仕入であったため、一括比例配分方式の方が有利であった。このため、不利な個別対応方式と有利な一括比例配分方式との差額200万円につき損害が発生し賠償請求を受けたものである。 なお、一括比例配分方式には2年間の継続適用要件があるため、平成X4年9月期に一括比例配分方式を選択した場合には、平成X5年9月期も一括比例配分方式となるが、平成X5年9月期は一括比例配分方式が有利であり、税理士も一括比例配分方式を選択して申告していることから、2年間の継続適用要件による回復額はない。   《賠償請求の経緯》 平成X2年5月10日 関与開始。 平成X4年5月31日 分譲住宅が完成し分譲開始。 平成X4年11月30日 分譲住宅に係る仕入はすべて非課税仕入との思い込みから、平成X4年9月期の消費税を個別対応方式で申告。 平成X5年11月2日 分譲住宅に係る仕入のうち土地以外は非課税売上対応課税仕入であったことから一括比例配分方式が有利であったことに気づく。 平成X5年12月5日 関与先に報告し、賠償請求を受ける。   《基礎知識》 ◆非課税仕入れ 非課税仕入れとは、土地や株券の購入費、支払利息などで、いかなる場合でも仕入税額控除はできない。 ◆非課税売上対応課税仕入 個別対応方式による仕入税額控除に規定する「その他の資産の譲渡等にのみ要するもの」であり、非課税資産の譲渡等を行うためにのみ必要な課税仕入れ等をいう。販売用の土地の造成に係る課税仕入れ、賃貸用住宅の建築に係る課税仕入れ等がこれに該当する。 この非課税売上対応課税仕入は個別対応方式を選択した場合には一切控除できないが、一括比例配分方式を選択した場合には課税売上割合分だけは控除することができる。 【個別対応方式】 【一括比例配分方式】   《税理士の落とし穴》   《税理士の責任》 依頼者は不動産業を営んでおり、損害期である平成X4年9月期に、自ら土地を購入してその上に住宅を建設して販売する分譲住宅の完成引渡しを受け、販売を開始していた。税理士は、この分譲住宅の仕入はすべて非課税仕入と思い込み、課税売上割合が30%であったことから、個別対応方式で消費税を計算して申告した。 しかし、実際には、非課税仕入は土地だけであり、建物の建設費用や土地の造成費用などは非課税売上対応課税仕入であったため、一括比例配分方式を選択すれば、これら非課税売上対応課税仕入は課税売上割合の30%部分の控除は可能であり有利であった。税理士は申告後にこの事実に自ら気づいている。 分譲住宅の仕入れのうち、建物の建設費用や土地の造成費用などは非課税売上対応課税仕入であることを正しく認識していれば、一括比例配分方式は採れたことから、税理士に責任がある。   《予防策》 [ポイント①] 非課税売上げが発生する業種には注意する 不動産業や不動産賃貸業、医療法人などの非課税売上げがあり、課税売上割合が恒常的に低い業種については、非課税売上対応課税仕入が多額に発生する事業年度には、一括比例配分方式が有利になる可能性があることを念頭に、事前にシミュレーションを行い、有利判定を行うように心がけたい。 [ポイント②] 意思決定の証拠を書面に残す 上記検討の結果、最終的にどちらを選択するかの意思決定は依頼者に求め、その判断を「意思決定通知書」などを作成して依頼者に提出してもらう等、証拠として書面に残すことが重要である。 (了)
#100(掲載号)
#齋藤 和助
2014/12/25
国際課税 税務 税務・会計 解説 解説一覧

法人税に係る帰属主義及びAOAの導入と実務への影響 【第4回】「改正の内容③」

法人税に係る帰属主義及び AOAの導入と実務への影響 【第4回】 「改正の内容③」   税理士法人トーマツ パートナー 税理士 小林 正彦   3-1-5-4  PE帰属資本に対応する負債利子の損金不算入 (1) 概要 AOAでは機能リスク分析の結果、PEが分離独立した企業であるとした場合に負担すべきリスクに見合う資本がPEに帰せられるべきとの考え方をとる。PEの有利子負債の額とPE帰属資本相当額(=自己資本+資本配賦額)を比較し、前者が後者を超える部分に相当する支払利子は損金不算入とされる(法法142の4①)。 (※) 上記及び下記①~⑨の算式・図表については「平成26年度税制改正の解説」(財務省)699~711頁より引用。   (2) PE帰属資本相当額 PE帰属資本相当額とは、外国法人の資本に相当する額のうちPEに帰せられるべき金額をいい、独立企業原則との整合性及び執行可能性といった観点から、「資本配賦法」と「同業法人比準法」のいずれかにより計算する(法令188②~⑥)。 イ 資本配賦法 外国法人の資本の額に、PE帰属資産の額の外国法人の総資産の額の割合を乗じて計算した金額による方法であり、外国法人の区分に応じて算定方法が選択できる。 ロ 同業法人比準法 外国法人のPE帰属資産の額に国内で同種の事業を行う法人(比較対象法人)の自己資本比率を乗じてPE帰属所得を計算する方法であり、外国法人の区分に応じて算定方法が選択できる。 (表) 外国法人のPE帰属資本配賦方法 【イ 資本配賦法】 【ロ 同業法人比準法】 (3) 危険勘案資産額の計算日の特例 各事業年度の確定申告書の提出期限までに危険勘案資産額を計算することが困難な常況にあると認められる場合には、上記の9つの算定方法のうち、簡易な方法を用いることが認められている方法以外の方法については、事業年度終了日前6月以内の一定の日における発生し得る危険を勘案して計算した金額を用いることができる(法令188⑦)。 (4) PE帰属資本相当額の計算方法の選定・変更 資本配賦法か同業法人比準法の選択は任意であるが、いったん選択した方法は特段の事情がない限り、継続適用する必要がある(法令188⑨)。簡便法から原則法への変更は自由にできる。 (5) 受取配当等の益金不算入制度に係る負債利子控除との調整 本制度により損金不算入とされる負債利子は、受取配当益金不算入制度における負債の利子からは控除される(法令188⑭)。 (了)
#100(掲載号)
#小林 正彦
2014/12/25
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貸倒損失における税務上の取扱い 【第33回】「法人税基本通達改正の歴史②」

貸倒損失における税務上の取扱い 【第33回】 「法人税基本通達改正の歴史②」   公認会計士 佐藤 信祐   前回、解説したように、昭和25年度にシャウプ勧告に基づいて貸倒準備金制度が導入されるとともに、法人税基本通達において、貸倒損失の明確化が図られた。 しかし、それだけで問題は解決されたわけではなく、「売掛債権の償却の特例等について(昭和29年7月24日直法1-140)」と題する通達が公表され、現在の個別評価金銭債権に係る貸倒引当金の原型ともいえる「債権償却引当金」が導入されるに至った。 以下では、本通達の具体的な内容と、昭和25年度税制改正から昭和29年度の上記通達導入までにおける貸倒損失の考え方について解説を行うこととする。   2 昭和29年個別通達の導入 まず、昭和29年3月6日に「会社更生法の適用を受けた会社に対して債権を有する者の課税上の特例について(昭和29年3月6日直法1-33、直所1-10)」が公表された。 その後、同年7月24日に「売掛債権の償却の特例等について(昭和29年7月24日直法1-140、直所1-77)」が公表された。なお、同年3月6日に公表された「会社更生法の適用を受けた会社に対して債権を有する者の課税上の特例について」は本通達の公表により廃止されることになった。このうち、「売掛債権の償却の特例等について」については、後述する昭和30年改正通達とともに、本稿の末尾に記載しているため、興味のある読者は一読されたい。 このような通達が公表された経緯については、 とのことである。 「売掛債権の償却の特例等について」は、1年を超える期末売掛債権の取扱いと、債権の貸倒れの特例の2つに大きく分かれている。 前者については1年以上こげつきとなっている売掛債権のうち利益部分について未収差益勘定として損金の額に算入することを認めるものであり、現在の法令通達には見られない規定である。当該未収差益勘定の取扱いについては、昭和39年度に本通達の内容が法人税基本通達に繰り入れられる際に廃止されることになる。 これに対し、後者については、同通達第1の二の2において、債権償却引当金勘定として処理することが明らかにされているが、その後、昭和39年度の法人税基本通達の改正により債権償却特別勘定に衣替えされた後に、平成10年度の税制改正により個別評価金銭債権に対する貸倒引当金として取り扱われることになる。 本通達の趣旨について、昭和35年当時、国税庁調査査察部調査課長であった松井静郎氏は ことから、一定の事由が生じた場合には、「直ちにその者に対する債権の2分の1を貸倒として損金に算入する特例」を認めることとしたためであると説明されている(『法人税の実務』600頁)。 なお、実際の通達を見てみると、貸倒れとなる金額が明らかに2分の1を超えることと認められるときは、所轄国税局長の承認を得て、当該超える金額についても、損金の額に算入することが認められており、その手続きについては、昭和29年12月7日付で「売掛債権の償却の特例等に関する通達の実施に伴う承認事務の取扱について」と題する通達が公表されている。 また、同通達第1の二の1において2分の1を計上することができる一定の事由が定められているが、その内容として、会社更生法、和議法(現在の民事再生法)、会社整理、特別清算、破産等が掲げられており、現在の個別評価金銭債権に対する貸倒引当金のうち、2分の1について貸倒引当金を計上することを認める規定(法令96①三)の原型ともいえるものが掲げられている。 さらに、同通達第1の二の4においては、弁済までの据置期間が5年を超えるものについて、損金の額に算入することを認めており、現在の個別評価金銭債権に対する貸倒引当金のうち、弁済までの据置期間が5年を超えるものについて貸倒引当金を計上することを認める規定(法令96①一)の原型ともいえるものが掲げられている。 しかしながら、現在の法人税法施行令96条1項2号に掲げる「債務超過の状態が相当期間継続し、かつ、その営む事業に好転の見通しがないこと、災害、経済事情の急変等により多大な損害が生じたことその他の事由により、当該金銭債権の一部の金額につきその取立て等の見込みがないと認められること」に相当するものは見当たらず、この点については本連載において解説する予定であるが、昭和42年度の法人税基本通達の改正により導入されることとなる。 このように、現在の個別評価金銭債権に対する貸倒引当金の原型ともいえる通達が公表されたが、昭和30年度に改正がなされた。債権償却引当金勘定についてのみ解説を行うと、昭和30年度の主な改正内容としては、以下のものが挙げられる。 債権償却引当金は未収差益勘定と異なり、利益部分についてのみ損金処理を行うものでないことから、売掛債権に限られるものではないが、その債権の種類の明確化を図り、「債権(売掛金、貸付金、前貸金等貸倒準備金勘定の設定の対象となる債権をいい、債権及び抵当権によつて担当されている部分を除く。)」が債権償却引当金勘定の対象となることが明らかにされた。 債権から担保物の価額を控除した金額が債権償却引当金勘定の対象となるが、担保物の価額は債権償却引当金を設定しようとするときの価額であることが明らかにされるとともに、当該担保が2番抵当であるときは、貸倒れの処理をしようとするときにおける当該担保物の価額から1番抵当によって担保されている債権の価額を控除した金額を当該担保物の価額とすることが明らかにされた。 債権金額について債権償却引当金勘定に繰り入れた金額があるときは、当該弁済は、まず債権償却引当金勘定に繰り入れた部分の債権金額以外の部分の債権金額から受けたものとみなして取り扱うことが明らかにされた。 このように導入された債権償却引当金勘定については、昭和39年度において、法人税基本通達に繰り入れられ、債権償却特別勘定と名前を変えることになる。 債権償却引当金勘定の特徴としては、法令の根拠なく導入されたものであり、通達により緩和措置を図ったということにある。当然のことながら、租税法律主義の観点からは問題となるため、平成10年度税制改正により個別評価金銭債権に対する貸倒引当金として法令に取り込まることになるが、当時の文献においても、「部分貸倒れを実質的に認めた」ように書かれているものもあり、平成10年度税制改正後においても、金子宏教授他多くの学者によって、現行法上の解釈としても、部分貸倒れが認められるべきであるとする主張がなされるに至っている。 次回においては昭和39年度の法人税基本通達による債権償却特別勘定の導入について解説を行う予定である。 (了)
#100(掲載号)
#佐藤 信祐
2014/12/25
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