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《速報解説》 中小企業等経営強化法の施行日は「平成28年7月1日」に~一定の経営力向上設備等取得で固定資産税が3年間半減も、認定までのスケジュールに留意

《速報解説》 中小企業等経営強化法の施行日は「平成28年7月1日」に ~一定の経営力向上設備等取得で固定資産税が3年間半減も、 認定までのスケジュールに留意   Profession Journal編集部   〇中小企業等経営強化法は7月1日施行へ 平成28年度税制改正で史上初の固定資産税による設備投資減税としてその施行時期に注目が集まっていた中小企業等経営強化法だが、このたび施行期日政令の公布により、平成28年7月1日からの施行で確定した(6月30日付官報第6807号)。 中小企業等経営強化法は中小企業・小規模事業者等の生産性の向上(経営力向上)を図ることを目的とし従前の「中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律」の一部改正により新たに制定されたもので、支援措置の柱は大きく次の2つに分けられる。 ①②の支援を受けるためには、中小企業者等が、国が定めた事業分野別の指針に基づき経営力向上計画(既報の通り設備投資を前提としたもの)を策定し認定を受ける必要がある(計画未達成による取り戻し措置は設けられていない)。 (※) 中小企業庁ホームページより   〇本年中取得の場合は計画認定までのスケジュールに留意 上記のうち税理士が特に注目すべきは①であり、経営力向上計画に基づき取得した設備(経営力向上設備等)のうち一定のものにかかる固定資産税が最初の3年間、1/2に軽減されるため、同じ設備投資減税でも生産性向上設備投資促進税制のように特別償却や特別控除(税額控除)によるものとは異なり、赤字法人にも実際の減税効果が見込まれる点がポイントだ。 (※) 中小企業庁ホームページより 具体的には、本年(平成28年)中に上記の手続(申請→認定)を経て対象設備を取得した場合、平成29年1月1日時点で所有する資産として申告され、平成29、30、31年度の3年間、固定資産税(償却資産税)が半減される(下図)。 (※) 中小企業庁ホームページより この特例が適用される設備は、この法律の施行日(7月1日)以後に取得したものが対象となるが、本年(平成28年)中に対象設備を取得して適用を受けようとする場合には、スケジュール管理に注意が必要だ。 つまり、平成28年中(7/1~12/31)に対象設備を取得しても、年内に経営力向上計画の認定が受けられず来年(平成29年)へ持ち越しとなった場合、平成29年1月1日時点で経営力向上設備等とはならないため、取得からの最初の3年のうち1年は減税措置が受けられず、減税期間は平成30年・31年の2年になってしまう。 取得した設備が経営力向上設備等と認定されるまでには、経営力向上計画の策定(及び対象設備の検討)、対象設備に係る工業会からの証明書入手(後日詳報)、担当省庁への計画の申請~認定(最大30日)といった複数の段階を要することから、年末までのスケジュールを確認し、クライアントへの早めの周知が欠かせない。 ちなみに、この特例は平成31年3月31日取得分までが対象とされるため、本年中の計画認定が厳しいと予測される場合には、無理をせず取得時期を来年へ先送りするのも一考だ(認定を受ける前に対象設備を取得した場合については、取得日から60日以内に計画が受理される必要がある)。 これらの点については、経済産業省が次のように注意喚起を行っているため、必ず目を通しておきたい(下線は編集部による)。   〇経営力向上計画は事業分野別指針を元に策定、税理士等のサポートも 「経営力向上計画に係る申請書」の様式はすでに中小企業庁ホームページ上で公表されているが、記載方法を記した説明部分を除き実質的には[別紙]の2枚で構成されており、以下が記入項目として設けられている(別途「申請書提出用チェックシート」を申請書に添付する必要がある)。 それぞれの記入項目はその事業者に係る「事業分野別指針」を確認しながら記入することになるが、本稿公開日現在で事業分野別指針は次の11分野が定められており(7月1日以降公表予定)、上記に該当しない事業については、別に定められた基本指針に順ずることになる(各事業分野別指針の概要についても資料が公表されている)。 この経営力向上計画の申請や計画実施に当たってのサポートは、今回の法改正により、すでに多くの税理士・税理士法人が認定を受けている経営革新等支援機関の支援対象の範囲となっており、クライアントサービスの一環としてしっかり取り組んでいきたいところだ。 ここで注意したいのが、事業分野によって申請書を提出する(認定を受ける)担当省庁が異なるという点。例えば、医療分野であれば担当省庁は厚生労働省となるが、自動車整備業の場合は国土交通省となるなど、提出先のミスもスケジュールの遅延につながりかねないことから、事前に担当と思われる省庁へ確認するなどの対応も必要となろう。 中小企業庁では6月下旬から全国で中小企業等経営強化法の説明会を開催しているが、すでに満席や受付終了となっている日程も多いため留意されたい(下記リンク先では、本稿で紹介した資料が掲載されている)。 (了) ↓お勧め連載記事↓

#No. 175(掲載号)
#Profession Journal 編集部
2016/06/30

《速報解説》 国税不服審判所「公表裁決事例(平成27年10月~12月)」~注目事例の紹介~

 《速報解説》 国税不服審判所 「公表裁決事例(平成27年10月~12月)」 ~注目事例の紹介~   税理士・公認不正検査士(CFE) 米澤 勝   国税不服審判所は、平成28年6月22日、「平成27年10月から12月分までの裁決事例の追加等」を公表した。今回追加されたのは表のとおり、全9件であった。 今回の公表裁決では、国税不服審判所によって課税処分等が全部又は一部が取り消された事例が7件、棄却された事例が2件となっている。税法・税目としては、国税通則法が4件、所得税法2件、法人税法、相続税法及び国税徴収法が各1件であった。 【公表裁決事例平成27年10月~12月分の一覧】 ※本稿で取り上げた裁決 本稿では、公表された9件の裁決事例のうち、重加算税に関する不服審判所の考え方が示された上記②及び③の裁決を含む3件の裁決事例を紹介したい。 なお、毎回のことであるが、論点を簡素化するため、複数の争点がある裁決については、その一部を割愛させていただいていることを、あらかじめお断りしておきたい。   1 重加算税(隠ぺい、仮装の意図)(前掲表②) (1) 争点 (2) 審判所の判断 国税不服審判所は、事実認定の結果、「請求人は、K社から日本における実習生等の管理等の委託を受けて本件業務等を行っていたと認められる」と判断し、「請求人は、本件業務等の事業主体であり、本件業務等は、請求人の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ、反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められるといえることから、本件所得は、事業所得に該当する」と結論づけた(争点①)。 また、請求人による、本件所得が事業所得に該当するのであれば、「V国への渡航に係る費用を必要経費に算入するべきである」という主張に対しては、「請求人のV国への渡航に係る費用の支出が、本件所得を生ずべき本件業務等と直接関係し、かつ、本件業務等の遂行上必要なものか否かが不明」であるうえ、「V国には請求人の両親が居住していること」などを理由に、「請求人が負担した当該費用は家事関連費に該当するとも考えられるところ、当該費用の主たる部分が本件所得を生ずべき本件業務等の遂行上必要なものであり、かつ、その必要である部分が明らかに区分することができる場合にも当たらない」ことから、必要経費に算入することはできないと判断した(争点②)。 次に、審判所は、重加算税を課するための要件について、下記のように定義した。 そのうえで、請求人が、 などを認定したうえで、請求人の行為を以下のようにまとめ、隠ぺい又は仮装があったことを認めた。 なお、前掲表中の裁決結果には、本件裁決について「一部取消し」と表記しているが、これは原処分庁において重加算税の賦課決定処分の一部に過誤があったものを是正したものであり、実質的には、請求は全面的に棄却されたものであることを付言しておく。   2 重加算税(隠ぺい、仮装の認定)(前掲表③) (1) 争点 (2) 審判所の判断 国税不服審判所は、相続財産である預貯金等の帰属について、以下のように定義している。 そのうえで、 から、各定期預金は、各預入日から相続の開始日までの間一貫して被相続人が管理、運用してきたものであり、被相続人に帰属する相続財産と認められると判断した(争点①)。 また、各定期預金については、遺産分割協議書に個別的な記載がないことから、原処分庁は、「記載のない財産については、妻に帰属する」という条項に基づき、子供ら名義の預金も妻に帰属すると主張したのに対し、審判所は、請求人らにおいて、そうした合意があったと認めることはできないとし、原処分庁の主張を退けた(争点②)。 そのうえで、重加算税(争点③)の賦課要件については、以下のように定義している。 そして、妻については、以下の事実を隠ぺいする行為があったと認定した。 また、子供らについても、以下の隠ぺい行為を認定した。   3 財産評価(宅地及び宅地の上に存する権利、前掲表⑧) (1) 争点 本件土地は、広大地通達に定める広大地に該当するか否か。 具体的には、都市計画法第4条第12項に規定する開発行為を行うとした場合に公共公益的施設用地の負担が必要と認められるか。 (2) 原処分庁の主張 本件土地は、原処分庁の作成した開発想定図のように分割を行えば、道路等の公共公益的施設用地の負担を必要としなくとも標準的な地積の宅地に分割することが可能であり、そのような土地についてまで、広大地通達を適用することを想定しているとは認められない。 (3) 審査請求人らの主張 本件土地は、請求人らの開発想定図又は分譲完了直前図のように公共公益的施設用地である道路を設けることによって、①全ての画地に利用度のメリットが付加され、②面積もバラエティに富み、③少々の不整形も道路による利用度でカバーされ、④道路により画地の向きも補正されることから、宅地としての財産価値が高まり、また、道路の設置による販売面積の不効率を完売による資金効率が上回るため、民間業者では当たり前の経済的に最も合理的な分譲ができるものとなっている。 経済的合理性の判断は、分譲が販売である以上、購入者側のニーズや予算すなわち需要という経済的合理性に応えた上でのものでなければならない。 (4) 審判所の判断 国税不服審判所は、広大地通達の趣旨について、次のように定義した。 そのうえで、審判所は、開発事例等を参考にしながら、「本件土地は、その形状、道路との接続状況及び本件地域における経済的に最も合理的と認められる戸建住宅用地としての開発などの形態からみて、開発行為を行うとした場合に道路等の公共公益的施設用地の負担が生じないと認めるのが相当である」と原処分庁の主張を認めて、次のように結論した。 一方、請求人らの主張に対しては、「開発行為を行うとした場合に道路を設置する必要は認められない」、「仮に、道路を設置することによって戸建住宅用地としての価値が上がったとしても、そのことが直ちに公共公益的施設用地の負担が必要か否かの判断に影響を与えるものではない」として、主張には理由がないとした。 また、本件土地が、相続開始日から約1年5ヶ月を経過した後、実際に道路が設置された開発が行われていることについては、「開発時点における本件土地の開発に影響を及ぼす諸状況等が、相続開始日時点と同じであるとまでは認められ」ないことから、「相続開始日後の開発形態のみにより、本件土地について相続開始日において開発行為を行うとした場合に道路の設置を伴う開発が経済的に最も合理的と認められる開発であるか否かを判断することは相当でない」と判断している。 なお、前掲表中の裁決結果には、本件裁決について「一部取消し」と表記しているが、これは審判所の認定により、土地の評価額が一部減額になったことに伴うものであり、本件で争点となった「広大地」をめぐる裁決は、原処分庁の主張を一方的に認めたものであった。 (了)

#No. 174(掲載号)
#米澤 勝
2016/06/29

《速報解説》 監査事務所への品質管理レビュー結果をまとめた「平成27年度 品質管理委員会年次報告書」を公表~減損会計、繰延税金資産等における改善勧告事項を紹介~

《速報解説》 監査事務所への品質管理レビュー結果をまとめた 「平成27年度 品質管理委員会年次報告書」を公表 ~減損会計、繰延税金資産等における改善勧告事項を紹介~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年6月24日(ホームページ掲載日)、日本公認会計士協会は、「平成27年度 品質管理委員会年次報告書」を公表した。また、同日、「平成27年度品質管理委員会活動に関する勧告書」もホームページに掲載している。 年次報告書は、監査法人又は公認会計士が行う監査の品質管理の状況をレビューする制度(品質管理レビュー制度)に基づくものであり、基本的な対象は、監査法人又は公認会計士である。 しかしながら、年次報告書に記載されている内容については、一般の事業会社における会計処理等にも関連するものがあるので、実務において参考になるものを紹介する。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 会計上の見積りに関する事項 会計上の見積りの監査に関して、次のような事項が述べられている(年次報告書1、(3)①、(4)④)。 下記のほか、経営者が会計上の見積りを行った方法とその基礎データを批判的に検討していない、前年度の財務諸表に計上されている会計上の見積りの確定額又は該当する場合には再見積額について検討していないという指摘もあったとのことである。   Ⅲ IFIAR の調査結果 監査監督機関国際フォーラム(以下「IFIAR」という)は、世界各国・地域の監査監督機関から構成された組織である。 IFIARは、加盟している監督機関が監査業務及び監査事務所の品質管理のシステムの検査で指摘した事項を、2012年以降、毎年調査しており、2015年の調査結果を2016年3月3日付けで公表している。 IFIARによる「上場企業の監査業務における品質管理の項目別の指摘数」では、次のものがあげられている(年次報告書2(3))。 公正価値測定で共通して見られた指摘として、利用したデータの正確性を十分に検証していないことが述べられている。 (了)

#No. 174(掲載号)
#阿部 光成
2016/06/28

《速報解説》 譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)割当に係る開示府令の改正(公開草案)が公表~第三者割当の定義から除外し普及を促進。7月下旬以降の施行予定~

《速報解説》 譲渡制限付株式(リストリクテッド・ストック)割当に係る 開示府令の改正(公開草案)が公表 ~第三者割当の定義から除外し普及を促進。7月下旬以降の施行予定~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年6月24日、金融庁は、「企業内容等の開示に関する内閣府令」等の改正案を公表し、意見募集を行っている。 これは、株式報酬として一定期間の譲渡制限が付された現物株式(いわゆるリストリクテッド・ストック)の割り当てをする場合に、役員等に対する報酬の支給の一種であることに鑑み、ストックオプションの付与と同様に、第三者割当の定義から除外し、有価証券届出書における「第三者割当の場合の特記事項」の記載を不要とする改正等を行うものである。 意見募集期間は平成28年7月25日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正内容 「企業内容等の開示に関する内閣府令」19条(臨時報告書の記載内容等)2項1号ヲに次の規定を設ける。 「企業内容等開示ガイドライン」5-7では次のように規定する。   Ⅲ 適用時期等 改正後の規定は、本年7月下旬以降に公布・施行する予定である。 (了)

#No. 174(掲載号)
#阿部 光成
2016/06/27

《速報解説》 「投資信託及び投資法人における特定資産の価格等の調査」の改正(公開草案)が公表~再生可能エネルギー発電設備及び公共施設等運営権の特定資産への追加等に対応~

《速報解説》 「投資信託及び投資法人における特定資産の価格等の調査」の 改正(公開草案)が公表 ~再生可能エネルギー発電設備及び公共施設等運営権の特定資産への追加等に対応~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年6月24日、日本公認会計士協会は、業種別委員会実務指針第23号「投資信託及び投資法人における特定資産の価格等の調査」の改正について(公開草案)を公表し、意見募集を行っている。 これは、平成26年8月29日に投資信託及び投資法人に関する法律施行令が改正され、投資信託及び投資法人が主として投資対象とすることができる資産である特定資産に再生可能エネルギー発電設備及び公共施設等運営権が追加されたこと、専門業務実務指針4400「合意された手続業務に関する実務指針」が公表されたことを受けたものである。 意見募集期間は平成28年7月25日までである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な改正内容 1 適用範囲 実務指針は、「投資信託及び投資法人に関する法律施行令」(平成12年政令第480号)第18条、第28条及び第124条に定める特定資産の価格等を調査する者としての公認会計士又は監査法人(以下「業務実施者」という)が、特定資産の価格等の調査に係る業務を合意された手続業務により実施する場合の合意された手続(「特定資産価格調査手続業務」という)、業務実施者の責任及び合意された手続実施結果報告書の作成等について取りまとめたものである(公開草案1項)。 2 契約の締結及び更新に関する留意事項 業務実施者は、特定資産価格調査手続業務(以下「本業務」という)に関して、専門業務実務指針4400第18項に従い業務契約書を締結するものとする(公開草案11項)。 ただし、専門業務実務指針4400第18項(5)「実施する手続の種類、時期及び範囲の詳細」については、手続対象となる特定資産、調査事項等が法令によって定められており(公開草案4項)、業務の対象となる特定資産に関する取引が常時反復的に行われる場合があること、取引が行われた計算期間の運用報告書作成までに実施結果報告書の発行が求められること等に鑑み、「投資信託及び投資法人に関する法律」に基づき特定資産の価格調査手続業務を実施する旨を定める包括的な契約を締結した上で、調査対象となるファンドの取引ごとに、実施する具体的な手続について覚書を締結し、合意する方法も考えられる(公開草案11項)。 次のことに注意する(公開草案12項)。 3 再生可能エネルギー発電設備又は公共施設等運営権について 再生可能エネルギー発電設備又は公共施設等運営権(以下、両者を総称して「インフラ資産」という)が調査対象の特定資産である場合には、公開草案13項(1)にかかわらず、当該インフラ資産の取引価格と比較可能な価格としての外部の専門家の評価額を会社から入手し、それぞれ売買契約書等の取引価格が記載された証憑及び会社より入手した専門家の評価報告書と照合するとともに、両者の差額につき再計算を行う(公開草案13項(3))。   Ⅲ 適用時期等 「業種別委員会実務指針第23号「投資信託及び投資法人における特定資産の価格等の調査」の改正について」は、平成30年4月1日以降に発行する手続実施結果報告書に適用する予定である(早期適用も予定されている)。 (了)

#No. 174(掲載号)
#阿部 光成
2016/06/27

《速報解説》会計士協会、「無形資産の評価実務」に関する研究報告を公表~M&AにおけるPPA目的の評価実務に有用~

《速報解説》 会計士協会、「無形資産の評価実務」に関する研究報告を公表 ~M&AにおけるPPA目的の評価実務に有用~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年6月14日付けで(ホームページ掲載は6月21日)、日本公認会計士協会は「無形資産の評価実務-M&A会計における評価とPPA業務-」(経営研究調査会研究報告第57号)を公表した。 これは、公認会計士がPPA目的(Purchase Price Allocation:M&Aにおける取得原価の配分目的)で無形資産の評価を委嘱された場合に、評価業務を実施し、その結果を依頼人に報告するための実務を中心にまとめたものである。 研究報告は、算定人に対して、記載された内容の実施を強制するものではないが、算定人が評価業務に際して参考とすることが期待されている。ただし、研究報告に拘束力はないとのことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 PPAは、M&Aにおいて取得企業が被取得企業を買収した際に支払った買収対価を、被取得企業に存在する資産、負債に配分し、財務諸表に計上する一連の作業をいうとしている(「はじめに」4(2))。 研究報告は72ページに及ぶ大部なものであり、また、M&AやPPAを利用した不正の可能性とその対応、不正と算定人の責任、無形資産評価における評価アプローチと評価法、無形資産等の評価例など多岐にわたる内容が記載されている。 このため、本稿では特徴的と思われる箇所について取り上げることとする。 1 PPA目的での無形資産評価の留意点 依頼人からの依頼によって公認会計士がPPA目的での無形資産の評価を行う場合、次の点に留意する必要がある(Ⅰ、1(4))。 2 M&AやPPAを利用した不正の可能性とその対応 公認会計士には、公認会計士法や倫理規則などの行動規範が定められている。また、無形資産の評価の専門家としてM&A当事会社の不正について重大な見落としがあった場合、公認会計士としての責任を問われかねない事態になる可能性もある(Ⅰ、3)。 M&Aの実施に問題がある可能性(M&Aが不正の手口として利用されることなど)、PPAの実施者であるM&A当事会社に実施能力の点で問題がある可能性(PPAを行うM&A当事会社が、それを行うだけの実務経験、専門的知識、資質に欠けていることなど)、または、無形資産の評価を行う状況にない可能性(依頼人であるM&A当事会社との間で、十分な協議の時間が与えられていないことなど)について算定人は常に注意を払い、適切な対応を図ることになる。 3 無形資産の評価方法 研究報告では次の無形資産の評価法について述べている(Ⅳ、2)。 出所:研究報告の【図表Ⅳ-2 本研究報告における無形資産の評価法】 研究報告では、無形資産等の評価アプローチごと、評価法ごとに設例を用いて評価の事例を検討している(Ⅴ)。 (了)

#No. 174(掲載号)
#阿部 光成
2016/06/27

《速報解説》 会計士協会、中小監査事務所等からの質問・提案を受け「監査ツール」を改正

《速報解説》 会計士協会、中小監査事務所等からの質問・提案を受け 「監査ツール」を改正   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年6月14日付けで(ホームページ掲載は6月21日)、日本公認会計士協会は「監査基準委員会研究報告第1号『監査ツール』の改正について」を公表した。これにより、平成28年4月21日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。 これは、中小監査事務所のツール利用者や品質管理レビューアーから寄せられた質問及び提案に基づき行ったものである。 公開草案に対する外部からのコメントはなかったが、内容には影響しない範囲での字句修正を一部行っているとのことである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 経営者による内部統制の無効化リスクへの対応など 「Ⅱ 主要な概念」の「1. リスクモデル」に《(8)リスク・アプローチの限界を補う監査手続》を追加し、経営者による内部統制の無効化リスクへの対応(21-2項)と重要な取引種類、勘定残高、開示等の各々に対する実証手続を立案し実施すること(21-3項)を追加する(11ページの図も修正、様式8-3、様式3-14)。 総勘定元帳に記録された仕訳入力、会計上の見積りにおける経営者の偏向、通例でないと判断されるその他の重要な取引などに関する監査手続が規定されている。 2 不正による重要な虚偽表示の兆候を示す状況の識別 以上の他、様式が改正されている。 (了)

#No. 174(掲載号)
#阿部 光成
2016/06/27

《速報解説》 「監査人から引受事務幹事会社への書簡」(コンフォート・レター)に係る実務指針等の改正が確定~平成28年6月17日以後締結される契約より適用~

《速報解説》 「監査人から引受事務幹事会社への書簡」(コンフォート・レター)に係る 実務指針等の改正が確定 ~平成28年6月17日以後締結される契約より適用~   公認会計士 阿部 光成   Ⅰ はじめに 平成28年6月17日、日本公認会計士協会は次の実務指針等を公表した。これにより、平成28年3月23日から意見募集されていた公開草案が確定することになる。 これは、比較情報に関する監査基準の改訂や、平成26年8月における指定国際基準に準拠して作成した連結財務諸表等に係る監査報告書に関する企業内容開示府令等の改正、また、書簡に関連する実務動向等を踏まえた対応である。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。   Ⅱ 主な内容 1 書簡(コンフォート・レター) 募集又は売出しによる株式、社債等の引受審査に関連して、発行会社及び引受事務幹事会社が発行会社の財務諸表を監査した公認会計士又は監査法人から受領する「監査人から引受事務幹事会社への書簡」(コンフォート・レター)の制度がある(1項)。 書簡は、発行会社による新規証券の発行等に際して、発行会社及び引受事務幹事会社からの依頼に基づき、監査人が届出書等に記載された発行会社の財務情報及びその後の変動につき調査した結果を、引受事務幹事会社に報告するために監査人が作成する文書のことである(6項)。 2 主な改正内容 監査・保証実務委員会実務指針の主な改正内容は次のほか、書簡の文例や経営者確認書の文例の改正である。 「要綱」については、監査・保証実務委員会実務指針の反映と契約書のひな型の改正であり、主に次の事項が公開草案から変更されている。   Ⅲ 適用時期等 「監査・保証実務委員会報告第68号「監査人から引受事務幹事会社への書簡について」の改正について」(平成28年6月17日)は、平成28年6月17日以後締結される契約について適用する。 (了)

#No. 174(掲載号)
#阿部 光成
2016/06/24

《速報解説》 大阪府、法定外目的税として「宿泊税」を新設~平成29年1月より課税開始、消費税の区分経理に留意~

《速報解説》 大阪府、法定外目的税として「宿泊税」を新設 ~平成29年1月より課税開始、消費税の区分経理に留意~   公認会計士・税理士 八代醍 和也   Ⅰ はじめに 総務省自治税務局は平成28年6月14日、大阪府が実施を要望・検討していた法定外目的税「宿泊税」の新設について同意することを発表した。 大阪府ホームページによると、宿泊税新設の目的は「本府が世界有数の国際都市として発展していくことを目指し、都市の魅力を高めるとともに、観光の振興を図る施策に要する費用に充てるため」としている。 今後、周知期間を経て、平成29年1月より課税が開始される予定である。   Ⅱ 宿泊税の概要 大阪府の宿泊税の概要は次のとおりである。 (※) 大阪府ホームページより 宿泊税は既に東京都において実施されている法定外目的税(各自治体が総務大臣に対して事前協議し、その同意を得ることにより、各自治体が条例により制定できる目的税)であり、今般大阪府において新設される宿泊税も、税率を除き、概ね東京都の宿泊税と同様のものとなっている。   Ⅲ 実務上の留意点 今回の宿泊税の導入に伴う留意点として、消費税の取扱いが挙げられる。 すなわち、消費税計算上、納税義務者が最終消費者である個別消費税は不課税扱いとされている(消費税法基本通達10-1-11)ため、ホテルが発行する請求書や領収書等に宿泊税の金額が別掲されている場合には、区分経理する必要がある。 課税開始後、大阪府内のホテルでの宿泊費の経理処理時には、この点留意されたい。 (了)

#No. 174(掲載号)
#八代醍 和也
2016/06/23

プロフェッションジャーナル No.174が公開されました!~今週のお薦め記事~

2016年6月23日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル  No.174を公開! プロフェッションジャーナルのリーフレットは 全国のTAC校舎で配布しています! -「イケプロが実践するPJの活用術」「第一線で活躍するプロフェッションからPJに寄せられた声」を掲載!-   - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。

#Profession Journal 編集部
2016/06/23
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