社外取締役の教科書 【第7回】「社外の知見・ノウハウの取り入れ(その1)」
本連載の【第1回】では、社外取締役を導入する目的として、「ガバナンスの強化」と「社外の知見・ノウハウの取入れ」の2つがあることを説明した。
このうち、社外取締役の主たる役割が「ガバナンスの強化」、すなわち経営陣の企業経営を監視・監督することで会社の健全な成長を促し、場合によっては企業価値の向上に寄与しない経営者の“首を斬る”役割までを持つとされることには異論がない。
社外取締役は、その企業のしがらみに囚われず、一歩離れた立場から冷静な目で眺めることができる立場にあるからこそ、経営に対する効果的な監視・監督が期待できるという関係にある。
養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第7回】「離縁の要件・離縁を認めなかった裁判例」
普通養子縁組は、当事者はいつでも協議により戸籍上の届出のみで離縁をすることができ(民811)、離縁の訴えを提起することもできる(民814)。これに対し、特別養子縁組については、原則として離縁を認めず、養親による虐待、悪意の遺棄その他養子の利益を著しく害する事由があり、かつ実父母に相当の監護能力がある場合に限り、例外的に家庭裁判所の審判によってのみ認められ(民817の10①②)、協議による離縁を認めていない。
常識としてのビジネス法律 【第27回】「会社法《平成26年改正対応》(その8)」
監査等委員会設置会社とは、定款に基づいて、監査等委員会を設置するものである(2条11号の2)。この場合、監査役、監査役会は設置されない(327条1項3号、4項、5項)。
監査等委員会設置会社は取締役会設置会社(327条1項3号)で、会計監査人設置会社(327条5項)であることを要する。
監査等委員会は、指名委員会等設置会社の監査委員会が有する権限に加え、監査等委員以外の取締役の選任等(指名委員会)および報酬等(報酬委員会)につき株主総会における意見陳述権を有しており、これが監査「等」と呼ばれる理由である。
社外取締役の教科書 【第6回】「『コーポレート・ガバナンスの実践』(経済産業省報告書)が示すもの(その2)」
今回は、その柱の4つ目である「具体的な取組み(プラクティス)と制度双方の検討の必要性」という点に関連して、我が国の企業が「コーポレートガバナンス」についてどのような実践を重ねてきたか、その具体的な事例を紹介する。
これらは、上記報告書の「別紙1 我が国企業のプラクティス集」として整理されているものである。
一口に「コーポレートガバナンスは重要だ」、「社外取締役が監督機能を果たすべきだ」と言ってみても、では自社ではどこから取り組んでいくのか、現状のどの点に改善の余地があるのかを具体的に計画していくことは、相当な困難を伴う。
その中で、他社における具体的な事例を確認しておくことは、現場でのイメージをつかむためにも、また自社での議論を活発化させるためにも極めて有効である。
養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第6回】「外国人との養子縁組と戸籍・国籍への影響」
外国人との養子縁組(以下「渉外養子縁組」という)を検討するに当たっては、その成立要件をどの国の法律に従って判断するかが最初に検討されなければならない。その際に適用される法律を準拠法といい、日本において準拠法を定めているのは「法の適用に関する通則法」である。
社外取締役の教科書 【第5回】「『コーポレート・ガバナンスの実践』(経済産業省報告書)が示すもの(その1)」
経済産業省は、平成27年7月24日、有識者により構成された「コーポレート・ガバナンス・システムの在り方に関する研究会」における議論の成果を「コーポレート・ガバナンスの実践 ~企業価値向上に向けたインセンティブと改革~」という報告書に整理した。
本報告書は、奇しくも、東芝における不適切会計問題が世間に衝撃を与え、我が国におけるコーポレート・ガバナンスのあり方が揺らいでいる状況下で公表される結果となった。
養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第5回】「戸籍の記載」~養子の氏と戸籍~
普通養子縁組と特別養子縁組とでは、その成立要件となる各実質的要件(【第1回】参照)が異なること、特別養子縁組においてはできる限り実子と同様の戸籍の記載をすべきとの配慮等から、以下のとおり、養子の氏や戸籍に関する手続・内容等において差異が生じる。
常識としてのビジネス法律 【第26回】「会社法《平成26年改正対応》(その7)」
取締役と同様、非公開会社について、定款の定めをもって、監査役の資格を株主に限ることを認めた(335条1項、331条2項)。また、商法で欠格事由とされた「破産手続開始の決定を受け復権していない者」を監査役の欠格事由から外すとともに、金融商品取引法や各種倒産法制に定める罪を犯した者を欠格事由に加え(335条1項、331条1項3号)、さらに、法人などが監査役になれないことを明文化した(335条1項、331条1項1号2号)。
社外取締役の教科書 【第4回】「社外取締役の職務・活動内容(その2)」
今回から、社外取締役の実際の職務ないし活動内容について説明していきたい。
既に本連載【第1回】において、社外取締役制度の目的は、①ガバナンスの強化と②社外の知見・ノウハウの取り入れの2点に集約できるとし、その大まかな趣旨につき説明をした。
これを前提に、今回は、社外取締役が「ガバナンス(企業統治)の強化」において果たす役割を説明したい。
養子縁組を使った相続対策と法規制・手続のポイント 【第4回】「特別養子縁組の手続」
特別養子縁組は、家庭裁判所の審判によって成立する。審判対象は、養子となる者の要保護性、養親となる者の適格性、養子となる者と養親となる者との適合性である。
申立人は、申立に際し、申立の趣旨及び実情、養子となる者の父母(実父母)の同意の有無、同意がないときはその具体的事情、養親となる者が監護を開始した日時等を明確にしなければならない(家事手続規則93①)。