「従業員の解雇」をめぐる
企業実務とリスク対応
【第2回】
「解雇の有効・無効」
~解雇することが正しいのか~
弁護士 鈴木 郁子
1 はじめに
~解雇をすることが正しいのか~
会社が解雇を実行するにあたっては、違法・無効な解雇とならないよう留意することは当然である。しかしそもそも、解雇することが全体的見地から正しい判断といえるのだろうか。
解雇の有効・無効の判断は総合考慮(連載【第1回】参照)により決まり、裁判官により判断が分かれることも多いが、解雇の是非を判断するにあたっては、解雇が万が一無効となった場合に会社はどのような法的リスクを負わなければならないのか、解雇が無効となるとどうなるのかということを正確に把握する必要がある。
また、解雇の有効性に問題がない事案であったとしても、解雇が争いとなることで会社に事実上どのようなリスクが発生するのか、認識しておく必要がある。
その上で、それでもなお、解雇という手段をとるのが望ましいといえるのか、合意退職の余地はないのか、考える必要があるのである。
2 解雇の有効・無効とは
~復職とバックペイ、中間収入~
(1) 復職とバックペイ
当事者間で解雇が有効か無効か争いになった場合には、従業員の申立てにより、最終的には裁判所が訴訟手続(解雇無効訴訟)で判断することになる。
解雇が無効であると考える従業員が、
① 「原告(従業員)が、被告(会社)に対し、雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する」
② 「被告は、原告に対し、****円及び平成**年**月**日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え」
との訴訟(これを「地位確認等請求事件」という)、いわゆる①復職と②復職までの間の給与(バックペイ)及び遅延損害金の支払いを求める訴訟を提起するのである。
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