公開日: 2016/09/15 (掲載号:No.185)
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「従業員の解雇」をめぐる企業実務とリスク対応 【第9回】「懲戒解雇をする際のチェックポイント」

筆者: 鈴木 郁子

「従業員の解雇」をめぐる

企業実務とリスク対応

【第9回】

「懲戒解雇をする際のチェックポイント」

 

弁護士 鈴木 郁子

 

1 はじめに
~懲戒解雇は難しい~

(1) 懲戒解雇と普通解雇

本連載の【第1回】で述べたとおり、解雇には、「普通解雇」と「懲戒解雇」の2種がある。両者は非違行為、企業秩序違反行為を対象とする点において重なるが、その性質は異なったものである。

【第4回】から【第8回】にかけて解説してきた普通解雇は、労務提供義務の不履行(不完全不履行)に基づく雇用契約の中途解約である。一方、懲戒解雇は、企業秩序違反に対する懲罰の一種である。また、普通解雇に比べて懲戒解雇の方が、求められる違法性の程度は高く、手続も厳格である。

一般に懲戒解雇と普通解雇の差は、解雇予告(解雇予告手当)の要否、退職金の不支給や減額の可否にあると思われており、この点、必ずしも間違いではないが、論理必然ではない。

すなわち、「労働者の責に基づく場合」は、除外認定を経た上で解雇予告(解雇予告手当の支払)が不要となるが(【第4回】参照)、懲戒解雇が有効・適法な場合は必ず除外認定が得られる関係にあるわけではない。

また、退職金の不支給や一部減額は、後述するように、退職金規程にそのような規定があることの効力によるものであるし、かかる規定があるからといって、規定どおりの不支給・減額が認められるわけでもない。

懲戒解雇と普通解雇の違いは、あくまでも性質上の違いにある。

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企業実務とリスク対応

【第9回】

「懲戒解雇をする際のチェックポイント」

 

弁護士 鈴木 郁子

 

1 はじめに
~懲戒解雇は難しい~

(1) 懲戒解雇と普通解雇

本連載の【第1回】で述べたとおり、解雇には、「普通解雇」と「懲戒解雇」の2種がある。両者は非違行為、企業秩序違反行為を対象とする点において重なるが、その性質は異なったものである。

【第4回】から【第8回】にかけて解説してきた普通解雇は、労務提供義務の不履行(不完全不履行)に基づく雇用契約の中途解約である。一方、懲戒解雇は、企業秩序違反に対する懲罰の一種である。また、普通解雇に比べて懲戒解雇の方が、求められる違法性の程度は高く、手続も厳格である。

一般に懲戒解雇と普通解雇の差は、解雇予告(解雇予告手当)の要否、退職金の不支給や減額の可否にあると思われており、この点、必ずしも間違いではないが、論理必然ではない。

すなわち、「労働者の責に基づく場合」は、除外認定を経た上で解雇予告(解雇予告手当の支払)が不要となるが(【第4回】参照)、懲戒解雇が有効・適法な場合は必ず除外認定が得られる関係にあるわけではない。

また、退職金の不支給や一部減額は、後述するように、退職金規程にそのような規定があることの効力によるものであるし、かかる規定があるからといって、規定どおりの不支給・減額が認められるわけでもない。

懲戒解雇と普通解雇の違いは、あくまでも性質上の違いにある。

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連載目次

筆者紹介

鈴木 郁子

(すずき・いくこ)

弁護士
本間合同法律事務所

1995年 東京大学教養学科国際関係論分科卒業
2000年 京都大学法学部卒業
2002年 司法修習修了 第二東京弁護士会弁護士登録(第55期)、本間合同法律事務所入所。現在に至る。

主として企業側の労働問題を専門としており、就業規則作成、社内労務体制整備などのほか、労働審判、訴訟のみならず、労働委員会事件、団体交渉の実務経験、会社向け労働法講習等の経験も豊富である。企業の現状を最大限考慮しつつ、訴訟実務経験に基づいた実践的なアドバイスを心がけている。

▷個人ホームページ
http://www.i-k-suzuki-law.jp/

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