相続税の実務問答 【第50回】「「法定相続情報一覧図」の写しの添付」
今年の6月に父が亡くなりました。弟が3年前に亡くなりましたので、相続人は、母、長男である私、弟の子2名の併せて4名です。相続税の申告をする場合には、被相続人や相続人の戸籍謄本などを添付するそうですが、相当の分量になります。
最近、これらの書類に代えて、「法定相続情報一覧図」の写しの添付が認められるようになったと聞きましたが、この「法定相続情報一覧図」とはどのようなものなのでしょうか。
相続税の実務問答 【第49回】「贈与税額控除により相続税額が算出されない場合の相続税の申告義務」
今年の1月に母が亡くなりました。相続人は父と私の2名です。母の遺産の総額は、4,000万円で、遺産分割協議の結果、その全てを私が相続することとなりました。
私は、一昨年に母から現金300万円の贈与を受けていますので、この金額を相続税の課税価格に加算して相続税の計算をすると次のようになります。
事例でわかる[事業承継対策]解決へのヒント 【第19回】「死因贈与で上場会社株式を発行会社に贈与する場合の課税関係」
私は上場会社C社の創業者のIです(C社からは退職しています)。現在、C社の株式を9.80%保有しており時価は約10億円です。
私には子供がおらず、両親は他界しており、妻Yと兄Jがいます。
兄Jに財産を残す気はないため、財産はすべて妻Yに相続させる旨の遺言を書く予定ですが、C社株式については妻に相続させたとしてもいずれ市場に放出させることになるため、相続させないでおこうと考えています。
C社株式を生前に市場に放出するとC社の株価に影響しますし、妻Yに残す財産はC社株式以外にも十分ありますので、C社株式については、私とC社で死因贈与契約を締結し、私が死亡した際にC社に贈与することを検討しています。
この場合の課税関係について教えてください。
〔失敗事例から考える〕この相続対策の問題はドコ!? 【第3回】「贈与税の配偶者控除に関する失敗事例(その2)」~贈与を原因とする所有権移転登記の要否~
資産家の夫は余命2ヶ月の宣告を受けた妻に対し、贈与税の配偶者控除を使って自宅2,110万円に相当する持分(全体持分の5分の1)を贈与することを12月15日に決定した。
この決定の背景には、1人娘が義理の両親と2世帯住宅で一緒に住むことになったため、いわゆる「家なき子特例」が娘に使えなくなるということを顧問税理士から教えてもらったことがある。つまり、保有資産が少額である妻を経由して、娘に自宅の一部を相続させるほうが節税になると判断したわけである。
妻が意識を保てる期間はそう長くないため、顧問税理士へ早急に段取りを確認したところ、贈与契約を締結するだけでは要件を満たしておらず、当該贈与契約に基づく所有権移転登記が必ず必要との回答があった。
そこで、贈与契約と所有権移転登記の手続を同時に進めるため、税理士へ司法書士の紹介を依頼した3日後、妻の容態が急変し帰らぬ人となってしまった(贈与契約未了)。妻の推定相続人は、夫・長女の2名である。
相続税の実務問答 【第48回】「遺言書に基づき申告をした後に第2の遺言書が発見された場合」
私の父が昨年の4月4日に亡くなりました。相続人は姉、私及び妹の3人です。
父の残していた公正証書遺言には、遺産の分割方法の指定がされていましたので、指定されたとおりに各相続人が財産を取得し、相続税の申告も期限内に済ませました。
ところが、父の遺品を整理していたところ、日記帳に挟まれた自筆証書遺言書が出てきました。裁判所の検認を受け、相続人全員でその内容を確認したところ、公正証書遺言が作成された日よりも後の日に作成されていることが判明しました。
〔失敗事例から考える〕この相続対策の問題はドコ!? 【第2回】「贈与税の配偶者控除に関する失敗事例(その1)」~「婚姻期間」のカウントミスを原因とする贈与契約の不成立と自宅管理の未対応~
私(夫)はかねてより婚姻期間20年を記念して妻に評価額2,110万円(持分3分の2)の自宅(敷地含む)を生前贈与するつもりでいた。
税理士に確認したところ、「1月1日現在において、20年経過した年にならなければ、贈与税の配偶者控除の適用ができない」との回答があったため、その日を待ち望んでいたが、その日が到来する前に妻は認知症(重度)を発症してしまった。
相続税の実務問答 【第47回】「相続開始から3年経過後に死亡退職金の支給が確定した場合」
私の父は、平成28年3月1日に亡くなりました。相続人は私と姉の2名であり、相続税の申告及び納付は、同年12月までに済ませました。
父は、伯父が社長を務めるA社の副社長として、長らく伯父を支えてきましたが、父が亡くなった平成29年当時、A社の業績は思わしくなく、父の死亡退職金を支給する余裕はありませんでした。伯父からは、会社の業績が回復すれば退職金も出せるので、それまで待ってほしいと言われていました。
〔失敗事例から考える〕この相続対策の問題はドコ!? 【第1回】「コロナショックの影響により株式等の損切りをしたことによる失敗事例」
「相続対策」と聞くと、多くの税理士は「相続税をどう節税するか」ということにとらわれがちで、相続対策全体を見た適切な対応ができていないケースがあるように思えます。
そこで本連載では、実際に想定される相続対策の事例を取り上げ、その対策における問題はどこなのかを税務的視点はもとより、必要とされるそれ以外の視点(経営的視点、法務的視点など)をもって解説することで、より適切な相続対策をできるようになることを目的としています。
法人版事業承継税制・個人版事業承継税制の相違点比較
非上場株式等についての相続税・贈与税の納税猶予及び免除制度(法人版事業承継税制)が創設されて10年以上が経過し、当初は使いにくいと言われていた同税制も数次の改正を経ることで適用要件が緩和され、年間400件程度であった申請件数も平成30年においては年間6,000件程度に迫るものとなった(平成31年2月5日中小企業庁「事業承継・創業政策について」参考)。
また、令和元年度税制改正により、個人の事業用資産についての相続税・贈与税の納税猶予・免除(個人版事業承継税制)が創設された。
両税制の立法趣旨・根本思想は同じものであると考えられるが、事業体が法人組織か個人事業かという違いにより、適用要件などに相違点がある。その相違点を把握することで両制度についての理解を深めていきたい。以下、主な相違点を列挙しながらその内容を解説する。
