「石原産業役員責任追及訴訟
第一審判決」から読む
会社経営者としての責任の分水嶺
【2】
弁護士 中西 和幸
8 本判決上の区分
本判決では、Y1以外の取締役の注意義務違反行為を、
ア フェロシルトの開発、生産、管理、搬出に関する義務違反
イ 産業廃棄物の不法投棄に関する監視義務〔調査義務〕違反
の2種類に義務を分類し、その中で、
① 取締役四日市工場長
② 生産構造再構築計画実行本部(略称:実行本部)の構成員
③ 酸化チタン事業構造改革推進会議(略称:推進会議)の構成員
④ フェロシルトの生産開始時の取締役
⑤ フェロシルトの搬出開始時の取締役
に区分して責任の有無を論じている。
以下、責任の有無について紹介する。
9 QMSに関する調査・確認義務違反として責任が認められた取締役
(1) 工場長としての責任について
ア Y5について
まず、取締役Y5に対して問われた責任は、顧客から回収を要請され、実際に回収せざるを得ない商品を他の顧客に販売・搬出することについて、Y1がQMSを遵守していたかどうかの調査・確認義務違反であり、フェロシルトが最初に売却・搬出される意思決定がなされた平成13年8月6日の推進会議や同月10日付の稟議が争点とされていた。
石原産業には平成7年6月1日に制定された品質マネジメントシステムにかかるマニュアルであるQMSが制定されており、Y5は、四日市工場長として、この社内マニュアルにY1が違反してフェロシルトを搬出したか否かを調査・確認することを怠ったとして、善管注意義務違反が認定されている。
イ Y6について
これに対し、その後に工場長に就任したY6については、QMSが履行されているか否かを調査・確認する義務はなかったとして、責任を認めていない。
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