公開日: 2013/04/04 (掲載号:No.13)
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「石原産業役員責任追及訴訟第一審判決」から読む会社経営者としての責任の分水嶺【2】

筆者: 中西 和幸

「石原産業役員責任追及訴訟

第一審判決から読む

会社経営者としての責任の分水嶺

【2】

 

弁護士 中西 和幸

 

8 本判決上の区分

本判決では、Y1以外の取締役の注意義務違反行為を、

ア フェロシルトの開発、生産、管理、搬出に関する義務違反

イ 産業廃棄物の不法投棄に関する監視義務〔調査義務〕違反

の2種類に義務を分類し、その中で、

① 取締役四日市工場長

② 生産構造再構築計画実行本部(略称:実行本部)の構成員

③ 酸化チタン事業構造改革推進会議(略称:推進会議)の構成員

④ フェロシルトの生産開始時の取締役

⑤ フェロシルトの搬出開始時の取締役

に区分して責任の有無を論じている。
以下、責任の有無について紹介する。

 

9 QMSに関する調査・確認義務違反として責任が認められた取締役

(1) 工場長としての責任について
ア Y5について
まず、取締役Y5に対して問われた責任は、顧客から回収を要請され、実際に回収せざるを得ない商品を他の顧客に販売・搬出することについて、Y1がQMSを遵守していたかどうかの調査・確認義務違反であり、フェロシルトが最初に売却・搬出される意思決定がなされた平成13年8月6日の推進会議や同月10日付の稟議が争点とされていた。
石原産業には平成7年6月1日に制定された品質マネジメントシステムにかかるマニュアルであるQMSが制定されており、Y5は、四日市工場長として、この社内マニュアルにY1が違反してフェロシルトを搬出したか否かを調査・確認することを怠ったとして、善管注意義務違反が認定されている。
イ Y6について
これに対し、その後に工場長に就任したY6については、QMSが履行されているか否かを調査・確認する義務はなかったとして、責任を認めていない。

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「石原産業役員責任追及訴訟

第一審判決から読む

会社経営者としての責任の分水嶺

【2】

 

弁護士 中西 和幸

 

8 本判決上の区分

本判決では、Y1以外の取締役の注意義務違反行為を、

ア フェロシルトの開発、生産、管理、搬出に関する義務違反

イ 産業廃棄物の不法投棄に関する監視義務〔調査義務〕違反

の2種類に義務を分類し、その中で、

① 取締役四日市工場長

② 生産構造再構築計画実行本部(略称:実行本部)の構成員

③ 酸化チタン事業構造改革推進会議(略称:推進会議)の構成員

④ フェロシルトの生産開始時の取締役

⑤ フェロシルトの搬出開始時の取締役

に区分して責任の有無を論じている。
以下、責任の有無について紹介する。

 

9 QMSに関する調査・確認義務違反として責任が認められた取締役

(1) 工場長としての責任について
ア Y5について
まず、取締役Y5に対して問われた責任は、顧客から回収を要請され、実際に回収せざるを得ない商品を他の顧客に販売・搬出することについて、Y1がQMSを遵守していたかどうかの調査・確認義務違反であり、フェロシルトが最初に売却・搬出される意思決定がなされた平成13年8月6日の推進会議や同月10日付の稟議が争点とされていた。
石原産業には平成7年6月1日に制定された品質マネジメントシステムにかかるマニュアルであるQMSが制定されており、Y5は、四日市工場長として、この社内マニュアルにY1が違反してフェロシルトを搬出したか否かを調査・確認することを怠ったとして、善管注意義務違反が認定されている。
イ Y6について
これに対し、その後に工場長に就任したY6については、QMSが履行されているか否かを調査・確認する義務はなかったとして、責任を認めていない。

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連載目次

「「石原産業役員責任追及訴訟第一審判決」から読む会社経営者としての責任の分水嶺」(全3回)

筆者紹介

中西 和幸

(なかにし・かずゆき)

弁護士
田辺総合法律事務所

・昭和61年3月 岡崎高等学校卒業
・平成4年3月 東京大学法学部卒業
・平成4年4月 住友海上火災保険株式会社に就職(平成5年3月まで)
・平成7年4月 弁護士登録(第一東京弁護士会会員となる)、田辺総合法律事務所入所
・平成19年4月 第一東京弁護士会総合法律研究所会社法研究部会部会長就任(平成23年4月まで)
・平成22年4月 CFE(Certified Fraud Examiner:公認不正検査士)資格取得
・平成24年4月 国分寺市オンブズパーソンに就任
・平成24年6月 オーデリック株式会社の社外(独立)監査役に就任

【著書等】
・『会社法関係法務省令逐条実務詳解 ─会社法施行規則・会社計算規則・電子公告規則』編集代表(清文社)
・『信託と倒産』共著(商事法務)
・『企業不祥事と対応【事例検証】』編共著(清文社)
・『〔新訂〕貸出管理回収手続双書 回収』共著(金融財政事情研究会)
・「振替株式に設定された質権と質権設定者の振替株式に対する差押え」共著『金融法務事情』No.1912
・『新版 架空循環取引─法務・会計・税務の実務対応』共著(清文社)
・『【Q&A】大規模災害に備える企業法務の課題と実務対応』編集代表(清文社)
・『実践!営業秘密管理 企業秘密の漏えいを防止せよ!』編集代表(中央経済社)
・「平成24年株主総会の実務対応(6)株主総会までの準備と議事運営」『旬刊 商事法務』 No.1963
・『最新 役員報酬をめぐる法務・会計・税務』編集代表(清文社)
・「「社外取締役を置くことが相当でない理由」の説明内容と運用のあり方」共著『旬刊 商事法務』 No.1980 

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