公開日: 2013/03/07 (掲載号:No.9)
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中国における営業税改革の概要、改革効果の検証及び展望 【第3回】

筆者: 鄭 林根

中国における営業税改革の概要、

改革効果の検証及び展望

【第3回】

 

有限責任監査法人トーマツ
鄭 林根

 

5 改革における問題と関連企業の対応

上海において改革により効果が現れ始めている一方、試験地域における税務当局と対象企業の双方が様々な問題に直面している。

税務当局にとっては中央と地方財源の再配分、徴税機関の一本化、徴税業務の効率化、徴税コストの削減などの問題が残る。

例えば、地方税収である営業税を中央税収である増値税に切り替えることの是非(1)、またサービス業の特性を考慮し新たな税率に11%と6%が追加されたが、これらの適用税率の妥当性についても指摘されている(2)

(1) このため上海では、営業税から変更された増値税額を引き続き地方税収としている。

(2) 例えば、コンサルティング業などほとんど仕入が発生しない業種では営業税の現行税率5%よりも、税負担増の可能性もあり得る。

試験対象企業にとっては、一部の企業が増値税の適用により税負担の軽減メリットを享受できる一方、負担増になる企業も少なくない。

また、増値税の仕組み、適用税率などに対する理解が充分でないため、本来享受できるメリットを享受できていない。

試験対象企業としては下記の点に留意し、直面する諸問題に取り込む必要がある。

(1) 適用対象取引の判断と納税資格者の選択
上記の通り、改革措置の適用対象はサービス業の一部に限られ、課税対象取引の詳細は「課税サービス範囲注釈」で規定されているが、一部の分類は曖昧な記載に止まっており、実務的には簡単に判断できない場合がある。

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中国における営業税改革の概要、

改革効果の検証及び展望

【第3回】

 

有限責任監査法人トーマツ
鄭 林根

 

5 改革における問題と関連企業の対応

上海において改革により効果が現れ始めている一方、試験地域における税務当局と対象企業の双方が様々な問題に直面している。

税務当局にとっては中央と地方財源の再配分、徴税機関の一本化、徴税業務の効率化、徴税コストの削減などの問題が残る。

例えば、地方税収である営業税を中央税収である増値税に切り替えることの是非(1)、またサービス業の特性を考慮し新たな税率に11%と6%が追加されたが、これらの適用税率の妥当性についても指摘されている(2)

(1) このため上海では、営業税から変更された増値税額を引き続き地方税収としている。

(2) 例えば、コンサルティング業などほとんど仕入が発生しない業種では営業税の現行税率5%よりも、税負担増の可能性もあり得る。

試験対象企業にとっては、一部の企業が増値税の適用により税負担の軽減メリットを享受できる一方、負担増になる企業も少なくない。

また、増値税の仕組み、適用税率などに対する理解が充分でないため、本来享受できるメリットを享受できていない。

試験対象企業としては下記の点に留意し、直面する諸問題に取り込む必要がある。

(1) 適用対象取引の判断と納税資格者の選択
上記の通り、改革措置の適用対象はサービス業の一部に限られ、課税対象取引の詳細は「課税サービス範囲注釈」で規定されているが、一部の分類は曖昧な記載に止まっており、実務的には簡単に判断できない場合がある。

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連載目次

「中国における営業税改革の概要、改革効果の検証及び展望」(全3回)

筆者紹介

鄭 林根

(てい・りんこん)

中国律師、有限責任監査法人トーマツ 東京事務所 中国室 ディレクター

1986-1994年中国財務省に勤務。
1980-1984年浙江大学法学部卒業、1984-1986年、北京大学大学院法学修士、1995年より1998年まで横浜国立大学租税ゼミ修士課程修了。
1998年有限責任監査法人トーマツに入所。
その後十数年間日本企業の対中投資の法規制をはじめとする投資全般・税務に関するコンサルティングサービスに従事。
また、中国企業の日本進出プロジェクトに参与。

【著書】
・『中国投資・会計・税務Q&A[第4版]』共著(中央経済社)
・『中国新企業所得税制の実務』共著(清文社)
ほか

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