〔検証〕
適時開示からみた企業実態
【事例7】
アキュセラ・インク
「ドライ型加齢黄斑変性治療薬候補『エミクススタト塩酸塩』の
臨床第2b/3相試験におけるトップラインデータについて」
(2016.5.26)
事業創造大学院大学 准教授
鈴木 広樹
1 今回の適時開示
今回取り上げる適時開示は、アキュセラ・インク(以下「アキュセラ」という)が平成28年5月26日に開示した「ドライ型加齢黄斑変性治療薬候補『エミクススタト塩酸塩』の臨床第2b/3相試験におけるトップラインデータについて」である。製薬会社である同社が、研究開発していた新薬候補「エミクススタト塩酸塩」の臨床試験の結果について開示したものである。
「地図上萎縮を伴うドライ型加齢黄斑変性を適応症とする「エミクススタト塩酸塩」(以下、「エミクススタト」)の臨床第2b/3相試験におけるトップラインデータを発表いたします。」として、臨床試験の結果が淡々と記載されているのだが、その後に次のような記載がある。臨床試験の結果に関する記載だけでは分かりにくいのだが、「エミクススタト塩酸塩」に効果が認められなかったのである。
マイアミ大学バスコム・パルマー・アイ・インスティチュートで眼科学教授を務めるフィリップ・ローゼンフェルド博士は、次のように述べています。「この度の臨床試験は、患者の方々にとっても医師にとっても残念な結果となりました。」
大手製薬会社でこうした開示があれば、「新薬候補の1つが失敗したか」くらいで済むかもしれないが、アキュセラにとって、今回の失敗はそれで済むものではなかった。同社は、平成27年12月期有価証券報告書の「事業等のリスク」において、次のように記載している。今回の失敗は、会社の存亡に関わる事態と言えるだろう。
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