《速報解説》
意見募集を経て「工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い」が公表
~発生しうる不正事例とその対応を示す~
公認会計士 阿部 光成
Ⅰ はじめに
平成27年4月30日付で(ホームページ掲載日は5月1日)、日本公認会計士協会は、「工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い」(監査・保証実務委員会実務指針第91号)を公表した。
これにより、平成27年2月13日付で意見募集されていた公開草案が確定することとなる。
工事契約については、「工事契約に関する会計基準」(企業会計基準第15号)及び「工事契約に関する会計基準の適用指針」(企業会計基準適用指針第18号)が適用されている。
実務指針91号は、その適用に際して、一般的に会計上の見積りの不確実性の程度が大きく、会計上の見積りに関する重要な虚偽表示リスクが高くなることがあることや、後述する「原価の付替え」を用いて決算日における工事進捗度の調整を通じた工事収益の操作などの不正が行われる可能性があることについて述べている。
監査・保証実務委員会実務指針ではあるが、工事進行基準の適用に関する具体的な問題が述べられているので、事業会社においても参考になるものと思われる。
公開草案に寄せられたコメントとその対応については、「監査・保証実務委員会実務指針『工事進行基準等の適用に関する監査上の取扱い』(公開草案)に対するコメントの概要とその対応」(以下「コメント対応」という)が公表されている。
なお、文中、意見に関する部分は、私見であることを申し添える。
Ⅱ 主な内容
1 適用範囲
実務指針91号の適用範囲に関する留意点は次のとおりである。
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