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産業競争力強化法の成立について(更新)
産業競争力強化法の成立について 12月4日に産業競争力強化法が第185回国会(臨時会)において可決・成立しました。公布後3ヶ月を超えない範囲内において、政令で定める日から施行されます。 〔追記2014/1/17〕 本日付の官報号外第9号において「産業競争力強化法の施行期日を定める政令」及び「産業競争力強化法施行令」等、関係政省令・告示が公布されました。 〔追記2014/1/14〕 「産業競争力強化法」の施行のための政令が閣議決定されました(経済産業省ホームページ)。 公布 平成26年1月17日(金)、施行 平成26年1月20日(月) 〔追記12/11〕 ◆12月11日付け官報(号外第269号)において、産業競争力法が公布されました。 ◆「産業競争力強化法施行令(案)等に対する意見募集について」(パブリックコメント) 10月1日に公表された「民間投資活性化等のための税制改正大網」における各特例措置については、この法律の施行の日から実質適用されるものもあります。下記に関連記事をまとめましたので、ぜひご覧ください。
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《速報解説》 産業競争力強化法の施行日は平成26年1月20日~関係政省令の公布について~
《速報解説》 産業競争力強化法の施行日は平成26年1月20日 ~関係政省令の公布について~ Profession Journal 編集部 平成26年1月17日付の官報号外第9号において「産業競争力強化法の施行期日を定める政令」及び「産業競争力強化法施行令」等、関係政省令・告示が公布され、産業競争力強化法の施行期日が平成26年1月20日と定められた(同法附則第1条第2号に掲げる規定(特許料の軽減措置等に係る規定)の施行期日は同年4月1日)。 「産業競争力強化法」(以下「本法」)は先の臨時国会において成立したもので、アベノミクス戦略として、日本経済の再生と産業競争力強化を目的に、企業の提案に基づく「規制改革」を実行するための新たな特例措置、「産業の新陳代謝」を促進するためのベンチャー投資や事業再編の促進などの措置が規定されている。 本法は昨年(平成25年)12月11日に公布されたが、附則第1条において「公布の日から起算して3月を超えない範囲内において政令で定める日から施行する」と規定されていたところ、上記政令により施行期日が確定したことになる。 「税制秋の陣」として昨年10月に与党が公表した「民間投資活性化等のための税制改正大網」では、景気刺激策としての企業減税に係る特例措置が織り込まれており、「産業競争力強化法の施行の日から適用する」とされているものがあることから、その施行期日がいつになるのか、実務家の間で注目されていた。 詳しくは下記の解説記事をご覧いただきたい。 なお、上記大綱に関する改正法案は、「平成26年度税制改正大綱」(12月24日閣議決定)と合わせて、1月24日に召集される通常国会において審議される予定となっているが、「事業再編等に係る登録免許税の軽減措置」については、本法の附則第29条(租税特別措置法の一部改正)において既に規定されているので留意しておきたい。 なお、施行期日を定める政令と共に、要件や手続規定を定めた関係政省令等についても官報同号にて公布されており、主に以下のようなものがある。 なお、「経済産業省関係産業競争力強化法施行規則」の第5条においては、本法第2条第13項で定義されていた「生産性向上設備等」についてのより詳しい要件が規定されており(官報同号P49)、上記大綱における「生産性向上設備投資促進税制」の適用にあたり参考になると思われる。 (了)
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Profession Journal No.52 公開のお知らせ
2014年1月16日(木)AM10:30、Profession Journal No.52 が公開されました。 Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開してまいります。 Web情報誌 Profession Journalは、プロフェッションネットワークのプレミアム会員専用の閲覧サービスです。 Profession Journalについての詳細はこちら。 バックナンバー一覧はこちら。
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酒井克彦の〈深読み◆租税法〉 【第13回】「土地譲渡に係る所得税と相続税との二重課税問題(その1)」
酒井克彦の 〈深読み◆租税法〉 【第13回】 「土地譲渡に係る所得税と相続税との二重課税問題(その1)」 国士舘大学法学部教授・法学博士 酒井 克彦 いわゆる『年金二重課税事件』と呼ばれる事例の上告審最高裁平成22年7月6日第二小法廷判決(判時2079号20頁。以下「平成22年最判」ともいう)は、相続人が取得した生命保険年金のうち、相続税の課税対象とされた年金受給権の額に相当する部分については、所得税が非課税であると判示した。このことは巷間知られているところである。 さて、この最高裁判決は、原告(被控訴人・上告人)の夫が訴外生命相互会社との間で締結していた生命保険契約(被保険者及び契約者:夫、受取人:原告)に基づき、夫の死亡により原告が受け取った年金払保障特約年金について、所得税法9条1項16号(訴訟当時は15号)の適用により所得税が非課税と判断された事例であるが、この判決の考え方が、他の二重課税が問題とされる事案にまで適用されると解するべきかが議論されている。 近時、この点を直接に争う事案が散見されるところ、本稿では、そのうちの代表的な事案の一つである東京地裁平成25年6月20日判決(判例集未登載。以下「本件東京地裁判決」ともいう)を素材にして、この点につき検討を加えることとしたい。 この事案では、相続した土地の譲渡において、当該土地に係る含み益のうち、被相続人が所有していた期間に係るものについては、相続税と譲渡所得に係る所得税との二重課税が生じているとして、所得税法の非課税規定が適用されると解するべきか否かが問題となっている。 Ⅰ 本件事案の概要 本件は、亡Aから相続により取得した不動産の譲渡に係る所得税を分離長期譲渡所得の金額に計上し、平成21年分所得税の確定申告をしたX(原告)が、上記譲渡に係る譲渡所得のうち、亡Aの保有期間中の増加益に相当する部分については所得税法9条1項15号(現行法16号。以下「本件非課税規定」ともいう)の規定により所得税を課されないことを理由に、S税務署長に対して、平成21年分所得税の更正の請求をしたところ、S税務署長から、更正をすべき理由がない旨の本件通知処分を受けたため、国Y(被告)を相手取り、かかる処分の取消しを求めた事案である。 本件の具体的事実関係はおおむね次のとおりである。 亡Aが平成19年10月7日に死亡したため、亡AとUとの間の子であるXは、本件土地及び建物(以下「本件建物等」という)の亡Aの共有持分を相続により取得した。その結果、XとUは、本件建物等をXが持分6分の5、Uが持分6分の1の割合で共有することとなった。X及びUは、平成21年7月31日に訴外Bに対して、代金2,100万円(Xの持分に相当する金額は1,750万円)で本件建物等を譲渡(以下「本件譲渡」という)した。 Xは、平成22年3月12日にS税務署長に対して、本件譲渡に係る譲渡所得の内訳として、譲渡価額1,750万円、取得費(昭和41年3月19日)282万1,237円、譲渡のための費用51万6,917円、譲渡所得金額1,416万1,846円を含む平成21年分所得税の確定申告を行った。 その後、Xは、平成23年3月2日に、S税務署長に対して、分離長期譲渡所得の金額を零円、還付金の額に相当する税額を48万3,195円とする平成21年分の所得税の更正の請求を行った。この更正の請求は、本件譲渡に係る譲渡所得のうち、亡Aの保有期間中の増加益に相当する部分については、本件非課税規定により所得税が課されないことを理由とするものである。なお、Xは、亡Aの相続に係る相続税の共有持分の相続税評価額を2,034万7,675円としていたところ、本件譲渡の代金2,100万円のうちXの持分に相当する金額は1,750万円であり、この金額は、上記相続税評価額を下回るものであるため、Xは、本件譲渡に係る譲渡所得の金額のすべてが非課税所得になると主張したのである。 Ⅱ 争点 本件の争点は、本件譲渡に係る譲渡所得のうち、亡Aの保有期間中の増加益に相当する部分については本件非課税規定により所得税を課されないか否かである。 Ⅲ 当事者の主張 1 Yの主張 次のとおり、本件譲渡に係る譲渡所得のうち、亡Aの保有期間中の増加益に相当する部分については本件非課税規定の適用はなく、この増加益に相当する部分については所得税が課される。 2 Xの主張 次のとおり、本件譲渡に係る譲渡所得のうち、亡Aの保有期間中の増加益に相当する部分については既に相続税が課税されているため、本件非課税規定が適用される。 さて、いずれの主張が妥当であろうか。 (続く)
国税通則
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改正国税通則法、施行後1年を検証する~税務調査は変わったか?【前編】
改正国税通則法、施行後1年を検証する ~税務調査は変わったか? 【前編】 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一 はじめに 平成25年1月1日から改正国税通則法が施行され、1年が経過した。 この改正では、法施行後における税務調査手続等を円滑かつ適切に実施する観点から、その施行前である平成24年10月1日から事前通知、修正申告等の勧奨の際の教示文の交付手続等が「先行的取組」として実施されているが、改正国税通則法に基づく新しい税務調査制度が実施されて以降、税務調査の現場において、税務当局や納税者にどのような影響を及ぼしているのか、2回に分けて検証することとする。 1 税務調査の実地件数に対する影響 国税庁の平成24事務年度(平成24年7月から25年6月)の各税目の実地調査件数は、3割程度減少していると公表されている。すなわち、所得税の実地調査は、6万9,974件(前年9万8,687件)であり、前事務年度から3割減少している。 この減少の要因としては、「①1件当たりの調査日数増加(1件当たり1.3日増加)」や「②国税通則法の改正による研修や事務量の増加」が挙げられている。 法人税の実地調査も前事務年度より27.4%減少して、9万3,000件となっている。法人税の調査1件当たりの日数は2.6日増加し、11.7日となっている。 これらの減少原因は、国税通則法の改正による理由附記の範囲の拡大や法令遵守に係るチェック項目の増加による事務量の増加、改正国税通則法の研修などが挙げられている。 また、相続税の実地調査の件数も12,210件と、前事務年度に比べて1割強減少している。これは、改正による影響で事務量が増加し、さらに調査1件当たりの平均日数が13.9日(前事務年度12.7日)に増加したことが原因となっている。 相続税の実地調査の件数が減少していることから、国税庁は、平成26年1月から、所得税調査で行われている納税者に文書を送付し申告書の見直しを促す取組み(簡易な接触)を実施することになっている。 このように、所得税、法人税そして相続税の実地調査の件数は、国税通則法の改正によって、確実に減少しているのである。 2 事前通知の法定化 国税通則法74条の9では、 として、調査に際し、事前通知をする旨を定めている。 法定化された「事前通知事項」は、次のとおりである。 これらの「事前通知事項」の通知は、原則として、納税義務者と税務代理人(税務代理権限証書を提出した税理士等)の両者に対して行うことになる。 国税庁は、事前通知を行う際に、当該職員に対し、納税者が理解しやすく丁寧に説明すべきと指導していることや、当該職員がこのような対応に不慣れで、ナーバスになっているためなのか、当該職員が電話等で事前通知を行う際には、間違えないように、文面を機械的に読み上げることが多い。 また、税理士に事前通知を連絡するとともに、納税者に対しても同様に連絡することになっている。従前は、税務代理人に調査の連絡をすれば、税務代理人にその旨を納税者に伝えることを依頼すればよかったのであるが、改正国税通則法では、双方に直接連絡することが求められている。 もっとも、納税者から事前通知の詳細を税務代理人から聞く旨の申立てがあれば、納税者に対しては、実地調査を行う旨のみ通知すればよいことになっている。 このように、事前調査の法定化(実質的にはその内容は変わらないのであるが)だけでも税務当局の手間が従前と比べ増えていることは明らかである。 3 物件の提示・提出 国税通則法74条の2では、 と規定している。 ここでいう「物件の提示」とは、「当該職員の求めに応じ、遅滞なく当該物件(その写しを含む)の内容を当該職員が確認しうる状態にして示す」ことをいい、「物件の提出」とは、「当該職員の求めに応じ、遅滞なく当該職員に当該物件の占有を移転すること」をいう。 また、「必要があるとき」については、具体的な判断基準を法令等で明確に示すことができないことから、最終的には、その調査を担当している税務職員の判断によらざるを得ない。 しかしながら、事務運営指針において、 として、当該職員に対し、相手方の理解と協力の下で実施することを指導している。 このような物件の提示・提出は、従前と大きく変わるものではないが、事務運営指針等でその運用を具体的に文言化されると、当該職員は自ずと、物件の提示・提出を行う際には慎重にならざるを得ない。また、税務調査に非協力的な納税者等のケースでは、物件の提示・提出を拒否され、説得することに(従前以上に)時間を要することも予想される。 そうすると、結果的に冒頭で述べたように、税務調査の日数が増えることになるのである。 (了)
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提出前に確認したい「国外財産調書制度」のポイントQ&A 【第2回】「対象となる国外財産の判定基準」
提出前に確認したい 「国外財産調書制度」のポイントQ&A 【第2回】 「対象となる国外財産の判定基準」 公認会計士・税理士 前原 啓二 Q 国外財産調書の提出対象となる「国外財産」か否かは、どのように判別するのですか。 A (1) 国外財産調書の提出対象となる「国外財産」とは 国外財産調書の提出対象となる「国外財産」とは、国外にある財産をいう(調書法2七)。 (2) 国外財産調書の提出対象となる「国外財産」の所在 国外財産調書の提出対象となる「国外財産」の所在については、次のとおりとし、国外財産の所在の判定は、その年の12月31日における現況により行う(調書法10③、相法10)。 (了)
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平成25年分 確定申告実務の留意点 【第2回】「平成25年分の申告から適用される改正事項②」
平成25年分 確定申告実務の留意点 【第2回】 「平成25年分の申告から適用される改正事項②」 公認会計士・税理士 篠藤 敦子 第2回目は、平成25年分の所得税から適用される改正事項のうち、給与所得以外の所得に係るものについて主な内容を解説する。 【1】 退職所得課税の見直し 特定役員退職手当等に係る退職所得の金額は、退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した額とされた(所法30②)。 「特定役員退職手当等」とは、次の2つの要件を同時に満たす退職手当等をいう(所法30④)。 この改正により、退職所得の金額は次の通りとなる。 【2】 事業所得関係の改正 (1) 経営改善設備を取得した場合の特別償却、所得税額の特別控除の創設 ① 制度の対象者 青色申告書を提出する中小企業者に該当する個人(※) (※) 「中小企業者に該当する個人」・・・常時使用する従業員が1,000人以下の個人事業者(措令5の3⑥) ② 制度の概要 平成25年4月1日から平成27年3月31日までの間に、経営改善設備(※1)の取得等をして、指定事業(※2)の用に供した場合には、取得価額の30%の特別償却又は取得価額の7%の特別税額控除(その年分の事業所得に係る所得税額の20%を限度とし、控除限度超過額は1年間の繰越可)を選択適用することができる(措法10の5の3)。 (※1) 「経営改善設備」・・・「減価償却資産の耐用年数等に関する省令」別表第1の建物附属設備(60万円以上のもの)及び器具及び備品(30万円以上のもの)であり(措令5の6の3②)、中古品は対象外となる。 (※2) 「指定事業」・・・卸売業、小売業、農業、林業、漁業、水産養殖業、情報通信業、運送業、倉庫業、損害保険代理業、不動産業、その他一定のサービス業等(措令5の6の3③、措規5の10②) ③ 適用要件 この制度の適用を受けるには、次の要件をすべて満たす必要がある。 (2) 特別償却等の適用期限の延長 次の各制度について、適用期限が延長されている。 【3】 譲渡所得関係の改正 (1) 債務処理計画に基づき資産を贈与した場合の課税の特例の創設 ① 制度の対象者 中小企業者に該当する内国法人(※)の取締役等である個人で、その内国法人の債務の保証人である者 (※) 「中小企業者に該当する内国法人」・・・資本金の額が1億円以下の法人(資本金1億円超の大規模法人の子会社を除く) ② 制度の概要 平成25年4月1日から平成28年3月31日までの間に、①の個人が有する資産(有価証券を除く)でその資産の使用又は収益を目的とする権利がその内国法人の事業の用に供されているものを、その内国法人に贈与した場合には、当該贈与によるみなし譲渡課税は適用されない(措法40の3の2①)。 ③ 適用要件 この制度の適用を受けるには、次の要件をすべて満たす必要がある。 (2) 特定居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例の見直し 特定居住用財産の買換えの場合の長期譲渡所得の課税の特例の適用対象となる買換資産の範囲に、既存住宅売買瑕疵保険に加入している一定の中古住宅である家屋が追加された(措法36の2)。 これに伴い、確定申告書に添付する、その家屋が地震に対する安全性に係る基準に適合するものであることを証する書類の範囲に、家屋が既存住宅売買瑕疵保険に加入していることを証する書類(加入後2年以内のものに限る)が追加された(措法36の2、措規18の4②)。 この改正は、平成25年1月1日以後に居住用財産を譲渡し、同年4月1日以後に買換資産を取得する場合に適用される。 【4】 その他の改正 (1) 財産債務明細書の記載事項の改正 平成25年分以後の所得税について、財産債務明細書に記載すべき公社債等の価額は、その年の12月31日における価額(市場価格のない公社債等でその価額の計算が困難なものは、その取得価額)とすることとされた(所規104②)。 (2) 電子証明書等特別控除の廃止 電子証明書等特別控除は、適用期限の到来(平成24年分まで)をもって廃止された(旧措法41の19の5)。 (3) 東日本大震災の復興支援のための措置 東日本大震災の復興を支援するため、次の措置が創設され又は制度の見直しが行われている。各制度の詳細については、国税庁ホームページ「東日本大震災により被害を受けた場合等の税金の取扱いについて」をご参照いただきたい。 * * * 次回は、確定申告に係る住宅税制について解説を行う予定である。 (了)
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居住用財産の譲渡所得3,000万円特別控除[一問一答] 【第14問】「一時的に居住の用に供した家屋の譲渡」-居住用財産の範囲-
居住用財産の譲渡所得 3,000万円特別控除 [一問一答] 【第14問】 「一時的に居住の用に供した家屋の譲渡」 -居住用財産の範囲- 税理士 大久保 昭佳 Q Xは、長らく住んでいた家屋Aが老朽化したので、これを取り壊し、その跡地に家屋Bを建築しました。Xは、家屋Bの新築にあたり、長男に貸していたX所有の家屋Cから長男を立ち退かせ、新築家屋Bが完成するまでの約5ヶ月間、Xは家屋Cに入居しました。 Xは、家屋Bの完成後、直ちに家屋Bに移り、家屋Cをその敷地と共に売却しました。 この場合、「3,000万円特別控除(措法35)」の特例を受けることができるでしょうか? A 家屋Cは、一時的に居住の用に供した家屋であることから、「3,000万円特別控除」の特例の適用を受けることはできない。 〈解説〉 家屋Cは、家屋Bの建築期間中だけの一時的な仮住まいとして利用することを目的としていたものであり、また、家屋Bの完成後、Xは直ちに家屋Bに入居しており、家屋Cへの入居期間はわずか5ヶ月間に過ぎないので、家屋Cは、Xの居住用家屋には該当しない(措通31の3-2(居住用家屋の範囲)(2)イ)。 (了)
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〔しっかり身に付けたい!〕はじめての相続税申告業務 【第13回】「非上場株式(取引相場のない株式)の評価の仕組み」
〔しっかり身に付けたい!〕 はじめての相続税申告業務 【第13回】 「非上場株式(取引相場のない株式)の評価の仕組み」 税理士法人ネクスト 公認会計士・税理士 根岸 二良 今回は、非上場株式について検討を行う。 〔相続財産としての非上場株式〕 会社勤めで都市部に一戸建自宅を所有し、金融資産が多い方の相続税申告については、相続財産に非上場株式が含まれていることはほとんどないか、もしくは含まれていても所有議決権割合が少ないため、配当還元方式による評価となることが多いと推測される。 ただし、不動産賃貸事業以外の実業を営む非上場会社を経営するオーナーの方、所有不動産の規模が大きい不動産オーナー(資産管理会社のオーナー)の方の相続税申告の場合には、非上場株式が相続財産に含まれることになる。 非上場株式の相続税評価は、以下の算式で計算される。 〔所有株式数〕 所有株式は、株式会社であれば株主名簿を確認することで、所有株式数を把握する(*1)。 〔一株当たり株式評価額〕 非上場株式の相続税評価額については、財産評価基本通達178から189‐7に規定があるが、複雑な規定となっているため、一読して完全に理解するのは困難であると思われる。 理解せずに機械的に非上場株式の評価を行うと、大きなミスをしていても気づかず、後日トラブルとなる可能性が高くなる。 したがって、まず非上場株式の評価方法についての全体像を理解し、その上で個別規定を検討・理解していく方が、大きなミス防止の観点からも、また理解しやすさという観点からも、望ましいと考える。本稿では紙面の関係上、非上場株式の評価を詳細に解説することは割愛するが、非上場株式の評価の背景にある考え方を説明することとする。 〔評価方法の全体像〕 非上場株式の評価方法の全体像を示すと、図1のようになる。 図1 〔類似業種比準方式〕 上場会社と同規模又はそれを上回るような規模の大会社の株式は、仮に「取引相場のない会社の株式」が上場されていたとするならば、いくらの価額により評価されるか、という考え方による評価方法である。 評価対象である非上場会社の類似業種の上場株式の株価を基礎に、上場会社・評価対象である非上場会社の配当、利益、純資産を比準(比較)することで、非上場会社の株価を推定計算するものである。 この評価方法の考え方としては、評価対象である非上場会社と同様の業種を上場会社から選択し、その上場会社の株価から、評価対象である非上場会社の株価を推定計算するのであるが、業種が同様であれば株価が常に同じになるというわけではないため、株価の決定要因として、「配当」、「利益」、「純資産」の3つがあると判断し、それらを同業種の上場会社と、評価対象である非上場会社とで比較をすることで、評価対象である非上場会社の株価を、同業種の上場会社株価から、推定計算を行う仕組みをとっている。 具体的な類似業種比準価額の算式はここでは割愛するが、その意味するところは上記のとおりである。 〔純資産価額方式〕 規模においてほぼ同等と認められる個人事業者における財産評価との調整を図るという考え方に基づき、評価対象である非上場会社の資産、負債を、財産評価基本通達に従って評価し、その資産・負債差額を株式評価額とする方法である。 〔配当還元方式〕 少数零細株主は、会社に対する支配権や経営権の確保を目的として取引相場のない株式を所有しているとは言い難く、実質的には単に配当金を期待しているに留まるという現状や財産評価基本通達における評価の簡便性をも考慮し、将来の配当収入(過去配当実績により算定)を現在価値に割引計算して評価する方法である。 〔評価方法の適用〕 非上場株式の評価方法は上記のとおり、大きく分類すると「類似業種比準方式」、「純資産価額方式」、「配当還元方式」の3つがある(*2)。 ただし、これらの評価方法を任意に選択できるわけでなく、一定の条件(会社規模、議決権割合)に従い、どの評価方法で評価すべきか決められている。 議決権割合が低い場合には、会社支配権はなく配当のみを受領できる立場であるため、会社規模にかかわらず、「配当還元方式」による評価となる。 議決権割合が高く、会社支配権がある場合には、会社規模に応じて、評価方法が異なる。会社規模が大きい大会社であれば、上場が可能であるともいえるため、上場会社との比較推定計算である「類似業種比準方式」が適用される。 会社規模が小さければ、個人事業者と類似しているともいえるため、「純資産価額方式」による評価となる。会社規模が中会社である場合、折衷方式(純資産価額方式・類似業種比準方式を一定割合でそれぞれ考慮する方法)で評価する。 会社規模(大会社、中会社、小会社)区分は、直前期末1年間における従業員数、取引金額(売上高)、直前期末における総資産価額(会計上の帳簿価額)により行われる。 下記の図2は、「取引相場のない株式(出資)の評価明細書 第1表の2評価上の株主の判定及び会社規模の判定の明細書(続)」の一部(会社規模の判定部分)である。実務上は、これを用いて会社判定を行う。 図2 この表の(ト)(チ)(リ)の順序で、従業員数、総資産価額、取引金額に基づいて、会社規模の判定を行うこととなる。 (了)
法人税
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貸倒損失における税務上の取扱い 【第9回】「子会社支援のための無償取引⑤」
貸倒損失における税務上の取扱い 【第9回】 「子会社支援のための無償取引⑤」 公認会計士 佐藤 信祐 第6回目から第8回目においては、法人税基本通達9-4-2が定められる前において、無利息貸付けを行った事例を分析した。 第9回目にあたる本稿からは、法人税基本通達9-4-2が定められた後に低利貸付けを行った事例を分析することにより、法人税基本通達9-4-2の基本的な考え方についての分析を行うこととする。 なお、本稿で取り上げる事例は、納税者側が法人税基本通達9-4-2に規定する相当の理由が存することを主張しており、非常に興味深い事例である。 5 低利貸付けに対する寄附金否認 (1) 第1審・鹿児島地裁平成13年10月1日判決(税資251号順号8988) ① 判決の概要 第1審においては、平均借入利率よりも低い利率で貸付けを行っており、子会社に対する経済的利益の供与があると認定し、かつ、業績不振の子会社の倒産を防止するためにされたやむを得ない貸付けというような性格もないことから相当の理由があると認められないため、寄附金として認定されるべきものとして、原告(納税者)の請求が棄却された。 なお、本事件においては、更正の理由附記についても争われているが、本連載は貸倒損失についての連載であり、直接的な関連性がないことから、本稿においては、その解説を省略する。 ② 争点1(本件各貸付けが、法37条7項の「経済的な利益の供与」に当たり、適正利率により算定された利息額と受取利息との差額は、同条項の「寄付金」に該当するか) (ⅰ) 被告側(鹿児島税務署長)の主張 (ⅱ) 原告側(納税者)の主張 ③ 争点2(本件貸付けには、基本通達9-4-2の「相当の理由」があるか) (ⅰ) 被告側(鹿児島税務署長)の主張 (ⅱ) 原告側(納税者)の主張 ④ 裁判所の判断 このように、被告側は寄付金に該当するものと主張し、原告側は寄付金に該当しないものと主張したが、裁判所は被告側の主張を認め、原告の請求が棄却された。その理由をまとめると以下の通りである。 (ⅰ) 争点1について (ⅱ) 争点2について ⑤ 総括 このように、第1審判決では、被告の主張を全面的に認め、原告の主張は棄却された。現在の実務においても、調達金利を基にグループ会社に対する貸付金利を算定することは一般的に行われており、違和感のない判決である。 なお、余剰資金を親会社に貸し付けるような場合には、定期預金の金利以上、親会社の調達金利未満で貸し付けるような事例も存在するが、これは経済合理性が認められる事案であり、寄附金として認定すべきではないと考えられる。 また、「相当の理由」について、厳しい判断がなされた点も注目すべき点である。次回以降では、控訴審判決、最高裁判決について触れたうえで、さらなる詳細な分析を行う予定である。 (了)
