「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」を踏まえた
平成28年度税制改正への対応
【第1回】
「適用指針における適用税率の判定基準」
公認会計士・税理士 八代醍 和也
〔2016/4/7公開〕
《速報解説》
各都府県の超過課税税率に関する条例が出揃う~税効果会計に適用する税率に関する適用指針の実務対応~
Ⅰ はじめに
平成28年3月14日に、企業会計基準委員会は「税効果会計に適用する税率に関する適用指針」(企業会計基準適用指針第27号、以下「本適用指針」という)を公表した。
本適用指針における従前からの主な改正点としては、税効果会計の適用にあたり、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率に関する取扱いを、従前のいわゆる「公布日基準」に代えて、新たに「成立日基準」に変更するものである。
そこで本稿では、平成28年度税制改正法案(所得税法等の一部を改正する法律案及び地方税法等の一部を改正する等の法律案)(以下、「改正税法」という)が近々国会において成立することを前提に、法人税等の税率の改正により取扱いが具体的にどのように変更になるのかについての解説を行う。
なお、文中の意見に関する部分は、筆者の私見であることを申し添える。
Ⅱ 具体的な取扱いの変更点
1 従前の取扱い
まずは、従前の「公布日基準」における取扱いがどのようなものであったかについて述べる。
本適用指針公表前においては、税効果会計の適用にあたって使用する税率について、「個別財務諸表における税効果会計に関する実務指針」(会計制度委員会報告第10号)第18項では決算日現在における税法規定に基づく税率によるものとされ、したがって、改正税法が当該決算日までに公布され、将来の適用税率が確定している場合には改正後の税率を適用するものとしていた。
上記の従前の取扱いについて、図示すると以下のようになる。
2 本適用指針公表の背景
本適用指針の公表によって、従前の取扱いに変更が加えられることとなった背景には、いかなる要因があったのか。本適用指針では結論の背景として第17項で次の2項目を挙げている。
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