固定資産をめぐる判例・裁決例概説 【第46回】「雑損控除の対象となる損失は物理的損害に基因するものであり、物理的な被害から直接生じたものではない損害に基因するものについては雑損控除が認められなかった事例」
雑損控除とは、居住者やその者と生計を一にする配偶者その他の親族の有する資産について災害又は盗難若しくは横領による損失が生じた場合において、その損失額のうち、一定の限度額を超える部分については、その者の総所得金額等から控除されることが認められるものである(所法72)。
「税理士損害賠償請求」頻出事例に見る原因・予防策のポイント【事例143(所得税)】 「障害者1級となった義母を扶養に入れられないか相談を受けたが同居する義父の年金収入があったため扶養に入れず申告していたが、依頼者自身で税務署に出向いて申告したところこれが認められたことから、過年度分につき損害賠償請求を受けた事例」
X1年からX5年分の所得税につき、X1年に障害者1級となった義母を扶養に入れられないか相談を受けたが、同居する義父の年金収入が年間280万円あったことから「義父の年金収入があるため、扶養には入れられない。」として扶養に入れずに申告していた。
ところがX6年に依頼者が税務署に出向いて状況を説明し義母を扶養に入れて申告したところ、これが認められ、「そもそも以前から義母を扶養に入れることができた。」との回答を得た。
これにより、扶養に入れずに申告していた年分につき過大納付が発生したとして損害賠償請求を受けた。
monthly TAX views -No.144-「「在老」緩和と公的年金等控除の見直し」-連動する年金改正と税制改正-
今年の通常国会は、予算、税制改正法の成立が終われば、年金改正の議論に移る。厚生労働省が与党に示した案では、パートが厚生年金に加入する要件の見直し(106万円の壁の撤廃など)や高所得者の厚生年金の保険料引上げ等に加えて、在職者老齢年金制度(以下「在老」)の基準の引上げも含まれている。
金融・投資商品の税務Q&A 【Q90】「相続した株式と同一銘柄の株式を譲渡した場合の譲渡所得の計算」
私(居住者たる個人)は、昨年、相続によりA株式(上場)を取得しました。今年になって、A株式を譲渡しましたが、相続により取得したもののほかに、市場で購入したものもあります。この場合、譲渡所得の計算は、どのように行うことになるのでしょうか。また、A株式は源泉徴収を選択した特定口座で保有していますが、留意点があれば教えてください。
租税争訟レポート 【第77回】「所得税等の各更正処分並びに過少申告加算税の各賦課決定処分の取消請求事件~青色事業専従者給与の適正額(第1審:長野地方裁判所令和4年12月9日判決、控訴審:東京高等裁判所令和5年8月3日判決)」
本件は、長野県岡谷市内に開設された診療所で内科等の医業を営む医師であり、青色申告の承認を受けている原告が、平成28年分から平成30年分の所得税及び復興特別所得税(以下「所得税等」と総称する)の各確定申告について、看護師である自己の配偶者に支払ったとする青色事業専従者給与年額1,800万円(月額100万円+賞与300万円×2回)の相当性を一部否認して、処分行政庁がした増額更正処分及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件各処分」と総称する)は違法であると主張して、更正処分の増額部分及び過少申告加算税の賦課決定処分の取消しを求める事案である。
給与計算の質問箱 【第61回】「通勤手当の非課税限度額」
当社に従業員としてAとBが入社することになりました。
Aは、マイカー通勤で自宅から会社までの距離は片道約30kmです。ガソリン代相当額として通勤手当20,000円を毎月支給する予定です。
Bは、新幹線通勤で定期代として通勤手当120,000円を毎月支給する予定です。
AとBの給与計算にあたり注意点があれば、ご教示ください。
令和6年分 確定申告実務の留意点 【第3回】「特に注意したい事項Q&A」-定額減税及び暗号資産に係る税務上の取扱い等-
令和6年分の所得税及び復興特別所得税の確定申告において、定額減税が適用される。申告書にどのように記載するのか。
令和6年分 確定申告実務の留意点 【第2回】「定額減税の適用における同一生計配偶者・扶養親族のチェックポイント」
本連載第1回で解説したとおり、今回の定額減税の減税額は、納税者本人と同一生計配偶者及び扶養親族の数に応じて算出される。ただし、減税額計算の人数に含める納税者本人、同一生計配偶者及び扶養親族は、いずれも居住者であることが要件とされている(措法41の3の3②)。
以下、定額減税の適用における同一生計配偶者及び扶養親族に関するチェックポイントを解説する。
令和6年分 確定申告実務の留意点 【第1回】「令和6年分の申告に適用される改正事項」
今回から3回シリーズで、令和6年分の確定申告に係る実務上の留意点を解説する。
第1回(本稿)と第2回は、「令和6年分における特別税額控除」(以下、「定額減税」という)を取り上げる。