「従業員の解雇」をめぐる
企業実務とリスク対応
【第5回】
「普通解雇①」
~能力不足、適格性欠如による解雇~
弁護士 鈴木 郁子
1 はじめに
~能力不足・適格性欠如による解雇の難易度は従業員の地位・採用経緯により異なる~
他の従業員より勤務成績が低く能力不足で任せられる仕事がないとして、従業員を解雇することができるだろうか。
従業員は、会社に対し労務提供義務を負っているのであり、能力不足や適格性欠如により雇用契約において想定された業務を全く履行できないというのであれば、雇用契約上の債務不履行として、普通解雇の解雇原因となりうる。
(※) なお、実際の解雇にあたっては、①解雇制限に違反しないこと、②解雇手続の履践は当然必要となる。【第4回】を参照されたい。
しかしながら、実際にどの程度の能力不足や適格性の欠如であれば、解雇権濫用法理(【第4回】参照)との関係で、「客観的に合理的な理由」があり「社会通念上相当」であるとして、解雇が適法となるのであろうか。
能力不足・適格性欠如の場合、裁判では、能力不足が著しいことが必要とされ、
① 当該職務に期待されている職務内容がどのようなものか
② 能力不足・適格性の欠如が当該労働の継続を期待できないほどに重大なものであるか否か
③ 会社側が当該従業員に改善矯正を促し、努力反省の機会を与えたのに改善がされなかった否か
④ 今後の指導による改善可能性の見込み
等に基づいて、総合考量により判断されることになる(なお、一般的な解雇権濫用の判断要素(【第4回】)も参照されたい)。
この記事全文をご覧いただくには、プロフェッションネットワークの会員(プレミアム
会員又は一般会員)としてのログインが必要です。
通常、Profession Journalはプレミアム会員専用の閲覧サービスですので、プレミアム
会員のご登録をおすすめします。
プレミアム会員の方は下記ボタンからログインしてください。
プレミアム会員のご登録がお済みでない方は、下記ボタンから「プレミアム会員」を選択の上、お手続きください。