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国際出向社員の人事労務上の留意点(海外から日本編) 【第2回】「エクスパットの社会保険適用」

国際出向社員の人事労務上の留意点 (海外から日本編) 【第2回】 「エクスパットの社会保険適用」   社会保険労務士 平澤 貞三     (1) 健康保険・厚生年金保険の取扱い 健保・厚生年金の適用事業所に「使用される」人は、その人の意思・地位・性別・年齢・収入・国籍を問わず、一部の例外(臨時に使用される人など)を除き、すべて健康保険・厚生年金保険の被保険者となる。 「使用される」とは、事実上の使用関係を意味するものであり、労務の提供の有無及びその報酬の支払関係、人事労務管理の有無などによって実態的に判断されるものである。 一般的に、保険者側の見方は、日本の子会社や支店が直接本人に金銭給与を支払っているかどうかを重要視しており、実際にはそれのみで判断していると言っても過言ではない。 最終的な加入の判断は保険者が行うものであり、ルールや基準による一定の答えは出てこないが、一般的には、金銭払いがなく現物給与のみ支給を受けているようなエクスパットの場合は、保険加入を要しないと判断されるケースが多いようである。 もちろん、社会保障協定の相手国から赴任しているエクスパットについては、厚生年金保険または健康保険、あるいはその両方の加入が免除される可能性があるため、事前に免除対象となる保険の種類を確認し、派遣元国の会社または本人を通じて相手国の保険者が発行する加入証明書を入手しておく必要がある。   (2) 雇用保険の取扱い 東京労働局職業安定部が発行する事務手引書による説明は次のとおりである。 実際に、ハローワークの窓口において外国の失業補償制度の適用を受けていることの立証は求められないため、外国の失業補償制度に加入していることを日本の受入企業側が認識できていれば、その事実をもって被保険者資格取得届を提出しない、というのが現実の事務処理である。もちろん、外国の失業補償制度に加入していないエクスパットであれば、被保険者資格取得届を提出することで日本での雇用保険加入は認められる。 各国との社会保障協定によれば、ベルギー、オランダ、チェコ、ハンガリーについては、その協定により、相手国の雇用保険制度に加入していれば他方の国では雇用保険加入が免除される仕組みになっているが、ハローワーク側では社会保障協定をあまり意識しておらず、二重加入にならないような自主的判断をされているようである。   (3) 労災保険の取扱い エクスパットの日本での活動内容は様々であり、その業務が日本の事業主の指揮命令下におけるものもあれば、出向元である海外の事業所からの命令であることもある。 業務災害が起きた場合は、その業務命令が誰のものかによってケースごとに労災保険の対象か非対象か判断されるものである。 毎年の労働保険料の対象賃金に加えるべきかどうか議論されるところであるが、エクスパットは民間の海外傷害保険などに加入していることが多く、実務上は対象賃金に加えていないケースが多い。 仮にエクスパットの賃金を保険料算定対象に含めていない場合でも、実際に日本側の指揮命令による業務中に労災事故が起きた場合は、その事故に対する給付を受けられるものであり、この場合、未納であったエクスパットの賃金に対する保険料は遡及して支払うことになる。 (了)
#82(掲載号)
#平澤 貞三
2014/08/21
労務・法務・経営 法務

改正会社法―改正の重要ポイントと企業実務における留意点 【第3回】「監査等委員会設置会社の導入」

改正会社法 ―改正の重要ポイントと企業実務における留意点 【第3回】 「監査等委員会設置会社の導入」   西村あさひ法律事務所 パートナー 弁護士・ニューヨーク州弁護士 柴田 寛子   改正会社法のポイントについて解説する本シリーズの第3回では、新しいガバナンス制度である監査等委員会設置会社について解説する。   1 監査等委員会設置会社とは 改正会社法により導入された監査等委員会設置会社とは、①株主総会、②取締役会、③監査等委員会(+会計監査人)の3つにより構成するガバナンス制度である。 監査等委員会は、取締役により構成され、監査役及び監査役会は設置されない。取締役会の監督機能強化による企業統治の充実を図るものであり、この点で現行法下の委員会設置会社と基調を同じくする。なお、改正会社法により、委員会設置会社は「指名委員会等設置会社」と名称が変更されることとなっている。改正会社法下の3つのガバナンス制度の比較におけるポイントは以下のとおりである。 〈改正会社法下の3つのガバナンス制度の比較〉   2 監査等委員会の任務 (1) 取締役等の職務執行の監査 監査等委員会の本質的な任務は、取締役の職務執行の監査である。当該監査は、適法性監査のみならず、妥当性監査も含む。当該監査については、指名委員会等設置会社と同様に、監査等委員自身ではなく、内部統制システム(取締役会により構築される、会社及びその企業集団の業務の適正を確保するための体制。改正会社法399条の13第1項1号ハ)を活用して行うことが想定されている。つまり、内部統制システムが適切に構成・運営されているかを監視し、必要に応じて同部門に対し具体的指示を行うことが、監査等委員会の任務とされている。 このように、監査等委員会においては、監査等委員自身による監査は想定されていないことから、「常勤」監査等委員の選任義務は課されていない。もっとも、法務省令において、常勤の監査等委員を選定していない場合にはその理由、また常勤監査等委員を選定した場合にはその理由及び当該常勤者に関する事項を事業報告に記載すべき旨を規定することが検討されている。 (2) 経営評価権限 監査等委員会は、監査委員以外の取締役の①選任・解任・辞任及び②報酬等について、監査等委員会において意見を決定する義務を負い(改正会社法399条の2第3項3号)、また、株主総会において意見を陳述することができる(選任について同法342条の2第1項、報酬等について同法361条6項)。 指名委員会等設置会社においては、上記①は指名委員会が(現行会社法404条1項)、②は報酬委員会が(同法404条3項)、それぞれ「決定権」を有するが、監査等委員会は、これらに及ばないまでも、かかる責務及び権限を通じて、社外取締役が過半数を占める委員会による経営評価を会社の運営に反映することを企図している。   3 監査等委員会の構成 (1) 員数及び社外取締役の要件 監査等委員会は最低3名の取締役から構成され、その「過半数」は社外取締役でなければならない。指名委員会等設置会社においては、各委員会の半数以上とされているため、社外取締役の選任義務は加重されている。 (2) 選解任時の独立性 監査等委員たる取締役の独立性確保の観点から、任期は2年とされ、定款による任期短縮も認められていない。なお、他の取締役の任期は1年と法定され、かつ、定款による任期の短縮が認められている(改正会社法332条1項、3項及び4項)。また、監査等委員の選任に関する株主総会議案については、監査等委員会に議案への同意権(拒否権)及び意見陳述権が付与されている(同法342条の2第1項)。さらに、解任には株主総会の特別決議が必要であり(同法344条の2第3項、309条2項7号)、かつ、解任・辞任に際しては、監査等委員に意見陳述権がある(同法342条の2第1項及び4項)。 (3) 報酬面での独立性 監査等委員たる取締役の選任及び報酬は、他の取締役と区別して株主総会の承認を得ることとされており、また、当該議案については、監査等委員の意見陳述権が付与されている(改正会社法361条2項・5項)。報酬の決議に際しては、総額(上限)の承認も可能であるが、具体的な配分は、監査等委員の協議により決定しなければならない(改正会社法361条2項・3項)。 これらの監査等委員会の構成上のポイントは下記のとおりである。   4 実務上の留意点 監査等委員会の概要は上記のとおりであるが、監査等委員会設置会社への移行による実務的なメリット及び移行に伴う負担として、どのようなものが考えられるであろうか。 (1) 監査等委員会設置会社への移行に伴うメリット ① 利益相反取引に関する任務懈怠推定の排除 改正会社法においては、いわば政策的に、監査等委員会設置会社の採用に伴うメリットが盛り込まれている。その一つが、利益相反取引について、監査等委員会が承認した場合には、任務懈怠の推定(現行及び改正会社法423条3項)は適用しないとの制度である(改正会社法423条4項)。 「利益相反取引」とは、①取締役と会社との間の取引であって、自己又は第三者の利益のために行うもの(例えば、会社に対する財産の譲渡)、及び、②取締役以外の第三者と会社との間の取引であって、取締役・会社間の利害が相反する取引(例えば、取締役の債務を会社が保証する)の双方を含み、(監査等委員会設置会社及び指名委員会等設置会社を含む)取締役会設置会社においては、当該取引を行うに際して、取締役会の承認が必要とされている(現行会社法365条1項)。 もっとも、当該承認を得ても、利益相反行為により会社に損害が生じた場合には、当該取引に従事した取締役及び取締役会において承認に賛同した取締役には、法律上、任務懈怠が推定されるが(現行・改正会社法433条3項)、監査等委員会設置会社においては、当該取引につき監査等委員会の承認を得た場合には、これらの取締役(ただし、監査等委員であるものを除く)に関し、任務懈怠の推定の適用はないとの制度が新設された(改正会社法433条4項)。 ② 取締役会の決議事項の簡素化 改正会社法はさらに、①取締役の過半数が社外取締役である場合、又は、②定款においてその旨の規定がある場合には、法定の事項(下記(2)②参照)を除いて、重要な業務執行の決定の全部又は一部を、取締役会から取締役に委任することが可能とされている。 取締役に委任可能な事項は、指名委員会等設置会社と実質的に同じであり(重要な財産の処分・譲受、自己株式の取得価額等の決定、公開会社における募集株式・新株予約権の募集時効の決定、社債の募集に関する重要事項の決定等。改正会社法406条、399条の13第5項・6項)、これにより、指名委員会等設置会社のメリットとされている機動的な会社経営というメリットを、(指名・報酬の両委員会を欠くという点で取締役会による監督機能が必ずしも同等とはいえない)監査等委員会設置会社においても享受することが可能とされている。 (2) 監査等委員会設置会社への移行に必要な手続 ① 定款変更 監査等委員会設置会社は、定款変更にその旨の定めをおくことにより選択するものである(改正会社法326条2項)。また、株式会社であれば足り、大会社や公開会社であることは要件とされていない。 かかる定款変更は、平成14年商法改正により委員会等設置会社制度(当時)が導入された際と同様、改正会社法の施行前に株主総会を開催して行うことが可能であり、この場合、かかる定款変更(監査等委員会設置会社への移行)の効力は、次の定時総会の終結時から生じることとなる。 ② 内部統制システム等の整備 監査等委員会設置会社においては、上記のとおり、内部統制システムを通じた監査を想定している。そのため、同制度導入に際しては、取締役会に対し、以下の各点を決定・整備する義務が課される。また、指名委員会等設置会社同様、「経営の基本方針」の決定義務も課されている。 (3) 実務に与える影響 監査等委員設置会社の実務上の魅力は、上記(1)の2点(利益相反取引に関する任務懈怠推定の排除及び取締役会の決議事項の簡素化)にあるといえる。 一方、実務上、導入に際してのハードルとなる可能性があるのは、監査等委員会において「過半数が社外取締役」との要件であろう。もっとも、指名委員会等設置会社で既に当該要件を充たせる状態にある会社や、監査役(会)設置会社であっても社外取締役の複数選任を実現している会社にとっては、この点は実務上の障害とはならないため、上記のメリット等を重視して、監査等委員会設置会社への移行を選択する例も少なからず登場するように思われる。 (了)
#82(掲載号)
#柴田 寛子
2014/08/21
読み物 連載

女性会計士の奮闘記 【第20話】「時にはお休み返上で・・・個人の税金相談も」

女性会計士の奮闘記 【第20話】 「時にはお休み返上で・・・個人の税金相談も」   公認会計士・税理士 小長谷 敦子     贈与に関する課税制度 ~生前贈与は最大の相続対策になります。将来を見据えた慎重な対策が必要です~ 贈与に対する課税制度には「暦年課税制度」と「相続時精算課税制度」の2種類があります。 2種類の制度を以下に比較してみましょう。 ※上記は平成27年以降適用による制度。 ◆ワンポントアドバイス◆ 普段は会社の税務や会計でだけで関わっているお客様であっても、時には個人的な相談を受けることがあります。 最近は相続の相談も増えています。相続や贈与に関する知識も身につけ、日ごろからしっかり準備しておくことが必要です。 また、急なお客様の要望にも応えられるよう、体調管理にも気を配りましょう。 (了)
#82(掲載号)
#小長谷 敦子
2014/08/21
お知らせ 相続税・贈与税 税務 税務・会計 税務情報の速報解説 速報解説一覧

《速報解説》 直系卑属への資産移転を目的とした贈与税改正(平成25年度)に係る改正措置法通達が公表~同一年中に「特例贈与」と「一般贈与」を受けた場合の税額計算方法など説明~

 《速報解説》 直系卑属への資産移転を目的とした 贈与税改正(平成25年度)に係る改正措置法通達が公表 ~同一年中に「特例贈与」と「一般贈与」を受けた場合の税額計算方法など説明~   税理士 内山 隆一   平成26年6月30日付け、相続税基本通達等の一部改正が行われ(8/4公表)、平成25年度税制改正法(平成25年法律第5号)において創設された租税特別措置法第70条の2の4《直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例》及び同法70条の2の5《相続時精算課税適用者の特例》について所要の整備が行われた(改正通達の別紙4)。 これらはいずれも税制改正法に準じ平成27年1月1日以後の贈与から適用されることとなっており、その概要は次のとおりである。   1 措置法第70条の2の4《直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例》関連 我が国では「90歳以上の親」の財産を「60歳以上の子」が相続するというような現象が増加しており、こういった高齢化社会の進展を背景に、若年世代への資産移転の妨げとなっていた。 このような状況から、相続税について、「課税ベースの拡充」や「税率構造の見直し」を図り、死亡時まで財産を保有することによる相続税の負担を高める一方で、20歳以上の者が、直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率を緩和することにより若年層への生前贈与を促し、消費の拡大や経済の活性化を図ることとしている。 今回の通達改正では直系尊属の範囲について、措置法通達70の2-1を準用する旨(70の2の4-1)と、この規定の対象となる直系尊属からの贈与(以下「特例贈与財産」という)と直系尊属以外の者からの贈与(以下「一般贈与財産」という)がある場合の贈与税額の算定方法について、計算式をもって補足している(70の2の4-2)。 具体的には、贈与税の課税価格全体について、特例税率、一般税率をそれぞれ適用し、これをそれぞれの財産の価格に応じて按分した税額を合計するというのもので、計算式で示すと次のとおりである。 【具体例】 贈与により、次の財産を取得した場合の税額 (1) 課税価格 5,000,000円-1,100,000円(基礎控除)=3,900,000円 (2) 税額 ① 特例贈与財産対応分 課税価格200万円超400万円以下の場合⇒課税価格×15%-10万円=贈与税の額 3,900,000円×15%-100,000円=485,000円 ② 一般贈与財産対応分 課税価格300万円超400万円以下の場合⇒課税価格×20%-25万円=贈与税の額 3,900,000円×20%-250,000円=530,000円 ③ ①+②=503,000円(贈与税の額)   2 措置法第70条の2の5《相続時精算課税適用者の特例》関連 相続時精算課税制度は、被相続人の生前贈与について、最終的には相続時に相続税として精算するものである。資産の移転時期の選択が柔軟に行えることと、相続税が課税されない層にとっては、税負担なく早期に次の世代に財産移転が行えるといった利点があったが、贈与者の年齢は「65歳以上」、受贈者は「20歳以上である推定相続人」に限定されていた。 そこで平成25年度改正により、平成27年1月1日以後は、贈与者の年齢が「60歳以上」に引き下げられ、また、受贈者の範囲に「20歳以上の孫」が加えられることとなっていた。 今回の通達改正では、孫となる前の贈与についての不適用(措置法第70条の2の5第2項)について、暦年課税により贈与税が課税される旨補足している。 例えば年の中途において贈与者の子と養子縁組をしたことにより贈与者の孫になった者に対する贈与については、同一年における贈与であっても養子縁組前の贈与は暦年課税となり、養子縁組後の贈与についてのみ精算課税の適用が受けられることとなる(70の2の5-1)。 また、贈与段階における申告手続等、相続段階における相続税の計算等について、相続時精算課税関係通達(相続税法基本通達19-11、21の9-2、21の9-3、21の9-5から21の18-2)を準用する旨を補足している(70の2の5-2)。 (了)
#81(掲載号)
#内山 隆一
2014/08/20
お知らせ 会計 会計情報の速報解説 監査 税務・会計 財務諸表監査 速報解説一覧

《速報解説》 「監査及び四半期レビュー契約書の作成例」等の改正について ~監査基準委員会報告書800・805に準じ作成例を追加~

《速報解説》 「監査及び四半期レビュー契約書の作成例」等の改正について ~監査基準委員会報告書800・805に準じ作成例を追加~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成26年8月18日付で、 日本公認会計士協会は次のものを公表した。 これらは、契約締結に際して留意すべき事項や内容等について例示して会員の業務の参考に資することを目的とするものであり、利用に際しては、適宜、追加、削除、修正されることが想定されている。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正事項 1 財務情報の保証業務等の契約書の作成 「Ⅳ レビュー」の「4.レビュー契約書に記載する事項」において、従来は詳細な記載が行われていたが、「業務実施者が、レビュー報告書にその配布又は利用制限を付すことが想定される場合は、契約書上で、レビュー報告書の配布又は利用制限等について合意しておく。」と記載されている。 また、「Ⅵ 作成例」の「1.レビュー契約書の作成例」の12条(レビュー報告書の利用等)1項に、次の記載が行われている。   2 監査及び四半期レビュー契約書の作成例 研究報告第14号の範囲として、監査の対象については、完全な一組の一般目的の財務諸表(監査基準委員会報告書700第3項)だけでなく、完全な一組の特別目的の財務諸表(同800第2項参照)、個別の財務表又は財務諸表項目等(同805第1項参照)のいずれの場合も対象となることが記載されている。 適正表示の枠組みか、準拠性の枠組みかで、以下のように、監査契約書における表現が変わる箇所があると述べられている。 出所:研究報告第14号、Ⅲ、1(4)③ (了)
#81(掲載号)
#阿部 光成
2014/08/20
お知らせ 会計 会計情報の速報解説 固定資産 税務・会計 財務会計 速報解説一覧

《速報解説》 「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」等に関する改正(公開草案)について~現行法令との整合性を図る改正。ただし「特別目的会社」関係の改正に注意~

《速報解説》 「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針」等に関する改正(公開草案)について ~現行法令との整合性を図る改正。ただし「特別目的会社」関係の改正に注意~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成26年8月18日、 日本公認会計士協会は次の公開草案を公表し、意見募集を行っている。 これらは、現在適用されている実務指針等について、いわゆるメンテナンスを行うものであり、現行の関連法令との整合性を図る修正、字句・体裁修正等を行っている。 ただし、①及び②については、従来の取扱いと異なるものを含む改正であり、特に削除される予定の24項及び25項について、注意が必要である。 また、③及び④については、新たな取扱いを定めるものではないとのことである。 意見募集期間は、平成26年9月19日までである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正事項 1 特別目的会社関係 次の改正を提案している。 上記の会計制度委員会報告第15号の改正に伴い、「特別目的会社を活用した不動産の流動化に係る譲渡人の会計処理に関する実務指針についてのQ&A」の次のQ5が削除される。 2 外貨建取引等関係 「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」の「設例4 複数の外貨建金銭債権債務等と為替予約等との対応」における売掛金への為替予約の振当計算の明確化が行われている。 3 金融商品会計関係 金融商品会計に関するQ&AのQ16において、次の規定を設け、持分法の適用対象となっている子会社及び関連会社が保有する親会社株式等の取扱いを明示している。   Ⅲ 適用時期 特別目的会社関係については、Ⅱの1をご覧いただきたい。 「外貨建取引等の会計処理に関する実務指針」及び金融商品会計に関するQ&Aの改正については、現行の取扱いを変更するものではないため、確定版の公表日以後に適用することを予定している。 (了)
#81(掲載号)
#阿部 光成
2014/08/20
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《速報解説》 「非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除」関係の改正措置法通達が公表 ~民事再生計画の認可決定があった場合の納税猶予税額の計算に係る5項目が新設~

 《速報解説》 「非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除」関係の 改正措置法通達が公表 ~民事再生計画の認可決定があった場合の納税猶予税額の計算に係る5項目が新設~   税理士 齋藤 和助   1 はじめに 国税庁は8月4日に「相続税基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」(課資2-12等,平成26年6月30日)を公表した。これは、平成25年度税制改正法及び26年度税制改正法等の施行等に対応したもので、本法関係では贈与税額控除、未成年者控除、措置法関係では相続時精算課税制度、事業承継税制、農地の納税猶予制度などが新たに手当てされた。 本稿は、その中から、「非上場株式等についての相続税の納税猶予及び免除」関係(別紙4)の改正点を整理した。   2 平成25年度税制改正のあらまし 事業承継税制は利用促進を図る観点から、平成25年度税制改正において、以下のように、さまざまな見直しが行われた。 ※画像をクリックすると、別ページでPDFファイルが開きます。   3 事業承継税制の改正に係る通達 今回公表された通達のうち、上記改正により新設されたものは以下となる。 (1) 事業承継期間の雇用確保要件の緩和に係るもの (2) 民事再生計画の認可決定があった場合の納税猶予税額の計算に係るもの これらの改正後の取扱いは原則として、平成27年1月1日以後に贈与又は相続等により取得する財産に係る贈与税・相続税に適用される。 (了)
#82(掲載号)
#齋藤 和助
2014/08/18
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《速報解説》 各控除額の見直し等に関する「相続税法基本通達」の改正が公表~平成27年以後の「相続開始前3年以内の贈与税額控除」の算出方法が明らかに~

 《速報解説》 各控除額の見直し等に関する「相続税法基本通達」の改正が公表 ~平成27年以後の「相続開始前3年以内の贈与税額控除」の算出方法が明らかに~   公認会計士・税理士 菊地 弘   1 はじめに 8月4日に国税局ホームページにおいて「相続税法基本通達等の一部改正について(法令解釈通達)」が公表された。 今回の改正通達は、平成25年度税制改正及び平成26年度税制改正事項に係る改正となっており、“別紙1”から“別紙4”までの構成となっているが、本稿ではそのうち平成25年度税制改正事項に係る“別紙2”(相続税法基本通達「第2章 課税価格、税率及び控除」関連)に記載されている内容を取り上げる。 なお、“別紙2”の取扱いは、平成27年1月1日以後に贈与又は相続若しくは遺贈により取得をする財産に係る贈与税又は相続税について適用される。   2 過年度(平成25年度)税制改正事項の確認 まずは“別紙2”に関連する平成25年度税制改正の概要について確認しておく。 (1) 相続税 (2) 贈与税   3 “別紙2”で改正された通達項目について “別紙2”で示された通達項目は以下のとおりである(新設されたものはない)。 以下では、上記のうち注目すべき項目2点を取り上げる。   4 19-7(相続税額から控除する贈与税額の計算)について  相続税法基本通達19-7(相続税額から控除する贈与税額の計算)において、次の箇所が注記として追加された。 相続開始前3年以内に贈与があった場合に相続税額から控除する贈与税額の計算をする際、直系尊属から贈与を受けた場合の贈与税の税率の特例(措置法第70条の2の4:上記2(2))が創設されたことにより、平成27年1月1日以後は上記追加部分のとおり、贈与財産が「特例贈与財産」と「一般贈与財産」に該当する場合には、それぞれの財産別に算出し、その合計額を相続税額から控除する贈与税額とすることが明らかとなった。   5 19の3-3(胎児の未成年者控除)について 民法第886条では、(相続に関する胎児の権利能力)について「①胎児は、相続については、既に生まれたものとみなす。②前項の規定は、胎児が死体で生まれたときは、適用しない。」と規定している。 民法第886条に規定する胎児が生きて生まれた場合には、20歳に達するまでの年数は20年であるため、未成年者控除額はその子供1人につき10万円×20年=200万円となる(上記2(1)②)。相続税法基本通達19の3-3の下記改正内容は、このことを明示したものである。 (了)
#81(掲載号)
#菊地 弘
2014/08/15
お知らせ 会計 会計情報の速報解説 税務・会計 財務会計 速報解説一覧 開示関係

《速報解説》 「四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等について~四半期会計基準に対応し企業結合に係る暫定的な会計処理が確定した場合の取扱いを示す~

《速報解説》 「四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の 一部を改正する内閣府令(案)」等について ~四半期会計基準に対応し企業結合に係る暫定的な会計処理が確定した場合の取扱いを示す~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成26年8月8日、 金融庁は「四半期財務諸表等の用語、様式及び作成方法に関する規則等の一部を改正する内閣府令(案)」等を公表した。 公表された公開草案は次のとおりである。 公開草案は、平成26年5月16日付で改正された「四半期財務諸表に関する会計基準」(改正企業会計基準第12号)等に対応するものである。 意見募集期間は、平成26年9月8日までである。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正事項 1 企業結合に係る暫定的な会計処理が確定した場合の取扱い 平成26年5月16日付で改正された「四半期財務諸表に関する会計基準」(改正企業会計基準第12号)等では、企業結合に係る暫定的な会計処理が確定した場合の取扱いが示されている。 公開草案は、当該「四半期財務諸表に関する会計基準」(改正企業会計基準第12号)等に対応するものである。 四半期連結財務諸表規則20条についても、四半期財務諸表等規則と同様の改正が提案されている。 参考までに、「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」の該当箇所を示す。 2 財務諸表等規則関係 株主資本等変動計算書(様式第七号の二)の記載上の注意に、次の規定を設ける。 3 企業内容等開示ガイドライン関係 企業内容等開示ガイドライン5-21-2に、四半期連結財務諸表規則20条3項もしくは四半期財務諸表等規則15条3項に規定する暫定的な会計処理の確定について、規定を設ける。   Ⅲ 適用時期 平成27年4月1日以後開始する事業年度の期首以後実施される企業結合から適用する予定である(平成26年4月1日以後開始する事業年度の期首以後実施される企業結合から早期適用が可能)。 (了)
#81(掲載号)
#阿部 光成
2014/08/11
お知らせ その他お知らせ

Profession Journal No.81が公開されました!~今週のお薦め記事~

2014年8月7日(木)AM10:30、Profession Journal  No.81 が公開されました。 Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開してまいります。
#Profession Journal 編集部
2014/08/07
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