会社を成長させる「会計力」
【第3回】
「リスク・リターンとバランスシート・マネジメント」
島崎 憲明
《リスク・リターン指標の導入と資本コストを大きく下回る実績》
住友商事の2000年3月期アニュアルレポート社長メッセージによると、同社ではコア(中核)ビジネス拡充による収益拡大を重要経営課題に掲げ、コアビジネスへの選択と集中を次のような手法で促進してきたと説明している。
1998年度には、各営業本部ごとに定性・定量両面から何がコアであるかの選別を行いましたが、定量面からの評価をサポートするために、ある事業が抱えるリスクに対してどれだけの収益があるかを見る『リスク・リターン』を核とする独自の経営指標(戦略3指標)を全社共通のモノサシとして導入しました。そして当社の資本コストを基準に、多岐に亘るビジネスの収益性を分析しました。(アニュアルレポートより抜粋)
さらに、2000年度にはリスク・リターンを税引前利益ベースで8%以上にするという目標を達成したいとしている。税引後リターンにすると4%強であるから資本コスト7.5%よりかなり低いリターンの達成を目標に掲げていたことになる。
直近の同社のリスク・リターンは15%、ROEは12%で、資本コストの2倍のパフォーマンスである。
この10年間における改善が著しいことが分かる。
《全体最適な全社共通のモノサシ》
過去を振り返ると、金融逼迫時には「キャッシュ・イズ・キング」と言われバランスシート・マネジメントの必要性が強調されたこともあったが、ビジネスの現場では損益実績偏重の時期が続き、バランスシートを重視する経営は根付かなかった。
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