〔これなら作れる ・使える〕 中小企業の事業計画 【第4回】 「事業計画の作成手順(前編)」 税理士・中小企業診断士・ITストラテジスト 高畑 光伸 第2回までは、事業計画のうち、損益計画・資金計画の作成手順(定量面)を中心に解説した。第4回及び第5回では、事業計画の作成手順(定性面を含む)について整理する。 ◎ 事業計画の作成手順 事業計画を作成するSTEPを4段階に分けて整理する。事業計画を作成する事業者として、新製品開発又は新サービスの展開による経営改善など明確な目的を持っている場合、「ものづくり補助金」あるいは金融機関からの融資など資金調達が必要な場合、事業承継制度を検討している場合などさまざまなケースが想定される。 なお、各段階における検討の範囲・レベルは、それぞれのケースに応じて検討することになる。また、各段階は、順序どおり進めようとせずに、繰り返し修正を加えることで、事業計画の精度・納得感を高めていくことになる。 (1) 【STEP1】:事業・自社・顧客を把握する 事業者の現状を適切に把握することがスタートになる。経営目標を立てるためには、事業者の概要、事業環境(外部環境・内部環境)、業界の特徴などを確認する。 ① 事業者の概要 事業者の概要として、 などを把握する。また、小規模事業者であれば、経営者の家族構成などを把握することがある。 ② 事業環境(外部環境・内部環境) 事業環境は、外部環境(顧客)、内部環境(製品・サービス)の視点を中心に確認する。 また、ライバル(競合他社)の状況と比較することで、事業者の長所(強み、差別化要素)、短所(弱み)を把握する。 ③ 業界の特徴 事業者の経営課題を検討する際に、事業者の属する業界の動向などを把握することが重要である。業界の特徴として、収益性が高いか低いか、多様性があるかないかなど大枠を捉えておく。 また、業界の詳細な動向は、インターネットや書籍(きんざい出版「業種別審査事典」)などの情報源から入手することができる。以下、インターネット上において無料で閲覧できるWebサイトを参考としてあげておく。 《富士経済グループ「マーケット情報」》 次に、定量面での把握のため、財務分析を行う。財務諸表の数値を入力することで、売上高営業利益率、自己資本比率、従業員1人当たり売上高などの経営指標が自動的に計算される。業界平均値との比較から、事業者の特徴を把握することができる。以下、インターネット上において無料で利用できるWebサイトを参考としてあげておく。 《独立行政法人中小企業基盤整備機構「経営自己診断システムの診断例」》 ただし、業界平均値より経営指標の数値が低いからといって、「悪い」と評価しないことである。たとえば、売上高人件費率が業界平均値より高い場合、高いサービス水準を維持するために、あえて人件費を高く設定していることが考えられる。 あくまでも業界平均値と比較することで事業者の特徴を想定・仮説した上で、定性的な情報(事業構造など)と一致するかどうかを検討・検証することがポイントになる。 (2) 【STEP2】:経営目標を立てる 事業計画の作成では、経営目標(予算)が確定していることが前提である。経営目標は経営陣からトップダウンで設定するケース、あるいは各部門の現場で作成する売上計画、人員計画などの個別計画をボトムアップで積み上げて設定するケースがある(2つのケースの折衷方式もある)。 その際、事業者を支援する立場で、試算を求められるケースもある。ここでは、美容サービス業を例に次の数値で確認する。 ※販売費及び一般管理費、支払利息を固定費とする。 まずは、損益分岐点売上高(損失・利益も発生しない売上高)を計算する。 固定費の合計=8,000+500=8,500千円である。変動費率が15%であるため、固定費8,500千円を回収するためには、 が必要になる。現状(6月の段階)では、9,000千円で損益分岐点売上高を下回っているため、赤字である。 次に、目標利益を達成するための売上高を計算する。仮に目標とする経常利益を1,000千円と設定した場合、固定費8,500+経常利益1,000=9,500千円を回収するためには、 が必要になる。そして、次回の【STEP3】で目標売上高を達成するためのアクションプランを検討することになる。 なお、資金を借入れしている場合、元金返済額は損益計算書に反映されない。しかし、獲得した利益から元金を返済するため、元金返済も回収すべきものと考えることができる。よって、元金返済額を固定費に加算して、損益分岐点売上高・目標売上高を試算することが望ましい。たとえば、月額の元金返済額が1,200千円とした場合、固定費8,500+元金返済額1,200=9,700千円を回収するためには、 が必要になる。 (後編に続く)
〈小説〉 『所得課税第三部門にて。』 【第34話】 「オンライン税務調査」 公認会計士・税理士 八ッ尾 順一 「中尾統括官・・・新型コロナウイルスの影響で、今後の税務調査は、原則、オンラインになると思うのですが・・・」 浅田調査官は箸を持ちながら、中尾統括官に言う。 税務署の近くの蕎麦屋で、2人は対面ではなく、横並びで蕎麦を食べている。2日前まで休業していた蕎麦屋には、客は数人しかいない。新型コロナウイルスが騒がれる前は、お昼時には多くの客で店の中はごった返していた。 「なかなか客足は・・・元に戻りませんね・・・」 浅田調査官は、店の中をキョロキョロと見回している。 「君は前にも言ってたな。税務調査はオンラインになるって・・・」 中尾統括官は蕎麦を食べながら、尋ねる。 「僕はそう思うのですが・・・」 横に座っている浅田調査官は、中尾統括官の方ではなく、正面を向いて答える。 「しかし・・・納税者に直接会わずに、税務調査ができるのか・・・はなはだ疑問に思うのだが・・・」 中尾統括官も正面を向いたまま、チラリと横目で浅田調査官を見て言う。 「ベテランの調査官になると、相手の目の動きを見て、本当のことを言っているのか、噓を喋っているのかを判断するものだが・・・オンラインだと、互いにそれぞれの画面を見ているだけから、そもそも目と目が合わないだろう。」 中尾統括官は、苦笑する。 「しかし、それは・・・古典的な税務調査ですよね・・・」 浅田調査官は、皮肉を言う。 「僕は・・・納税者に直接会わなくても、オンラインで意思疎通ができますから、それで十分だと思います・・・それに税務調査は、原則、事前通知をしますから、ガサ入れなどしなくても調査はできると思います。」 「ほう、君は・・・税務調査にガサ入れは必要ないと思っているのか?」 中尾統括官は、箸でつかんだ蕎麦を持ったまま、横を向く。 「僕は今まで、税務調査で納税者のロッカーや机の引き出しの中などを見たことはありません。」 浅田調査官は、平然と言う。 「しかし・・・税務大学校での研修では・・・税務調査でのガサ入れなどを教えてもらっているだろう?」 中尾統括官は、不満そうに言う。 「ああ、あれは・・・時代遅れでしょう。」 浅田調査官の答えは、素っ気ない。 「初めて“ガサ入れ”という言葉を聞いたとき、ガサって何のことかわからなかったのですが、税務大学校の授業で『さがす』の反対が『がさ』で、警察で使われている隠語ということは教えてもらいましたけど。」 浅田調査官は、舌をペロッと出す。 「僕は、税務調査でわざわざ納税者の事務所や自宅に行く必要はないと思いますよ・・・個人の所得税は、一般にそれほど取引のボリュームもないので、提出された決算書の中の損益計算書や貸借対照表を精査して、異常な科目や数値について納税者に質問をすれば問題はないと思います・・・そして、取引先の資料せんなどから納税者の不正を発見できるように・・・納税者の情報をできるだけ収集すればよいのでは・・・」 そう言うと、浅田調査官は、蕎麦つゆを少し飲む。 「・・・やっぱり・・・オンライン税務調査に移行するかもしれません・・・」 浅田調査官は、横に座っている中尾統括官の顔をのぞく。 「例えば、税務署の中に税務調査の専用ブースが設けられて、その中で税務調査官が納税者とオンラインで接触し、調査を行う・・・なんてどうですか?」 浅田調査官が尋ねる。 「・・・」 中尾統括官は、黙ったまま腕を組んで、蕎麦屋の天井を見上げる。 「・・・調査官は、わざわざ納税者の事務所へ行く必要もないし、納税者も税務職員に来てもらいたくないだろうから・・・それに、マスク着用などの感染拡大防止策もオンラインでは必要がない・・・」 浅田調査官は独り言のように正面を向いたまま言う。 「そうだな・・・ひょっとすると君の言うように、オンライン税務調査が主流になるかもしれない・・・すでに国税庁では密かに、オンラインによる税務調査について、実施要項などを検討しているかもしれない・・・」 中尾統括官は、真剣な顔で答える。 「そうすると、オンラインでの税務職員と納税者とのやり取りは、録画することも可能になります・・・税務調査の可視化ですね・・・もっとも、オンライン税務調査を録画するということになると、国税通則法でその旨を規定する必要がある・・・」 浅田調査官の空想は膨らむ。 「税務職員と納税者のやり取りが録画されることによって、互いに迂闊なことが言えなくなるかもしれないな・・・」 中尾統括官は苦笑いをする。 「そうですよ・・・税務調査で、納税者に重加算税を認めさせる代わりに、増差所得金額を減らしてやるなんて話は、録画されるオンラインでは絶対にできない・・・」 浅田調査官は真面目な顔になる。 「それと、資料等のデータの送付は、情報セキュリティなどの安全性の観点からオンライン税務調査の導入を難しくしていると言われますが、オンラインで100%安全なんてことはありえないわけですから、むしろオンライン税務調査の大きなメリットを考えた場合、僕は、早急に導入した方が良いと思います。」 浅田調査官は、残っていた蕎麦をスルスルと一気に飲み込む。 「蕎麦を食べながら浅田君のオンライン税務調査講義を聞いたせいか、私は食欲が失せて、食べた気がしなかったよ。」 中尾統括官は、ゆっくり立ち上がると、浅田調査官をみた。 (つづく)
《速報解説》 国税庁から令和2年分の路線価が公表される ~全国平均路線価は5年連続上昇もコロナの影響は反映せず~ Profession Journal編集部 7月1日、国税庁は相続税や贈与税の算定基準となる令和2年分の路線価を公表した。 今年も上昇傾向は変わらず、令和2年分の全国平均路線価は対前年比1.6%増となり、5年連続の上昇を記録した。なお、1.6%の上昇率はここ5年において最も高い上昇率となっている。 上昇の要因としては、昨年と同様にインバウンド(訪日外国客)需要を中心に、都市部を中心とした再開発の影響が大きいとみられる。 なお、令和2年分の路線価については、新型コロナウイルスの流行前である2020年1月1日を評価時点としているため、その影響は反映されていない。 〇インバウンド需要による上昇傾向 都道府県別に路線価の傾向を見ると、21都道府県が上昇し、26県では下落となった。なかでも上昇率トップとなったのは沖縄県で10.5%のプラスとなり、昨年の8.3%を上回る高い上昇率となっている。 ここ数年の傾向として再開発が進む交通利便性の高い地域やインバウンド需要が見込める観光地を中心に上昇が続いていたが、来年以降はコロナの影響により、特にインバウンド需要に牽引されてきた地域については、この傾向は大きく変わることが想定される。 なお、今年も地点別の路線価で最高額となったのは東京都中央区銀座5丁目の「鳩居堂」前であり、1平方メートル当たり4,592万円となっている。これで35年連続の全国1位となったが、上昇率は昨年の2.9%に比べ、0.7%とさらにゆるやかとなっている。 〇実態との乖離に注意 上述したとおり、令和2年分の路線価は2020年1月1日を評価時点としているため、コロナによる影響は反映されていない。そのため、今後、コロナ禍を要因とした経済活動の停滞などにより地価が大幅に下落した場合、路線価と地価に大きな乖離が起こることも考えられる。 そこで、路線価と地価の隔たりから生じる実態と乖離した課税を防ぐことを目的に、コロナの影響で基準地価が広範囲で大幅に下落した場合、その地域の路線価を減額修正できる措置を国税庁が検討しているとの報道もある。 そのため、相続税や贈与税の算定をする際には最新情報の収集を行い、実態に即した納税を行えるよう、例年以上に慎重な対応が求められる。 (了)
《速報解説》 会計士協会が「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その6)」を公表 ~四半期レビューにおける留意点を明示~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2020年6月30日、日本公認会計士協会は、「新型コロナウイルス感染症に関連する監査上の留意事項(その6)」を公表した。 監査上の留意事項(その6)では、四半期決算を扱っており、四半期レビューにおける留意点について述べている。 なお、2020年6月26日に、企業会計基準委員会は、「新型コロナウイルス感染症への対応(会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方)」を更新し、四半期決算における考え方について述べている。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 四半期決算における固定資産の減損に関する留意事項 四半期会計期間における減損の兆候の把握に当たっては、使用範囲又は方法について当該資産又は資産グループの回収可能価額を著しく低下させる変化を生じさせるような意思決定や、経営環境の著しい悪化に該当する事象が発生したかどうかについて留意するとされている(「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第14号)14項、92項)。 そこで、四半期レビュー手続を実施する際には、新型コロナウイルス感染症に関連して、資産又は資産グループの使用範囲又は方法について当該資産又は資産グループの回収可能価額を著しく低下させる変化を生じさせるような意思決定や、経営環境の著しい悪化に該当する事象が発生している可能性があることに留意し、質問事項について十分な知識を有し、責任をもって回答できる適切な経営者又は役職者等を選択して的確な質問を実施する必要があると述べている(「四半期レビューに関する実務指針」(監査・保証実務委員会報告第83号)31項、33項)。 Ⅲ 四半期決算における繰延税金資産の回収可能性に関する留意事項 四半期財務諸表に計上された繰延税金資産の回収可能性の判断は、原則として、年度決算と同様の方法により行い、四半期決算日ごとに、将来の回収見込みについて見直しを行う(「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」94項)。 ただし、四半期決算における繰延税金資産の回収可能性の判断に当たっては、重要な企業結合や事業分離、業績の著しい好転又は悪化、その他経営環境の著しい変化が生じておらず、かつ、一時差異等の発生状況について前年度末から大幅な変動がないと認められる場合には、前年度末の検討において使用した将来の業績予測やタックス・プランニングを利用することができることなどの方法が認められている(「四半期財務諸表に関する会計基準の適用指針」16~18項)。 そこで、四半期レビュー手続を実施する際には、新型コロナウイルス感染症に関連して、業績の著しい悪化や経営環境の著しい変化が生じている可能性及び一時差異等の発生状況について前年度末から大幅な変動が生じている可能性があることに留意し、質問事項について十分な知識を有し、責任をもって回答できる適切な経営者又は役職者等を選択して的確な質問を実施する必要があると述べている(「四半期レビューに関する実務指針」31項)。 Ⅳ 四半期報告書における追加的な開示(見積り)に関する留意事項 2020年6月26日に更新された企業会計基準委員会の議事概要「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」に留意する必要があると述べている。 上記で述べたとおり、四半期財務諸表における会計上の見積りのうち、固定資産の減損、繰延税金資産の回収可能性について、見積りの再評価のプロセスが年度末と異なる点にも留意が必要であるとしている。 Ⅴ 四半期レビューにおける継続企業の前提に関する留意事項 四半期レビュー手続は、質問と分析的手続等を基本とした限定された手続であることから、積極的に継続企業の前提に関する重要な不確実性が認められるか否かを確かめることまでは求められていないが、それぞれの状況に応じて、適切な四半期レビュー手続を実施する必要があるとし、状況ごとに詳細に述べている。 (了)
平成30年度税制改正に関する 《資料リンク集》 このページでは「平成30年度税制改正」に関し各府省庁・主な団体等から公表された情報ページへのリンク先をまとめています。 新たな情報の公表により、随時更新します。 - ご 案 内 - Profession Journalの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》については随時公開します。
《速報解説》 IESBAから新型コロナウイルス感染症に関する倫理及び独立性に関する留意事項が公表される ~違法行為への対応、報酬、非保証業務等について言及~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 国際会計士倫理基準審議会(IESBA)は、スタッフQ&A「新型コロナウイルス感染症(COVID-19):倫理及び独立性に関する留意事項」(2020年5月8日、スタッフQ&A)を公表した。 これは、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックの結果として生じる倫理及び独立性の課題やリスクに対処する上で関連する可能性のある、職業会計士のための国際倫理規程の解釈について述べている。 この文書は、監査人の監査実務の動向を理解するうえで参考になる部分があると考えられる。 なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 基本原則に対する阻害要因 職業会計士は、その役割、職務、専門業務を遂行する状況にかかわらず、倫理規程に規定されている次の5つの倫理上の基本原則を遵守することが求められる。 当該基本原則に照らして、次のことなどが述べられている。 Ⅲ 情報の作成及び提供 危機的状況においては、職業会計士は、事業体がマイナスの進展を誤って報告したり、本質的な情報の開示を保留したり、財務状況に関して虚偽又は誤解を招くような内容を描いたりする機会及びリスクが生じることに留意する必要がある。 Ⅳ 違法行為への対応 職業会計士は、パンデミックが不正を行う重要な機会を生じさせることに注意を払う必要がある。例えば次のものである。 Ⅴ 報酬 報酬に関して、職業会計士は次のプレッシャーを受ける可能性があることについて述べている。 Ⅵ 非保証業務(助言及び支援の提供を含む) 会計事務所等は、依頼人に支援を提供する際には、潜在的な利益相反について念頭に置かなければならないと述べられている。 例えば、依頼人がCOVID-19関連の助成金を取得する際の支援に会計事務所等が関与する一方で、会計事務所等が、当該助成金の審査と承認を担当する政府機関に専門業務を提供する場合には、利益相反が生じる可能性がある。 Ⅶ 統治責任者とのコミュニケーション COVID-19のパンデミックは、事業体の業務だけでなく、会計事務所等の監査業務の依頼人(統治責任者を含む)との関わり方に重大な混乱をもたらしている。 当局によるソーシャルディスタンスの維持の措置や、事業者又は会計事務所等による安全対策により、会計事務所等と統治責任者のコミュニケーションの方法に影響する可能性がある。 このため、会計事務所等が統治責任者と積極的に関わり、いかにして倫理及び独立性に関する事項を効果的に取り上げ、適時に議論できるかについて、あらかじめ合意することが重要であるとしている。 (了)
《速報解説》 ASBJが、会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方を更新 ~四半期決算における開示について取り上げる~ 公認会計士 阿部 光成 Ⅰ はじめに 2020年6月26日、企業会計基準委員会は、「新型コロナウイルス感染症への対応(会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方)」を更新し、ホームページに掲載した。 「会計上の見積りを行う上での新型コロナウイルス感染症の影響の考え方」に関する企業会計基準委員会の議事概要については、4月10日に公表後、5月11日に追補を公表しているが、今回は、四半期決算における考え方を扱うものである。 文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。 Ⅱ 四半期決算における取扱い 第436回企業会計基準委員会(2020年6月26日開催)の議事概要では、次のことを述べている。 (了)
《速報解説》 国税庁、「所得金額調整控除に関するFAQ(源泉所得税関係)」を公表、年末調整に向け注意喚起を行う Profession Journal編集部 平成30年度税制改正では基礎控除額の一律10万円の引上げ等、給与所得控除額及び公的年金等控除額の一律10万円の引下げと控除上限見直し等が行われ、本年(令和2年)以後の所得税から適用されている。またこれらの改正により子育て世帯や介護世帯の負担増が生じないための措置として「所得金額調整控除」制度が創設された。 この制度について、国税庁は6月26日に「所得金額調整控除に関するFAQ(源泉所得税関係)」を公表、年末調整に向け注意喚起を行っている。 所得金額調整控除は、①子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除と②給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除に分けられ、いずれも確定申告において適用されるが、①(所得金額調整控除(子ども等))については年末調整で適用することができる。 このため月々の源泉徴収に影響はないものの、年末調整では、上記の要件に該当する場合、その従業員等の所得金額調整控除(子ども等)に係る控除額を計算し、給与所得の金額から控除することとなる。なお、従業員等は年末調整で所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けようとする場合には、その年最後に給与等の支払を受ける日の前日までに「所得金額調整控除申告書」に上記の要件に該当する旨等を記載して、給与等の支払者に提出する必要がある。 今回公表されたFAQでは、制度内容から扶養親族、給与収入等の各要件に関する説明のほか、「所得金額調整控除申告書」を提出する時点で本年の給与等の収入金額が850万円を超えるかどうかが明らかでない場合の「所得金額調整控除申告書」の提出の可否について、給与等の収入金額が850万円を超えるかどうかが明らかではない場合であっても年末調整で所得金額調整控除(子ども等)の適用を受けようとするときは「所得金額調整控除申告書」にを提出する必要がある(問14)など、年末調整を前に実務上注意すべき事項が22問の質疑事例としてまとめられている。 なお「所得金額調整控除申告書」の様式は、新たに加わる「給与所得者の基礎控除申告書」とともに、従前の「給与所得者の配偶者控除等申告書」と一体となっている。 他に本年の年末調整では、保険料控除申告書に係る保険会社等からの控除証明書等を電子データで受領し国税庁ホームページ等で年末調整申告書の電子データを作成できるようになるなど「年末調整手続の電子化」が実施される。 さらに今年度の税制改正では下記のとおり、ひとり親控除の創設と寡婦(寡夫)控除の見直しが行われ、本年の年末調整から改正後の規定が適用される(※)など、実務上、昨年からの変更点が多くなっている。毎年各団体が行っている年末調整の説明会がコロナ禍の影響で開催が危ぶまれる中、早めの情報収集と従業員等への周知を心がけたい。 (※) 本改正については5月に国税庁ホームページにて「ひとり親控除及び寡婦控除に関するFAQ(源泉所得税関係)」が公表されている。 (了)
《速報解説》 持続化給付金、本年1月~3月に創業した事業者など支給対象を拡大 ~新たな対象者の受付は6月29日(月)から~ Profession Journal編集部 新型コロナウイルス感染症の影響により、ひと月の売上が前年同月比で50%以上減少している事業者などへ最大200万円が支給される持続化給付金について、令和2年度第2次補正予算により、その支給対象に以下の事業者を加えることとされた。 新たに対象となった者の申請は来週6月29日(月)より受付が開始され、申請はWEB・スマホからの電子申請の他、全国に設置された申請サポート会場でも申請が可能となっている。 申請にあたっては、次の証拠書類等の提出が必要となる(③⑥が新たな対象者に対し追加された書類)。 (※) 経済産業省「申請要領(主たる収入を雑所得・給与所得で確定申告した個人事業者等向け)」P17より なお、雇用契約によらない業務委託契約等に基づく事業活動からの収入を給与として受け取っているため、確定申告義務がなく確定申告していない者に限り、上記①の確定申告書第一表の控えを、税理士の確認を受けた「確定申告を要しないこと及び収入金額に係る申立書」で代替することができるとされており、日本税理士会連合会でも会員税理士に対し、顧問先及び該当する事業者等から申立書の確認依頼があった場合には協力するよう呼びかけている。 経済産業省の下記特設ホームページでは6月29日以降の申請要領等が公開されているため参考にされたい。 また、先週17日からは第2回の申請受付が始まっている「東京都感染拡大防止協力金」に関しては、税理士や公認会計士、中小企業診断士、行政書士などの専門家の事前確認が推奨されており、確認に係る費用の一定額(申請1件につき8,000円(税込))を東京都が負担することとされている。この費用の請求については各専門家からの事績報告に基づき、東京都から直接専門家へ支払われるが、昨日(6月25日)に、これら事績報告を行うための「専門家謝金申請サイト」が開設されている。 (了)
2020年6月25日(木)AM10:30、 プロフェッションジャーナル No.375を公開! - ご 案 内 - プロフェッションジャーナルの解説記事は毎週木曜日(AM10:30)に公開し、《速報解説》は随時公開します。