「軽減税率制度」導入時期の延期による当面の対応
税理士 金井 恵美子
Ⅰ 消費税増税延期法の成立
事業者は、消費に負担を求める消費税において -したがって事業者は消費税の負担を負うことを予定されていないが- 納税義務者として「『納税事務』という無償の役務の提供を行うこと」を法律上の義務として課せられている。コンプライアンスコストは日常業務に溶け込んでおり、その負担量を測定することは容易ではないが、確実に負担しているのであり、軽減税率の導入が、そのコンプライアンスコストを増幅させ、業務実務や経営に大きな影響を与えることは必至である。
第192回国会において成立した消費税増税延期法(社会保障の安定財源の確保等を図る税制の抜本的な改革を行うための消費税法の一部を改正する等の法律等の一部を改正する法律)により、消費税率の引上げ及び軽減税率の導入は2年半延期され、平成31年10月1日となった。
この2年半の延期をどう考えるべきか。3月末決算法人は、事業年度の途中の税率引上げを経験したことがない。加えて、複数税率制度への移行にも対応するためには、平成31年3月末までには、システムの改修や事業計画の策定を完了しておく必要がある。
与党税制協議会消費税軽減税率制度検討委員会において、財務省は、軽減税率の導入には、法律制定以後少なくとも1年半の準備期間が必要であると説明していた。2年半の延期は、本来与えられるべき準備期間が与えられたにすぎないと考えるべきであろう。
以下では、この準備期間において、企業が対応すべき事項を概観することとしたい。
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