公開日: 2026/04/02 (掲載号:No.663)
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PJ Bookmark-April 2026- 「役員報酬の「期首改定」、死角はありませんか?」

筆者: Profession Journal 編集部

カテゴリ:



B
PJ Bookmark
── April 2026 ──

役員報酬

役員報酬の「期首改定」、
死角はありませんか?

PJ Bookmark 連載開始にあたって

プロフェッションジャーナルには、税務・会計・労務・法務・経営・読み物にわたる連載記事が数多く蓄積されています。その数は連載中のものだけでも60タイトル近くにのぼり、掲載記事の総数は10,000本を超えました(2026年4月現在)。

一方で、これだけのアーカイブがあると、ご自身の関心やお手元の案件に関連する記事が別の連載に埋もれていることも少なくありません。たとえば「役員報酬」ひとつをとっても、税務の連載だけでなく、労務の連載や会計の連載にも関連する記事が掲載されています。

PJ Bookmarkは、ひとつのテーマに対し、関連する記事を連載・分野を横断して編集部がご紹介させていただきます。ふだんお読みの連載とは別の連載の中に、思いがけず役に立つ記事が見つかる──そんなきっかけになれば幸いです。

3月決算法人にとって、4月は役員報酬を見直す重要なタイミングです。定期同額給与の改定は原則として期首から3か月以内に行う必要があり、事前確定届出給与の届出期限も控えています。改定手続の一つひとつが損金算入の可否に直結するため慎重な対応が求められますが、関連する論点は税務面だけにとどまりません。社会保険料への影響や、会計上の用語の違いが思わぬところで問題になることもあります。今回は「期首の役員報酬」を切り口に、関連する記事を5本ご紹介します。

〇 期首の報酬改定で何を検討するか

期首に役員報酬を見直す場面では、次のような検討事項があるかと思います。

まず、定期同額給与を改定する場合の手続です。期首に改定しようとすると、職務執行期間との関係で論点が生じます → 1本目

税務
〈ポイント解説〉役員報酬の税務
【第64回】「定期同額給与の期首からの改定」
執筆:中尾隼大 税理士
3月決算法人が4月から報酬額を変更する場合、定時株主総会(通常6月)ではなく期首時点で改定を行うことになります。本記事では、この「期首からの改定」について、役員の職務執行期間との関係でどのように整理すべきかを、国税庁の情報や文献を参照しながら検討しています。明確な結論が示されていない論点であるだけに、「定時株主総会で据置きの確認決議をしておくべき」という実務上の対応策まで踏み込んで解説されている点が参考になります。この時期の相談に備えて、論点を確認しておくのに適した記事です。

あわせて、事前確定届出給与については、届出後に支給を見送る場合の手続上のリスク →2本目 や、届出額と異なる金額で支給してしまった場合に実際にどのような問題が起きるか →3本目 という点も、この時期に確認しておきたい事項です。

税務
〈ポイント解説〉役員報酬の税務
【第37回】「事前確定届出給与を全額無支給とする場合の留意点」
執筆:中尾隼大 税理士
届出書を提出したものの、資金繰り等の事情で支給を見送るケースは実務上珍しくありません。「支給額ゼロなら損金不算入額もゼロ」という整理自体は広く知られていますが、本記事ではその前提となる手続、「株主総会等での無支給決議と役員による受給辞退」を改めて確認し、手続を経なかった場合の債務免除益課税と源泉徴収義務のリスクを丁寧に解説しています。業績悪化改定事由による変更届出書の検討、書面添付制度や届出書の取下げ書の活用といった実務上の選択肢も示されており、万一の際の対応手順を確認しておける記事です。

税務
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント
【事例91(法人税)】
執筆:齋藤和助 税理士
経理担当者の出産・育児をきっかけに、税理士が給与計算・振込業務まで引き受けたところ、届出額と異なる金額で振り込んでしまい、事前確定届出給与の全額が損金不算入に──という事例です。注目したいのは予防策のパートで、給与計算・振込は税理士の資格に基づく業務に該当しないため、税理士職業賠償責任保険の支払対象外であることが指摘されています。顧問先との関係で周辺業務を引き受ける場面は日常的にあり得ますが、その際の契約や責任範囲について考えるきっかけとなる記事です。上記の「事前確定届出給与の無支給」の記事とあわせてお読みいただくと、この制度をめぐる実務リスクがより具体的に把握できるかと思います。

次に、報酬額の設定そのものについてです。「月額報酬と賞与の配分を変えることで社会保険料の負担を抑えたい」という相談を受けることもあるかと思いますが、税務上のメリットだけでなく、所得税の増加や将来の年金受給額への影響まで含めた総合的な判断が必要になります →4本目

労務
給与計算の質問箱
【第73回】「役員の社会保険料の削減」
執筆:上前剛 税理士・特定社会保険労務士
「役員報酬を低く、役員賞与を高く設定すれば社会保険料が減る」という話題について、2025年度の社会保険料率をもとに具体的な数字で比較した記事です。年間総額1,200万円を「月額100万円」で支給する場合と「月額5万円+賞与1,140万円」で支給する場合の差額が明示されているほか、社会保険料控除の減少に伴う所得税の増加、法定福利費の減少による法人税等への影響、傷病手当金・老齢厚生年金の受給額低下といった留意点も整理されています。メリット・デメリットの双方が具体的な数字とともに示されており、顧問先への説明資料としても活用しやすい内容です。

さらに、そもそも「役員報酬」という用語が会社法・会計基準・税法のそれぞれで異なる定義を持つという点も、計算書類の作成などの場面で意外と見落とされやすいところです →5本目

会計
〈会計基準等を読むための〉コトバの探求
【第6回】「"役員報酬"に関する会計基準から勘定科目を考える」
執筆:阿部光成 公認会計士
ここまでの4本の記事が「いくら払うか」「どう届け出るか」という実務面の記事であるのに対し、この記事は「そもそも"役員報酬"とは何を指すのか」という用語の定義を整理するものです。会社法上の「報酬等」、ストック・オプション等に関する会計基準の「報酬」、実務対応報告第41号の「報酬等」──似た用語でありながら定義が異なるこれらを一覧で比較し、それぞれの勘定科目がどの会計基準から導かれるかを確認できます。税務と会計で用語の指す範囲が異なる点は、計算書類や事業報告の作成にも関わるところですので、ご関心のある方にはぜひお目通しいただきたい記事です。

Afterword
今回は「期首の役員報酬」を切り口に5本の記事をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。プロフェッションジャーナルには役員報酬に関する記事がこのほかにもたくさん掲載されています。役員退職給与、株式報酬、不相当に高額な給与の判定など、掘り下げた記事がありますので、気になるテーマがあればぜひ探してみてください。

Profession Journal

(了)

「PJ Bookmark」は、不定期の掲載となります。



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── April 2026 ──

役員報酬

役員報酬の「期首改定」、
死角はありませんか?

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プロフェッションジャーナルには、税務・会計・労務・法務・経営・読み物にわたる連載記事が数多く蓄積されています。その数は連載中のものだけでも60タイトル近くにのぼり、掲載記事の総数は10,000本を超えました(2026年4月現在)。

一方で、これだけのアーカイブがあると、ご自身の関心やお手元の案件に関連する記事が別の連載に埋もれていることも少なくありません。たとえば「役員報酬」ひとつをとっても、税務の連載だけでなく、労務の連載や会計の連載にも関連する記事が掲載されています。

PJ Bookmarkは、ひとつのテーマに対し、関連する記事を連載・分野を横断して編集部がご紹介させていただきます。ふだんお読みの連載とは別の連載の中に、思いがけず役に立つ記事が見つかる──そんなきっかけになれば幸いです。

3月決算法人にとって、4月は役員報酬を見直す重要なタイミングです。定期同額給与の改定は原則として期首から3か月以内に行う必要があり、事前確定届出給与の届出期限も控えています。改定手続の一つひとつが損金算入の可否に直結するため慎重な対応が求められますが、関連する論点は税務面だけにとどまりません。社会保険料への影響や、会計上の用語の違いが思わぬところで問題になることもあります。今回は「期首の役員報酬」を切り口に、関連する記事を5本ご紹介します。

〇 期首の報酬改定で何を検討するか

期首に役員報酬を見直す場面では、次のような検討事項があるかと思います。

まず、定期同額給与を改定する場合の手続です。期首に改定しようとすると、職務執行期間との関係で論点が生じます → 1本目

税務
〈ポイント解説〉役員報酬の税務
【第64回】「定期同額給与の期首からの改定」
執筆:中尾隼大 税理士
3月決算法人が4月から報酬額を変更する場合、定時株主総会(通常6月)ではなく期首時点で改定を行うことになります。本記事では、この「期首からの改定」について、役員の職務執行期間との関係でどのように整理すべきかを、国税庁の情報や文献を参照しながら検討しています。明確な結論が示されていない論点であるだけに、「定時株主総会で据置きの確認決議をしておくべき」という実務上の対応策まで踏み込んで解説されている点が参考になります。この時期の相談に備えて、論点を確認しておくのに適した記事です。

あわせて、事前確定届出給与については、届出後に支給を見送る場合の手続上のリスク →2本目 や、届出額と異なる金額で支給してしまった場合に実際にどのような問題が起きるか →3本目 という点も、この時期に確認しておきたい事項です。

税務
〈ポイント解説〉役員報酬の税務
【第37回】「事前確定届出給与を全額無支給とする場合の留意点」
執筆:中尾隼大 税理士
届出書を提出したものの、資金繰り等の事情で支給を見送るケースは実務上珍しくありません。「支給額ゼロなら損金不算入額もゼロ」という整理自体は広く知られていますが、本記事ではその前提となる手続、「株主総会等での無支給決議と役員による受給辞退」を改めて確認し、手続を経なかった場合の債務免除益課税と源泉徴収義務のリスクを丁寧に解説しています。業績悪化改定事由による変更届出書の検討、書面添付制度や届出書の取下げ書の活用といった実務上の選択肢も示されており、万一の際の対応手順を確認しておける記事です。

税務
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント
【事例91(法人税)】
執筆:齋藤和助 税理士
経理担当者の出産・育児をきっかけに、税理士が給与計算・振込業務まで引き受けたところ、届出額と異なる金額で振り込んでしまい、事前確定届出給与の全額が損金不算入に──という事例です。注目したいのは予防策のパートで、給与計算・振込は税理士の資格に基づく業務に該当しないため、税理士職業賠償責任保険の支払対象外であることが指摘されています。顧問先との関係で周辺業務を引き受ける場面は日常的にあり得ますが、その際の契約や責任範囲について考えるきっかけとなる記事です。上記の「事前確定届出給与の無支給」の記事とあわせてお読みいただくと、この制度をめぐる実務リスクがより具体的に把握できるかと思います。

次に、報酬額の設定そのものについてです。「月額報酬と賞与の配分を変えることで社会保険料の負担を抑えたい」という相談を受けることもあるかと思いますが、税務上のメリットだけでなく、所得税の増加や将来の年金受給額への影響まで含めた総合的な判断が必要になります →4本目

労務
給与計算の質問箱
【第73回】「役員の社会保険料の削減」
執筆:上前剛 税理士・特定社会保険労務士
「役員報酬を低く、役員賞与を高く設定すれば社会保険料が減る」という話題について、2025年度の社会保険料率をもとに具体的な数字で比較した記事です。年間総額1,200万円を「月額100万円」で支給する場合と「月額5万円+賞与1,140万円」で支給する場合の差額が明示されているほか、社会保険料控除の減少に伴う所得税の増加、法定福利費の減少による法人税等への影響、傷病手当金・老齢厚生年金の受給額低下といった留意点も整理されています。メリット・デメリットの双方が具体的な数字とともに示されており、顧問先への説明資料としても活用しやすい内容です。

さらに、そもそも「役員報酬」という用語が会社法・会計基準・税法のそれぞれで異なる定義を持つという点も、計算書類の作成などの場面で意外と見落とされやすいところです →5本目

会計
〈会計基準等を読むための〉コトバの探求
【第6回】「"役員報酬"に関する会計基準から勘定科目を考える」
執筆:阿部光成 公認会計士
ここまでの4本の記事が「いくら払うか」「どう届け出るか」という実務面の記事であるのに対し、この記事は「そもそも"役員報酬"とは何を指すのか」という用語の定義を整理するものです。会社法上の「報酬等」、ストック・オプション等に関する会計基準の「報酬」、実務対応報告第41号の「報酬等」──似た用語でありながら定義が異なるこれらを一覧で比較し、それぞれの勘定科目がどの会計基準から導かれるかを確認できます。税務と会計で用語の指す範囲が異なる点は、計算書類や事業報告の作成にも関わるところですので、ご関心のある方にはぜひお目通しいただきたい記事です。

Afterword
今回は「期首の役員報酬」を切り口に5本の記事をご紹介しましたが、いかがでしたでしょうか。プロフェッションジャーナルには役員報酬に関する記事がこのほかにもたくさん掲載されています。役員退職給与、株式報酬、不相当に高額な給与の判定など、掘り下げた記事がありますので、気になるテーマがあればぜひ探してみてください。

Profession Journal

(了)

「PJ Bookmark」は、不定期の掲載となります。

連載目次

筆者紹介

Profession Journal 編集部

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