公開日: 2026/11/05 (掲載号:No.693)
文字サイズ

《税務必敗法》 【第17回】「会計ソフト・税務申告ソフトのアップデートを忘れた」

筆者: 森 智幸

《税務必敗法》

【第17回】

「会計ソフト・税務申告ソフトのアップデートを忘れた」

 

公認会計士・税理士 森 智幸

 

【事例】

X会計事務所では、インストール型会計ソフトを使用している。

2026年9月、税理士甲宛に、会計ソフト会社Y社からアップデート用CD-ROM入りの封筒が届いた。しかし、甲は多忙のため机上に放置し、事務所内の税務担当者に渡すことを失念した。

そのCD-ROMは、免税事業者などインボイス発行事業者以外からの課税仕入れについて、2026年10月から仕入税額控除割合が7割となることに対応するものだった。

X会計事務所には、会計ソフトや税務申告ソフトのアップデート担当者がおらず、管理表もなかった。そのため、甲以外の税務担当者は、このCD-ROMが来たことを知らなかった。

X会計事務所は記帳代行を行っており、顧問先のA社もその一つだった。A社は学者などに講演や執筆を依頼することが多く、依頼先の多くはインボイス未登録者だった。

甲がCD-ROMを放置したため、税務担当者はY社の会計ソフトを更新せず、2026年10月以降も従来の設定で記帳代行を続けた。

3月決算のA社について、甲は2027年5月、8割控除の設定で作成した帳簿を基に消費税の確定申告書を提出した。このとき、前課税期間と比べ申告額に大きな変動がなかったため、甲は税区分までは確認しなかった。

2027年9月、A社に所轄税務署の税務調査が入った。

税務調査では、2026年10月から控除割合が7割となったにもかかわらず、8割控除していたことを指摘され、消費税の修正申告を行うことになった。

修正額は多額ではなかったが、A社の経理担当者は甲に不信感を抱き、次のように尋ねた。

「2026年10月から7割控除になったことは、当然ご存じでしたよね。申告書を提出する前に確認されなかったのですか?」

そして、最後にこう付け加えた。

「先生、専門家ですよね?」

 

1 はじめに

本連載は、税務を行う上で「これをやったら失敗する」という必敗法を紹介するものである。今回は「会計ソフト・税務申告ソフトのアップデートを忘れた」である。

会計事務所において、会計ソフトや税務申告ソフト(以下「会計ソフト等」という)は通常業務に欠かせないものである。会計ソフト等は、税制改正や機能改善などに伴い、随時アップデートされる。これはインストール型でもクラウド型でも同様である。

しかしながら、このアップデートを失念すると、現行の税法に対応できなくなり、税務申告上の誤りが生じる可能性がある。

また、2026年9月には、国税庁の国税システムが更改された。これに伴い、一部の申告書や申請・届出書、法定調書の様式が新しくなった。

このように、税制改正への対応だけでなく、申告書等の様式変更への対応という点からも、会計ソフト等を最新の状態に保つことは重要である。

そこで、今回は会計ソフト等のアップデートの注意点と対策について説明する。

なお、本稿は私見であることにご留意いただきたい。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員登録およびログインが必要です。

すでに会員登録をされている方は、下記ボタンからログインのうえ、ご覧ください。

Profession Journalのすべての記事をご覧いただくには、「プレミアム会員(有料)」へのご登録が必要となります。
なお、『速報解説』については「一般会員(無料)」へのご登録でも、ご覧いただけます。
※他にもWebセミナー受け放題のスーパープレミアム会員などがございます。

会員登録がお済みでない方は、下記会員登録のボタンより、ご登録のお手続きをお願いいたします。

《税務必敗法》

【第17回】

「会計ソフト・税務申告ソフトのアップデートを忘れた」

 

公認会計士・税理士 森 智幸

 

【事例】

X会計事務所では、インストール型会計ソフトを使用している。

2026年9月、税理士甲宛に、会計ソフト会社Y社からアップデート用CD-ROM入りの封筒が届いた。しかし、甲は多忙のため机上に放置し、事務所内の税務担当者に渡すことを失念した。

そのCD-ROMは、免税事業者などインボイス発行事業者以外からの課税仕入れについて、2026年10月から仕入税額控除割合が7割となることに対応するものだった。

X会計事務所には、会計ソフトや税務申告ソフトのアップデート担当者がおらず、管理表もなかった。そのため、甲以外の税務担当者は、このCD-ROMが来たことを知らなかった。

X会計事務所は記帳代行を行っており、顧問先のA社もその一つだった。A社は学者などに講演や執筆を依頼することが多く、依頼先の多くはインボイス未登録者だった。

甲がCD-ROMを放置したため、税務担当者はY社の会計ソフトを更新せず、2026年10月以降も従来の設定で記帳代行を続けた。

3月決算のA社について、甲は2027年5月、8割控除の設定で作成した帳簿を基に消費税の確定申告書を提出した。このとき、前課税期間と比べ申告額に大きな変動がなかったため、甲は税区分までは確認しなかった。

2027年9月、A社に所轄税務署の税務調査が入った。

税務調査では、2026年10月から控除割合が7割となったにもかかわらず、8割控除していたことを指摘され、消費税の修正申告を行うことになった。

修正額は多額ではなかったが、A社の経理担当者は甲に不信感を抱き、次のように尋ねた。

「2026年10月から7割控除になったことは、当然ご存じでしたよね。申告書を提出する前に確認されなかったのですか?」

そして、最後にこう付け加えた。

「先生、専門家ですよね?」

 

1 はじめに

本連載は、税務を行う上で「これをやったら失敗する」という必敗法を紹介するものである。今回は「会計ソフト・税務申告ソフトのアップデートを忘れた」である。

会計事務所において、会計ソフトや税務申告ソフト(以下「会計ソフト等」という)は通常業務に欠かせないものである。会計ソフト等は、税制改正や機能改善などに伴い、随時アップデートされる。これはインストール型でもクラウド型でも同様である。

しかしながら、このアップデートを失念すると、現行の税法に対応できなくなり、税務申告上の誤りが生じる可能性がある。

また、2026年9月には、国税庁の国税システムが更改された。これに伴い、一部の申告書や申請・届出書、法定調書の様式が新しくなった。

このように、税制改正への対応だけでなく、申告書等の様式変更への対応という点からも、会計ソフト等を最新の状態に保つことは重要である。

そこで、今回は会計ソフト等のアップデートの注意点と対策について説明する。

なお、本稿は私見であることにご留意いただきたい。

この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員登録およびログインが必要です。

すでに会員登録をされている方は、下記ボタンからログインのうえ、ご覧ください。

Profession Journalのすべての記事をご覧いただくには、「プレミアム会員(有料)」へのご登録が必要となります。
なお、『速報解説』については「一般会員(無料)」へのご登録でも、ご覧いただけます。
※他にもWebセミナー受け放題のスーパープレミアム会員などがございます。

会員登録がお済みでない方は、下記会員登録のボタンより、ご登録のお手続きをお願いいたします。

連載目次

筆者紹介

森 智幸

(もり・ともゆき)

公認会計士・税理士

東京都出身。慶應義塾大学商学部卒。神戸の会計事務所を経て、大阪・京都の監査法人に勤務し、京都の監査法人では代表社員を務める。2019年9月に独立し、森 智幸公認会計士・税理士事務所を設立。独立後もPwCあらた有限責任監査法人(現PwC Japan有限責任監査法人)にて、内部監査などガバナンス領域のアドバイザリー業務を担当(~2025年6月)。現在は、株式会社および公益法人の会計・税務、ガバナンス強化支援、内部監査、中小企業の経営支援に従事。近畿税理士会業務対策部部員、日本公認会計士協会租税調査会・租税政策検討専門委員会専門委員、学術賞審査委員会委員、一般財団法人会計教育研修機構 実務補習協議会税務分科会委員、近畿実務補習所専門委員。

【主な著作】
・『税務の異常点の表れ方と見つけ方』(中央経済社2024年)
・『独立する公認会計士のための税理士実務100の心得』(中央経済社2023年)
・『現場で使える「会計上の見積り」の実務』(共著、清文社2022年)
・『「社会福祉充実計画」の作成ガイド』(共著、中央経済社2017年)

関連書籍

生産性向上のための建設業バックオフィスDX

一般財団法人 建設産業経理研究機構 編

図解&条文解説 税理士法

日本税理士会連合会 監修 近畿税理士会制度部 編著

CSVの “超” 活用術

税理士・中小企業診断士 上野一也 著

税理士との対話で導く 会社業務の電子化と電子帳簿保存法

税理士 上西左大信 監修 公認会計士・税理士 田淵正信 編著 公認会計士 藤田立雄 共著 税理士 山野展弘 共著 公認会計士・税理士 大谷泰史 共著 公認会計士・税理士 圓尾紀憲 共著 公認会計士・税理士 久保 亮 共著

令和4年 税理士法改正 徹底解説

日本税理士会連合会 監修近畿税理士会制度部 編著

今日からできる開運事務所

家相建築家 佐藤 秀海 著

顧客をつかむ面談術

坪田 まり子 著

新着情報

もっと見る

記事検索

#